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経鼻内視鏡検査に死角

楽な検査と普及進むが、見落としの報告も…
経鼻内視鏡検査に死角あり

先端部の外径が5mm前後と非常に細く、鼻腔からの挿入が可能な経鼻内視鏡。
従来の経口の内視鏡検査に比べて咽頭反射がなく、苦痛が少ないことから受診者の人気を博し、ここ数年で急速に普及している。

しかし、そうしたブームの陰で、経鼻内視鏡検査における見落とし例も散見されるようになってきた。
一宮市立市民病院(愛知県一宮市)消化器科医長の井口洋一氏は、食道表在癌の見落とし例に遭遇した。

この患者は、経鼻内視鏡検査で胃癌を指摘され、同科を紹介受診したが、精査の過程で新たに胸部中部食道に0IIc型表在型食道癌が見付かった。
この食道癌は、深達度sm3で、リンパ節転移などがあってもおかしくない状態だったが、前医の検査では病変を指摘できなかった。

経鼻内視鏡は、径を細くするために画質や操作性を犠牲にしている。
そのため、通常内視鏡と比べて暗い、解像度が低い、視野角が狭いという欠点がある。

「経鼻内視鏡は通常内視鏡検査に熟達してから使いこなすべきだ」と話す、一宮市立市民病院の井口洋一氏。

特に性能の差が大きいのが解像度で、「経鼻内視鏡だけを使用していると気付きにくいかもしれないが、通常内視鏡を使い慣れていると、非常に使いにくく感じられる」(井口氏)という。

さらに井口氏は、先の症例について、「視野角が狭いことや、唾液の洗浄・吸引能力が不十分なことが影響して見落とされたのではないか」と分析する。

このケースでは、通常内視鏡で胃癌を精査する過程で、偶然食道癌も見付かった。
しかし、名大消化器内内科准教授の丹羽康正氏は、「経鼻内視鏡でのスクリーニングで“異常なし”とされた症例の中にも、見落とされている例があるのでは」と危惧する。
 
こうした問題点が指摘されている一方で、経鼻内視鏡を評価する声は大きい。
京都第2赤十字病院健診部部長の小林正夫氏は、「経鼻内視鏡がつらい咽頭反射から患者を解放し、上部消化管検査に革命をもたらしたのは事実。特に検診施設に与えた恩恵は大きい」と話す。

経鼻内視鏡は鎮静が不要なので、車で来院する患者が多い地方では、検査の後、すぐに車を運転して帰ってもらえるというメリットもある。
医師にとっても、患者が苦しんでいるのを見て焦って検査をする必要がないことや、集患能力の高さは魅力のようだ。

通常内視鏡よりも検出能力で劣る経鼻内視鏡も、技術を磨く、スクリーニング目的に適応を限定する、見落とさないための工夫を行う、丁寧に検査する・・・などを実践すれば、見落としは防ぐことができるという。

機器の長所と短所をしっかり把握し、こうしたデメリットを患者にも理解してもらった上で、賢く利用すべき、ということだろう。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/200812/508802.html出典 NM online 2008.12.11
版権 日経新聞社


<切り抜き帖>
■ 厚労省の推計によると、国内の認知症患者は2005年で169万人。
2015年には250万人に達するという。
高齢者世帯で夫婦がともに認知症になり、介護しあって生活する「認認介護」も増えている。
■ 一方、重度の認知症患者が入院できる病院の病床は32万床。
グループホームも2007年度で全国約9千カ所、総定員は約14万人にとどまり、受け入れ先は絶対的に不足している。

いずれも
出典 日経新聞・夕刊 2008.12.11
版権 日経新聞社

<自遊時間>
ノーベル賞金の減額を検討 金融危機で財団理事が表明
ノーベル賞授賞式を10日に終えたノーベル財団のミカエル・ソールマン専務理事は11日までに、来年の賞金額について、世界的な金融危機の影響で財団の資産状況が今年よりさらに悪化すれば「減額も考えなければならない」と語った。
スウェーデンのテレビ局とのインタビューに応じた。地元紙が10月、各賞の賞金1000万クローナ(約1億1500万円)が減額される可能性があると伝えていた。
http://www.excite.co.jp/News/world/20081212/Kyodo_OT_CO2008121201000205.html
<コメント>
今年はご存知のように日本人の受賞者もいました。
受賞決定後、その後の円高で受賞額が随分目減りしたようです。
でも今年の受賞でよかったですね。
by wellfrog3 | 2008-12-15 00:31 | 消化器科
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