喫煙女性で腹部大動脈瘤リスクが4倍
復員軍人局医療センター(米ミネソタ州ミネアポリス)のFrank Lederle教授らは,喫煙習慣のある女性では腹部大動脈瘤に対する治療の必要性または破裂の危険性が,喫煙をやめた女性の4倍,喫煙経験のない女性の8倍高まると,BMJ(2008; 337: a1724)に報告している。 HRTに予防効果の可能性も 腹部大動脈瘤は男性に多い疾患であるが,女性に生じた場合には男性と比べ,瘤直径が小さくても破裂による死亡の可能性が高く,介入率は低い。また介入後の死亡数も多いとされる。 米国では腹部大動脈瘤による年間死亡数が約1万5,000人で,うち40%は女性である。 これまで腹部大動脈瘤の研究の大部分は男性が中心で,女性被験者が少ないため女性の危険因子に関する信頼できる情報はほとんどなかった。 大動脈瘤に関連する因子を明確に理解することが,女性患者の診断と予後を改善すると考えられている。 Lederle教授らは,全米40の臨床センターで,女性健康イニシアチブに登録している閉経女性16万1,808人を対象に,腹部大動脈瘤の破裂と,再建術の必要性を高めると推定される危険因子を評価し,平均7.8年間追跡調査した。 これは,女性の腹部大動脈瘤発症に対するホルモン補充療法(HRT)の効果を検討する試験の一部である。 試験期間中に184例が腹部大動脈瘤事象(再建術施行あるいは破裂)を報告し,年齢と喫煙に強い相関が見られた。喫煙していたこと,現在も喫煙していること,喫煙量のすべてが,腹部大動脈瘤をもたらす一因であることが示唆された。 興味深いのは,先の小規模試験ではエストロゲン単独療法が腹部大動脈瘤のリスクを増大させると報告されていたが,今回の試験ではHRTに同リスクの防止作用が認められたことだ。 糖尿病の女性では動脈瘤事象リスクが低下していた。 これは男性の試験でも同様な関係が認められている。高身長,高血圧,コレステロール低下療法,冠動脈疾患,末梢動脈疾患も,動脈瘤事象リスクを増大させた。 同教授らは,HRTの大動脈瘤に対する作用を解明するためには,さらに検討する必要があると結論している。 禁煙教育の必要性を強調 ロンドン大学インペリアルカレッジ(ロンドン)のJanet Powell教授とウェスタンオーストラリア大学フリーマントル病院(オーストラリア・フリーマントル)のPaul Norman教授は,同誌の付随論評(2008; 337: a1894)で「今回の知見は女性に対する禁煙教育の必要性を強調している」とコメント。「禁煙指導は引き続き公衆衛生の優先課題である。 女性で腹部大動脈瘤の罹患率が増加し続ける場合には,過去に喫煙していた女性あるいは現在喫煙習慣のある女性を集団スクリーニングするプログラムを実行しなければならないだろう」と述べている。 http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=1&order=1&page=0&id=M41510011&year=2008 出典 Medical Tribune 版権 メディカル・トリビューン社 <コメント> 呼吸器科や循環器科専門の先生で今でも喫煙している先生はどのくらいいるのでしょうか。 私の父は開業医でしたが、診察室の机には灰皿があり、診察の合間に紫煙をくゆらせていました。 古き良き時代(?)のことですが、そんなに昔のことではありません。
by wellfrog3
| 2008-12-20 00:13
| その他
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