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鳥インフルエンザ流行と予防接種

鳥インフルエンザ大流行に向けて2回の予防接種を

求められるワクチンの備蓄
■レスター大学病院感染症部門のコンサルタントであるIain Stephenson博士らは,次のインフルエンザ大流行の際にはワクチン接種が人々を守る最善の方法であり,接種は1人につき2回必要であろうとNew England Journal of Medicine(2008; 359: 1631-1633)に発表した。
また,ワクチンを製造するにはある程度の時間がかかるため,大流行が発生する前にワクチンを備蓄しておくことが重要としている。

供給力と時間が課題
■同大学の臨床上級講師でもあるStephenson博士は,同大学感染症部門のKarl G. Nicholson教授らと今回の研究を実施した。
同教授はレスター王立病院のコンサルタント医でもある。
 
■インフルエンザの大流行は,ヒトが免疫を持っていない新しいインフルエンザ株が出現したときや,突然変異を起こしウイルスとして世界中に拡散した場合に発生する。
実際に大流行の原因となるインフルエンザ株を予測することは不可能だが,世界中の保健当局は,H5N1型鳥インフルエンザウイルスがヒトにおける大流行の原因となりうる株と考えている。
 
■H5N1型ウイルスは現在,トリに蔓延しており,これまでにヒトでも世界中で380例以上に重度な疾患を引き起こし,死亡率は60%以上に達している。
 
■Stephenson博士は「次回,インフルエンザの大流行が発生した場合,ワクチン接種が人々を守る最善の方法であろう。製造能力に限界があるため,ワクチンの用量は可能な限り低く抑え,限られた抗原材料を適切に使用することが求められる」とコメントしている。
 
■また,「良好な反応を得るには通常,ワクチンの2回接種が必要とされる。大流行が発生した場合,2回接種で人々を守るワクチンを製造するためにはある程度の時間が必要だ。したがって,これらの困難に対処するため,ワクチンの備蓄が求められる。防御には2回のワクチン接種が必要なため,もし急速に大流行した場合,その供給は難題となるであろう」と述べている。
初回接種株が違っても有効

■今回の研究では,レスターで行われた試験に参加し,7年以上前にH5ワクチンの初回接種を受けた人に最新H5ワクチンを接種し,今回初めてワクチン接種を受ける人と比較した。
 S
■tephenson博士は「7年後に接種した低用量のブースターワクチンによる急速な反応が認められ,接種後1週間以内に被験者の80%が検討したすべてのH5ウイルスの型に良好な反応を示した。
一方,初めてワクチン接種を受ける抗原刺激を受けていない人は2回の接種を必要としたが,6週後には期待通り,予防可能なレベルの抗体が産生された」と述べている。
 
■今回の結果は,最初に抗原刺激を受けた株がどの鳥インフルエンザウイルス株であっても,ブースターワクチン投与後は,幅広い鳥インフルエンザウイルス株から守られることを示唆している。
たとえ最初に接種を受けたときとは異なる株であっても同じである。
これらの結果は,大流行前に備蓄ワクチンを前もって接種することで,大流行を防ぐとする論拠を提供するものとなっている。
 
■同博士は「今回の研究は,政策立案者が備蓄されたワクチンの使い道を決断するうえで役立つため,非常に重要である。抗原刺激を積極的に与え,長期間維持される記憶免疫応答を起こした人は,何年後にワクチン接種しても直ちに免疫応答が活性化される。そのため,インフルエンザの大流行が発生した場合に,感染するリスクの高い医療従事者などは,今後のワクチン戦略の候補として挙げられる」と述べている。
 
出典 Tribune 2009.1.1,8
版権 Medical Tribune社


<コメント>
現在のインフルエンザワクチンの有効性については懐疑的な面があります。
それだけに新型インフルエンザに対するワクチンが有効という話はどうしても理解できません。


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by wellfrog3 | 2009-01-22 00:06 | 感染症
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