腎性貧血のHb値

目標域は10〜11g/dLが無難
■ボンの内科開業医であるNorbert Maurin教授は「腎性貧血患者では,エリスロポエチンによる治療でQOLが明らかに改善する。
ただし,ヘモグロビン(Hb)が目標値を超えると,心血管系合併症リスクが増大する恐れがあるため,注意が必要である」とMedizinische Klinik(2008; 103: 633-637)に発表した。

高い"Hbリスク域"の回避を
■慢性腎不全患者と腎性貧血患者におけるHbを10g/dL上回るようにすべきだというのは比較的確実なことである。
それは同値が10g/dLを超えると,出血時間の異常が解消し,正常化するためである。これにより,赤血球造血能を高める治療では,10g/dLが閾値とみなされる。
しかし,正確な目標域については,いまだに意見が一致していない。
Maurin教授によると,米国腎臓財団のコンセンサスでは,11〜12g/dLが推奨されているが,最新の知見では,むしろ10〜11g/dLが目標域とみなされているという。
 
■目標域よりも高い"Hbリスク域"も回避されなければならない,と同教授は強調する。
Hb値が13g/dLを超えると,もともと慢性腎疾患患者で上昇している心血管系リスクがさらに跳ね上がり,死亡率も上昇するからだ。
そのおもな原因は,おそらく血液粘度の上昇とHb値に依存する血小板の活性化だと考えられる。
 
■同教授は「そのうえ,Hb値が高くなれば必ずQOLの改善を伴うという主張は,正しい推論に基づいて証明されているわけではなく,QOL改善のための閾値は,どの研究でも突き止められていない」と指摘。
「このため,目標域を10〜11g/dLとするのが無難だと考えられる」と主張している。

出典 Medical Tribune 2009.2.5
版権 メディカル・トリビューン社

<関連サイト>
CKD  
保存期の目標Hb値もHDより1g/dL高め
早期介入による臓器保護を強調
■東京都済生会中央病院腎臓内科の栗山哲部長は,CKDのガイドラインについてHDのそれと異なる点を中心に概説した(表)。
c0183739_1456346.jpg

(表をクリックすると大きくなります) 

■まず1つ目は,貧血の診断基準と診断に,「腎機能低下の軽度な症例(CKDステージ 2 )でも腎性貧血合併症の可能性を念頭に置き,鉄欠乏などを除外診断し,鉄充足下で血漿EPO濃度の相対的低下があればrHuEPO製剤の使用を考慮すること」が追加された。
これは,CKDステージ2でも高度の貧血を呈する例があり,腎臓が貧血の程度に応じてEPOを適切に産生できず不適切に低い血漿EPO濃度に陥っている状態を腎性貧血にすべきだという考えに基づいている。
 
■2つ目は,rHuEPO製剤投与開始基準および目標Hb値をHDのそれより1g/dL高い11g/dLとし,減量・中止基準を設定するとともに,心・腎保護効果の観点から腎性貧血への早期介入が好ましいことを強調している点である。
この根拠について同部長は,保存期CKDでは
(1)Hb値が全体的にHDより高く維持されている
(2)貧血への早期介入により腎機能保護効果(図3),左室退縮効果が得られ,高いHb値が臓器保護に有利だと示唆されている
(3)HDのように“採血日の週初め,透析前のHb値が最も低い”などの測定条件による影響を考慮しなくてもよい
−ことを挙げた。
c0183739_14565958.jpg

 
■高リスク群にのみ『米食品医薬品局(FDA)の警告』を考慮したのは,FDAが警告の根拠としたCKD対象の 2 つの試験(CREATE研究,CHOIR研究)では確かにESA療法でHb値を13g/dL以上にするよりも11g/dL前後にするほうが心血管疾患合併リスクは低く望ましいことが示されているが,いずれの試験も心血管疾患合併リスクがきわめて高い群が対象で,FDAの警告は心血管疾患合併高リスク群に対するものだと捉えるべきだからだという。
 
■同部長は,保存期CKDにおいて鉄充足下でrHuEPO製剤6,000単位/週投与しても半数しか目標Hb値の11g/dL以上を達成しない実情を示し,「今のところ,ESA療法はダルベポエチンαが保存期CKDには適応されていないためrHuEPO製剤のみの記載とし,鉄状態の診断は従来通り,治療は保存期であることから経口を推奨しているが,これらについては保存期CKDの貧血状態を改善するために検討を重ねていく必要がある」と付け加えた。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?phrase=腎性貧血&perpage=0&order=0&page=1&id=M4030381&year=2007&type=allround
第52回日本透析医学会 〜腎性貧血治療ガイドライン〜
出典 Medical Tribune 2007.7.26
版権 メディカル・トリビューン社


他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~ http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科関係の専門的な内容)

[PR]
by wellfrog3 | 2009-02-15 00:10 | その他
<< 卵と糖尿病 不適切なピロリの除菌治療 >>