中年期のコーヒー摂取で晩年の認知症リスク低減
カロリンスカ研究所(ストックホルム)とクオピオ大学(フィンランド・クオピオ)のMiia Kivipelto准教授らは,中年期におけるコーヒーの摂取が高齢期における認知症またはアルツハイマー病(AD)リスクを減少させる可能性があることが明らかになったとJournal of Alzheimer's Disease(2009; 16: 85-91)に発表した。 1日3〜5杯でリスク65%減 今回の住民ベースのFinnish Cardiovascular Risk Factors,Aging and Dementia(CAIDE)研究は,カロリンスカ研究所とフィンランド国立公衆衛生研究所(KTL,フィンランド・ヘルシンキ)の協力を 得てクオピオ大学で実施されたもの。 CAIDE研究には,1972,77,82,87年(中年期の調査)にノースカレリア・プロジェクトとFINMONICA研究の対象となった住民ベースのコホートの生存者が参加している。 21年間の平均フォローアップ期間が経過した88年に,65〜79歳の1,409例(71%)が再調査を完了した。その結果,計61例が認知症(うち48例はAD)であることが判明した。 筆頭研究者のKivipelto准教授は「この研究の目的は,中年期のコーヒー・紅茶の摂取と高齢期の認知症やADリスクの関連性を解明することであった。 カフェインが中枢神経系に及ぼす長期的な影響はいまだに解明されておらず,ADに至る病理学的過程は,ADの臨床徴候が発現する数十年前から始まっている可能性があるからだ」と述べている。 中年期の調査では,正当性が立証されている半定量的な食物頻度アンケートを使用して被験者のコーヒーと紅茶の摂取量を評価した。 コーヒーの摂取は, (1)1日当たり0〜2杯(低レベル) (2)同3〜5杯(中レベル) (3)同5杯超(高レベル) −の3群に分類した。 紅茶の摂取に関する質問では, (1)非摂取群(0杯/日) (2)摂取群(1杯以上/日) −に2分割した。 その結果,中年期にある程度のコーヒーを摂取していた者では,コーヒーの摂取量がゼロまたは非常に少なかった者と比べて,高齢期における認知症またはADリスクが低いことが明らかになった。 これらの疾患リスクが最も低かった(65%減)のは,中レベルのコーヒー摂取者(3〜5杯/日)であった。 この結果は,さまざまな交絡因子の調整後も変わらなかった。 紅茶との関連性は認められず 一方,被験者における紅茶の摂取量は比較的少なく,紅茶の摂取と認知症またはADリスクとの関連性は認められなかった。 Kivipelto准教授は「コーヒーが世界中で大量に摂取されている現状を考えると,今回の結果は認知症またはADの予防または遅延に重要な意義を有する可能性がある。われわれの知見は別の研究によって追認される必要があるが,食事指導を行うことで認知症とADリスクが修正される可能性があることが示された。また,認知症とADに対するコーヒーの保護作用の機序が解明されれば,これらの疾患の新しい治療法の開発に役立つだろう」と述べている。 出典 Medical Tribune 2009.2.19 (一部改変) 版権 メディカル・トリビューン社
by wellfrog3
| 2009-03-28 00:10
| 認知症
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