高齢者の日中の眠気と脳卒中リスク

高齢者の日中の眠気は脳卒中リスクと関連
コロンビア大学(ニューヨーク)神経内科のBernadette Boden-Albala助教授が,高齢者の日中における日常的なうたた寝は,脳卒中リスクの有意な上昇を示唆するものであると国際脳卒中会議2008で報告した。
中等度のうたた寝をする人の脳卒中リスクは2〜4倍高く,日中のうたた寝は脳卒中の新たな危険因子として重要な可能性があるという。
今回の試験でのうたた寝(dozing)とは,意図的でなく眠ってしまうことを指す。

睡眠時無呼吸が眠気を誘発
今回の試験では2,153例を前向きに検討し,平均2.3年のフォローアップを行った。
その結果,「少しはうたた寝する」群の脳卒中リスクは「うたた寝しない」群の2.6倍高く,「かなりうたた寝する」群のリスク上昇は4.5倍であった。
 
Boden-Albala助教授は「この数値は重大だ。短期間の追跡であるにもかかわらず,うたた寝の影響の大きさに驚いている」と述べた。
 
これまでに,睡眠時無呼吸がある人では脳卒中リスクが高いことが報告されていた。
日中の眠気は,夜間の睡眠時無呼吸により熟睡できないことから発生すると示唆されている。
 
今回,同助教授らは1990年に開始され,40歳以上の男女が参加している長期研究のNorthern Manhattan Study(NOMAS)の一部である住民コホートを検討した。
同じ地域に住む白人,アフリカ系米国人,ヒスパニック系の脳卒中危険因子を調べた初の試みである。
 
被験者には脳卒中既往歴を有する者はいなかった。試験参加時の平均年齢は73歳で,64%が女性であった。
人種の構成割合は白人が18%,アフリカ系米国人が20%,ヒスパニック系が60%であった。

心筋梗塞と脳卒中死が多い
Boden-Albala助教授らは,2004年からEpworth Sleepiness Scale(昼間の眠気指数)を用いて,日中のうたた寝データを収集し始めた。
Epworth Sleepiness Scaleはテレビを見ているとき,座って人と話をしているとき,アルコール抜きのランチ後に静かに座っているとき,運転中に路上で一時停止しているとき―といった具体的な状況におけるうたた寝の頻度について尋ねる質問票である。
 
Epworth Sleepiness Scaleの結果に基づき,同助教授らは参加者を「うたた寝しない」(44%),「少しはうたた寝する」(47%),「かなりうたた寝する」(9%)の3群に分類した。2年間のフォローアップ期間中,参加者の脳卒中イベントと血管イベントの発生数を調べた。血管イベントは血管性疾患による心発作あるいは脳卒中死と定義した。
 
その結果,脳卒中40例,血管イベント127例が同定された。脳卒中の複数の危険因子(年齢,民族-人種,性,教育,血圧,糖尿病,肥満,身体活動)を補正した結果,「少しはうたた寝する」群と「かなりうたた寝する」群の脳卒中リスクは,「うたた寝しない」群より予想以上に高いことが判明した。
 
心発作あるいは血管死リスクは「少しはうたた寝する」群で1.6%,「かなりうたた寝する」群で2.6%高かった。この結果は,民族や性に関係なく同等であった。
 
同助教授は「患者の睡眠問題を評価する価値はある。初回の評価はEpworth Sleepiness Scaleのような簡単なものでよい。
患者が『少しはうたた寝する』,あるいは『かなりうたた寝する』と判明した場合,精査のため患者を専門医に紹介することも考える必要がある」と述べた。
 
今後いくつかの追試で確認されれば,今回の知見は公衆衛生上も重要な意味を持つ。
同助教授は「過去の研究は,われわれが十分な睡眠を取っていないことや疲れていることを明らかにしてきたが,本当の問題とは,われわれが自分の身体にどのようなことをしているのかである。
眠気は明らかにわれわれを脳卒中リスクにさらしている」と述べた。

出典 Medical Tribune 2009.4.24 
版権 メディカル・トリビューン社

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by wellfrog3 | 2009-04-20 00:38 | 循環器科
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