高齢2型糖尿病患者の重度低血糖発作は認知症のリスクを高める
高齢2型糖尿病患者の入院を要する重度低血糖発作は認知症のリスク増大と関係すると,米カイザー・パーマネントのグループがJAMA の4月15日号に発表した。 1型糖尿病小児の低血糖発作は認知機能障害と関係する可能性があるが,低血糖発作が高齢2型糖尿病患者の認知症の危険因子であるかを評価した研究はない。 同グループは,カリフォルニア州北部の医療供給システムの会員で平均年齢65歳の2型糖尿病患者1万6,667例を対象に,1980〜2002年の退院および救急部門の診断記録から低血糖発作に関するデータを収集。その後,2007年1月15日まで追跡し認知症の診断を調べた。 解析では年齢,性,人種・民族,学歴,BMI,糖尿病罹病期間,7年間の平均HbA1C値,糖尿病の治療,インスリン使用期間,脂質異常症,高血圧,心血管疾患,脳卒中,一過性脳虚血発作,末期腎疾患を調整し,認知症リスクを検討した。 その結果,1,465例(8.8%)が重度低血糖発作を少なくとも1回経験し,1,822例(11%)が認知症と診断された。うち250例に認知症と少なくとも1回の低血糖発作の両方が認められた。 解析の結果,低血糖発作がなかった群と比較した認知症発症ハザード比(HR)は,低血糖発作1回群1.26,2回群1.80,3回以上群1.94と段階的に上昇した。 低血糖発作のために救急部門へ入院した患者に限っても結果は同様で,認知症のHRは発作1回群1.42,2回以上群2.36であった。 Whitmer RA, et al. JAMA 2009; 301: 1565-1572. 出典 Medical Tribune 2009.5.14(一部改変) 版権 メディカル・トリビューン社 <番外編> 新型インフル患者の84%が10代に集中―厚労省 厚生労働省は5月20日夕までに国内で発生した新型インフルエンザの確定患者207人のうち、84%に当たる174人が10代であることを明らかにした。 厚労省が発表した年齢別の患者数の内訳によると、10代以外の年齢層の患者数はいずれも1ケタにとどまっている。 厚労省の担当者は、学校を中心にした状態を反映しているとの見解を示す一方で、現在まで学校を中心に調査を行っており、その他の年齢層にも感染が広がっている可能性はあるとの認識を示した。 http://www.excite.co.jp/News/society/20090520/Cabrain_22117.html excite.ニュース 2009年5月20日 20時29分 <コメント> 「厚労省の担当者」・・・余り医学的なコメントのようにも思えません。 医師のコメントかどうか、「担当者」ではわかりません。 「季節性と同じでない」=成人に重症例、死者も−感染拡大続く・押谷東北大教授 世界保健機関(WHO)の新型インフルエンザ対策に携わる押谷仁東北大教授が20日、東京都内で講演し、「通常の季節性インフルエンザと同様と言われるが、被害は全く違う形で出てくる。想定される被害にどう対処するか、真剣に考える必要がある」と警告した。 押谷教授によると、ほとんどの感染者は軽症だが、5歳以下と20−50代を中心に重症、死亡例があり、高齢者では少ない。 持病のある人や発症後の治療が手遅れだった人以外に、一部の健康な成人も重症のウイルス性肺炎を起こしており、「こうなると先進国でも治療が難しい」という。 その頻度が低いため、「100人、200人規模では分からないが、10万、20万になれば見えてくる」と同教授。季節性インフルエンザによる死者の多くは高齢者か重い疾患のある人で、「今回のは全く違う。 ウイルスが直接死因になっている」とする。 重症者は集中治療室(ICU)での管理が必要だが、「効率化で削減され、ICUがない地方もある。都会でも不足している」と日本の医療の弱点を挙げ、被害が拡大する恐れがあるとした。 出典 時事ドットコム 2009.5.20-20:04 糖尿病診断基準10年ぶりに改訂へ HbA1c値単独での診断も視野に 糖尿病の診断基準が10年ぶりに改訂されることになった。 日本糖尿病学会は診断基準検討委員会(委員長=関西電力病院院長・清野裕氏)を立ち上げ,改訂作業に取りかかっている。 焦点となるのはHbA1c値の扱い。 現行の診断基準は,血糖値による診断を骨子としており,HbA1c値は“補助診断”の位置付けでしかないが,診断の簡素化を求める世界的な動向を踏まえ,現行診断基準の大枠は保持しつつ,HbA1c値の活用度を高めるべく改訂を行う見通しだ。同値単独での診断も可能にすることも視野に入れている。 改訂の背景と方向性を探った。 なお,診断基準の改訂作業が開始されたことは,5月21日から大阪市で始まる第52回日本糖尿病学会年次集会で報告される。 現行基準では“補助診断”の位置付け 現在日本で使用されている糖尿病の診断基準は,日本糖尿病学会が1999年に作成したもので,その骨子は糖尿病型と判定される血糖値が原則として2回以上確認される場合,糖尿病と診断すると規定している。 この現行診断基準において,HbA1c値は“補助診断”として採用されている。 すなわち,血糖値が糖尿病型であることの確認が1回だけでも糖尿病と診断してよい場合を3つ挙げているが,そのうちの1つがHbA1c 6.5%以上であること。 あくまで血糖値が“主”の診断体系であり,HbA1c値は“従”の位置付けにとどめられている。 その後10年が経過して,HbA1c値により大きな役割を与えてもよいのではないかという機運が高まっている。 その背景には,糖尿病患者の増加に歯止めがかからないなか,診断の簡素化を求める声の高まりがある。HbA1c値の測定には糖負荷試験(OGTT)のような煩雑さがなく,空腹時血糖値のように検査前の食事制限も必要ない。 これは世界的な流れで,世界保健機関(WHO)や米国糖尿病学会(ADA)の糖尿病診断基準も,HbA1c値を前面に押し出した体系への改訂が検討されているという。 国内においては,測定精度向上,施設間差解消の取り組みが実を結び,国際標準化が進められていることも,こうした機運を後押ししていると言える。 診断基準値は網膜症の発症リスクを指標に検証 日本における今回の改訂は,現行の血糖値基準を見直すという趣旨で始まったわけではない。 清野氏は「日本の現行基準はエビデンスを踏まえ,検討に検討を重ねて作成したものだ」とし,現在でも十分通用することを指摘。 HbA1c値を補助診断の位置付けから格上げし,臨床の場でより使いやすくするのが狙いだと説明する。 診断基準検討委員会は4月に第1回を開催したばかり。改訂内容についての具体的な吟味はこれから行われるが,同氏は「前回の改訂では,糖尿病網膜症の発症リスクを指標に血糖値の基準を改定した。今回もHbA1c値がどのレベルになったら糖尿病網膜症のリスクが高まるのか,国内のデータを持ち寄って検証したい」と述べる。 近年,糖尿病の重要性について語られる際,心血管疾患のリスクばかりが強調される傾向にあるが,糖尿病に特有なのは網膜症などの細小血管障害。 「初心に返って,至適なHbA1cの診断基準値を見極めたい」と同氏は語る。 2段階の基準値を設定するという考え方も ところで,現行診断基準で採用されているHbA1cの基準値6.5%は,あくまで補助診断としての値。 「この値ならほぼ確実に糖尿病であるはず」(清野氏)という観点から設定されている。 “確からしさ”の担保を優先した値で,疫学研究などで採用される値との間にはズレがある。 例えば,厚生労働省の糖尿病有病率調査では6.1%以上を「糖尿病が強く疑われる人」としている。 今後,HbA1c値による診断を進めていくためには,患者を過不足なく拾い上げる基準値の設定が必要だ。 同氏は「あくまで1つの考え方」と断ったうえで,2段階の基準値を設定する可能性もあることを示唆する。 まず,糖尿病型と診断する値を設定する。 この場合はOGTT2時間値や空腹時血糖値を併用することで糖尿病と診断できる。 一方,それより高いレベルにHbA1c単独で糖尿病と診断できる値を設定する―。 現行診断基準の枠組のなかで,HbA1c値の活用度を高めるためには,このような考え方も成り立つのかもしれない。 1年後を目処に作成 HbA1c値と血糖値を比較すると,一長一短がある。 HbA1c値の利点としては,測定の簡便性に加え,「慢性の高血糖状態を主徴とする代謝症候群」と定義される糖尿病の病態を示す指標としては血糖値より適切であることが挙げられる。血糖管理の指標としてはHbA1cが中心となるため,診断から治療への流れがスムーズになるかもしれない。ただし,清野氏は“診断即薬物治療”に向かうことは戒めたいとしている。 一方,正常型,境界型,糖尿病型を判別するのにはOGTTが優れている。 HbA1c値の場合,より低値になるほどそれらがオーバーラップしてしまい,診断能としては劣るのが欠点だ。このようなHbA1c値の特徴を考えても,上記のような2段階の基準値設定は合理的と言えるかもしれない。 同氏は,1年後を目処に新しい診断基準をまとめたい,としている。 MT pro 2009.5.20
by wellfrog3
| 2009-05-21 00:18
| 糖尿病
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