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国際くも膜下動脈瘤試験 (ISAT)

#くも膜下動脈瘤 5年生存率はコイル塞栓術が優れる クリッピング術と平均9年間の比較
オックスフォード大学ジョンラドクリフ病院(オックスフォード)神経血管神経学研究科のAndrew Molyneux博士らは,国際くも膜下動脈瘤試験(ISAT)の長期追跡調査を行い,動脈瘤患者に対してクリッピング術を行うよりも,コイル塞栓術を行うほうが5年以内に死亡するリスクは低いとの解析結果をLancet Neurology(2009; 8: 427-433)に発表した。

#コイル塞栓術の効果は持続
ISATでは,1994〜2002年に43の神経外科施設で治療を受けたくも膜下動脈瘤患者2,143例を,(1)クリッピング術群(クリッピングを行う開頭手術)
(2)コイル塞栓術群(コイルを注入して,漏出部分を閉鎖する血管内手技)
―のいずれかにランダムに割り付けした.。
先の報告では,コイル塞栓群はクリッピング群に比べて1年後の生存率が高く,独立した生活ができる患者が多く,死亡や要介護状態に至るリスクが24%低下した。
今回の検討では,両群を平均9年間(範囲6〜14年間)追跡し,2,000例強のデータを解析した。
 
1万6,000人年の追跡では,手術1年以上経過後の再出血は24例に認められた。
このうち13例(コイル塞栓群10例,クリッピング群3例)は治療を行った動脈瘤から,4例は治療時に存在していたが治療しなかった動脈瘤から,6例は新規の動脈瘤からの出血で,1例は不明であった。
 
フォローアップ5年時点で,コイル塞栓群の11%,クリッピング群の14%が死亡し,死亡の相対リスクは,コイル塞栓術群がクリッピング術群より23%低かった。
しかし,5年後に生存した患者のうち独立した日常生活が可能な患者の比率は,コイル塞栓群で83%,クリッピング群で82%と同等であった。
1年生存について調整した標準化死亡比は,両群とも一般人口より57%高かった。
 
Molyneux博士らは「治療に適した動脈瘤を有する患者では,コイル塞栓術はクリッピング術よりも1年後の臨床アウトカムが良好である可能性が高い。今回のデータから,コイル塞栓術に見られた初期の臨床的有益性は時間の経過に伴い低下するものの,4年後も見られることがわかった」と述べている。
 
同博士らは「ISATの平均9年間(範囲6〜14年間)にわたる追跡の結果,治療した動脈瘤からの再出血リスクは低いことが立証された。
コイル塞栓術群ではクリッピング術群より再出血が多かったが,再出血による死亡数に差はなかった」としている。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=0&order=1&page=0&id=M42240011&year=2009

出典 Medical Tribune 2009.6.11
版権 メディカル・トリビューン社


<新型インフルエンザ関連>
軽症者は自宅療養 診察、すべての医療機関で 全数把握やめ検疫縮小 厚労省、インフル新指針

新型インフルエンザの国内対応をめぐり厚生労働省は19日、すべての地域を対象に一般医療機関で感染者を診察し、軽症者を自宅療養とすることなどを柱とする「改定版運用指針」を正式決定した。
感染者を個人単位で全数把握することをやめ、集団発生の早期探知を徹底。
検疫も大幅縮小する。

今秋にも予想される流行の「第2波」に備え、患者が増えた場合でも迅速に重症者を発見、治療するとともに、十分な病床を確保するのが目的。
医療体制やサーベイランス(監視)、検疫の各項目に分けて対応を見直しており、今後、関係機関の態勢を整え、段階的に実施していく。

新たな運用指針によると、感染者の広がり度合いに応じた現行の地域分類を廃止。
軽症患者については入院措置は取らず、自宅療養とする。ぜんそくなど重症化の恐れのある疾患を持つ人に対しては早い段階で抗インフルエンザ薬を投与するほか、優先的に遺伝子を調べる詳細(PCR)検査を実施して、必要に応じて入院治療もする。

感染者の診察を専門的に受け付ける発熱外来は存続させるが、すべての一般医療機関でも診療。
その場合、ほかの患者と分け、診療時間をずらすなどして院内感染防止に取り組む。
対応する医療機関を拡大し、重症者や重症化しやすい患者への早期対処を念頭に置いた。
ただし、院内感染した際のリスクが高い透析、がん、産科の専門病院は診療を受け付けない。

サーベイランスについては感染者全数の把握をやめ、PCR検査は集団発生の恐れがある場合のみに行う。
検疫に関しては、これまで全入国者に記入させていた健康状態質問票の配布を中止し、有症者に対するPCR検査もしない。

厚労省は、世界保健機関(WHO)が11日に警戒水準(フェーズ)を「6」に引き上げたことを受け、医療や検疫など国内対応の見直し作業を進めていた。

共同通信社 2009.6.19
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/6/19/102448/?pageFrom=m3.com


<医学雑誌 斜め読み>
「エッセイ 意外に多い! 医師の認知症」
日本医事新報 No.4441 2009.6.6 P95~98
<コメント>
タイトルにビックリして思わず読みました。
しかし、エッセイということで確たるデータの提示はなくほっとしました。
文中の「現行の保険医療制度の下では朝から夕方遅くまで大勢の患者さんを捌かなくては一定の収入は見込めないだろう。必然的に趣味、スポーツ、芸術などを嗜む、あるいは楽しむ時間はない」。
確かに図星です。
ただ一つ誤解があります。
大勢の患者さんを捌きたくとも昨今そんなに患者さんは来ません。
by wellfrog3 | 2009-06-20 00:06 | 脳血管
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