#ST上昇型心筋梗塞 PCIは"90分以内"より早く
エール大学(米コネティカット州ニューヘブン)のSaif S. Rathore氏らは,ST上昇型心筋梗塞(STEMI)患者に対する一次経皮的冠動脈インターベンション(PCI)は来院後時機を逸することなく,理想的には推奨されている90分以内よりもさらに早く施行すべきだとBMJ(2009; 338: b1807)に発表した。 #30分群では院内死亡率3% STEMI患者に対しては,一次PCIがしばしば施行される。 PCIは,先端にバルーンを付けたカテーテルを主要動脈から挿入し,冠動脈の狭窄部に到達させ,バルーンを膨らませて閉塞を解消させる治療法である。 来院から初回バルーン拡張までのドア・ツー・バルーン時間の目標は現在90分とされているが,この時間をさらに短縮することの有益性はこれまで不明であった。 Rathore氏らは,PCIを受けたSTEMI患者におけるドア・ツー・バルーン時間と院内死亡率との関連を検討するため,米国心臓病学会(ACC)全米心血管登録に登録されている患者4万3,801例のデータを分析した。 全例が2005〜06年に,米国の急性期ケア病院で心筋梗塞発症後12時間以内にPCIを受けている。 分析の結果,ドア・ツー・バルーン時間は患者の過半数(58%)で90分以内,平均は83分であった。 ドア・ツー・バルーン時間が長い患者では短い患者と比べて女性および非白人,平均的に年齢が高い人の割合が多く,また糖尿病や高血圧など併存疾患を有する患者が多かった。 全体の院内死亡率は4.6%であった。 結果に影響すると考えられる因子を調整すると,ドア・ツー・バルーン時間が長いほど,院内死亡リスクが高くなった。 例えば,院内死亡率はドア・ツー・バルーン時間30分群の3%に対して,90分群では4.3%であった。 院内死亡率が最も高かったのは,240分群で10.3%に達した。 #顕著な死亡率低下の可能性 これらの結果から,PCIを受けるSTEMI患者ではドア・ツー・バルーン時間の遅延と死亡率の上昇は関連し,この時間が90分以内であっても死亡率は上昇することが示された。 Rathore氏らは「われわれのデータは,一次PCI施行患者のドア・ツー・バルーン時間の目標を90分にするという現在の基準に甘んじることなく,"一刻も早い"PCIの施行を標準とするように求める考え方を支持している。不適切な治療を防ぐために必要なセーフガードを設けるというこのようなアプローチによって死亡率の顕著な低下が期待できる」と結論している。 出典 Medical Tribune 2009.7.23,30 版権 メディカル・トリビューン社 デュフィ 『パリの風景』 1926 copyright© Kamakura Otani Memorial Art Museum www.komam.co.jp/ 2003/2003march.html 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21? http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科関係の専門的な内容)
by wellfrog3
| 2009-08-06 00:28
| 循環器科
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