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耐性を生じない抗菌薬

耐性を生じない抗菌薬を開発
アルバートアインシュタイン医科大学(AECOM,ニューヨーク州ブロンクス)生化学部長のVera L. Schramm教授らは,耐性菌株を生じさせない新世代の化合物を開発したとNature Chemical Biology(2009; 5: 251-257)に発表した。


細菌間の情報伝達を阻止
近年,特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)やClostridium difficile などに関する苦い経験から,研究者らは研究室で薬剤耐性を克服する努力を重ねてきた。
 
今回,Schramm教授らが報告した化合物は,少なくとも大腸菌O157とコレラ菌に対しては耐性株を発生させないことが確認されたという。
O157は米国で年間およそ11万人の患者と50人以上の死者を出している。
これらの新しい化合物は,どのような機序で抗菌薬耐性を避けることができるのであろうか。
 
同教授は「われわれは,大腸菌やコレラ菌を直ちに殺すのではなく,quorum sensing(定足数感知)という経路を介した細菌間の情報伝達能力を破壊することにより,細菌の感染力を弱め耐性の発生を回避できるのではないかとする仮説を立てた」と述べている。
 
同教授らは,quorum sensing経路を妨害するために,5' -Methylthioadenosine/S-adenosylhomocysteine nucleosidase(MTAN)という細菌酵素を標的にした。MTANとはquorum sensingに関係する自己誘導物質(autoinducer)を合成する酵素であるが,細菌酵素であることからヒトの代謝にはなんら影響を及ぼさないと考えられている。
 
同教授らは,MTANに対する遷移状態アナログ(MT-DADMe-Immucillin-A,EtT-DADMe-Immucillin-A,BuT-DADMe-Immucillin-A)により,O157とコレラ菌に対する耐性が阻止されることを確認した。
 
同教授は,肺炎球菌,髄膜炎菌,肺炎桿菌,黄色ブドウ球菌といった病原性の強い他の多くの細菌でもMTANを発現することから,「これらの細菌に対しても今回のアプローチが有効だと考えられる」としている。

出典 Medical Tribune 2009.7.23,30
版権 メディカル・トリビューン社



<関連サイト>
感染症について 耐性菌とは
http://www.jscpt.jp/byouki/q03_01.html
■「耐性菌」あるいは「薬剤耐性菌」とは、抗菌薬(抗生物質)に対して抵抗力を持ってしまい、薬が効きにくくなった菌のことです。
耐性菌にかかると、薬を使っても病気が治らなくなってしまいます。
■細菌が耐性を獲得するメカニズムとしては、
1)薬剤不活性化酵素の誘導産生、 
2)細胞膜透過性の変化、
3)薬剤作用点の変化
などがありますが、その遺伝情報は、細菌が染色体とは別に持っている小さな遺伝体「プラスミド」上に存在している場合が多くあります。
細菌が他の細菌と接合することにより、このプラスミドが接合した細菌に乗り移っていくことにより、耐性菌が増殖します。
さらに、プラスミドの上には一つではなくて複数の耐性遺伝子が乗っていることがあり、「多剤耐性菌」が生まれることになります。
 
近年問題になっている耐性菌としては、「MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)」や「多剤耐性緑膿菌」があります。
耐性菌を減らすためには、一つは医療現場で抗菌剤の使い方に注意することが必要です。
また、家畜の飼料に加えられている抗菌剤についても、世界的に論議が行われています。


CDCガイドラインに学ぶ隔離予防と多剤耐性菌対策のポイント
多剤耐性菌対策-施設内の「保菌圧」と抗菌薬の「選択圧」管理が重要
■多剤耐性菌対策のガイドラインは,大きく分けて,多剤耐性菌に対し第1段階「一般的対策」を行い,減少しないときは第2段階「強化策」を取る2段階構造になっている。
■多剤耐性菌対策では,保菌または感染の患者数が増えることによる伝播の可能性の増大を抑制するため,保菌患者の占める割合である「保菌圧」管理が必要である。
■また,抗菌薬の過剰な使用によってつくり出される多剤耐性菌の薬剤「選択圧」の上昇にも注意が必要だ。
第1段階の「一般的対策」によっても,耐性菌が減少しない,または新規の耐性菌が出現したときは,耐性菌に関連した抗菌薬の使用をコントロールし,「選択圧」上昇の対策を講ずることが必要である。
■これからの隔離予防策では「院内感染から医療関連感染へ」と対象施設が拡大されること,耐性菌対策では「保菌圧・選択圧」が重要となること,の2つが大きなポイントとなる。
http://hica.jp/cdcguideline/kankyoukansen2008/MTpro-news.htm
出典 MT pro 2008.3.11
版権 メディカル・トリビューン社


薬剤耐性菌感染症
http://idsc.nih.go.jp/disease/resist.ht




<自遊時間>
賞与100万ドル超が4800人=公的資金注入の米大手金融9社
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090731-00000160-jij-biz
7月31日20時1分配信 時事通信
■昨秋の金融危機で最初に公的資金を注入された米大手金融機関9社が、2008年分の賞与として従業員1人当たり2万5496ドル(約242万円)を支払ったことが30日、分かった。
100万ドル(約9500万円)超を受け取った人は4793人に上った。 
<コメント>
医師がいかに割の合わない職業かが分かり愕然とします。
彼ら金融関係者にはモラルというものがはたしてあるのでしょうか。
JPモルガン・チェースとゴールドマン・サックスの両社は今年6月にすでに公的資金を完済しているとのことで文句はいえません。
しかし、それにしても・・・。

新聞記事(日経新聞・夕刊 2009.7.31)には「一般に金融機関では金融商品を売買するトレーダーと間接部門の社員の給与体系は全く異なる。トレーダーの給与が優に100万ドルを超えることは珍しくなく、事務部門の給与体系は一般の事業会社とほぼ同じ。金融機関の給与体系は極端な二分化が進んでおり、一部の社員だけが高給を得る仕組みになっている」とあります。

トレーダーが、どれだけ大変でどれだけ責任を伴うものなのか、要するにはたしてこれだけの高給に値するジョブなのかを知らないと診療もおちおち手につきません。

トレーダーとは
http://www.job-getter.com/occupation/o-money-025.htm
本物のプロトレーダーとは「難しい相場でも勝つ人」ではなく「簡単な 相場にしか参加しない人」のこと。
http://fxday.livedoor.biz/archives/51644449.html

<コメント>
やっぱりよくわからない。



他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21? http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科関係の専門的な内容)

by wellfrog3 | 2009-08-01 00:31 | 感染症
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