高齢者は新型インフルに感染しにくい?

新型に感染したか感染の疑いのある人の死亡は2009.9.22現在で18人となりました。
そこで気になるのは年齢と感染、重症化との関係です。

##高齢者は新型インフルに感染しにくい」を支持するエビデンス
#新型ウイルスに対する交差反応は1920年代生まれがピーク
米国立予防接種・呼吸器疾患センター(NCIRD)のKathy Hancock氏らは,新型インフルエンザ(A/H1N1pdm)ウイルスに対して既にヒトが有している免疫性を評価した結果をN Engl J Med 9月10日オンライン版に発表した。

Cross-Reactive Antibody Responses to the 2009 Pandemic H1N1 Influenza Virus.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/19745214

1880~2004年に生まれたドナーから得られた血液サンプルを対象に,新型インフルエンザウイルスに対する交差反応性を検討したところ, 1920年代生まれを中心に一部の高齢者では高レベルで認められたという。
これまで憶測交じりに語られてきた「高齢者は新型インフルエンザに感染しにくい」を支持するエビデンスと言えそうだ。

#近年流行した季節性インフルエンザとの交差反応性は低い
Hancock氏らはまず,2005~09年に季節性3価不活化インフルエンザワクチン接種を受けたヒトから採取した血清サンプルを対象に,マイクロ中和試験を用いて,新型インフルエンザウイルスに対する交差反応性抗体を測定し,ワクチン接種前後で比較した。

その結果,アジュバントが含まれない季節性インフルエンザワクチン接種を受けたサンプルにおいて,抗体力価が4倍以上に増加したのは,生後6か月から9歳の小児55例では皆無,18~64歳の成人231例では12~22%,60歳以上の成人113例では5%以下であった。
また,アジュバントが含まれる季節性ワクチン接種を受けた生後6~59か月の幼児45例においても,抗体力価が4倍以上に増加したのは2%にとどまった。
このことは,近年流行した季節性インフルエンザウイルスと新型インフルエンザウイルスとの交差反応性は,いずれの年齢においても低いことを示している。

一方,次の結果は,より古い時代に流行したウイルスとの間には強い交差反応性が存在することを示唆している。
具体的には,1880~2004年に生まれた匿名のドナーから得られた417例の血液サンプルを検査し,新型インフルエンザウイルスに対する交差反応性抗体の年齢分布を検討した。
その結果,1980年以降に生まれた107例では,40以上の力価のある交差反応性抗体が既に存在していたのは4例(4%)にすぎなかったのに対し,1950年以前に生まれた115例のうち39例(34%)では80以上の力価が認められた。

また,力価の度数として表される抗体反応のピークは,1910~29年に生まれた11例のドナーで認められ,全ての力価が80以上であった。
10年ごとに区切った各年代の幾何平均抗体価(GMT)を直前の年代のGMTと合わせた累積GMTのピークは,1920年代生まれの被験者で認められ,以降は徐々に低下した。

#1976年の豚インフルエンザワクチン接種者で特に強い交差反応
また,1976年に米国人の約20%がA/New Jersey/1976(H1N1)豚インフルエンザワクチンの接種を受けたが,当時25歳以上で接種を受けた成人83例から採取した血清サンプルを対象に,今回の新型インフルエンザウイルスに対する交差反応性抗体を調べたところ,45例(54%)ではセロコンバージョン(抗体陽性化)が認められ,52例(63%)では接種後の抗体力価が160以上にものぼった。

Hancock氏らは「近年の季節性インフルエンザワクチンは,アジュバントの有無とかかわりなく,すべての年齢群において新型インフルエンザウイルスに対する交差反応性抗体反応をほとんど増加させなかった。
また,現在30歳未満の米国人は交差反応性抗体のエビデンスがほとんど認められなかったが,一部の高齢者には交差反応性抗体が既に存在していることが明らかになった」と結論付けた。

出典 MT pro 2009.9.17
版権 メディカル・トリビューン社


<新型インフルエンザ 関連サイト>
#日本におけるインフルエンザ A (H1N1) の新型インフルエンザによる入院患者数の概況
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou04/rireki/090917-02.html
(1週間毎の入院患者の集計が厚労省より発表されています)
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by wellfrog3 | 2009-09-22 00:30 | 感染症
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