2009年 03月 03日 ( 1 )

マクロライド系抗菌薬とCOPD

マクロライド系抗菌薬でCOPDの症状悪化を抑制

ロンドン大学(ロンドン)のJadwiga A. Wedzicha博士と西インド諸島大学(トリニダードトバコ・オーガスティン)臨床医科学のTerence Seemungai博士は,中等度以上の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者に対する1年間の研究を行い,症状の悪化はマクロライド系抗菌薬の長期使用によって最大35%まで低減できるとの結果を,American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine(2008; 178: 1139-1147)に報告した。

#頻度,期間のいずれも抑制
■この研究は,COPDに対するエリスロマイシンの効果を検討した1年間のランダム化プラセボ対照試験としては初めてのものである。
この試験では中等度以上のCOPD患者109例を,エリスロマイシン250mg(53例)またはプラセボ(56例)のいずれかを1日2回投与する群にランダムに割り付け,症状悪化の頻度を比較した。
症状悪化に関しては,中等度の症状悪化を「ベースライン時と比べた呼吸器症状の悪化が2日以上見られ,プレドニゾンまたは抗生物質の投与を要する」,重度の悪化を「入院を要するほどの症状悪化」と定義した。
 
■その結果,中等度〜重度の症状悪化はエリスロマイシン群81回,プラセボ群125回の計206回生じた。
また,そのうち重度の症状悪化はエリスロマイシン群で6回(7.4%),プラセボ群で14回(11.2%)生じ,症状悪化の頻度はエリスロマイシン群で低かった。
症状悪化の期間(中央値)は,エリスロマイシン群の9日間に対し,プラセボ群で13日間であった。

#長期使用の有効性解明にはさらに研究が必要
■Seemungai博士は「こうした差異を説明する機序は解明されていないが,in vitroの結果から,エリスロマイシンの持つ抗炎症の特性が関与していると考えられる」と説明。
ただし,「こうした抗菌薬の長期使用によって長期耐性が促進されることが懸念されるため,今回の結果は慎重に受け止めるべきだ」と述べている。
 
■また,今回の対象患者が受けていた治療が,エリスロマイシン療法に加えて,症状悪化頻度を低減するステロイド吸入薬や長時間作用型気管支拡張薬といったガイドライン推奨療法を用いていたか否かも問題となってくる。
 
■さらに,米国胸部学会前会長のJohn Heffner氏は「進行COPD患者に対し症状悪化時に強力な広域抗菌スペクトル薬を使用するよりも,エリスロマイシンを長期使用するほうがよいか否かについても検討すべき」と指摘。

■「中等度〜重度のCOPD患者の場合,症状悪化はおよそ1年に1回起こり,直接・間接コストは米国だけで年間300億ドル以上に及んでいる。急性悪化時におけるきわめて強力な抗菌薬の高頻度投与と,エリスロマイシンの長期使用による耐性発現における相対的なリスクについてさらなる分析が必要だ。ステロイド吸入薬や持続性気管支拡張薬による治療を既に受けている患者に対する長期的な研究で今回と同等の効果が認められれば,エリスロマイシン療法による便益はリスクを上回るだろう」と述べている。

出典 Medical Tribune 2009.2.12(一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社

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by wellfrog3 | 2009-03-03 00:30 | 呼吸器科