2009年 03月 07日 ( 1 )

FRAX®による骨粗鬆症スクリーニング

FRAX®による骨粗鬆症スクリーニング 50歳以上で費用効果に優れる
シェフィールド大学(英シェフィールド)にある世界保健機関(WHO)骨疾患共同センターのJohn A. Kanis教授らは,骨粗鬆症管理のためのWHO骨折リスク評価ツールFRAX®を用いたスクリーニングを検討し,その結果をOsteoporosis International(2008; 19: 1395-1408)に発表した。

10年間の骨折リスクを予測
■これまで,米国などでの骨粗鬆症患者の進行程度を観察する伝統的な方法は,毎年骨密度(BMD)を測定することだけであった。
しかし,WHOはこのような患者の現状を判断し,今後のフォローアップを決定するためのより優れた方法として,BMD値と臨床的危険因子を組み合わせた評価ツールとしてFRAX®を作成した。
FRAX®を用いると,その後10年間の骨折リスクが予測できるとしている。
 
■今回の研究は,この評価ツールを疾病発見戦略として発展させることを目的に行われ,同ツールの費用効果や,BMD値の測定または治療を要する患者の的中率を検討した。
 
■Kanis教授らは,新しいスクリーニングの判定基準値の設定を試みるために,英国の疫学データと既存の試験データを用いてFRAX®による10年以内の骨折リスクと費用効果を検討した。
その結果,骨折リスクが7%を上回れば,良好な費用効果が得られることがわかった。
 
■FRAX®値は50歳で7.5%を示し,年齢とともに上昇したため,このスクリーニングは50歳以上のすべての者で費用効果に優れることが明らかとなった。
また,このツールを用いたスクリーニングにより,女性では6〜20%のBMD検査適格者を,また23〜46%の治療適格者を同定できると考えられた。
 
■BMDおよび骨折リスクを考慮して骨粗鬆症を検査するこの新しい方法は,受け入れやすく費用効果に優れており,今後,骨粗鬆症リスクのある患者の治療にも役立つだろう(Kanis教授)。

出典 MTpro 2009.2.19
版権 メディカル・トリビューン社


<FRAX 関連サイト>
FRAX - WHO骨折リスク評価ツール
http://www.shef.ac.uk/FRAX/index_JP.htm


<追加>
骨折リスク評価ツールFRAXが一般臨床でも活用可能
高齢者に多い脊椎骨折

■平成16年国民生活基礎調査によると,高齢者における要介護または要支援となった原因の第4位が骨折・転倒である。

■骨粗鬆症による骨折部位は脊椎,大腿骨頸部,手首が多く,アジアでは大腿骨頸部骨折が増加傾向にある。

■手首骨折は,50歳代後半から,脊椎骨折は70歳代から増加している。

■骨折後に臥床を必要とした者や活動制限を余儀なくされた者は大腿骨頸部骨折例や腰椎骨折例で高く,骨折後5年以内の死亡率は大腿骨頸部骨折では高いという報告もある。
 
■骨折発生リスクは,骨強度として骨密度(BMD)と骨質(骨構造,代謝,石灰化,微細骨折,骨基質など)の影響を受ける。

■骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2006年版では,原発性骨粗鬆症の診断基準は脆弱性骨折なしでBMDが若年成人(20~44歳)平均(YAM)値の70%未満,または脆弱性骨折がある場合は低骨量の原因がYAM値80%未満あるいは脊椎X線像で骨粗鬆症化がある場合としている。

■薬物療法開始基準は,閉経後女性または50歳以上の男性では,脆弱性骨折あり,YAM値70%未満,同値80%未満で過度のアルコール摂取,喫煙,大腿骨頸部骨折の家族歴のいずれかを有することとしている。
 
■骨粗鬆症は,わが国では1,000万人以上と試算され,女性が男性の4倍以上を占めるが,治療を受けている者は2割程度と少なく,BMD測定機器に関しては二重エネルギーX線吸収法(DXA)によるBMD検査を受けない者が多いこと,BMDだけでは骨折リスクが高い者を効率的に判別できないことなどが問題である。
 
薬物療法を開始する際に,BMD以外に骨折リスクを高めるものを考慮すべき
10年後の骨折確率を危険因子で算出
■BMDだけに依存しない骨折リスク評価ツールとして,現在から10年間の骨折確率(骨折絶対リスク)を,治療開始の指標とするFRAXがWHOから提案された。

■年間の骨折確率を指標とした理由は,
(1)死亡率の変化により推計値の信頼性は低下する
(2)副作用や中断により治療が生涯続くものではない
(3)危険因子の骨折予測力は長期になると低下する
(4)10年間が治療期間(通常3?5年)と治療中止期間に相当する―としている。
 
■危険因子については,世界10か国における住民対象の疫学調査についてメタアナリシスを行い,
(1)年齢
(2)性
(3)大腿骨頸部BMD
(4)成人後の脆弱性骨折
(5)ステロイド薬使用(現在あるいは3か月以上で経口投与を受けた場合)
(6)二次性骨粗鬆症や関節リウマチ
(7)大腿骨頸部骨折の家族歴
(8)喫煙
(9)アルコール1日3単位以上(1単位はアルコール8~10gとし,ビール換算で285mL)
―とした。

■FRAXを用いて65歳女性の骨粗鬆症性骨折および大腿骨頸部骨折の骨折危険率を算出したところ,骨粗鬆症性骨折では,臨床的危険因子なしの場合は7.5%,喫煙あり8.1%,骨折家族歴あり14.5%などで,大腿骨頸部骨折では危険因子なしでは1.1%,喫煙あり2.7%,既存骨折あり2.7%であった(Fujiwara S, et al. Osteoporos Int 2008; 19: 429-435)。
 
■FRAXを用いてわが国の骨粗鬆症診断基準における10年間の骨折確率を検討した結果,骨粗鬆症性骨折ではBMDがYAM値70%では,50歳代では5.4%,60歳代では8.7%,70歳代では13.8%,80歳代では23.0%,同値80%で既存骨折がある場合は,50歳代から順に7.1%,10.5%,14.7%,23.4%で,80歳代では50歳代に比べて骨折確率が約4~6倍高かった。
 
■大腿骨頸部骨折では,YAM値70%のほうが骨折確率が高く,年齢とともに骨折確率が高かったが,80歳代では50歳代に比べて骨折確率が約6~40倍に上昇した。
 
出典 MTpro 2008.6.26
版権 メディカル・トリビューン社


c0183739_16302635.jpg

小絲 源太郎  とのぐもり(梨の花)
http://www.kure-bi.jp/syozow/collection/oil/3_5.htm


他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~ http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科関係の専門的な内容)
[PR]
by wellfrog3 | 2009-03-07 00:16 | 骨粗鬆症