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by wellfrog3 | 2009-09-30 12:40

ACE阻害薬と認知症

ACE阻害薬に認知症リスクを下げるタイプ,上げるタイプ
他の降圧薬との比較,中枢神経作用型と非作用型で逆の結果
米ウェイクフォレスト大学のKaycee M. Sink氏らのグループは,ACE阻害薬のうち,血液脳関門を通過して中枢神経に作用するタイプが,他の降圧薬と比べて,認知症のリスクを下げるという研究結果を発表した(Arch Intern Med. 2009; 169: 1195-1202)。
アルツハイマー型認知症に関係する脳の炎症を抑える作用によると見られ,中枢神経に作用しないタイプのACE阻害薬では,逆にリスクを高める結果となっている。

中枢神経作用型のACE阻害薬でMMSEスコアの年あたりの低下が65%少ない
Sink氏らは,Cardiovascular Health StudyのCognition Substudyの参加者のなかから,高血圧治療中でうっ血性の心不全がない1,054人(平均年齢75歳)を追跡し(中央値6年間),認知症の発症,認知機能の低下,手段的日常生活動作(IADLs)障害について調べた。
認知機能の評価には,改変Mini-Mental State Examination(MMSE)を用いた。

追跡期間中,414人がACE阻害薬を服用しており(平均服用期間3.24年),640人は服用しておらず,認知症を発症したのは158人だった。
ACE阻害薬服用者をほかの降圧薬服用者と比較すると,ハザード比は1.01(95%CI 0.88~1.15),MMSEスコア差は-0.32ポイント/年(P=0.15),IADLs障害のオッズ比は1.06(95%CI 0.99~1.14)となり,差はなかった。補正後の結果もほぼ同様だった(以下は補正後の結果)。

ところが,中枢神経に作用するタイプのACE阻害薬のみ服用していた224人では,ほかの降圧薬を服用した場合(-0.45/年)と比べて,MMSEスコアの年あたりの低下が65%有意に減少していた(-0.16/年, P=0.01)。
認知症を発症するリスクは補正オッズ比0.88(95%CI 0.70~1.09/年,P=0.24),IADLs障害は補正オッズ比1.07(95%CI 0.97~1.18/年,P=0.16)だった。

逆に中枢神経に作用しないACE阻害薬のみ服用していた138人では,ほかの降圧薬を服用した場合と比べて,認知症を発症するリスクが高くなり(補正オッズ比1.20,95%CI 1.00~1.43/年,P=0.05),IADLs障害も補正オッズ比1.16(95%CI 1.03~1.30/年,P=0.01)と有意に増加した。MMSEスコアは,年あたり-0.53と減少したが,ほかの降圧薬を服用した場合との比較では P値は0.60で有意ではなかった。

同氏らは,中枢神経に作用するACE阻害薬に認知症を予防する効果があると見て,ランダム化臨床試験によって確認すべきと提案している。

なお,同氏らによると中枢神経作用型に分類されるACE阻害薬は,カプトプリル, fosinopril,リシノプリル,ペリンドプリル, ramipril,トランドプリルである。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0907/090756.html?ap

出典 MT pro  2009.7.24
版権 メディカル・トリビューン社

<追加番>
中枢活性型ACE阻害薬が認知症予防の助けになる可能性がある
http://www.m3.com/news/SPECIALTY/2009/7/29/105090/?Mg=045f49ab8830a2bda50df333cded7b94&Eml=31ef79e7aaf65fca34f0f116a57fd65d&F=h&portalId=mailmag
■非中枢活性型のACE阻害薬としては、ベナゼプリル、エナラプリル、モエキシプリル、キナプリルなどがある。
■この試験はアンギオテンシン受容体遮断薬(ARB)を使用している患者数が十分ではないので、分析結果をARBにまで適用することはできない。
■こうした違いが出るのは、中枢活性型ACE阻害薬の降圧作用ではなく、脳にもともとあって記憶と認知に関与するレニン-アンギオテンシン系(RAS)に対する作用によるものと考えている。
レニン-アンギオテンシン系への刺激によって、神経変性の認知症との関与が言われている炎症性サイトカイン類の活性化も誘発される。
■今回の比較で見られた非中枢活性型のACE阻害薬に伴う認知症リスクの若干の亢進は、認知症とIADL機能障害の防御効果の面でその他の種類の降圧薬全体よりも単に劣っていることを示していると研究グループは考えている。
■介入によって高齢者の認知症リスクが半分以上も小さくなるという知見が公衆衛生で持つ意味はとても大きいので、今回の観察結果をランダム化臨床試験で確認する必要がある。
■患者は薬剤を切り替えるべきか?・・・
ある患者にある降圧薬が選択される際には理由が複数あることが少なくないので、血圧降下薬の切り換えの決定については患者と医療提供者との間で話しあう必要がある。
■患者がACE阻害薬に禁忌でないならば、中枢活性型ACE阻害薬に切り替えるのは合理的な選択の一つだ。
また今回の結果に基づけば、すでにACE阻害薬を使用している患者では、非中枢活性型よりも中枢活性型ACE阻害薬を用いることが支持される


<番外編 その1>
規則第3条の改正に伴う医師の届出対象の変更について
今後のクラスターサーベイランスについて
http://www.pref.aichi.jp/eiseiken/2f/090724taisyou.pdf


<番外編 その2>
医療関係団体
「財源が不明確で不安が大」、日医が民主党マニフェストへ見解
2200億円削減撤回、医療費引き上げ方針については評価
http://www.m3.com/iryoIshin/article/105104/index.html?Mg=f48b77c6f9d56147e4d78668b65e73b3&Eml=31ef79e7aaf65fca34f0f116a57fd65d&F=h&portalId=mailmag
■日本医師会は、7月29日の定例記者会見で、民主党から27日に発表された「民主党の政権政策マニフェスト2009」について見解を発表した。
■診療報酬については「診療報酬(入院)を増額する」との記載のみであることに対し、病院の入院だけでなく、地域医療全体を再生させるための全体的な底上げが必要だと指摘した。
■消費税税収相当分を全額年金の財源とするとある一方で、医療・介護への財源が明確でないことに対し「不安が大きい」とし、年金・医療・介護を公平に検討し、財源を具体化するよう求めた。
■民主党・岡田克也幹事長が、診療報酬の決定に国会が関与する考えを示したこと(編集部注:マニフェストには盛り込まれず)については、「現場の実情を理解している委員だからこそ核心をついた議論ができる。医療現場の実情をつぶさに把握せずに、国会で診療報酬を決定することは現実的ではない」と批判した。
■常任理事・中川俊男氏は、定例記者会見の初めに「日本医師会が今日見解として話すのは、日医の考えと各政党のマニフェストがどのように異なるのかを明らかにするため」と前置きし、民主党・自民党への支持・不支持や選挙活動とは無縁であると説明した。なお、今後、自民党マニフェストについても見解を発表する予定。
<コメント>
民主党のマニフェストに対する医師会の最初のコメントとして興味深く読みました。
財源の具体化を繰り返し求めている点は自民党の論調と同じです。
行間からは、軸足を自民党に置いているように読めました。


<きょうの一曲>
妹尾 美里

http://www.misatosenoo.com/


他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21? http://wellfrog2.exblog.jp/
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by wellfrog3 | 2009-07-31 00:24

ACCORD試験と死亡率増加

第69回米国糖尿病学会(2009.6.5〜9 New Orleans U.S.A.)の記事で勉強しました。
一大センセーションを巻き起こしたACCORD試験の追加解析結果です。

HbA1c値の急激な低下よりも重篤な低血糖が死亡率増加と関連している——ACCORD試験より
HbA1c目標値を6.0%未満と低く設定することよりも、重篤な低血糖の方が死亡率の増加と関連している可能性が高いことが分かった。
心血管系イベントのリスクが高い2型糖尿病患者1万人以上が参加したACCORD試験の追加解析結果で明らかになった。
ニューオーリンズで開催されている第69回米国糖尿病学会(ADA2009)最終日の6月9日、ACCORD試験の血糖管理グループのメンバーである米Oregon大学のMatthew C.Riddle氏らが発表した。

昨年の同学会で「心血管疾患の既往があるまたはそのリスクが高い2型糖尿病患者に強化療法を行っても、大血管系イベントリスクは減少しない。かえって死亡率が有意に増加する」と結論づけたACCORD(Action to Control Cardiovascular Risk in Diabetes)試験結果は、大きな注目を集めた。

ACCORD試験は、心血管系イベントリスクが高い2型糖尿病患者において、現在の推奨レベルよりも低い血糖値を目指すことで、心血管系イベントリスクのさらなる減少が得られるかどうかを検証することが目的だった。
米国およびカナダの試験参加者を、HbA1c値6.0%未満を目標とした強化療法群(5128人)、7.0〜7.9%を目標とした標準療法群(5123人)に無作為割付し、それぞれの治療法を比較検討した。

結果は、全死亡率が、強化療法群1.41%に対し標準療法群1.14%となり、ハザード比1.22(95%信頼区間1.01-1.46、p=0.04)と、強化療法群で有意な増加がみられた。
その際、急激なHbA1c値の低下が死亡率の増加に影響しているのではないかと推察されていた。

だが、患者の平均HbA1c値と死亡との関連を解析したところ、強化療法群ではHbA1c値が6%から1%上昇すると、死亡の相対リスクが有意に上昇した(RR=1.66、95%信頼区間1.46-1.89、p=0.0001)。
Riddle氏は「強化療法群では、平均HbA1c値が7%以上および試験開始から1年間でHbA1c値の低下が得られなかった患者で、高い死亡率を示した。HbA1c高値と死亡率には関連があり、やはりHbA1c値は低下させるべきだという結論が得られた」と述べた。

出典 NM online 2009. 6. 11
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/ada2009/200906/511132.html
版権 日経BP社


その後、米国立心肺血液研究所(NHLBI)のACCORD試験担当であるDenise Bonds氏が低血糖と死亡率との関連について紹介した。

強化療法群では、重篤な低血糖を経験していない患者の死亡率が年間1.3%に対し、少なくとも1回重篤な低血糖を来した患者の死亡率は年間2.8%と、有意差は得られなかったものの重篤な低血糖を経験した患者で死亡率が高い傾向がみられた(HR=1.28、95%信頼区間0.88-1.85)。
一方、標準療法群では、重篤な低血糖を経験していない患者の死亡率が年間1.0%に対し、少なくとも1回重篤な低血糖を来した患者の死亡率は年間4.9%と、有意に死亡率が増加していた(HR=2.87、95%信頼区間1.73-4.76)。

Bonds氏は「強化療法群、標準療法群ともに、重篤な低血糖が死亡率増加と関係していると思われた。ただし、重篤な低血糖が死をもたらしたと確認できたケースはまだ1人のみで、報告された重篤な低血糖はすべて避けることができなかったものなのか、という点についても不明な点が残る」とし、まだ詳細を解析途中であるとして明言を避けた。

出典 NM online 2009. 6. 11  日経メディカル別冊
http://medical.nikkeibp.co.jp/inc/mem/doctors/blog/editors/200906/511167.html
版権 日経BP社  


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Andre Ingres 「5月のブーケ」 パステル F6
http://www.eonet.ne.jp/~mks/minigallery/0201/minigallery_0201.htm
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by wellfrog3 | 2009-06-28 00:47

腰痛と画像検査

##重度の基礎疾患がない腰痛には画像検査は不要

#臨床アウトカムは改善せず
オレゴン保健科学大学(米オレゴン州ポートランド)のRoger Chou博士らが「重度の基礎疾患がない腰痛の患者にX線撮影,MRI,またはCT検査をルーチンで実施しても臨床アウトカムは改善しない。
したがって,重度の基礎疾患の特徴が認められない限り,ルーチンでこれらの検査を即座に実施するのはやめるべき」との研究結果をLancet(2009; 373: 463-472)に報告した。

#プライマリケアに当てはまる
Chou博士らは,上記3種類の画像検査のうち1種類を用いて腰椎撮影を即座に実施した場合と,撮影を実施しない通常の臨床管理とを比較したランダム化比較試験(R CT)のメタアナリシスを実施した。
対象は総患者数が1,800例を超える6件の試験で,疼痛と機能,QOL,精神的健康,患者の自己申告による全体的な改善度,患者満足度などのさまざまなアウトカムについて報告している。分析の結果,即時撮影と通常の臨床管理との間に有意差は認められなかった。
 
同博士らは「この結果はプライマリケア医によって評価される急性または亜急性の腰痛に最もよく当てはまる」とし,「重度の基礎疾患がない腰痛に対して腰椎撮影を実施しても臨床アウトカムは改善しない。
したがって,重度の基礎疾患の存在を示す特徴がない急性または亜急性の腰痛患者には,ルーチンの腰椎撮影を即座に実施すべきではない」と述べている。

#撮影が必須と信じる患者も多い
さらに,Chou博士らは「腰椎MRIの施行率は上昇しているが,腰痛に関する画像診断ガイドラインの実践には問題が残されている。
しかし,腰椎撮影に関するガイドラインの推奨内容は質の高い複数のRCTから得られたエビデンスで支持されており,臨床医が遵守する可能性は高くなると思われる。
また,撮影に対する患者の要望にも対処すべきだ。
ある試験では腰痛患者の80%が,ルーチン撮影には利点がないにもかかわらず,選択肢があればX線撮影を受けるとしている。
ルーチン撮影を受けるべきだと信じる腰痛患者の割合を減らすには,教育が有効かもしれない。
不要な撮影を避けながら,患者の期待に応えて満足度を向上させる腰痛の評価と教育方針を決定する必要がある」と結論している。

出典 Medical Tribune 2009.5.14(一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社
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by wellfrog3 | 2009-05-16 19:09

糖尿病の死亡予測とhCRP

糖尿病の死亡予測を改善しないC反応性蛋白測定
血漿C反応性蛋白(CRP)の値は2型糖尿病患者では死亡リスクに関連があるが、この集団では5年間死亡の予測に関して、従来のリスク因子よりも有益ではなかった。

この結論は、イタリアで実施された現在進行中のプロスペクティブで、集団ベースのCasale Monferrato Studyから得られたものであり、Diabetes誌の4月号で報告されている。

「非糖尿病の被験者では、心血管予測に対するCRP測定の有益性増大に関する結果には矛盾がみられるのに対して、2型糖尿病の被験者で利用できるデータは存在しない」とUniversity of TorinoのDr. Graziella Brunoが率いるイタリアの研究チームは述べている。

糖尿病患者2,381名のCRP測定が利用された。追跡期間の5.4年間(中央値)を通して、496名が死亡した。総死亡率は1000名・年あたり42.3であった。

総死亡および心血管死亡率は、従来のリスク因子とは独立して、CRPが3 mg/mLを超えると有意に上昇していた(ハザード比はそれぞれ1.51、1.44)。正常タンパク尿である糖尿病患者およびベースライン時に心血管疾患(CVD)のエビデンスがない患者でもこの関連性はみられた。

CRPの値はBMI、胴囲、血圧、血漿グルコース、ヘモグロビンA1c、総コレステロール、LDLコレステロール、アポリポ蛋白B、尿酸、およびアルブミン排泄率と正の相関があった。CRPとHDLコレステロール、アポリポ蛋白A1の間には負の相関があった(全てp<0.0001)。

しかし、「臨床的観点からは、CRP測定によって、5年間の生存見込みを基準として、非常に限られた数の患者を再分類できるようになる」と研究チームは主張している。

「したがって、糖尿病専門医が臨床現場で広く利用する他のリスク因子に加え、この測定の有用性は、現時点では正当化されていないようである」と補足している。
Diabetes 2009;58:926-933.

http://www.kanematsu-rmn.jp/news/daiichisankyo/news2.php?mode=jpview&num=200904250032252
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by wellfrog3 | 2009-05-06 00:05

食事療法で乳がん再発予防

食事療法で乳がん再発予防の可能性
カリフォルニア大学デービス校(カリフォルニア州デービス)のEllen B. Gold教授らは,閉経後に顔面紅潮(ほてり)のない女性では乳がん再発予防に食事療法が有効である可能性があるとJournal of Clinical Oncology(2008; 3: 352-359)に発表した。

食事でエストロゲン上昇を抑制
ほてりは閉経後の女性で特有に認められるが,顔面紅潮の症状が出ない女性ではエストロゲン値が高いことは既に知られている。
また,ほてりのない早期乳がん歴のある患者では,ほてりのある患者と比べ再発率が高く,生存率が低いとの報告もある。
 
Gold教授らは,今回の「女性の健康的な生活と食事に関する研究(Women's Healthy Living and Eating study)」で,乳がん歴のある2,967例を対象に,食事療法群と,より管理の緩やかな食事摂取群(対照群)にランダム化割り付けした。
食事療法群では,果物,野菜,食物繊維を豊富に含み,低脂肪の食事を摂取させた。
 
その結果,ほてりのない女性での比較では,がんの種類および抗エストロゲン療法で調整後も,食事療法群における乳がんの再発率は対照群に比べて31%低かった。
また,ほてりのない女性に比べてほてりのある女性では有意に再発率が低かった。
 
この結果を踏まえ,同教授は「ほてりのない乳がん歴のある女性には,今回の研究で実施された食事療法が有用である可能性がある。
今回の結果を追認するため,さらに試験を行う必要がある」と結論付けている。

出典 Medical Tribune 2009.2.12
版権 メディカル・トリビューン社


<自遊時間 その1>
諸外国の研究では、こういったきわめて臨床的、すなわち日常臨床に役立つ内容のわかりやすい報告が散見されます。
衒学的な研究よりはるかに好感が持てます。

先生方のお手元にはすでにJSH2009が届いていると思いますが、内容が冗長でよく理解できません。
要するにどうなんだと言いたくなります。
「まとめ」的なものを是非つけて欲しいものです。

私の学生時代を振り返ってみると、日本語の医学書は今ほどには充実していませんでした。
日本語の内科学書もあったのですが、文献の引用が多く、ああでもないこうでもないといった内容でした。

安直本主体で勉強し、内容が明瞭な「ハリソン」や「セシル」の教科書(当時は訳本なし)で肉付けしました。
かえって効率的に内科の勉強が出来たのを覚えています。


<自遊時間 その2>
週間朝日2009.3.6に、短期集中連載「白州次郎」と免疫学者・多田富雄「昭和からの遺言」が掲載されています。
たまたま両方の記事に「プリンシプル」という言葉が出ていました。

前者では「自分の確固たる生き方の美学(プリンシプル)があるからこそ周囲の事情で考えがブレない」、後者では「石坂公成先生は、・・・リベラルアーツの理解があり、無欲恬淡で・・・常にプリンシプルに忠実で、しっかりした人間の形を持ち続ける、昭和の知識人の典型」といった使い回しがされています。

さて、多田富雄先生は自分が脳梗塞で倒れた経験も踏まえ、まさに白鳥の歌ともいうべき思いのたけを述べておられます。

以下に引用させていただきます。

市民は働いて適正な賃金を得る。
家業も、そんなものを守れば暮らしていける。
節約して暮らせば、普通に生きてゆけた。
時々は、家族でうなぎも食べられた。
実質経済が、庶民の生活を潤していたのです。

金融経済が実態経済を凌駕し、バーチャルな経済が広まったら、健康な中流が影が薄くなった。
貧困層ととてつもない富裕層の格差社会になってしまったのです。
それは、金銭だけの問題ではなくなり、心まで荒廃させてしまい、助け合いの精神などなくなった。
希望のない貧しい人と、経済至上主義者をつくり出しました。
昭和の世界では、両者とも「普通」じゃない、不健全な市民だったのです。

中流の条件は、平成になってからみんな崩壊しています。
まず「正業」としての職業としての職業が危うくなっています。
どの正業も破壊されてしまった。
農業も、酪農も、漁師も、町の商店も、みんな崩壊しているじゃないですか。
派遣社員とかフリーターなんて健康な正業とはいえない。政治が間違っているからです。

家族の形態も崩壊している。
3世代同居だったら、今の家庭問題の大半ほ起こらなかったでしょう。
介護も自宅でできる。
今の家族形態で育てられる子供たちは本当に心配です。
生きるための規範を学ぶ機会がない。
当たり前のことを知らずに育ったら、異常なことを平気でするでしょう。

まず、「普通」という規範がなくなった。
「当たり前」のことが通用しなくなった。
要するに小林秀雄の言った「常なるもの」を失ったのです。

<コメント>
この「常なるもの」が「プリンシプル」であると合点がいきました。



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by wellfrog3 | 2009-02-28 00:06

壮年期心筋梗塞患者におけるクロピドグレル

壮年期心筋梗塞患者におけるクロピドグレル治療の予後決定因子が明らかに
心筋梗塞発症後にクロピドグレル(商品名:プラビックス)治療を受けている壮年患者のうち、CYP2C19*2遺伝子に変異が見られる場合は予後不良であることが、フランス・パリ第6大学Pitie-Salpetriere病院のJean-Philippe Collet氏らの検討で明らかとなった。
クロピドグレルと低用量アスピリンの併用は、急性冠症候群(ACS)やステント留置術後の虚血性イベントの再発予防において、経口抗血小板療法の中心となっている。
しかし、クロピドグレルが無効な症例も多く、その原因の究明が進められている。
Lancet誌2009年1月24日号(オンライン版2008年12月23日号)掲載の報告。


個人差の原因遺伝子に着目
■クロピドグレルの抗血小板作用には大きな個人差があるが、その重要な寄与因子としてチトクロームP450 2C19(CYP2C19)に高頻度に見られる機能的な遺伝的変異である681 G>A(*2)が注目されている。
研究グループは、CYP2C19*2遺伝子多型がクロピドグレルの長期投与を受けている患者の予後に及ぼす影響について検討した。

■1996年4月1日~2008年4月1日までに、心筋梗塞の初回発症後に少なくとも1ヵ月のクロピドグレル治療を受けた45歳未満の患者259例が多施設レジストリーに登録され、CYP2C19*2遺伝子検査を受けた。

■1次評価項目は、クロピドグレル投与中の死亡、心筋梗塞、緊急冠動脈血行再建術の複合エンドポイントとした。
フォローアップは6ヵ月ごとに実施した。血管造影画像上で確認されたステント血栓を主要な2次評価項目とした。


複合エンドポイント、ステント血栓とも、変異陽性例で有意に多い
■クロピドグレル治療の期間(中央値)は1.07年であった。CYP2C19*2遺伝子変異が陽性の例(ヘテロ接合体*1/*2:64例、ホモ接合体*2/*2:9例)と陰性例(186例)でベースライン時の患者背景に差は見られなかった。

■1次評価項目の発現は、CYP2C19*2遺伝子変異陰性例の11イベントに対し、陽性例は15イベントと有意に多かった。
ステント血栓も、陰性例の4イベントに対し陽性例は8イベントと有意に多く発現した。

■CYP2C19*2遺伝子の変異による有害な作用は、クロピドグレル治療開始後6ヵ月からフォローアップ終了時まで持続した。
多変量解析では、CYP2C19*2遺伝子変異は唯一の心血管イベントの独立予測因子であった。

■著者は、「CYP2C19*2遺伝子変異は、心筋梗塞後にクロピドグレル治療を受けている壮年期の患者における主要な予後決定因子であり、陽性例の予後は不良である」と結論し、「CYP2C19*2遺伝子型に関する予後情報が患者管理にも使用可能かという問題についてはさらなる検討を要する。これらの知見は、高齢者やヨーロッパ人以外の患者に外挿する前に、その再現性を確認すべきである」と指摘している。

Collet JP et al. Cytochrome P450 2C19 polymorphism in young patients treated with clopidogrel after myocardial infarction: a cohort study. Lancet. 2009 Jan 24; 373(9660): 309-17. Epub 2008 Dec 23.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19108880?ordinalpos=1&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DefaultReportPanel.Pubmed_RVDocSum

Care Net.com 2009.2.5
(株)ケアネット
http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=7374


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荻須高徳 ジャルダン街 25号
http://www.art-information.ne.jp/youga/takanori_ogisu/

<きょうの一曲>
60分でマイルスデイビスしったかになる方法
http://video.google.co.jp/videoplay?docid=-5643623681184321405&ei=6sSjSefVJIqSwgPs6rDCDw&q=シナトラ&hl=ja

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by wellfrog3 | 2009-02-26 00:21

閉経後女性の骨粗鬆症性骨折予防ガイドライン

NICE/閉経後女性の骨粗鬆症性骨折予防ガイドラインを発表
■英国立臨床評価研究所(NICE)は,閉経後女性の骨粗鬆症性骨折の予防における薬剤使用に関するガイドラインの最終版を発表した。
同ガイドラインの内容は,骨折経験のない閉経後女性の一次予防と,骨折既往のある閉経後女性の二次予防における薬剤使用の2部で構成されている。

一次・二次予防別に推奨をまとめる
■骨粗鬆症は骨組織が劣化する疾患で,骨強度が低下し骨折リスクが高まる。一般的に加齢に伴い男女双方とも発症リスクが増大するが,女性のほうが閉経後に骨減少が加速するためにリスクは高い。
 
■今回発表されたガイドラインの最終版では,閉経後女性を対象とした一次予防と二次予防におけるさまざまな選択肢を推奨しており,第一選択薬の禁忌・非忍容例に対しても特別な臨床的基準に基づき別の予防法を提案している。
 
■NICE臨床・公衆衛生部門長で今回のガイドライン策定の筆頭研究者であるPeter Littlejohns教授は「これら2部から成る新しいガイドラインは,骨粗鬆症性骨折の一次予防と二次予防のそれぞれに役立つ最も費用効果の高い方法に対して,閉経後女性が確実にアクセスできるようにするものである。

■骨粗鬆症性一次骨折の予防薬が全国的なガイドラインにより推奨されるのは今回が初めてで,高リスク女性にとっては朗報である。

■二次予防に関するガイドラインでは,アレンドロン酸の適応拡大を推奨しており,年齢を問わず骨粗鬆症が確認された閉経後女性すべてを対象としている。
また,同薬を服用できない女性に対しては有効な代替療法も推奨している」と述べている。
 
■さらに「ガイドライン策定の過程で,医療専門家や骨粗鬆症性骨折リスクの高い人,その家族,治療提供者との協議で得られた意見も取り入れた。
こうして得られたフィードバックは貴重で,ガイドライン策定に役立つ情報を提供するものである。
完成したガイドラインは骨粗鬆症性骨折リスクの高い女性に恩恵をもたらすものとなるであろう」と指摘している。

<一次予防ガイドライン>
■一次予防ガイドラインでは,骨折の独立した臨床的危険因子1つまたは骨密度(BMD)低下の指標1つを有し,骨粗鬆症と診断された70歳以上の女性における骨粗鬆症性骨脆弱化による骨折の一次予防薬としてアレンドロン酸を推奨している。
 
■2つ以上の危険因子を有するか,BMD低値の75歳以上の女性における二重エネルギーX線吸収法(DXA)撮影は,担当医が臨床的に適切でないか実施不能と判断した場合には必要ない。
 
■骨粗鬆症と診断された70歳未満の閉経後女性に対しては,
(1)65~69歳で独立した臨床的骨折危険因子が1つ以上ある場合
(2)65歳未満で独立した臨床的骨折危険因子1つに加えてBMD低値の指標を1つ以上有する場合
には一次予防薬としてアレンドロン酸を推奨している。
 
■アレンドロン酸禁忌・非忍容の女性,特別な服薬指示を遵守できない女性に対しては,年齢,T-スコア,独立した臨床的骨折危険因子数の組み合わせに基づき,リセドロン酸かエチドロン酸を代替薬として推奨している。
 
■アレンドロン酸,リセドロン酸,エチドロン酸のいずれも禁忌・非忍容の女性,特別な服薬指示を遵守できない女性に対しては,年齢,T-スコア,独立した臨床的骨折危険因子数の所定の組み合わせに基づきstrontium ranelateを代替薬として推奨している。

<二次予防ガイドライン>
■骨粗鬆症性骨脆弱化による骨折の二次予防に関するガイドラインでは,すべての閉経後骨粗鬆症女性に対してアレンドロン酸を推奨している。

■75歳以上の女性に対するDXA撮影は,医師が臨床的に不適切と判断した場合には必要ない。

■一次予防の場合と同様の理由でアレンドロン酸を服用できない女性に対しては,年齢,T-スコア,独立した臨床的骨折危険因子数の所定の組み合わせに基づき,リセドロン酸かエチドロン酸を推奨している。

■一次予防の場合と同様の理由でアレンドロン酸,リセドロン酸,エチドロン酸のいずれも服用できない女性に対しては,年齢,T-スコア,独立した臨床的骨折危険因子数の所定の組み合わせに基づき,strontium ranelateかラロキシフェンが推奨される。
 
■一次予防の場合と同様の理由で上記薬剤のいずれも適用できない女性,アレンドロン酸,リセドロン酸,エチドロン酸による治療で満足のいく結果が得られなかった女性に対しては,年齢,T-スコア,独立した臨床的骨折危険因子数の所定の組み合わせに基づき,テリパラチドが代替薬として推奨される。
 
■現在ガイドライン記載の薬剤の1つを使用して,既に一次予防または二次予防を行っているが,今回の両ガイドラインで治療が推奨されていない場合は,患者本人または担当医が治療を中止するのが適切と判断するまで継続してもよいとしている。

出典 Medical Tribune 2009.2.12
版権 メディカル・トリビューン社


<参考サイト>
経後女性における骨粗鬆症性骨折の一次および二次予防のためのアレンドロネート
http://minds.jcqhc.or.jp/stc/0046/4/0046_G0000144_T0002092.html
http://mrw.interscience.wiley.com/cochrane/clsysrev/articles/CD001155/frame.html(英語版)
1日10 mgで、二次予防については脊椎、非脊椎、大腿骨近位部、手首関節骨折に臨床的に重要で、また統計学的にも有意な減少が認められた。
一次予防については、脊椎骨折に臨床的に重要な減少を除いて、統計学的に有意な結果は得られなかった。

アレンドロネート長期使用が大腿骨骨折に関与?
http://wellfrog.exblog.jp/8764738/

<自遊時間>
新着の日本医事新報 No.4426 2009.2.21で
「ブルーチーズケーキ」が紹介されていました。
みらべる-topics テレビで紹介されました 米今フクの自信作
http://www17.ocn.ne.jp/~yoneima/index.htm
http://www17.ocn.ne.jp/~yoneima/tv_topics.htm


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by wellfrog3 | 2009-02-21 00:20

薬剤誘発性皮膚障害

早期診断と投薬中止で予後を改善
原因不明の発疹で発熱を伴う場合には,薬剤誘発性の皮膚障害を疑ってみるべきである。
フライブルク大学病院(フライブルク)皮膚科のMartine Grosber博士は「早期に発見し,原因となる薬剤の使用を中止すれば,重大な事態への移行を回避できる」とアレルギー学会で報告した。

SJSとTENとは同一の疾患像
薬剤の服用により引き起こされた皮膚障害から,まれに生命を脅かす状態に至ることもある。中毒性表皮壊死症(TEN)とスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)とは基本的に区別されているが,両者の疾患像は同一で,発現の重度が異なるのみと考えられている。
その臨床像は熱傷に類似しており,紅斑と局所的に広がる水疱形成が認められる。
躯幹ないしは全身に紅斑と非定型で輪状の病変(花形帽章斑)も発現する。
発熱と強い病感を認めるのも特徴で,粘膜症状としては,口腔や結膜領域,生殖器領域にびらんを生じる。
SJSとTENの鑑別は,通常,病変の範囲により行う。
水疱とびらんの範囲が体表面積の10%未満であればSJS,30%を超えていればTEN,その中間の10〜30%であれば,SJSからTENへの移行型と判定する。

両疾患の発症率は,人口100万人当たり年間 1 〜 2 例程度で,比較的まれな疾患と言えるが,致死率はSJSで 9 %,TENでは約44%と高い。

AGEPは治療しなくとも消退
薬剤誘発性の皮膚障害のうち,上記の障害との鑑別が必要なものとしては急性汎発性発疹性膿疱症(AGEP)が挙げられる。
AGEPでは,まず,急性の発熱と広範囲に及ぶ紅斑が生じ,その後,無数の小さな非濾胞性膿疱がとりわけ間擦部(摩擦を受けやすい部位)に密集して生じる。
しかし,4 〜10日後にはその膿疱は消失し,皮膚に鱗屑が形成される。
粘膜症状は発現しないことが多く,たとえ発現しても軽度である。このため,原因となる薬剤の使用を早期に中止すれば,治療は必要ない。
AGEPの発症率は人口100万人当たり年間約 5 例で,致死率も 5 %未満にとどまっている。
薬剤誘発性の障害としては,ほかにも過敏症症候群(HSS)やDRESS(好酸球増加と全身症状を伴う薬剤性反応)などがある。
この場合の診断基準として挙げられるのは,急性に発現する発疹や 1 つ以上の臓器の障害,血液像の異常(好酸球増加,異型リンパ球),2 か所以上のリンパ節の肥大である。

疑い例についても報告を
1990年以降,フライブルク大学皮膚科の重度皮膚反応資料作成センター(dZh)では,各種薬剤の重度皮膚障害誘発リスクを評価するために,SJS,TEN,重度多形滲出性紅斑の入院例を記録している。
さらに,2003年以降は,AGEPとHSS/DRESSの症例も記録されるようになった。同センターでは,診断が確定した症例だけでなく疑い例についても報告するよう呼びかけている。
出典 Medical Tribune 2005.4.7
版権 メディカル・トリビューン社

<参考サイト>
多形滲出性紅斑
http://www.e-skin.net/2ky/EEM.htm
重症多形滲出性紅斑(急性期)
http://www.nanbyou.or.jp/sikkan/119.htm


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by wellfrog3 | 2009-01-13 00:39

骨粗鬆症とGERD

日経メディカルの記事で、骨粗鬆症(円背)と胃食道逆流症の関連についての勉強をしました。

“隠れGERD”に気を付けろ  円背の骨粗鬆症患者の4割がGERDを合併
腰の曲がった骨粗鬆症患者には、胃食道逆流症(GERD)が高頻度に存在する──。
この報告をまとめた、埼玉医大かわごえクリニック(埼玉県川越市)の宮島剛氏(同大整形外科・脊椎外科講師)は、日々、骨粗鬆症専門外来でGERD合併者を拾い上げ、患者に応じた治療法を選択している。
「骨粗鬆症患者の診療は長期戦。患者が途中離脱しないように、GERD合併の場合は特に、QOLを考えた治療が大切」と宮島氏は語る。

2006年、かわごえクリニックが開院したことをきっかけに宮島氏の元を訪れたのは、76歳女性のAさん。
43歳で子宮脱のため卵巣を摘出し、1999年から4年間、別の医療機関で骨粗鬆症の治療を受けていた。だが、担当医による説明が少ないことから、自らの判断で治療を中断してしまっていた。

宮島氏は、初診患者全員に対し、通常の問診表以外に、自覚症状からGERDの有無を判別するためによく使われている「QUEST問診表」の記載を求めている(図1)。
QUESTの結果が6点以上ならGERDあり、4〜5点ならGERD疑い、3点以下ならGERDなしと判断するが、Aさんの結果は5点で、「GERDの疑いあり」だった。
c0183739_131614.jpg

図1 QUEST問診表を用いた治療方針の選び方(宮島氏による) 初診時にQUEST問診表でGERDの鑑別を行い、GERDが疑われるようなら、BP製剤をSERMに変更する。


骨粗鬆症はGERD発症の危険因子
自身がGERDを患った経験をきっかけに、骨粗鬆症患者の中からGERDを拾い上げるようになったという宮島氏。
2005年5〜9月には、埼玉医大とかわごえクリニックの骨粗鬆症外来を受診し、後彎変形を認めた103人(平均年齢78.3歳)を対象に、初診時にQUEST問診表を用いてGERDの発症頻度を調査した。

その結果、QUESTが6点以上のGERD患者は18人(17%)、4〜5点のGERD疑い患者は23人(22%)だった。
つまり、疑い例を含めれば、骨粗鬆症による円背、亀背の患者の約4割がGERDを合併していることになる。

「GERD合併者が多いのは、骨粗鬆症による前かがみの姿勢が原因。腹部が常に圧迫され、腹圧が高まるため、逆流を引き起こしやすくなるのではないか」と宮島氏は結果を説明する。
さらに、骨粗鬆症患者は多くが高齢者だ。
加齢によって胃の噴門圧が弱まり、食道への逆流を防げなくなることもGERD発症の要因となる。

骨粗鬆症の治療自体にも、消化器症状を悪化させるリスクがあるという。
「腰痛などの痛み止めに使うNSAIDsは、胃酸分泌を促進し胃や腸に潰瘍を引き起こす。
また、骨粗鬆症の治療薬であるビスホスホネート(BP)製剤も、うまく服用できずに食道にとどまると、副作用として食道粘膜に炎症を引き起こす」(宮島氏)。
骨粗鬆症患者は、GERDを含めた消化器疾患を非常に引き起こしやすい環境にあるといえるだろう。

GERD合併の有無で治療薬を変更 
では、普段の骨粗鬆症診療では何に気を付けるべきか。
「骨粗鬆症の治療は長期戦で、最低でも3年間服薬を継続することが必要。
GERDを合併している患者は、BP製剤の服用で消化器症状を悪化させ、薬が合わないからと自己判断で治療をやめてしまうことがあるため注意が必要だ」と宮島氏。
そこで患者が治療を続けられるような薬剤選びが重要になる。

QUESTの結果が6点以上であれば、消化器症状の出やすいBP製剤ではなく選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)を処方する。
4〜5点の場合は、患者の症状や副作用の出方、もしくは副作用が出たときに自己判断で治療をやめないかなどの服薬コンプライアンスを勘案して、SERMかBP製剤を選ぶ。
3点以下の場合はGERDを考慮しなくてよいので、基本的にBP製剤を用いる。

例えば、冒頭の初診時のQUESTの結果が5点で「GERDの疑いあり」だったAさんには、「腰下肢痛を認めたことと、治療へのモチベーションが高く、副作用が出ても勝手に服用をやめなさそうなことから、BP製剤を処方した」と宮島氏。2週間後の再診時に食道炎などの副作用は出ていないことを確認し、その後もBP製剤の処方を継続した。

GERDの疑いのある患者は内科に紹介するため、宮島氏は直接GERDの治療にはかかわっていない。
だが、骨粗鬆症の治療を続けることでGERD症状まで軽減していく患者を、しばしば経験するという。
Aさんも、治療を始めてから約2年でQUESTが5点から3点に下がった。
「腰下肢痛が消失することで日常生活動作(ADL)が向上し、腹圧上昇、精神的ストレスなどGERDの原因がなくなったからではないか」と宮島氏は話している。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t031/200812/509006.html
日経メディカル 2008. 12. 26


<番外編 その1>
ちょっと面白い(?)薬剤名
ビリアード錠  鳥居(日本たばこ) 抗ウイルス化学療法剤
英語名はViread。
一方撞球はビリヤード(billiards)。これも「ヤ」の方が正しいかも。
どうでもいい話ですみません。

<番外編 その2>
どれだけ小さい!? 世界で一番小さな公園
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target="_blank">http://www.excite.co.jp/News/bit/E1230424819466.html

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by wellfrog3 | 2009-01-07 00:25