カテゴリ:認知症( 8 )

若年性認知症の原因疾患

##若年性認知症の原因疾患は脳血管性が最多
若年性認知症の原因疾患は脳血管性認知症(VaD)が約4割と最も多く,次いでアルツハイマー病(AD)が多いことが茨城県で実施された実態調査で明らかにされ,Stroke(2009; 40: 2709-2714)に掲載された。
男女別では,男性はVaD,女性はADがそれぞれ最も多かった。
VaDの内訳は,脳出血,脳梗塞およびくも膜下出血で9割以上を占めており,ラクナ梗塞が多い老年性認知症とは異なる特徴が示された。

#人口10万人対の推定有病率は42.3
この研究は,厚生労働科学研究費補助金長寿科学総合研究事業「若年性認知症の実態と対応の基盤整備に関する研究」(研究代表者:筑波大学精神病態医学・朝田隆教授)として,2006〜08年度に,茨城県,群馬県,富山県,愛媛県,熊本県,徳島市,横浜市港北区の7か所で実施された調査の1つ。
同研究事業による前回の調査(1996年度実施)でも原因疾患はVaDが最も多く,その傾向は今回も変わらないことが確認された。
 
一連の調査では,「発症年齢と調査時の年齢がいずれも65歳未満」を若年性と定義し,米国精神医学会の「精神障害の診断と統計の手引き第3版改訂版(DSM-III-R)」で認知症の定義に適合する若年性の患者について,郵送法による一次・二次調査でデータを収集した。
 
今回発表された茨城県(人口296.6万人)の調査は,筑波大学大学院人間総合科学研究科の池嶋千秋氏らが解析した。同県内2,475の保健・医療・福祉の事業所や相談窓口すべてに一次調査票を送付し,2,202通の回答を得た(回収率89.0%)。
そのうち,2006年4〜10月に若年性認知症患者に対応したと回答してきた285の機関に二次調査票を送付し,245の機関(回収率86.0%)から717例が報告された。
重複例を除き,診療録のみ(331例)あるいは画像所見(286例)を照会し,最終的に若年性認知症患者617例を確認した。
 
患者の年齢は56.9±7.3歳,発症時年齢は53.4±7.9歳。茨城県の年齢階層別人口をもとに推定した人口10万人対の有病率は20〜64歳で42.3(95%信頼区間39.4〜45.4),45〜64歳で83.3(同77.4〜89.6)と,欧米の報告に比べて大きな差はなかった。原因疾患は, VaDが42.5%と最も多く,次いでADが25.6%,頭部外傷が7.1%,レヴィ小体型認知症(DLB)/認知症を伴うパーキンソン病(PDD)が6.2%,前頭側頭葉変性症(FTLD)が2.6%,その他が16.0%となっていた(図1)。

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#脳出血,脳梗塞,くも膜下出血で9割
VaDの内訳は,脳出血,脳梗塞およびくも膜下出血で9割以上を占めていた(図1)。
また,原因疾患の頻度には性差があり,男性ではVaD,女性ではADが最も多かった。
年齢階層別に両疾患の有病率を見ると,50歳代以上が圧倒的に多いADに比べて,VaDは男性を中心に30〜40歳代が多かった(図2)。

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また,介護保険制度を利用できない40歳未満の若年性認知症の頻度も明らかにされた。
原因疾患別に,20〜24歳,25〜29歳,30〜34歳,35〜39歳の10万人対の有病率を見ると,AD,FTLD,DLB/PDDはそれぞれ0〜1.0未満ときわめてまれだが,頭部外傷はそれぞれ1.5,4.0,4.2,4.9,VaDはそれぞれ0,0,1.3,3.5で,茨城県での40歳未満の患者数は20〜40人前後と推定される。
 
なお,1990年代半ば以降に診断基準が示されたDLBやFTLDは,前回調査よりも頻度が増加した。その他の原因には,アルコール性認知症,感染性脳症,脳腫瘍/脳動脈瘤術後のほか,神経難病やエイズ脳症など多彩な疾患が含まれていた。


#COMMENT 筑波大学大学院人間総合科学研究科 池嶋 千秋 氏
1996年度の前回調査と同様に,若年性認知症はVaDが最多で,その上位3疾患を脳出血,脳梗塞,くも膜下出血が占めていた。
VaDの背景病理は高齢者とは異なり,脳動静脈奇形やもやもや病など先天性疾患が関与し,予防不可能なケースがある。
さらに加齢に伴い,男性を中心に生活習慣の影響が強まり,発症が増えると考えられる。
 
また,別途実施した家族会へのアンケートの結果から,若年性認知症は,高齢者の場合と比べて経済面の問題が大きいことが浮かび上がっている。
介護保険制度を利用できず,社会的支援の枠組みから取り残される患者もいることから,病態に応じてリハビリテーション目標を設定し,就労や福祉の支援を行う体制づくりが求められている。

出典 Medical Tribune 2009.8.27
版権 メディカル・トリビューン社


<番外編>
#<路上生活者>6割以上が精神疾患 池袋周辺で医師らが調査
国立病院機構久里浜アルコール症センター(神奈川県横須賀市)の森川すいめい医師らが昨年末~今年1月上旬、池袋駅周辺で路上生活者の支援に取り組むNPO法人「TENOHASI(てのはし)」(清野賢司事務局長)の協力を得て実施。
駅1キロ圏内に寝泊まりする路上生活者約100人に協力を求め、応じた80人を診察した。

それによると、うつ病が40%、アルコール依存症が15%、統合失調症など幻覚や妄想のあるケースが15%。複数の症状を発症しているケースもあり、不安障害やPTSD(心的外傷後ストレス障害)なども含めると63%(50人)が何らかの精神疾患を抱えていた。
失業してうつ病になったり、疾患が原因で職に就けないなどの理由が考えられる。重症者は調査に応じられないため、実際はより高い割合になるとみられる。

一方、約半数が「死んだほうがいい・死んでいたらよかった」などと考え、「自殺リスク」があることも判明した。路上生活歴は平均5年8カ月だったが、6カ月未満が20人で最も多く、森川医師は「公園や河川敷と異なり、家を無くしたばかりの路上生活者が多く、自殺につながりやすい」と懸念する。

http://www.excite.co.jp/News/society/20090902/20090902E40.073.html
出典 毎日jp 2009年9月2日 15時02分
版権 毎日j新聞社
<コメント>
解決には社会的・医学的問題としていろいろな壁がありそうです。



<きょうの一曲>
Marilyn Monroe - What A Wonderful World
http://www.youtube.com/watch?v=2tpN2U6Y17M&feature=related
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by wellfrog3 | 2009-09-03 00:02 | 認知症

高コレステロール血症とアルツハイマー病

##高コレステロールはアルツハイマー病と関連する
#中年期の総コレステロールが高いとアルツハイマー病のリスクが高まる可能性があるとの研究結果
40代の初めから半ばにコレステロールが高いと(たとえ中程度であっても)、数十年後にアルツハイマー病および関連する認知症となるリスクが高いと思われることを示す新規の研究結果が発表された。

研究者らは、これまでに実施された最大かつ最長規模の加齢性認知症試験において、被験者9,800例以上を40年間にわたり追跡調査した。

その結果、40代の時点で総コレステロールが高い場合、または境界域であった場合でさえ、数年後にアルツハイマー病を発症するリスクが有意に高かった。

「人々は脳と心臓を完全に分けて考えがちであるが、実際にはそうではない」と本研究の共同著者であるKaiser Permanente研究部門(カリフォルニア州オークランド)のRachel A. Whitmer, PhDはWebMDに述べている。
「我々は、心臓によいことは脳にもよいということ、また認知症のリスク因子について考えるのに中年期は決して早過ぎないことを理解しつつある」

#コレステロールとアルツハイマー病
本研究はカリフォルニア州北部の住民9,844例を対象とし、これらの住民は本研究期間を通じて同じ健康保険プランに加入していた。

600例近い人が本研究終了までの60代、70代、80代において、アルツハイマー病または血管性認知症として知られる関連疾患を発症した。

研究参加時の総コレステロールが高コレステロール域にあると、アルツハイマー病のリスクは66%上昇した。
また、高コレステロールの境界域にある場合も、血管性認知症のリスクは52%上昇した。

現行ガイドラインに従うと、総コレステロールが240以上の場合は高コレステロール、200-239の場合は高コレステロール境界域と判断される。

研究者らは「善玉」のHDLコレステロールおよび「悪玉」のLDLコレステロールに関する情報を収集していない。
これは40年前、こういった脂質の種類の違いがもつ重要性について、広く理解されていなかったためである。

しかし、総コレステロールの約3分の2はLDLコレステロールを反映するため、総コレステロールが高かった人の大半は悪玉コレステロール濃度が高かったと考えるのが無難である、とWhitmer博士は述べている。

#心臓によいことは脳にもよい
研究者らとKaiser Permanenteおよびフィンランドのクオピオ大学が行った研究は、血管性認知症(脳への血液供給低下に伴う認知症症候群)リスクの検討を目的とした最初の研究のうちのひとつである。

コレステロール、血圧、糖尿病、体重といった心疾患のリスク因子を中年期にコントロールすることで、老年期の脳を保護可能であることを示すエビデンスは増えつつあり、本研究もこれに加わるものである、と筆頭著者であるクオピオ大学のAlina Solomon, MDはWebMDに述べている。

「年齢を重ねながらも、体重を低く抑え、正しい食生活を送り、定期的な運動をすることで、心臓の健康は維持でき、同時に頭脳の明晰さも保つことができると考えられる」とSolomon博士は述べている。

老年期に認知症を発症する遺伝的素因がある人でも生活習慣によってリスクが左右されることはますます明らかになってきている、とアルツハイマー病協会の医療・科学部門責任者William H. Thies, PhDは同様の見解を示している。

「どの程度のリスクが生活習慣に関連し、どの程度のリスクが遺伝的なものであるかを明示することはできない」とThies博士は述べている。
「ただし、アルツハイマー病患者の大半に血管性疾患も認められることと、血管性疾患のリスク因子は生活習慣とともに修正可能であることを我々は把握している」

#リスクを下げるための改善策
コンピューター技術者のJames Pitman氏(44歳)は通知を受け取り、老年期における心疾患、糖尿病、認知症のリスク軽減を期待して自身の高いコレステロール値を下げるため、生活習慣の改善に取り組んでいる。

Pitman氏はカリフォルニア州オークランド在住で、糖尿病とアルツハイマー病の家族歴があり、生活習慣と運動習慣の改善により総コレステロール値を280から260に下げた。
この男性は、さらに生活習慣を改善することでコレステロール値をもっと下げたい、とWebMDに述べている。

「私は必ずしも遺伝的に有利なわけではなく、おそらく最終的にはコレステロールを下げるために薬剤に頼らなければならないと思う。でも、私にできるすべての食生活と運動の改善策を実行していくつもりだ」とこの男性は述べている。


出典 Web MD 2009.8.13
(C)2009 WebMD Inc. All rights reserved.


<新型インフルエンザ 関連サイト>
#夏でも止まらぬ感染拡大 重症化、死亡は避けられず:「表層深層」新型インフルエンザ
■なぜ夏に患者が急増したのか。国立感染症研究所感染症情報センターの谷口清州(たにぐち・きよす)第一室長は「高温多湿の東南アジアや香港でもインフルエンザは流行するのだから、日本の夏でも流行は起き得る。日本は(最初に患者が発生した)5月に学校閉鎖などで時間稼ぎをした。一生懸命対策を取ったが、いずれにせよ封じ込めることは不可能。遅れていた流行が今になって出てきた」と見る。
ただ、なぜ沖縄なのかは「分からない」という。
■夏休みが終わり学校が再開すれば、患者はさらに増えるというのが専門家の一致した見方だ。
では、どうすれば重症化や死亡を防げるのか。
■国内ではまだないが、米国では妊婦の死亡も6例報告されている。日本産科婦人科学会周産期委員会の委員長を務める斎藤滋(さいとう・しげる)富山大教授によると、妊婦は妊娠の全期間で重症化の危険が高い。免疫力が低下している上に、発熱が流産の危険を増す。特に妊娠後期は肺炎を発症して重くなることがあり注意が必要だ。

出典 共同通信 2009.8.20
版権 共同通信社 



#新型インフルエンザ 「ワクチン接種の目的は死亡者数の減少」
■厚生労働省の「新型インフルエンザワクチンに関する意見交換会」が8月20日開催され、自治医科大学教授の尾身茂氏(新型インフルエンザ対策本部専門家諮問委員会の委員長)は、個人的意見と断った上で、「新型インフルエンザのワクチン接種の一番目的は、死亡者数を減らすこと」と述べ、
(1)ハイリスク者、
(2)ハイリスク等のケアに当たる医療従事者、
(3)ワクチン接種の対象にならない6カ月未満の乳児の親、
などが優先接種の対象になるとした。
■新型インフルエンザのワクチンについては、この7月から製造に入っており、秋になり順次供給されていくことになる。
いかなる人を対象に接種するかが今後の課題」(厚労省健康局長の上田博三氏)。
インフルエンザは例年、定点当たりの患者数が「1」を超えれば、「流行に入った」として注意喚起されるが、第32週(8月3日から8月9日)は0.99で、8-9割は新型インフルエンザだ。
■ワクチン接種の目的としては、重症化防止・死亡者数の減少、感染拡大防止などがある。
今回のH1N1型の場合、H5N1型鳥インフルエンザとは異なり、強毒型ではないことなどから、この日の意見交換会でも、感染拡大防止ではなく、重症化防止・死亡者数の減少を目的とし、接種の優先順位を決めるべきということで意見の一致を見た。
■東京大学医学系研究科教授の赤林朗氏は、優先すべきグループとして、免疫力が低下した人への直接的な予防措置として、
(1)医学的ハイリスク群、
(2)妊婦、
(3)乳幼児、
(4)一部の高齢者
のほか、間接的な予防措置として
(5)一部の医療従事者、
という計5つのグループを挙げた。
■もっとも、政府はこうした優先順位を決めるものの、ワクチンは任意に接種してもらう形になる見込みだ。
■「感染拡大防止も期待するものの、役立つとは明確には言えない以上、新型インフルエンザワクチンの接種を義務付けることはできず、国民に任意に接種してもらうことになる。政府としては可能な限りエビデンスを集め、副反応が起きないようにする。また副反応が起きたら、医薬品副作用被害救済制度もしくは予防接種に基づく救済を行う。こうした点について様々な情報提供を行うが、最終的に接種するか否かは国民の判断に委ねることになる」(上田氏)。
■新型インフルエンザのワクチンをめぐっては、接種の優先順位、さらには臨床現場での接種、さらには副反応が起きた場合の対応など様々な検討事項がある。
■まず優先順位だが、H5N1型の強毒型では、社会機能維持のため、ガスや水道といった社会インフラ維持に携わる職種も、ワクチン接種の優先対象として想定されていた。
一方、現在流行しているH1N1型の場合、季節性と毒性は大差ないと判断され、これらの職種は外された。
医療従事者も、ほぼすべてか、あるいは入院患者を扱う医療従事者に限られるのかなどについては、議論の余地がある。
■ただし、優先順位が決まっても、接種は任意。
ワクチンをいかに医療現場に供給して、ベネフィットとリスクを説明して、接種するかという問題がある。
新型インフルエンザのワクチンの供給量は7月28日の時点では、今年12月末までに1300万 – 1700万人分(2010年2月までに2200万 – 3000万人分)と推計されている(なお、季節性インフルエンザについては、昨年度製造実績の約82%に当たる2220万本(1mL)、約4000万人分と試算)。
■国立感染症研究所感染症情報センター長の岡部信彦氏は、「米国では、生後6カ月から18歳には(季節性)インフルエンザワクチンを接種するほか、妊婦にもほぼ全員接種している。日本では米国とは環境が違い、妊婦には接種していない。また、一見健康な人に接種しても、100%安全とは言えない。一例でも原因が分からない事故が起きた場合、ワクチンは危険だとなると、次年度以降、ワクチンが使いにくくなる」と述べ、ワクチン接種のリスクも十分に説明する重要性を指摘した。

http://www.m3.com/iryoIshin/article/106061/index.html?Mg=8a57bd916fb02ec5f9e1972729423a60&Eml=31ef79e7aaf65fca34f0f116a57fd65d&F=h&portalId=mailmag
出典 m3.com 2009.8.20
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by wellfrog3 | 2009-08-21 00:18 | 認知症

ADとせん妄と認知機能

##AD患者でせん妄後に認知機能が急速に低下
ハーバード大学(ボストン)神経科学のTamara G. Fong博士らは,せん妄の経験のあるアルツハイマー病(AD)患者では,未経験のAD患者よりも急速な認知機能低下が起こる可能性が有意に高いとする研究結果をNeurology(2009; 72: 1570- 1575)に発表した。

#原因回避や外来治療で予防可能
せん妄とは軽度ないし中等度の意識混濁があり,錯覚や幻覚,精神運動性興奮を伴う状態のことで,支離滅裂な言動が見られる場合もある。
せん妄状態になると重度の混乱や失見当識が起こる。
 
今回の研究では,AD患者408例を対象に,試験開始時と6か月ごとに最低1年半以上にわたって記憶力-思考力-集中力(IMC)のスコアを調査した。この追跡期間中に72例がせん妄を経験した。
 
解析の結果,せん妄経験があったAD患者では,なかったAD患者と比べてIMCスコアの変化度が3倍高いことがわかった。
 
米国神経学会(AAN)の会員でもあるFong博士は「今回の知見は,せん妄経験のあるAD患者では未経験患者の18か月分に相当する思考力と記憶力の低下が,12か月間で起こることを示唆している」と述べている。
 
せん妄経験群のIMCスコアの低下度は,試験開始時には年間平均2.5点であったのが,せん妄を経験した後では同平均4.9点に悪化していた。
 
せん妄は,感染症や薬剤の副作用,手術に伴う障害や合併症の結果として起こることが多く,入院中のAD患者においては89%がせん妄を経験していると推算されている。
 
同博士は「高齢者においてせん妄を回避すべき理由はほかにも多い。
例えば,入院中のAD患者では,せん妄によって重度合併症の発症リスクが有意に高まるのもその1つだ。
したがって,AD患者に対しては,
(1)せん妄の監視を強化する必要がある
(2)副作用としてせん妄が考えられる薬剤の使用を避ける
(3)できる限り外来で治療して入院を避ける
―などの予防戦略を採用することが重要になる」と述べている。
 
同博士らは「せん妄は予防することが可能な病態である。今後の研究によって,せん妄を予防することでAD患者の記憶障害を改善または遅延できるか否かが解明されるものと期待している」と結論している。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=0&order=1&page=0&id=M42300012&year=2009

出典 Medical Tribune 2009.7.23,30
版権 メディカル・トリビューン社


<番外編>
#内服薬処方箋の検討会,3人の参考人が「1日量+1回量+用法」を提案
ヒューマンエラー,病院,システムの3つの視点で報告
昨日(7月29日),「第3回内服薬処方せんの記載方法の在り方に関する検討会」※(座長=国立病院機構大阪医療センター院長・楠岡英雄氏)が厚生労働省(厚労省)で開催され,3人の参考人が報告を行った。

保険医療などに基づいた現行の記載状況や,医師のオーダリング端末,病院のレセプトコンピュータ(レセコン)といったシステムに大きな変化を加えずにすむという利点があるとし,「1日量+1回量+用法」の3つの併記が提案された。

#1回量併記の徹底が目的達成と負担回避両立の良策か
#医師の混乱やシステムの対応が大きな課題
内服薬処方箋の記載方法については,医師法施行規則,薬剤師法施行規則,保険医療機関及び保健医療療養担当規則や厚労省保険局の通知によって既にルールが決められているものの,
(1)医師,薬剤師は学校の授業で学ぶ機会がない,
(2)先輩のやり方を見て学んでいる
―という実態があり,周知に至っていない状況が第2回までの検討会で指摘されている。

現在,医師の多くは保険請求などの関係もあり健康保険上のルールに従い,1日量を基本とする記載を行っているが,1回量を基本とする記載も一部あり,混在する内服薬処方箋記載を見る他の医師,薬剤師,看護師,その他医療スタッフらが個別に疑義照会など判断と対応をしている状況だ。

今回は,この記載方法を巡って標準化の意義,あるいはそれに伴う医療機関などのシステム整備といった課題について,3人の参考人が報告を行った。

中略

筑波大学病院(医療情報部)の大原信氏は,同院を例に挙げ,医師の内服薬処方オーダリングに始まる,薬剤部門,医事会計,院外調剤薬局の情報の流れとシステム上の取り扱いについて解説した。

それによると,医師のオーダリングシステムでは「1日分量」,薬剤部門システムでは「1回分量」,医事会計では「1日分量」,調剤薬局では「1日分量」と,情報システム上の分量の単位が異なっているという。
これに関連して,同院では,オーダリング入力画面上,薬剤の第1単位を製剤量(錠,gなど),第2単位を成分量とする統一化が行われており,内服薬処方箋の記載に関するヒヤリ・ハットをほぼ駆逐していることが紹介された。

中略

なお,3人の参考人は,現状では診療報酬上1日量記載がルールとなってシステムも対応していることに触れ,世界標準も視野に入れながら,まずは1回量を併記する厚労省保険局の通知通りの「1日量+1回量+用法」への移行を行い※,将来的には,シンプルで誤解が生じにくい1回量記載に統一するのが望ましいという見解を共通して示した。

1回量記載で標準化することに対しても,
(1)病院(医師,薬剤部門,医事会計),診療所,調剤薬局など,システム対応のための費用と時間(5~10年要するとの意見も),
(2)医師,薬剤師,看護師,院内スタッフ,その他コメディカルの研修・教育,
(3)移行期間のミスの回避―など,共通した課題が挙げられた。

出典 MT pro 2009.7.30
版権 メディカル・トリビューン社

<コメント>
グローバリゼーションの昨今です。
世界基準の処方法を具体的に提示していただければ済むだけの話のように思いますが。


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山下大五郎 安曇野風景 油彩
http://www5f.biglobe.ne.jp/~galileo/yamasitadaigorou.htm


<きょうの一曲> 
Glenn Gould Plays Bach's prelude and fugue in E major
http://www.youtube.com/watch?v=wZ_PJvAYlX4&feature=related



他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21? http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科関係の専門的な内容)

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by wellfrog3 | 2009-08-04 00:26 | 認知症

高圧送電線とAD

当院の患者さんに電力会社OBの方がみえます。
先日来院された際に、「高圧線の下に家を建てて住んでも安全ですか」と聞いてみました。
危険である、という返事は、はなから期待はしていませんでした。
「社宅が高圧線の直下にあって住んでいたけど何ともなかったし、ごらんの通りピンピンしていますよ」という返事でした。

「高圧線が切れて垂れ下がってきて感電することはありませんか」と聞いたら、「切れた途端に電気は流れなくなりますよ」という返事が返ってきました。

「しかし、先生。ここだけの話ですが変電所の周囲は危ないですよ」とだけ言い残して帰られました。


高圧送電線がADに関与の可能性 スイスのコホート研究が示唆
ベルン大学社会予防医学研究所のAnke Huss博士は,スイス国民コホート(Swiss National Cohort)試験のデータを解析した結果,高圧送電線の近くの住民はアルツハイマー病(AD)によって死亡するリスクが高いことが示唆されたとAmerican Journal of Epidemiology(2009; 169: 167-175)で報告した。

居住年数と用量依存関係
Huss博士らは,スイス国民約470万人(30歳以上)の2000〜05年のデータに基づき,220または380kVの高圧送電線から居住地までの距離および居住期間と,神経変性疾患による死亡リスクとの関係をCox比例ハザードモデルにより解析した。
その結果,高圧送電線からの距離が600m以上の区域の住民との比較で,同50m以内の区域の住民における交絡因子調整後のADのハザード比(HR)は1.24〔95%信頼区間(CI)0.80〜1.92〕であった。
さらに,高圧送電線の近くでの居住年数とAD疾患による死亡との間には用量依存関係が認められ,50m未満の区域に5年以上居住していた場合の調整後HRは1.51(95%CI 0.91〜2.51)であったのに対し,10年以上の居住では1.78(95%CI 1.07〜2.96),15年以上では 2.00(95%CI 1.21〜3.33)であった。また,高圧送電線から50〜200mの区域の居住者では,ADによる死亡リスクの上昇は認められなかった。
 
老人性認知症についてもADの場合と同様の傾向が認められたが,多発性硬化症,パーキンソン病,筋萎縮性側索硬化症については高圧送電線による磁場との関連性は認められなかった。
 
磁場による神経変性疾患リスクの存在は,業務上,強い磁場に曝露される列車乗務員または電気工を対象とした複数の研究から示唆されているが,同博士は「今回のデータは大規模な住民ベースの調査としては最初のものにすぎず,性急な評価は戒めるべきである」と指摘。
共同研究者で同大学のMatthias Egger教授も「今回のデータから,高圧送電線ならびにその磁場と,近くの住民におけるADによる死亡リスクの高さとの因果関係を証明することはできない」とコメントしている。
 
加えて,磁場がADリスクを上昇させる機序に関しても明らかではない。
Huss博士は「現時点で存在するのは単なる推測であり,"磁場が神経細胞と他の細胞との接触部位を障害する","磁場の影響によりフリーラジカル産生量が増加してADをはじめとする神経変性疾患の原因となりうる"といった仮説が提唱されている段階にすぎない」と説明している。

出典 Medical Tribune 2009.5.14(一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社



<きょうの一曲> Diana Krall - Live in Paris (It's Wonderfull)
http://blog.m3.com/admin/blogs/693/entries/edit/66041
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by wellfrog3 | 2009-05-23 00:21 | 認知症

肥満、糖尿病、心臓病と認知症

肥満、糖尿病、心臓病が認知症の進行を早める
肥満や肥満が危険因子となる糖尿病、心臓病が一体となって、認知症やその他の脳疾患の進行を加速させるとの複数の知見が、医学誌「Neurology」3月号に掲載された。
報告された研究のうち2件は、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校(UCSF)教授で、サンフランシスコ退役軍人医療センター記憶障害クリニック所長のKristine Yaffe博士らが行ったもの。
肥満で高血圧、HDLコレステロール低値を示すメタボリックシンドロームの高齢女性4,895例を対象に、4年後の認知障害(cognitive impairment)発症の有無を検討。その結果、非メタボリックシンドローム群の認知障害発症率が4%だったのに対し、メタボリックシンドローム群では7%と、発症リスクが23%高まることが明らかになった。

同氏らの別の研究では、肥満の有無による認知低下(cognitive decline)リスクについて検討。高齢の男女3,054例のデータを用いて、研究開始時、3年、5年、8年後のスコアを男女別に比較したところ、男性の肥満群は非肥満群より認知低下の傾向が高いことが判明した。女性では肥満による違いは認められなかったという。

3つめは、米ワシントン大学(シアトル)の研究者らによる報告。平均年齢75歳以上の男女2,798例を5年以上追跡したところ、認知症(dementia)発症リスクの上昇には中年期の肥満が関連していることが確認された。ただし、65歳超の世代になると、肥満者よりもやせた人のほうが認知症リスクは高く、肥満はむしろ予防的効果を示していた。

4つめは米コロンビア大学(ニューヨーク)の研究者らによる報告。
アルツハイマー病患者156例(平均年齢83歳)のデータを分析したもので、総コレステロールやLDLコレステロール高値者、あるいは糖尿病患者では、アルツハイマー病発症後の認知低下がより急速に進むことが確認された。

同研究の筆頭研究者のElizabeth P. Helzner氏は「今回の研究は、アルツハイマー病発症に血管リスクファクターが役割を果たしていることを示すものであり、これらの症状の治療や予防がアルツハイマー病の発症を遅らせる」と述べている。

米アルツハイマー協会医科学審議会委員長で、米メイヨークリニック・アルツハイマー病研究センター長のRonald C. Petersen博士は「一連の知見は、心疾患予防のためだけではなく、認知症やアルツハイマー病の進展予防のためにも、生活習慣を改める必要性を強調している」と述べるとともに、「認知低下は受動的にのみ認識されるべきではない。
認知障害やアルツハイマー病進展へのリスクに影響を及ぼす生活習慣因子において、修正できるものはいくつもある」と述べている。

HealthDayNews 2009.3.10

出典 Care Net 2009.4.10
版権 (株)ケアネット

<サイト紹介>
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内科学研鑽会
http://kensankai.lolipop.jp/

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<今日の一曲> セカンドラブ (唄 徳永英明)
http://www.youtube.com/watch?v=c9hE4t_I78M&hl=ja

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by wellfrog3 | 2009-05-08 00:49 | 認知症

アルツハイマー病の最新知見

アルツハイマー病に2つの最新知見

評価スケールの結果に評価者でばらつき
アルツハイマー病(AD)に関する2件の新しい研究が発表された。
1件は高脂肪で糖分とコレステロール含有量の多い食物がADを招くことを示唆したマウスによる実験研究,もう1件は広く使用されているAD発症リスク評価スケールの信頼性に問題があることを示唆した研究である。


脂肪と砂糖の過剰摂取がリスクに
カロリンスカ研究所(スウェーデン・ストックホルム)のSusanne Akterin氏らは,高脂肪で糖分とコレステロール含有量の多い飼料を9か月間マウスに与えた後,マウスの脳を調べた。
その結果,AD患者の脳と同様の化学変化が確認された。
その1つは,タウ蛋白質のリン酸化である。
リン酸化タウ蛋白質はAD患者の脳に見られる神経原線維変化を形成する。
同氏らはまた,飼料に含まれるコレステロールが記憶保存に関与するArc蛋白質の減少をもたらすことを明らかにした。 
同氏は,食事からの抗酸化物質の摂取量が少ない場合,AD罹患リスクが増大することを示唆した過去の研究に言及し,「今回の結果から,脂肪やコレステロールの大量摂取がAPOE4などの遺伝因子と相まって,AD発症因子となるいくつかの脳内物質に影響を及ぼすようだ」と考察。
「今回,ADの予防法について示唆に富む知見が得られたが,患者に具体的に助言するためには,さらなる研究が必要である」と付け加えている。


ADAS-Cogの運用基準統一を
一方,バナーヘルス研究所(アリゾナ州フェニックス)神経心理学のDonald Connor部長らは,Alzheimer's Disease Assessment Scaleの認知に関する尺度(ADAS-Cog)による結果にはばらつきがあり,信頼性には疑問があるとJournal of Alzheimer's Disease(2008; 15: 461-464)に発表した。
このばらつきの原因には,尺度の形式や管理手順,採点基準に差があるほか,ADAS-Cog評価者の訓練や経験に差があることなどが考えられるという。
 
同部長らは,ある臨床試験の関係者会議に参加していた評価者26人(65%がこれまでに7件以上の試験に参加)を対象に,ADAS-Cogに関する正誤表に回答してもらった。
正誤表は,各臨床試験説明時にADAS-Cogについてどのように指導されたかを問う内容であった。
ばらつきに関しては測定者内変動における差で示した。
 
その結果,患者との一次面接の内容にばらつきが認められた(19.2%)ほか,単語試験の制限時間で最大のばらつき(73%)が見られた。
また,各臨床試験時の指導内容にもばらつきが見られた。
 
同部長らは「評価者の教育や訓練,検査にかける時間にばらつきがあるため,評価者の経験の差や評価にかける時間の差が生じたことが問題の根幹となっている。
さらに問題なのは,この評価尺度が現在,文化背景の異なる世界各国で使用されており,活用方法が一貫していないことである」と指摘している。
 
そのほか,教材名,文字カードデッキ,指導マニュアル,作業票などの質にも大きな幅があり,これらはすべてアウトカムの差に影響を及ぼすものと考えられる。
 
同部長は「ADAS-CogはADの評価スケールのゴールドスタンダードとされており,臨床試験においてADの中心症状の変化を評価する際にも使用されていることから,確固たる基準が求められる。臨床評価や検査に携わる者は,統一性を持って正確に評価や検査を行うことが重要だ」と述べている。

出典 Medical Tribune 2009.3.26 (一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社


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野間仁根  日の出 瀬戸内海
http://www.oida-art.com/buy/detail/6182.html


<追加編> 2009.4.22追加
■大日本住友製薬は4月17日、日本、米国、欧州で開発中だった認知症治療剤「AC―3933」の開発の継続を断念すると発表した。

AC-3933は、脳内アセチルコリン量を増加させることで記憶障害を改善する塩酸ドネペジル(商品名:アリセプト)とは作用機序がまったく異なり、グルタミン酸神経系を活性化させることで認知症の中核症状である記憶障害の改善が期待されていた。

発売されればアリセプトに続く国内メーカーによる経口アルツハイマー病治療剤として注目が集まっていたが、同社によるとアメリカで実施した臨床試験が想定していた基準を達成できなかったという。
http://www.caremanagement.jp/news+article.storyid+4186.htm

アルツハイマーの治療薬、「海馬」神経細胞を再生
認知症の一種、アルツハイマー病の代表的な治療薬「アリセプト」が、認知機能をつかさどる脳の「海馬」の神経細胞を再生させることを、名古屋市立大のグループがマウスを使った実験で突き止めた。
認知機能の低下を防ぐメカニズムを持つことが分かったことで、発症予防や新薬の開発につながる可能性がある。

同大大学院医学研究科の岡嶋研二教授、原田直明准教授らのグループで、研究成果は米薬理学会誌(電子版)に掲載された。

正常なマウスに4週間、アリセプトを餌に混ぜて与え、海馬を調べると、細胞増殖を促進するタンパク質「IGF-1(ローマ数字の1)」が増え、海馬の神経細胞も約1・7倍に増加。さらに胃や腸の知覚神経を培養し、アリセプトを加えたところ伝達物質が放出された。
このことから、アリセプトが消化管の知覚神経に作用して信号が脳に伝わり「IGF-1」が作られたことが分かった。

他のアルツハイマー病治療薬ではこのような効果がなかった。

アリセプトは、アルツハイマー病の進行を抑制する効果があるとされる。
脳の信号の伝達に必要な神経刺激物質「アセチルコリン」を分解する酵素を阻害することで、アセチルコリンが刺激する神経の数が増えると説明されてきた。

岡嶋教授らは以前、マウスの実験で、トウガラシなどに含まれる「カプサイシン」による消化管の知覚神経への刺激が海馬に伝わり、神経細胞の再生を起こすことを解明した。

アルツハイマー病治療に詳しい浴風会病院(東京都)須貝佑一・精神科診療部長のコメント…海馬の神経細胞を再生するという研究結果は新しい知見で評価できる。
ただ人にも当てはまるかどうかは、さらに研究が必要だ。
また、アリセプトは既に軽度の認知症患者にも投薬されているが、効果が出たり出なかったりしている。予防薬としての利用は今後も検討が必要だ。
http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2009041102000140.html
中日新聞・朝刊 2009.4.11


他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21〜 http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科関係の専門的な内容)

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by wellfrog3 | 2009-04-14 00:34 | 認知症

コーヒー摂取と認知症

中年期のコーヒー摂取で晩年の認知症リスク低減
カロリンスカ研究所(ストックホルム)とクオピオ大学(フィンランド・クオピオ)のMiia Kivipelto准教授らは,中年期におけるコーヒーの摂取が高齢期における認知症またはアルツハイマー病(AD)リスクを減少させる可能性があることが明らかになったとJournal of Alzheimer's Disease(2009; 16: 85-91)に発表した。

1日3〜5杯でリスク65%減
今回の住民ベースのFinnish Cardiovascular Risk Factors,Aging and Dementia(CAIDE)研究は,カロリンスカ研究所とフィンランド国立公衆衛生研究所(KTL,フィンランド・ヘルシンキ)の協力を 得てクオピオ大学で実施されたもの。
 
CAIDE研究には,1972,77,82,87年(中年期の調査)にノースカレリア・プロジェクトとFINMONICA研究の対象となった住民ベースのコホートの生存者が参加している。
21年間の平均フォローアップ期間が経過した88年に,65〜79歳の1,409例(71%)が再調査を完了した。その結果,計61例が認知症(うち48例はAD)であることが判明した。
 
筆頭研究者のKivipelto准教授は「この研究の目的は,中年期のコーヒー・紅茶の摂取と高齢期の認知症やADリスクの関連性を解明することであった。
カフェインが中枢神経系に及ぼす長期的な影響はいまだに解明されておらず,ADに至る病理学的過程は,ADの臨床徴候が発現する数十年前から始まっている可能性があるからだ」と述べている。
 
中年期の調査では,正当性が立証されている半定量的な食物頻度アンケートを使用して被験者のコーヒーと紅茶の摂取量を評価した。
コーヒーの摂取は,
(1)1日当たり0〜2杯(低レベル)
(2)同3〜5杯(中レベル)
(3)同5杯超(高レベル)
−の3群に分類した。
紅茶の摂取に関する質問では,
(1)非摂取群(0杯/日)
(2)摂取群(1杯以上/日)
−に2分割した。
 
その結果,中年期にある程度のコーヒーを摂取していた者では,コーヒーの摂取量がゼロまたは非常に少なかった者と比べて,高齢期における認知症またはADリスクが低いことが明らかになった。
これらの疾患リスクが最も低かった(65%減)のは,中レベルのコーヒー摂取者(3〜5杯/日)であった。
この結果は,さまざまな交絡因子の調整後も変わらなかった。

紅茶との関連性は認められず
一方,被験者における紅茶の摂取量は比較的少なく,紅茶の摂取と認知症またはADリスクとの関連性は認められなかった。
 
Kivipelto准教授は「コーヒーが世界中で大量に摂取されている現状を考えると,今回の結果は認知症またはADの予防または遅延に重要な意義を有する可能性がある。われわれの知見は別の研究によって追認される必要があるが,食事指導を行うことで認知症とADリスクが修正される可能性があることが示された。また,認知症とADに対するコーヒーの保護作用の機序が解明されれば,これらの疾患の新しい治療法の開発に役立つだろう」と述べている。

出典 Medical Tribune 2009.2.19 (一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社
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by wellfrog3 | 2009-03-28 00:10 | 認知症

インスリンがアルツハイマー病を防ぐ

糖尿病とアルツハイマー病の関連については、以前からもいわれています。


糖尿病がアルツハイマー病の前駆症状を招く可能性
ttp://www.healthdayjapan.com/index.php?option=com_content&task=view&id=197

糖尿病だとアルツハイマー発症4.6倍
http://plaza.rakuten.co.jp/gnetoffice/diary/200709030000/

中年期での糖尿病発症はアルツハイマー病のリスクを高める
http://www.dm-net.co.jp/healthdayjapan/2008/04/09.html

糖尿病からアルツハイマー病!
http://iron.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_1465.html

糖尿病の人々はアルツハイマー病へ通じる記憶力の低下の危険性が高い
http://www.rda.co.jp/topics/topics2642.html

きょうの論文は、インスリンとインスリン抵抗性改善薬がアルツハイマー病の記憶力低下を遅らせたり、予防する効果があるという内容です。




インスリンによって、アルツハイマー病による記憶力低下を遅らせたり、予防したりできる可能性のあることが、米ノースウエスタン大学(イリノイ州)のチームが率いる研究で明らかにされた。

■著者の1人で、同大学認知神経学アルツハイマー病センターのWilliam L. Klein氏は「インスリン感受性は加齢とともに低下し、このことがアルツハイマー病の新たな危険因子(リスクファクター)となる。
今回の結果から、インスリンシグナル伝達を高めればニューロンの損傷を保護できることが示された」と述べている。

■この知見は、アルツハイマー病を糖尿病の一種とする考え方に最新のエビデンス(科学的根拠)を補強するもので、米国科学アカデミー発行の「Proceedings of the National Academy of Sciences (PNAS)」オンライン版に2月2日掲載された。

■今回の研究では、インスリンおよびrosiglitazoneロシグリタゾン(商品名:Avandia、日本国内では未承認、2型糖尿病治療に用いられるインスリン抵抗性改善薬)が、脳の重要な記憶中枢である海馬から採取したニューロンを、アミロイドβ由来拡散性リガンド(ADDL)から保護することが明らかにされた。
ADDLは、記憶を形成するシナプスを攻撃、阻害し、記憶低下を引き起こすことで知られる蛋白(たんぱく)で、アルツハイマー病に関与していることがわかっている。

■「糖尿病治療薬がシナプスをADDLから保護するという今回の発見は、アルツハイマー病による記憶障害の治療に新たな期待をもたらすものだ」と、筆頭著者のブラジル、リオデジャネイロ連邦大学准教授(ノースウェスタン大学客員教授)のFernanda G. De Felice氏は述べている。
同研究グループは、最近の関連研究で、ADDLが結合したニューロンのインスリン受容体を取り去ることによりインスリン抵抗性を引き起こすことを突き止めている。

Health Day News 2009.2.3

Care Net.com 2009.2.13
http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=7463


<ロシグリタゾン 関連サイト>
心筋梗塞のリスクと心血管死亡に対するロシグリタゾンの影響
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/356/356jun/xf356-24-2457.htm

「アルツハイマー病治療薬ロシグリタゾンについて」
http://www.drugsinfo.jp/2008/03/04-234015

ロシグリタゾンの黒枠警告に心筋虚血リスク追加
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200711/504845.html

高齢の糖尿病患者へのロシグリタゾン投与は心疾患リスクを高める
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/jama/200801/505305.html


<インスリン 関連サイト>
糖尿病者はアルツハイマーに?
http://allabout.co.jp/health/diabetes/closeup/CU20040322A/

神経変性は「脳の糖尿病」 インスリン異常がアルツハイマー病などに関連しているらしい
http://www.asyura2.com/08/health14/msg/152.html

糖尿病薬がアルツハイマー病にも効果!?
http://allabout.co.jp/health/diabetes/closeup/CU20070509A/

<番外編>
中年期のコーヒー摂取が認知症やADの発症に予防的に作用
中年期のコーヒー摂取がその後の認知症やアルツハイマー病(AD)の発症に予防的に作用する可能性があることを示すデータが,フィンランドのグループによりJournal of Alzheimer's Disease の1月号に発表された。
 
■カフェインには中枢神経系への刺激作用があるが,認知機能に対するカフェインの長期的な影響は明らかではない。
同グループは,中年期のコーヒー,紅茶の摂取と老年期の認知症,ADのリスクとの関係を検討した。
 
■この研究の参加者は,中年者を対象に1970年代と80年代に行われた2件のコホート調査の生存者からランダムに選択された。平均21年間の追跡後,65〜79歳の1,409例が1998年に再検査を終了した。
 
■61例に認知症が確認された(うち48例がAD)。人口統計学的因子,生活様式,血管因子,アポリポ蛋白Eε4対立遺伝子,抑うつ症状を調整後,中年期にコーヒーを摂取していた群はコーヒーを全く飲まないか,ごくたまにしか飲まない群と比べ,老年期の認知症とADの発症リスクが低かった。
コーヒーを1日に3〜5杯飲む群で,最大のリスク低下(65%の低下)が認められた。
 
■紅茶の摂取は少なく,認知症やADとの関係は見られなかった。
<原著>
Eskelinen MH, et al. J Alzheimer's Dis 2009; 16: 85-91.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/sites/entrez/19158424
出典 Medical Tribune2009.2.19
版権 メディカル・トリビューン社

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~ http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科関係の専門的な内容)

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by wellfrog3 | 2009-02-22 00:05 | 認知症