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カテゴリ:眼科( 2 )

眼底写真で見ているものは?  正常眼圧緑内障

内科開業医として無散瞳眼底検査を行っています。
そんなに多くの眼底検査を行っているわけではありませんが、そろそろ器械の買い替えを考えていました。

器械の調子には何の問題もないのですが、ポラロイド写真が製造中止になって、写真の在庫がついた時点で検査ができなくなってしまうという理由からです。

以下の記事を読んで、買い替えは止めて今後は眼科へ紹介しようかなと考えてしまいました。


眼底写真で見ているものは?

「最近、車を運転していて信号が一瞬見えなくなるときがあるんです」。
これが、眼科初診の患者の主訴だった。

矯正視力は1.2あり、眼圧は正常範囲であったが、未散瞳の眼底検査で見た視神経乳頭に緑内障性の変化があると判断し、視野検査にて正常眼圧緑内障と診断がついた。
既に片眼は視野の半分が欠損している進行例であったが、その診断に本人は納得いかない様子である。

「緑内障って眼底写真で分かるんですよねえ? 私はこの十数年、ドックで眼底写真を撮ってもらっているんですが…」。
よくよく話を聞くと、その眼底写真を内科の主治医がチェックしていたらしい。

未散瞳眼底写真は簡単に撮ることができるため、内科診療所でも行っているところが多い。
この患者の主治医も「内科で見る眼底写真だから、高血圧や動脈硬化による血管変化を主に気をつければよい」という判断だったのだろう。
それも1つの考え方なのだろうが、そこに見えているはずの異常をそのままにして、「異常なし」とする検診でよいだろうか。
眼科医としては、大いに気になるところである。
眼科医であれば、眼底写真を見る際に、緑内障の早期発見のために視神経乳頭も当然チェックしている。

正常眼圧緑内障の有病率は、40歳以上の日本人の16〜17人に1人という高さである。
100人の眼底写真を撮れば、5〜6人は眼科の受診を勧めているはずだが、それだけのスクリーニングはできているだろうか?

眼科医であっても、ポラロイド写真では視神経乳頭の状態が分かりにくかったり、最近のデジタル画像も画質がいまひとつのことがあったりして、判定に悩むことがある。
症例によっても、眼底写真だけで正常・異常を判定しにくい場合がある。
そのような場合でも、眼科ならば、散瞳眼底検査と視野検査で確認ができるが、他科の場合は難しいだろう。
「正常でない」写真を「疑い」として広く検診で拾い出し、眼科へ紹介できることが大事である。

眼底写真を撮って「はい。大丈夫ですよ」と患者さんに告げた場合、何が大丈夫なのか、医師と患者で互いの理解が異なることもある。
たまたま眼科を受診した糖尿病の患者さんに、「眼底検査を受けているか」と確認すると、「ええ。内科で」と返事が返ってくることがある。
患者さんは「眼底写真」=「眼底検査」と思っているが、眼底写真、それも未散瞳で撮影したもので見えているのは眼底のほんの一部である。

糖尿病網膜症は網膜周辺部から始まることも多く、眼底写真だけでは初期病変の発見は難しい場合がある。
微細な変化が写真には写らないこともあり、眼科医でなければ診察ができない。

未散瞳の眼底写真で何を見るか。撮影機器を購入あるいは新しくする際に、その目的と限界を一度考えてみてほしい。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/ishioka/200710/504314.html
2007. 10. 10

<コメント>
■未散瞳眼底写真は簡単に撮ることができるため、内科診療所でも行っているところが多い。
■そこに見えているはずの異常をそのままにして、「異常なし」とする検診でよいだろうか。
■ポラロイド写真では視神経乳頭の状態が分かりにくかったり、最近のデジタル画像も画質がいまひとつのことがあったりして、判定に悩むことがある。
■「正常でない」写真を「疑い」として広く検診で拾い出し、眼科へ紹介できることが大事である。
■未散瞳で撮影したもので見えているのは眼底のほんの一部である。

眼底検査をやっている内科医には、いずれも耳が痛い指摘です。


<新型インフルエンザ 関連サイト>
新型用8割で死亡者最少に 来年度ワクチン製造で試算
来年度のインフルエンザワクチンは、製造量全体の約8割を新型インフルエンザ用に、残りを季節性インフルエンザ用に配分すると、全体の死亡者数を最少に抑えられるとする試算を東京大生産技術研究所の合原一幸(あいはら・かずゆき)教授とオランダ・ユトレヒト大の西浦博(にしうら・ひろし)研究員らのチームがまとめ、10日公表した。

チームによると、インフルエンザワクチンは国内の年間最大製造量が5千万人分程度と上限があるため、季節性用と新型用の配分をどうするかが課題となる。

チームは、季節性と新型の感染力や病原性の違いなど疫学的な特徴を基に、数理モデルを使ってワクチンの最適な製造配分を計算した。
すると、年間最大製造量5千万人分の82・2%を新型用に配分することで、死亡者を最少に抑えられるという結果が出た。

本年度の流行シーズンに向けては、季節性用のワクチン約4千万人分を確保した上で、今月以降、新型用の製造に順次切り替える方針を厚生労働省が決定している。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/07/10/104019/?Mg=a369958112209ca12d4f4383dc1d2120&Eml=31ef79e7aaf65fca34f0f116a57fd65d&F=h&portalId=mailmag
共同通信社 2009.7.10


新型インフル、肺で増殖しやすく 東大など解明
豚インフルエンザから変異した新型インフルエンザのウイルスは、毎冬流行する季節性インフルエンザに比べて肺で増えやすいことを、東京大などのチームがサルの実験で突き止めた。海外で健康な若者に重症例が出ている原因とみられる。
一方、新型インフルエンザに免疫をもつ高齢者は90歳代以上に集中することも日本人の血液分析で分かった。
 
東大の河岡義裕教授らと滋賀医科大、新潟大などの共同チームが突き止め、英科学誌ネイチャー(電子版)に13日発表した。
 
研究チームはカニクイザルに新型インフルエンザウイルスを感染させ、呼吸器でどう増えるか観察。
Aソ連型の季節性のウイルスは鼻などで増殖したが、肺の奥深くではほとんど増えなかった。
これに対し新型ウイルスは肺のあらゆる部分でよく増え、季節性の1000倍程度増えやすいことが分かった。
http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090714AT1G1303L13072009.html
NIKKEI NET

(以下、「日経新聞・2009.7.14 朝刊」より 追加)
新型インフルエンザは糖尿病など基礎疾患があると重症化しやすいが、海外では基礎疾患のない若者にも重症例が出ている。
ウイルスが肺で増えやすいことがその原因と考えられるという。
一方、日本人の血液216人分で新型ウイルスへの免疫があるかを調査。
高齢者の一部に免疫が確認され、特に1918年以前に生まれた90歳以上に集中していた。
新型インフルエンザが同年に発生したスペイン風邪に似ている可能性を示唆している。

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by wellfrog3 | 2009-07-16 00:31 | 眼科

多焦点眼内レンズの満足度

きょうは内科から少しはずれて眼科の話題で勉強しました。
内科医は、内科以外の病気の相談を受けることがしばしばあります。
整形外科的な悩みをお持ちの方も多いのですが、白内障についての相談などは、最も多い相談の一つです。

視力や聴力は加齢とともに確実に衰えていきます。
すこしでもまともな間に絵画や音楽を楽しんでおきたいものです。

生理的白内障は誰でも避けて通れないことです。
わが身のためにも内科医として、白内障になったときにはどんなレンズを入れてもらうかをシュミレーションしておくのも無駄ではないかも知れません。

まずは体験記の紹介からです。
若干の省略と変更があります。

眼科医の母の多焦点眼内レンズ体験記  多焦点眼内レンズの満足度はいまひとつか?
レーザーで虹彩切開より白内障手術
遠視(プラス3程度)の75歳の母は、語学学習が趣味で、板書と手元そして辞書を見る、という作業が多く、眼鏡処方でいつも苦労していました。

母は65歳ごろから白内障が軽く出始め、視力が不安定になり、ついに手術を決断しました。
軽い糖尿病もあり、定期的な散瞳検査が必要なのですが、遠視眼でやや隅角が狭く、このまま白内障が進むとますます隅角が狭くなる可能性がありました。
こういう眼で白内障がある場合には、レーザーで虹彩切開を行うより白内障手術を早めにする、という考え方があります。

いわゆる遠近両用の眼内レンズ、多焦点眼内レンズを入れてもらおうと、東京歯科大水道橋病院で手術を頼むことにしました。
主治医は、老眼のある白内障患者には、積極的に多焦点眼内レンズを勧めていらっしゃいます。
この病院での手術は日帰り手術となります。

痛さよりも「とにかく忙しかった」日帰り手術
手術当日。
手術予定の1時間前には待機していましたが、実際にオペ室にいたのは5分足らず。
着替えて待っている時間の方が長く感じたそうです。

当日の感想を母に聞くと、まず第一に「とにかく忙しかった」とのこと。
術衣に着替えた後は、鼻をかむ暇もないほどの忙しさだったようです。
ともあれ、「痛い」よりも「忙しい」という感想が出るということは、白内障の手術がほとんど痛さやつらさを感じさせない手術である、ということがよく分かると思います。

母の場合、術後に眼圧が上がり、診察回数が増えたことや、内服が追加になったことがストレスで、母は「日帰りでなく入院した方が良かった」と後悔。
また両眼手術をする場合には、別の日に行うのが原則なので、左眼と右眼の手術が1週間空いて不自由があったのがいまひとつのようでした。
度数が術後に変わる眼の場合には、あまり左右の手術の間隔を空けないようにはしますが、1週間でもつらいようです。

仕事の都合で長期に休めないような人にとっては日帰りで手術ができるメリットは大きいですが、母のような専業主婦やリタイアした人で、時間に余裕がある場合、日帰り手術のメリットはあまり感じてもらえないようです。

「見え方と折り合いが付かない」不満を漏らす
手術後に見え方が落ち着くまでに、半年から1年くらいかかる方もいるようで、個人差が大きいとも聞いています。

多焦点眼内レンズは“夢の手術”というより、“いままでの眼内レンズより便利”ぐらいに説明した方がよいのだと思いました。

手術にかかった費用は64万円(施設により異なります)。

保険が適用される単焦点眼内レンズの場合、術後に眼鏡が必要となりますが、それが苦にならないのであれば、多焦点眼内レンズを勧めなくてもいいのかもしれません。
このことは、術前に眼科医と患者さんがしっかりと話し合うべきことだと改めて思いました。

20年で大きく変わった白内障手術
私が医者になった1990年ころは、白内障手術は嚢外摘出術で行われ、切開創も大きく入院手術が必要でした。
それが20年を経て、手術時間が短縮され、日帰りが可能になり、術後も充血がほとんどなく、おまけに遠近両用眼内レンズ——眼科領域は白内障手術に限らず、ものすごい勢いで進歩しています。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/series/ishioka/200906/511285_2.html


<関連サイト>
白内障の眼内レンズ
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/medi/saisin/20080502-OYT8T00481.htm
読売新聞 2008.5.2
■遠くも近くも見やすいのが、多焦点眼内レンズだ。従来の製品は、夜の街灯や車のライトをまぶしく感じる欠点があったが、厚生労働省が昨年(2007年)5~6月に承認した2種類のレンズでは、そうした欠点も改善されたという。
■多焦点レンズは、形状によって屈折型と回折型に分かれる。承認された2種類のうち、スイスのメーカーが作った「レストア」は回折型で、30センチ先と2~5メートル先の遠近2か所にピントが合うため、読書や車の運転をよくする人に適している。
米国製の「リズーム」は屈折型で、40センチ~1メートル先の中間領域にピントが合いやすく、パソコン作業の多い人向きだ。
■正常な水晶体と異なり、すべての距離でピントが合うわけではない。
さらに角膜や網膜に病気のある場合、視力の回復は必ずしも十分ではなく、くっきり感(コントラスト)がやや低下する。
■製品の本格発売は今年(2008年)に入ってからで、症例数の多い医療機関はまだ少ない。保険がきかないため自費診療となり、両眼で90万~120万円かかる。

白内障手術  多焦点眼内レンズ
http://www.fujitaec.or.jp/multifocus/index.html

白内障・多焦点眼内レンズ
http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy/14282099.html
多焦点眼内レンズ(IOL)を用いた白内障手術
http://www.jikei.ac.jp/ophthalmology/iol/index.html#a04

多焦点眼内レンズ
http://www.otsuka-ganka.com/menoshikumi/2-1.htm

多焦点眼内レンズによる手術
http://www.nakamura-eye-clinic.com/iol.html


<番外編>
世界一薄い、ナノばんそうこう 厚さラップの1000分の1
厚さがラップの1000分の1程度と世界一薄いシート型の「ナノばんそうこう」を、早稲田大、防衛医科大などの研究チームがカニの甲羅などに含まれる成分を使って作成した。
柔軟で傷口との密着性が高い一方、シートの裏側は他の組織と癒着しにくい特徴がある。
使用後は自然に体内で分解されるという。今後、医療への応用が期待されている。

◇臓器の止血など活用期待
肺などの柔らかい臓器が損傷した場合、通常は止血や組織の結合に使われる医療用接着剤などが用いられる。
しかし、接着剤で別の部分と癒着して合併症を起こし、再手術するケースもあった。

研究チームはカニの甲羅に含まれ、人工皮膚などに使われる「キトサン」、昆布のぬめり成分「アルギン酸ナトリウム」を使い、30~1500ナノ(ナノは10億分の1)メートルの透明な薄膜シートを作った。
さまざまな厚さで密着性を調べた結果、200ナノメートルより薄くなるほど密着性が高まることが分かった。

厚さ75ナノメートル、2センチ四方のシートを犬の肺の傷口(直径6ミリ)に張り付ける実験では、従来の接着剤を配合したシートと同程度の強度が得られ、呼吸による空気圧に耐えられた。
組織癒着も起こらず、1カ月後には傷跡は見えなくなった。

武岡真司・早大教授(高分子化学)は「今後、3年後の実用化を目指して詳細な安全性評価を行う。
使う成分も極めて微量であり、懸念はないと考えている。
腸など他の臓器への応用や、乳がん手術の縫合後に張り付けて傷跡が残らないようにする活用の仕方を研究したい」と話している。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/07/07/103769/
2009年7月7日 提供:毎日新聞社


<番外編>
青い光当て脊髄損傷回復 名古屋市大が発見
損傷したラットの脊髄神経細胞に青い光を当てると、細胞の成長を促すタンパク質が増えて損傷部分が回復することを、名古屋市立大大学院医学研究科の岡嶋研二教授と原田直明准教授(ともに血液学)が発見した。
「運動まひや認知症などの治療への応用が期待できる」(岡嶋教授)という。
9月に名古屋市で開かれる日本神経科学大会で発表する。

ラット10匹の脊髄を傷付け、うち5匹に波長470ナノメートル(ナノは10億分の1)の青い光を毎日20分間、3週間にわたり当て続けたところ、歩行可能なレベルまで回復。光を当てなかった残る5匹はまひしたままだった。

何もしないラットに比べ、光を当てたラットの神経細胞はサイズが大きくなっており、細胞を分析すると、成長を促すタンパク質「インスリン様成長因子1(IGF1)」が約1・7倍増えていることが判明。

岡嶋教授らは、青い光の刺激でIGF1が増えたため細胞死が抑制された一方、幹細胞の分化や若い細胞の成長が促されたと結論付けた。

岡嶋教授は、体の一部としてもともとある細胞の成長を促す今回の方法は「移植より安全な治療法につながる可能性がある」としている。

http://www.47news.jp/CN/200907/CN2009071201000414.html

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by wellfrog3 | 2009-07-15 00:29 | 眼科