カテゴリ:糖尿病( 64 )

リラグルチド

#リラグルチド エキセナチドからの切り替えは有効
ノボ ノルディスクファーマは10月6日、2型糖尿病治療薬のエキセナチド10μg1日2回投与からリラグルチド1.8mg1日1回投与に切り替えると、血糖コントロールが向上すると発表した。GLP-1受容体作動薬のエキセナチドとリラグルチドの効果と安全性を直接比較した「LEAD-6」試験の延長試験の結果から分かった。

「LEAD-6」試験は、経口糖尿病治療薬のメトホルミン、またはSU薬の単独あるいは併用療法を行っても十分治療効果が得られなかった患者を対象に、リラグルチドまたはエキセナチドを26週間追加投与し、有効性と安全性を検討したもの。

延長試験は、この試験を終了した患者389人を対象に実施。すべての患者に、14週間リラグルチドを投与した。
その結果、エキセナチドからリラグルチドに切り替えた186人では、HbA1c値が、エキセナチド投与26週時点の7.2%から平均0.3%減少。
2型糖尿病治療の課題とされる体重も、0.9kg減少したほか、収縮期血圧も低下した。
なお、リラグルチドを継続投与した200人では、HbA1c値は、26週時点の7.0%から平均0.1%減少したという。

一方、安全性については有害事象として多く報告されていた悪心の発現頻度も、治療開始数週間では12~17%だったものの、時間経過とともに減少。延長試験終了時には2%以下だったとしている。
http://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/38023/Default.aspx
出典 ミクスonline


#ノボノルディスク、10年にも日本で糖尿病薬発売
デンマークの製薬会社ノボノルディスクは、けいれんなどの副作用のリスクが少ない糖尿病治療薬を2010年にも日本で発売する。
血液中に糖が過剰にあるときにのみ作用するホルモンの働きを活用した。
血糖値を下げすぎる恐れが少なく低血糖による副作用が抑えられる。
 
新たな糖尿病薬「リラグルチド」は血糖が増えたときにだけ血糖を下げるインスリン分泌を促すホルモンと同じ働きを持つ。
従来の糖尿病薬は血糖値にかかわらずインスリン分泌を促してしまうため、血糖が異常に下がって頭痛や動悸、けいれんを引き起こしてしまうおそれがあった。
これまでの臨床試験では、インスリン分泌を促す既存薬に比べて血糖が以上に下がる症状が起きる頻度が少なかったとしてる。
今夏にはドイツや英国で販売を始めた。
出典 日経新聞・朝刊 2009.10.9
版権 日経新聞社
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by wellfrog3 | 2009-10-11 00:24 | 糖尿病

α-GI

##血糖降下薬αグルコシダーゼ阻害薬に新仮説
#副作用こそがイベント抑制効果の源
食後高血糖低下作用を特徴とする経口血糖降下薬として,日本でも15年以上臨床の場で使用されているαグルコシダーゼ阻害薬(α-GI)。
心血管イベントの抑制という点で他の糖尿病治療薬を凌駕する同薬だが,唯一の“アキレス腱”が腹部膨満感などの消化管副作用だった。
しかし,FEBS Letters(2009; 583: 2157-2159)に,その副作用こそが心血管イベント抑制効果の源であるとする新仮説が,日本医科大学老人病研究所の鈴木吉彦客員教授,慶應義塾大学再生医学の佐野元昭氏らの研究グループによって発表された。
同薬には腸内で水素ガスを発生させる作用があり,それは腹部膨満感として自覚されるが,一方では酸化ストレスを消去し,心血管系に有益な影響をもたらしている可能性があるという。

#なぜα-GIだけが心血管イベントを抑制するのか
鈴木客員教授は,今回の仮説を構築するに至った1つのきっかけについて「STOP-NIDDM試験などで示されたα-GIの心血管イベント抑制効果が何に由来するのかを明らかにしたかった」と述べている。
 
STOP-NIDDM試験は,糖尿病の治療が心血管イベントの抑制にもつながることを初めて示したランドマーク的な試験として知られる。
すなわち,α-GI製剤の1つアカルボースを境界型糖尿病(IGT)例に投与したところ,糖尿病の発症を25%抑制しただけでなく,心血管イベントの発生をも49%抑制した(JAMA 2003; 290: 486-494)。
その後に発表された7件の長期試験を解析したメタアナリシスでも,アカルボースは2型糖尿病患者において心筋梗塞のリスクを低減させている(Eur Heart J 2004; 25: 10-16)。
 
このようなα-GIによる心血管イベント抑制効果は普通,食後高血糖を改善するためだと理解されている。
STOP-NIDDM試験が発表された 1990年代後半は,DECODE試験などによって,心血管イベント発生における食後高血糖の意義が疫学的に解明されるようになった時期でもある。
食後高血糖が心血管イベントの危険因子であるなら,食後高血糖を改善すれば,心血管イベントは抑制されるはず−この理解は現在に至るまで,広く支持されていると言えるだろう。
 
しかし,同客員教授はこの常識に疑問を投げかける。
「食後高血糖を改善することで心血管イベントが本当に抑制されるのなら,α-GI以外の糖尿病治療薬では,臨床試験においてなぜ明確な心血管イベント抑制効果が示されていないのか」。
食後高血糖の抑制を特徴とするという意味では,グリニド薬や超速効型インスリン製剤もα-GIと同タイプの薬剤と位置付けられるが,これまでのところ,それらの薬剤にはα-GIほど確実なエビデンスは得られていないというのが同客員教授の見方だ。


#生体における水素ガスの認識が一変
今回の仮説発表に至ったもう1つの背景には,近年の研究によって生体における水素ガスの意義が一変しつつあることが挙げられる。
鈴木客員教授によると,水素ガスは生体ではほとんどが腸管(特に大腸)で生成されるが,これまでそれは消化管機能障害の指標として捉えられてきたという。
水素ガスが発生するのは,消化機能が低下した病的な状態だと理解されてきたわけである。
 
また,α-GI投与時に腸管で水素ガスが発生することも明らかにされているが,それもα-GIの副作用である腹部膨満感と関連して理解されてきた。
すなわち,α-GIが炭水化物の消化・吸収を遅延させる作用によって,未消化の炭水化物が大腸に流入し,腸管内細菌によって発酵された結果,水素ガスが発生し,腹部膨満感と自覚されるとしている。
 
このようななか,鈴木客員教授の所属する日本医科大学老人病研究所では最近,水素ガスに細胞を活性酸素種から保護する新規抗酸化物質としての機能を見出している。
一方,慶應義塾大学再生医学教室では,虚血後再灌流モデル動物に水素ガスを吸入させると,水素ガスは循環血中に速やかに移行して虚血部位に到達,心筋梗塞を予防することを明らかにしている。

#臨床に多大な影響
このような新知見を踏まえ,鈴木客員教授らは今回,新たに,α-GIのヒトへの投与で水素ガスが十分に発生するかどうかを検証した。
 
11例の健康ボランティアを対象にアカルボース300mg/日(100mg×3回)を4日間にわたり投与し,呼気中のガス濃度を測定した。
試験期間中,食事は自由に摂取させ,ガス濃度の測定は試験前後とも早朝,昼食前,昼食2時間後,就寝前に行った。
なお,呼気中の水素ガス濃度は腸管内の水素ガス濃度とよく相関することがわかっている。
 
その結果,水素ガス濃度は試験前(アカルボース投与前)に比べ,試験後(アカルボース投与後)で有意に増加していたが,メタンガス濃度には試験前後で有意な変化は認められなかった(図)。

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なお,同客員教授によると,同様の水素ガス増加現象は他のα-GI製剤(ボグリボース,ミグリトール)でも認められ,長期服薬でも確認されているという。

同客員教授は,今回提示したこの仮説が定説化されれば,臨床的に多大な影響をもたらすことを強調している。
具体的には,次のような可能性が展望できるという。
 (1)腹部膨満感や下痢でα-GIの服用を中断していた糖尿病患者が服用を再開するようになる
 (2)α-GIの中断例が減少する
 (3)心筋梗塞予備軍や心筋梗塞再発予防にα-GIが処方され,循環器分野にも処方が広がる
 (4)IGTに対しアカルボースは全世界25か国以上で適応を得ており,日本でもボグリボースが適応申請  を行っている。
  今回の仮説は,申請を後押しする理論となる
 (5)最近,米食品医薬品局(FDA)が糖尿病新薬開発において心血管イベント抑制を条件として提示し  ているが,新薬開発上での「合剤」としてはメトホルミンよりα-GIのほうが有利と判断され,製薬  企業の開発戦略図が変わりうる
 (6)将来は,ミトコンドリア脳筋症(あるいはミトコンドリア糖尿病)など各種難病の発病進展予防,  酸化ストレスに関連した糖尿病神経障害の治療にもα-GIが役立つ可能性がある
  多くの研究者によって,新仮説が検証されることが期待される。

出典 MT pro 2009.10.1
版権 メディカル・トリビュ−ン社
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by wellfrog3 | 2009-10-08 00:50 | 糖尿病

ホワイトホールII研究

北里研究所病院糖尿病センター 山田 悟先生の書かれた記事で勉強しました。


見事に提示された糖尿病発症に至る自然史
英国のホワイトホールII研究から

研究の背景:自然史を十分に解明した研究はなかった
2型糖尿病は,遺伝的素因のもとに,インスリン抵抗性の増大が先行して生じ,その後に生じるインスリン分泌不全によってインスリン抵抗性を代償し切れなくなって発症すると考えられている。
しかし,その自然史を十分に解明した研究はなかったと言えよう。
そのようななか,英国の公務員を対象にした前向き観察研究であるホワイトホールII研究が,かなり見事にその自然史を提示してきたのでご紹介したい(Lancet 2009; 373: 2215-2221)。

研究のポイント1:約6,500人の英国人の健診データを後ろ向きに解析
ホワイトホール研究は1967年に始められた英国の公務員を対象とした観察研究であり,英国版フラミンガム研究とも言えるものである。
この研究では,既知の心血管リスク以外に社会階層(上級公務員と下級公務員の差)が死亡率に影響を与えているという興味深い知見をもたらしたのであるが,さらに心血管イベント発生のメカニズムを解明する目的で開始されたのがホワイトホールII研究である。
この研究では,下記のようなスケジュールで糖尿病についての検討(フォローアップ)がなされた。

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当初(第3期)から明らかな糖尿病であった者やHOMA(ホメオスタシス・モデル・アセスメント)の解析に適さない検体を除外するなどして,最終的に6,538人(男性4,642人,女性1,896人,91%が白人)の糖尿病未発症者の血糖やインスリンについての自然経過が解析された。
フォローアップ期間中に505人の糖尿病発症が確認され,この505人(糖尿病診断時期を0年とする)と非発症者(直近のフォローアップを0年とする)とを後ろ向きに比較したのが今回の研究結果である。

研究のポイント2:OGTT2時間値の上昇が空腹時血糖値の上昇に先行
空腹時血糖値と経口糖負荷試験(OGTT)2時間値の推移を見ると,糖尿病の発症(未発症者は直近のフォローアップ時,以下同)にさかのぼること13年前から既に糖尿病発症者の血糖値は非発症者より高値であった(空腹時血糖値98.5mg/dL vs. 94.7mg/dL,OGTT2時間値109.8mg/dL vs. 92.0mg/dL,図1)。

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空腹時血糖値はいずれの群でも年を追うごとに上昇していたが,その上昇の勾配は糖尿病発症者で急峻であった(0.5mg/dL/年 vs. 0.07mg/dL/年)。
これに対してOGTT2時間値は両群とも同様の勾配で上昇していた(0.92mg/dL/年)。

しかし,この状況は糖尿病発症6年前から様相が変化しており,糖尿病発症者では,発症6年前からOGTT2時間値が急に140mg/dL弱まで上昇していた。
この上昇は発症2年前までもう一度平衡状態になっていたが,その後はもう一度急峻に上昇し糖尿病発症に至っていた。

空腹時血糖については,糖尿病発症2年前から様相が変化し,糖尿病発症2年前から急峻に上昇して糖尿病発症に至っていた。

研究のポイント3:インスリン感受性の低下がインスリン分泌障害に先行
こうした血糖値の変動の背景を検討するべくHOMAのデータ※を見てみると,糖尿病発症13年前から既に糖尿病発症者のインスリン感受性は非発症者より障害されており,代償的にインスリン分泌は亢進していた(図2)。

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インスリン感受性は両群とも同様に低下していたが,糖尿病発症5年前から糖尿病発症者のみインスリン感受性の低下が急峻になっていた。
これに応じるかのように,長らく両群とも一定に維持されていたインスリン分泌能は,糖尿病発症4年前から糖尿病発症者のみで急峻に上昇したが,2年前からは低下し始め,糖尿病発症の時点では既に非発症者よりも低くなっていた。

山田 悟先生の考察:2008年の空腹時血糖正常値の上限変更は妥当だった
既存の研究で仮説として言われていたことが,ほぼそのまま証明されたようなグラフになっている。

糖尿病非発症者でもインスリン感受性が徐々に低下し, OGTT2時間値が徐々に上昇することは,経年的な筋肉量の減少や体脂肪の増加によるものなのであろう。
しかし,これらの変化はある程度までインスリン分泌によって代償されるので,非発症者では血糖値の上昇はきわめてわずかに抑制されている。

これに対して,当初からインスリン感受性が低い糖尿病発症者では,発症6年前から追加分泌能が極端に悪くなりOGTT2時間値が上昇,その結果なのか,発症5年前からインスリン感受性の悪化が加速し,発症4年前から空腹時血糖の上昇を抑制するための空腹時インスリンの需要がきわめて高くなり,発症2年前にその負担にβ細胞が応じ切れなくなって糖尿病発症に至る,というストーリーのようである。

時に健診で血糖異常を指摘されて外来を受診される方がおられる。
この研究で明らかにされた発症までの経過を考えれば,空腹時血糖値やOGTT2時間値が異常というだけで,糖尿病発症の直前ということがわかるし,この時点で積極的な治療(生活習慣介入)を実施しなくては,糖尿病発症から逃れられないことは当然であろう。
OGTT2時間値が140mg/dL超というのは,糖尿病発症まで2年を切っている可能性があるのである。
ゆめゆめ経過観察などと判定してはならないわけである。

そのように考えると,昨年(2008年),日本糖尿病学会が空腹時血糖の正常基準を100mg/dL未満とし,100~109mg/dLを正常高値と区分し直したことには,一定の価値がありそうである。

※この研究におけるHOMA指数はHOMA2計算ソフト(無償でオックスフォード大学から得られる)によって計算される指標である。
 
一般に使用されるHOMA指数では,インスリン抵抗性をHOMA-R=〔空腹時血糖値(mg/dL)×空腹時インスリン値(μU/mL)/405〕で,インスリン分泌能をHOMA-β=〔空腹時インスリン値(μU/mL)×360/(空腹時血糖値(mg/dL)-63)〕で求めるので,手計算が可能である。
 
しかし,HOMA2はもっと複雑な系(インスリン分泌,糖代謝,プロインスリン分泌,糖の尿排泄)を取り込んだホメオスタシスモデルで,コンピュータでないと計算できないようである(Diabetes Care 1998; 21: 2191-2192)。
 
一般のHOMA指数では,血糖値81mg/dL,インスリン値5μU/mLだとHOMA-R 1.0,HOMA-β 100と正常値になるのであるが,このHOMA2計算ソフトにこの数値を打ち込むと,HOMA2-%S 157.6,HOMA2-%B 88.2という数値が得られる。どうやら正常値も異なるらしい

出典 MTpro 2009.9.24
版権 メディカル・トリビューン社


<関連記事>
糖尿病診断基準に新判定区分
空腹時血糖値100~109mg/dLを「正常高値」に
空腹時血糖値による糖尿病の診断基準に新たな判定区分が設けられることになった。
日本糖尿病学会が委員会報告としてホームページに掲載したところによると,これまで正常域としていた空腹時血糖値110mg/dL未満のうち,100~109mg/dLは「正常高値」とするのが適切だという。

http://www.jds.or.jp/jds_or_jp0/uploads/photos/354.pdf

同学会では空腹時血糖値で正常高値と判定された場合は,経口糖負荷試験(OGTT)による診断を行うことなどを推奨している。

正常域と境界域との閾値引き下げの是非は国際的にも議論続く状況
わが国の糖尿病の診断基準は1999年に日本糖尿病学会が改定したものが広く用いられてきた。
それによると,空腹時血糖値126mg/dL以上またはOGTT2時間値200mg/dL以上を「糖尿病域」,同様に110mg/dL未満または140mg/dL未満を「正常域」と規定したうえで,
(1)空腹時血糖値,OGTT2時間値のいずれかが糖尿病域の場合を「糖尿病型」,
(2)いずれも正常域の場合を「正常型」,
(3)糖尿病型にも正常型にも属さない場合を「境界型」と判定する。
 
なお,糖尿病と診断するためには,別の日に行った検査で糖尿病型が2回以上認められる場合,1回の検査で糖尿病型と判定され,かつ糖尿病の典型的症状,HbA1c6.5%以上,明らかな網膜症状のいずれかが認められる場合としている。

今回発表された「糖尿病・糖代謝異常に関する診断基準検討委員会報告」の骨子は,空腹時血糖値による判定区分「正常域」のうちの100~109mg/dLを「正常高値」と亜分類しようというものだ(図)。

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2003年以降,空腹時血糖値における正常域と境界域の閾値を引き下げることの是非が議論されてきた。米国糖尿病学会(ADA)の新基準,国際糖尿病連合(IDF)のメタボリックシンドロームに関する基準,米国コレステロール教育プログラムの成人治療パネル(NCEP-ATP III)の新基準では100mg/dL未満を正常域としたのに対し,European Diabetes Epidemiology Group(EDEG)は現時点では100mg/dL未満に引き下げる十分な根拠がないとして,変更を見送っている。
また,世界保健機関(WHO)もEDEGの立場を踏襲している。

正常高値者にはOGTTの実施を推奨
今回の委員会報告では,正常域と境界域との閾値を110mg/dLから100mg/dLに引き下げた場合のメリットとデメリットが整理されている。
 
それによると,メリットとしては,
(1)110mg/dL未満であっても,100mg/dL以上の場合は100mg/dL未満に比べ,糖尿病への移行率が高い,
(2)空腹時血糖値100~109mg/dLの者のうち25~40%がOGTT2時間値では境界型や糖尿病型と判定される,
(3)空腹時血糖値100 mg/dLはOGTT2時間値での境界型との閾値である140mg/dLにほぼ対応する
―などで,基準値引き下げにより糖尿病や糖尿病への移行リスクが高い者の見逃しを防止できることが要点だ。
一方,デメリットとしては,糖尿病に悪化するリスクがそれほど高くない者まで境界域と判定されることが挙げられている。

これらの点を踏まえ,委員会が示したのは「空腹時血糖値100~109mg/dLは正常域ではあるが,正常高値とする」という見解。
いわば,閾値引き下げに関する国際議論の中庸を取ったと見ることもできる。

委員会では正常高値と判定された場合は,OGTTを行って正常型,境界型,糖尿病型のいずれに判定されるかを確認することを推奨。
OGTTが行われるまでは個々の病態や経過に応じて適切な生活習慣や肥満の是正などを行うべきだと提案している。

出典 MTpro 2008.6.11
版権 メディカル・トリビューン社


<番外編> 
最近サクシンとサクシゾンを間違える医療ミスが取り上げられています。

ソルコーテフに過敏の患者もあり、喘息が悪化することは知られています。
そのことは添付文書にも掲載されています。
#ソルコーテフをショック症例に一律に使用するのは危険
ソルコーテフはコハク酸エステル型であり、サクシゾン、水溶性プレドニン、ソル・メドロールと同様、喘息の悪化を来すことがあり、特にアスピリン喘息には禁忌とされています。
また、ソルコーテフは防腐薬としてのパラベンが添加されており、水溶性ハイドロコートン、デカドロン、リンデロンと同様、静脈内投与で過敏反応がみられることが指摘されています。
したがって、緊急使用に際しては、リン酸エステル型でパラベンが添加されてなく、短時間作用型のものが最良と思われますが、残念ながらこの条件に合致するステロイド薬はありません。
 
また、ソルコーテフはコハク酸エステル型であり、かつパラベン含有でありますので、救急での使用ではパラベンを含有しないサクシゾンあるいはパラベン含有であってもリン酸エステル型(水溶性ハイドロコートン、デカドロン、リンデロン、など)がより安全と考えられますが、それぞれの過敏反応の頻度は不明であります。

出典 
社団法人日本化学療法学会:従来の抗菌薬投与に関連するアナフィラキシー対策のガイドラインQ&A
http://www.chemotherapy.or.jp/journal/reports/hinai_anaphylaxis_qa.html

<参考>
ソル・コーテフ投与による過敏反応(アナフィラキシーショックを含む)
http://pro-info.pfizer.co.jp/04_1_solu_cortef/faq.html



ソル・コーテフ注射用100mg
一般名:コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム注射用 メーカー:ファイザー
サクシゾン100(ジェネリック薬品) 
一般名:コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム注射用 メーカー:興和



<きょうの一曲> 枯葉Cannonball Adderley feat. Miles Davis " Autumn Leaves"
http://www.youtube.com/watch?v=PPHtQn1t1n4&feature=related

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by wellfrog3 | 2009-09-29 00:14 | 糖尿病

がん抑制遺伝子p53

##千葉大・小室一成氏ら糖尿病解明に新視点「がん抑制遺伝子p53」提示
#老化脂肪細胞で発現増強しインスリン抵抗性誘導
過剰なカロリー摂取で2型糖尿病様の病態を示すマウスの脂肪組織では,脂肪細胞が老化細胞に類似した変化を来し,がん抑制遺伝子として知られるp53の蛋白質発現が増強してインスリン抵抗性を誘導する。
千葉大学大学院(循環病態医科学)教授の小室一成氏らが,Nature Medicine 8月30日オンライン版で明らかにした。同グループは糖尿病を合併するヒトの脂肪組織でも同様の変化が生じていることを確認。
脂肪細胞の老化様変化が糖尿病の進展に重要な役割を持つことを初めて示した,注目すべき成果だ。

#p53はテロメア非依存・依存性にインスリン抵抗性を誘導
細胞老化のメカニズムとして最もよく知られているのは,染色体の両端のテロメア配列が細胞分裂のたびに短くなり,短縮の程度がある閾値を超えると細胞はそれ以上分裂不能となり,細胞老化あるいは細胞死を来すというものである。
一方,細胞老化は,テロメア依存性の細胞分裂の有限性とは関係なく,多様なストレス負荷によっても誘導されることが明らかになっており,その1つに酸化ストレスによる染色体の損傷が挙げられる。

遺伝的肥満マウス(Ayマウス)の脂肪組織では,活性酸素種の増加による酸化ストレスの増大がインスリン抵抗性のキー・メカニズムであると報告されている。
実際に,通常の食餌で20週間飼育したAyマウスの脂肪組織の活性酸素種は,野生型マウスより高値だった。
そこで小室氏らはまず,Ayマウスの脂肪組織で老化様変化が生じているかどうかを調べた。

Ayマウスの脂肪組織では,細胞老化のマーカーである老化関連βガラクトシダーゼ(SA-β-gal)陽性細胞の増加が認められ,p53蛋白質の発現レベルが高まっていた。
さらに腫瘍壊死因子(TNF)や単球走化性因子などの炎症誘導性サイトカインの発現が亢進する一方,アディポネクチンなどの発現が低下。Ayマウスのインスリン感受性の低下と耐糖能異常が確認された。

同様な現象が,テロメラーゼ逆転写酵素を欠損させてテロメア依存性の老化を誘導したマウスの脂肪組織でも生じており,p53蛋白質の発現亢進と炎症性応答の亢進,インスリン抵抗性の増大が確認された。

これらの変化は,脂肪細胞特異的にp53遺伝子を欠損させたマウスでは著明に抑制され,高カロリー食を与えたにもかかわらず,食餌内容を同じにしたコントロールマウスより,インスリン感受性,耐糖能が有意に改善した。

#ヒトの脂肪組織でも同様の変化
小室氏らは,消化器腫瘍の摘出術を受けた患者の内臓脂肪を検討し,2型糖尿病合併例の脂肪組織でSA-β-galの活性が上昇しており,p53蛋白質のレベルや炎症誘導性サイトカインのレベルが著明に高まっていることを確認。
脂肪細胞の老化がヒトの糖尿病でも中心的な役割を持つことを示唆する結果を得ている。

同氏らは,2007年にp53が心不全発症のキー・モレキュールであるという,きわめて衝撃的な研究成果を報告した(Nature 2007; 446: 444-448)。
当時,同氏は「p53のがん抑制メカニズムは非常に多彩で,DNA損傷に対してアポトーシスだけでなく,細胞分裂の停止も誘導する。したがってp53は,ターゲットの細胞に対する老化促進因子であるとも言える」と指摘した。

今回の報告は,2型糖尿病の病因・病態解明に全く新たな視点をもたらすものであり,かつ脂肪組織の老化シグナル抑制が糖尿病治療の新たな戦略となる可能性を示すものだ。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0909/090947.html
出典 MT pro  2009.9.15
版権 メディカル・トリビューン社 2009.9.15

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2009.9.21撮影

<きょうの一曲>
Norah Jones - Cold Cold Heart
http://www.youtube.com/watch?v=g35zS1tVO3o&feature=related


<自遊時間>
昨日は休日診療所の出務でした。
朝から夕方まで1人の医師で診療するのですが、70人近くが受診し、そのほとんどが簡易検査でインフルエンザA型が陽性でした。
大半が中学生でしたが、兄弟姉妹間での感染力が強い印象を受けました。

とても疲れました。


さて現時点での新型インフルエンザ(今の季節での簡易検査A型陽性例)の印象です。

一般的に経過の良い例では季節型インフルエンザより軽い感じです。
季節型インフルエンザのように後半の局所症状が少ないように思います。
先生方の印象はいかがでしょうか。
当院では先々週にB型インフルエンザが見つかっています。
季節型インフルエンザとの区別はもうすでに難しくなっているのかも知れません。
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by wellfrog3 | 2009-09-24 00:58 | 糖尿病

厳格な血糖コントロール

堅く信じられている治療を変えさせるには、どれほど多くのエビデンスが必要か
How Much Evidence Do We Need to Change Practices in Which We Firmly Believe?
2009 July 30

2型糖尿病を長期にわたって罹患している患者のグリコシル化ヘモグロビン(HbA1c)目標値は7%とすべきか、6.5%とすべきか、もっと低くすべきか?
多くの臨床医は2型糖尿病患者に対する厳格なコントロールを信じているが、最近の複数の研究により、この治療は有益でないことが示されている。
最近発表された複数の解説でも、現行の考え方および治療に異議を唱えるようなエビデンスが挙げられている。

2型糖尿病患者を対象とした厳格な血糖コントロールに関する最初の大規模試験(1960年代に実施)では、経口血糖降下薬は、プラセボと比べて、より高い心血管死亡率と関連がみられ、微小血管合併症に関しては差異が認められなかった。
また、insulinも臨床上の利益を伴わなかった。

最近実施された3件の大規模ランダム化試験(ACCORD試験、ADVANCE試験、VADT試験)では、2型糖尿病を長期にわたって罹患している患者を対象とした厳格なコントロールは、全死亡率、心血管関連死亡率、脳卒中、切断術、また微小血管系の(代替エンドポイントではなく)臨床エンドポイントすら、低下させなかった。
これらの試験の特異的アウトカムにみられる差異は、治療法の差または試験参加者の糖尿病罹患期間に関連したのかもしれない。
なかには、強化治療を受けた患者の方が複合アウトカム(たとえば、「あらゆる糖尿病合併症」など)に至る人数が少なかった研究もあるが、その改善の大部分は非臨床アウトカム(偶発性蛋白尿など)であった。
厳格なコントロールは重度の低血糖症および体重増加を伴った。
10年前に発表されたUKPDS試験5では、新たに2型糖尿病と診断されて強化治療を受けた過体重でない参加者は、過体重でない対照患者に比べて、微小血管系のエンドポイント(「光凝固術を要する」症例を含むが、失明は含んでいない)に達する割合は低かったが、死亡率(心血管死亡率、糖尿病関連死亡率、または全死因死亡率)に差異は認められなかった。
過体重の参加者では、metforminの単独投与は長期死亡率および心筋梗塞発生率を低下させたが、sulfonylureaおよびinsulinの投与は長期死亡率および心筋梗塞発生率を低下させず、また、厳格なコントロールは微小血管合併症リスクを低下させなかった。
metforminとsulfonylureaの併用は、糖尿病関連の超過死亡および全死因の超過死亡を伴っていた。


複数の試験が厳格なコントロールを支持していないこと、厳格なコントロールにはコストと負担がかかること、およびそれに伴う害から、われわれは2型糖尿病患者に対して、心血管リスクの低減(とくに血圧とコレステロール値のコントロール)と健康な生活習慣を強調すべきである。

いくつかのエディトリアル執筆者グループは、1種類の薬物による治療で達成できる患者に対しては、HbA1c値の目標値を7.0%または7.5%に設定し、そうでない患者に対しては症状、副作用、治療負担、および患者の価値観と意向に応じて目標値を調整することを提案している。
解説の著者らは、治療ガイドラインのHbA1c目標値を7%未満にすべきではないとし、患者ひとりひとりに応じた治療を奨励するためには、パフォーマンスの指標に(たとえば7%未満の)下限を設けるよりも、(たとえば9%などの)上限を設けるべきであると提案している。

ランダム化試験の結果は、臨床上の重要な疑問に答えを与えてくれないことが多い。だが、今回の結果は、答えを与えてくれている。
われわれはその答えを無視すべきではない。
利益を示す臨床試験が数多く完了したのち、長い時間が経ってはじめて、新しい治療法が採用される。
同様に、すでにルーティンとなっている効果のない治療を、臨床医が放棄するまでには、利益がないこと、または有害でさえあることを示す試験が数多く必要とされるのかもしれない。
HaynesとHaynesは、「美しい仮説の心臓を、醜い事実で貫くにはどうすればよいのか?」と問いかけたうえで、「習慣という名の鎖は、断ち切るにはあまりにも強くなってしまうまでは、気づかないほど弱い」という詩を引用している。
社会心理学の文献によれば、人々は、ある考え方に反する証拠の山に直面した場合にも、その考え方に固執するものだという。
しかし、医師であり科学者であるわれわれは、これまでの考え方や診療が、新しいエビデンスによって一貫して否定される場合には、変更を受け入れるべきである。

— Richard Saitz, MD, MPH, FACP, FASAM
Published in Journal Watch General Medicine July 30, 2009



http://www.nankodo.co.jp/JWJ/archive/JW09-0730-01.html



<コメント>
糖尿病専門医に是非読んでいただきたい総説です。
数多くの辛口コメントが満載です。
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by wellfrog3 | 2009-09-14 00:02 | 糖尿病

RECORD試験

RECORD試験 〜2型糖尿病に対するrosiglitazoneの併用〜
心血管疾患リスクは従来治療薬と同等
ニューカッスル大学(ニューカッスル・アポン・タイン)のPhilip D. Home教授らは,2型糖尿病患者に対するrosiglitazoneと標準の経口血糖降下薬であるビグアナイド薬のメトホルミンまたはスルホニル尿素(SU)薬の併用投与は,心不全や骨折のリスクを増加させるが,心血管疾患(CVD)やCVD死のリスクは増大させないと,第69回米国糖尿病学会(ADA)年次集会で発表した。
今回の発表はRECORD*試験の平均5.5年間の追跡結果。詳細はLancet(2009; 373: 2125-2135)にも掲載された。

統計学的有意差認めず
Rosiglitazoneはチアゾリジン誘導体の一種で,血糖管理における有効性が多くの研究で確認されている。
しかし,同時に心筋梗塞リスクを増大させることを示唆する研究も複数見られるなど有害事象への懸念から使用が敬遠されてきた。
RECORD試験では,メトホルミンかSU薬のいずれかを服用し,平均HbA1C値が7.9%の2型糖尿病患者4,447例を,
(1)rosiglitazone併用群(2,220例)
(2)メトホルミン+SU薬併用群(対照群,2,227例)
−にランダム化割り付けし,CVDによる入院または死亡を1次エンドポイントとして検討を行った。
 
その結果,1次エンドポイントの発生は,rosiglitazone併用群の321例,対照群の323例で見られ,両群で統計学的有意差は認められなかった。
一方,心不全による入院または死亡は対照群の29例に対し,rosiglitazone併用群では61例と,対照群の2倍強であった。
さらに,rosiglitazone併用群では腕と下腿の骨折リスクが57%増大し,特に男性と比べ女性で著明にリスクが増大した(23%対82%)。

リスク踏まえた慎重投与を提案
Home教授は「rosiglitazoneの心血管イベントに対する影響が,他の血糖降下薬と同等であるという強いエビデンスが得られたことは有益である。
また,長期的な血糖管理がrosiglitazone併用群で有意に優れるという結果も注目に値する。
チアゾリジン系薬による骨折や心不全への影響は既に知られていたが,今回の研究は,rosiglitazoneの処方が安全でない糖尿病患者を見極めるのに有用なデータを提供するものだ」と述べている。
 
さらに,同教授は臨床におけるrosiglitazoneの使用法について「心不全の既往や心筋機能障害を起こす可能性のある患者には推奨できない。
また,骨折リスクの高い女性には慎重に投与すべきである」と指摘し,「今回の研究では,他の血糖降下薬と比べてrosiglitazoneが心筋梗塞リスクを若干増大させる可能性は完全に払拭できなかったものの,同薬投与で全体的な心血管疾患リスクと死亡リスクは増大しないことがわかった」と結論している。
 
マウントサイナイ病院とトロント大学(ともにカナダ・トロント)のRavi Retnakaran博士らは,同誌の付随論評(2009; 373: 2088-2090)で「rosiglitazoneは半量を用いれば,副作用は抑えつつ,有効性は半減するまでに至らないことが知られている。そのため,同薬(または同系薬のピオグリタゾン)を最大用量の半量用いた併用療法がよさそうだ」としている。

*RECORD
Rosiglitazone Evaluated for Cardiovascular Outcome and Regulation of Glycaemia in Diabetes
出典 Medical Tribune 2009.9.3
版権 メディカル・トリビューン社



<きょうの一曲>
The Beatles - And I Love Her
http://www.youtube.com/watch?v=96YQdiMV-Jc&feature=related



他にもブログがあります。
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(一般の方または患者さん向き)
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(循環器科関係の専門的な内容)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21? http://wellfrog2.exblog.jp/
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by wellfrog3 | 2009-09-10 00:04 | 糖尿病

褐色脂肪組織

##成人にも活性化した褐色脂肪組織
#肥満と2型糖尿病の治療標的に
ジョスリン糖尿病センター肥満・ホルモン作用部長でハーバード大学(ともにボストン)内科のC. Ronald Kahn教授らは,これまで乳児にのみ存在するとされていた褐色脂肪組織(BAT)が,成人にも存在することを確認したとNew England Journal of Medicine(2009; 360: 1509-1517)に発表した。
エネルギーを蓄積し,体脂肪の大部分を構成する白色脂肪組織(WBT)と異なり,BATはカロリーを燃やしてエネルギーを消費するため,"善玉"脂肪組織の一種とされている。
今回の知見は,肥満と2型糖尿病に対する新たな治療法への道を開くものと見られる。

#蓄積量と肥満などの因子が相関
BATは,これまで乳児期にのみ存在し,成人するまでにそのほとんどが消失すると考えられていた。
今回の研究は,BATが成人でも存在するだけでなく,代謝活性を維持していることを初めて示した。
 
研究責任者のKahn教授は「成人でも活性化したBATが存在するという今回の知見は,BATが肥満と2型糖尿病治療において新たな標的となることを意味している」と述べている。
 
また,肥満は2型糖尿病の主要な危険因子であることから,BATの増殖を促進して,体重抑制と糖代謝改善の方法を発見することが,新規治療法につながるかもしれないとしている。
 
筆頭研究者で同センターのAaron Cypess博士は「今回の研究では,BATが成人において活性化しているだけでなく,その量が年齢や血糖値などさまざまな因子により異なることも確認した。
こうした因子のなかで最も重要なのは肥満度であった」と説明している。
 
BAT量は若年者ほど多く,また,エネルギーを消費して熱を産生することから,寒冷期ほど活性化していた。さらに,やせ型や正常血糖者にもBAT保有者が多かった。

#画像技術の進歩で検出可能に
Kahn教授は「特に注目されるのは,BMI値から過体重や肥満と診断された患者では,BATの実質量が少ない傾向にあったことだ。同様にβ遮断薬服用患者と高齢患者では,活性化したBATが少ない傾向にあった。例えば,64歳超でBMI高値の者では,BATの実質量は6分の1であった」と述べている。
 
今回の研究における特にBMIに関する知見は,BATを体重調節に活用できる可能性を示唆しており,BAT量を増大させることで年齢に関連した肥満を予防できる可能性がある。
 
同教授らは,ヒトのBAT体積と活性のin vivo測定技術の進歩により,BATの生理的役割と肥満など代謝障害治療の標的としての可能性に関する理解が進むと期待を寄せている。
今回の研究も,最新の画像技術により成果が得られた。
 
同教授らは,2003年8月〜06年5月にさまざまな理由でPET/CTスキャンを施行された1,972例のデータベースを解析した。
その結果,実質的なBATの存在が確認されたのは,男性の3%超と女性の7.5%であった。
 
同教授は「PET/CTではサイズと活性がある一定基準を超えたBAT組織しか検出できず,小径で活性の低い組織は見逃す可能性があるため,今回の保有率は明らかに過小評価されている」と説明している。
 
さらに,同教授らは,頸部の手術を行った別の患者群33例の病理記録から,BATが頸部に存在することを確認している。これは,PET/CTスキャンで,頸部にBATが最も多く認められたことと一致している。
33例の組織を検査したところ,BATに特異的に発現する熱産生蛋白質UCP-1の存在が確認された。
 
Cypess博士は「これらの知見は,これまで発見されていなかった熱産生BATが多くの成人にも存在していることを示唆している」と述べている。
肥満・糖尿病の治療に期待

米国立衛生研究所(NIH)付属米国立糖尿病・消化器・腎疾患研究所(NIDDK)臨床内分泌学部のFrancesco Celi博士は,同誌の付随論評(360: 1553-1556)で「今回の研究は,成人におけるBATの存在と生理的活性を示しており,BATがエネルギー消費調節のための薬理学的および環境面での介入の,新規かつ貴重な標的となりうることを示唆している」と述べている。
 
Kahn教授は「今回同定された人口比率よりも,はるかに高率で有意な量のBATが存在する可能性は高いが,その多くは体内に散在しており,画像検査では容易に確認できない。画像検査で捉えられるもののほとんどは頸部に存在している」と指摘している。「実際のところ,BATが乳児だけでなく成人でも存在するか否か,生理学的に重要か否かは長年議論されてきた。今回の研究は,BATが成人にも存在するだけでなく,体重と糖代謝の観点から生理学的に重要である可能性も示している。これによって,BATの調節を用いた肥満と2型糖尿病の新たな治療分野が開かれることを期待している」と述べている。
 
同教授らは,これまでに,マウスにおいて骨成長を誘発する蛋白質BMP-7もBATの発達促進に寄与していることを確認しており(Nature 2008; 454: 1000-1004),さらに,肥満と糖尿病を発症しにくいモデルマウスにおいてBATの塊が筋線維束に発現していることを確認している(Proceedings of the National Academy of Sciences, USA 2007; 104: 2366-2371)。
出典 Medical Tribune 2009.6.25
版権 メディカル・トリビューン社


<関連サイト>
#褐色脂肪組織の存在意義
和歌山医科大学 松下 宏名誉教授
旬日前でしたが,貴紙にハーバード大学のC. Ronald Kahn教授が肥満と2型糖尿病の発症は褐色脂肪組織(BAT)の機能低下に基因すると報告されたNew England Journal of Medicine(2009; 360: 1509-1517)の記事が紹介されました。
 
これを,小生拝見しまして誠に嬉しく思いました。
 
と申しますのは,過去30数年前にもなりますか,小生疾患モデル動物に興味を抱き,米国メーン州のジャクソン研究所で育てられた肥満糖尿(ob,db)マウスを頂き,これについて種々研究しましたが,不思議にもこれら異常マウスは寒冷に弱く,その故は何なのか調べると,ネズミに特有な褐色脂肪組織に種々の代謝酵素の低下が見られたのです。
そして,更に驚いた事に糖尿であるのに血中インスリンが高く,膵ラ氏島も長尢でした。
つまり,インスリン抵抗の故に高血糖であったわけですが,それは体温代謝保持に必要な善玉脂肪酸の低下を補う為に血糖上昇が必要であった次第で,これが俗にいう2型糖尿病だったのです。
以上の成果についてはGenevaで開催されたThermal Physiology Symposium(1977年7月)等で報告して居ります。
 
以上,私共はマウスにおいて2型糖尿病の原因を考察していたのですが,遺憾ながらヒトではBATは幼少時に存在するのに成長と共に消滅するようで,随分調べてみたのですが,終に見当たりませんでした。
 
こうした次第で,私達はヒトにおける2型糖尿病はBATに基因すると言及できませんでした。
 
斯く,久しく疑問視していた問題を今回,C. R. Kahn教授が明らかにされた事は我々の予測に誤りが無かった事に深く歓びを覚えている次第です。
 
前週,お手紙を同教授に謹呈し御礼とお歓びを申し上げましたが,此処に貴紙に対しても有難い情報を与えて下さった事に対して衷心御礼申し上げます。
 
尚,駄足ですが,近年騒がれている生活習慣病(Metabolic Disease)が内臓脂肪に基づくという説には疑問が感じられます。

出典 Medical Tribune 2009.8.27
版権 メディカル・トリビューン社




#褐色脂肪組織
脂肪組織には,過剰エネルギーの貯蔵にかかわる白色脂肪組織と,全く逆の働きの代謝的熱産生を行う褐色脂肪組織が存在する。
そのため,褐色脂肪組織は,ヒトでは新生児期の体温維持のための特殊器官として知られていた。最近,この非ふるえ熱産生ばかりでなく,過食によっても肥大と機能亢進が見られる(食事誘導性熱産生)ことから,褐色脂肪組織は肥満と関連して新たな注目を浴びることになった。
褐色脂肪組織は,おもに肩甲骨間,腎周囲に存在し,血管が豊富で血流量が多いこととミトコンドリアに富んでいるために褐色を呈し,新生児では約100g,成人では着衣や暖房のためか萎縮が見られ,約 40gしか存在していない。
しかし,標高 3,810mの「ドームふじ」で−60〜 −70℃の冬を過ごした直後の南極観測越冬隊のなかには,−30℃の環境下でTシャツ姿でも平気な隊員がおり,成人でも褐色脂肪組織の発達が示唆されている。
他の褐色脂肪組織の特徴は多房性脂肪滴で,細胞が多数の交感神経終末で網目状に取り囲まれており,グルコース・脂肪代謝活性が著しく高いなどである。
代謝活性の亢進には,グルコース輸送体(GLUT4)も関与しているらしい。
つまり,寒冷曝露などで刺激された交感神経からノルアドレナリンが分泌されると,インスリンシグナル伝達とは別経路(Gq 蛋白質共役型α1アドレナリン受容体)で GLUT4 のトランスロケーションが促進される。
ごく最近まで,両脂肪組織の最大の違いは代謝的熱産生を行う脱共役蛋白質(UCP)の存在であった。
UCP(現在はUCP1)は褐色脂肪細胞のミトコンドリア内膜に局在する分子量32,000の蛋白質で,電子伝達系によってミトコンドリア内膜から外に放出されたプロトンがプロトン勾配によって膜内に戻るときにADPとカップリングせずに(脱共役),プロトンの持つ化学エネルギーを熱に変換させる。
1997年,UCP1に相同な分子,UCP2(全身,特に白色脂肪組織に存在),UCP3(おもに骨格筋に局在)がクローニングされた。
UCP2,UCP3はUCP1と異なり,エネルギー消費の変化と対応して変動せず,その生体での役割は抗酸化能を有する以外はまだよくわかっていない。
一方,UCP1はβ3アドレナリン作動薬で刺激すると,通常は白色脂肪組織とされる部位に数多く発現し(前駆脂肪細胞),さらに白色脂肪組織に褐色脂肪細胞が散在していることもわかってきた。これらの事実は,成人になっても褐色脂肪組織(細胞)が肥満改善のターゲットとして有用であることを示唆している。
実際,既にβ3作動薬(シブトラミン)が肥満治療薬として使用され,効果を上げている。
(杏林大学医学部衛生学公衆衛生学教室・大野秀樹
出典 Medical Tribune 2005.3.3
版権 メディカル・トリビューン社




#脂肪組織の生体分子イメージング法を開発
■東京大学大学院循環器内科の西村智氏は,生きたままのマウスの内臓脂肪の撮像に成功し,その手法は国内外の研究者の注目を集めた。
この生体分子イメージング法を取り入れた研究成果の1つとして,内臓脂肪蓄積の過程でTリンパ球を介した炎症反応が生じていることが明らかとなり,今月号のNature Medicine で紹介された。
生体分子イメージング法の開発というと高価な新しい機器を思い浮かべがちだが,同氏の取り組みは,生体観察の1つ1つの工程で精度を高めていくという地道な工夫の積み重ねであった。
■#内臓脂肪蓄積による炎症にTリンパ球が関与
メタボリックシンドロームの鍵とされる内臓脂肪蓄積には炎症が深く関与していることが近年明らかにされてきた。
その背景として,脂肪組織におけるマクロファージの浸潤が報告されていた。
この炎症機序を巡る新たな知見として,Nature Medicine 8月号ではTリンパ球が重要な役割を果たしていることが3つのグループから報告された。
そのうちの1つは東京大学大学院循環器内科の永井良三教授,真鍋一郎特任准教授,西村智氏らのグループによるもので,Tリンパ球(CD8陽性T細胞)が炎症の惹起と維持に重要な役割を果たしていることが明らかにされた(2009; 15: 914-920)。
■#マクロファージに先行,集積
同グループの検討では,マウスに高脂肪食を投与し,脂肪組織を観察したところ,マクロファージの増加に先行してCD8陽性T細胞が増加していることを確認した。
CD8を減らす中和抗体の投与実験,およびCD8ノックアウトマウスを用いた実験では,脂肪組織の炎症が低減し,インスリン感受性や糖代謝異常が改善することが示された。

さらに,CD8陽性T細胞ノックアウトマウスにCD8陽性T細胞を投与すると,脂肪組織の炎症が惹起された。
また,脂肪組織に炎症を認める肥満マウスでCD8陽性T細胞を除去すると,脂肪組織の炎症および糖代謝異常の改善が認められた。
この機序として,高脂肪食によって肥満したマウスで脂肪細胞に集積したCD8陽性T細胞とマクロファージ間の相互作用が活性化し,さらに腫瘍壊死因子(TNF)αも含む炎症因子が集積することから,炎症の惹起だけでなく維持にもTリンパ球が必須であることが示された。

出典 Medical Tribune 2009.8.27
版権 メディカル・トリビューン社
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by wellfrog3 | 2009-09-06 00:41 | 糖尿病

血中インスリン測定(IRI)について

「インスリン注射を行っている場合、血中インスリンの測定は内因性と外因性(インスリン注射)の両者を測定してしまうのでしょうか」
という質問に対する

東京女子医科大学 中央検査部   佐藤麻子准教授
         糖尿病センター 岩本安彦センター長
による解説で勉強しました。



膵臓ランゲルハンス島β細胞でインスリンは、前駆物質プレプロインスリンとして作られた後、プロインスリンに転換されます。
プロインスリンはインスリンとCペプチドに切断されて血中に放出されます。
すなわち、インスリンが生物活性を持ち血中に分泌される際は、同じモル数のCペプチドも血中に分泌されます。
Cペプチドの約5%は腎で代謝され尿に排泄されるので、1日尿中のCペプチド測定は内因性インスリン分泌量を見る指標となります。
同様に、腎機能の低下している例では血中Cペプチドは高めに出ますので、その点に留意する必要があります。
血中インスリンの測定は、インスリン抗体に対する免疫活性を見る測定法が中心でありIRI(immunoreactive insulin)といい、正常値は空腹で5〜10μU/mLです。
また、Cペプチドもその免疫活性CPR(C-peptide reactivity)として測定され、その正常値は空腹時血中で1〜3ng/mL、尿中CPRは40〜100μg/dayです。

インスリン治療を行っている患者さんの場合、注射からのインスリンを外因性インスリン、自分自身の膵臓から分泌されたインスリンを内因性インスリンと呼びます。
一般的な臨床検査でIRIを測定する場合、両者を分けることは困難で内因性・外因性両方のインスリン値を合わせて測定することになります。
この場合血清CPRを測定すると、内因性インスリン分泌について評価することが可能になります。

丸1日休薬すれば、注射したインスリンは血中から消失していると思われますが、内因性インスリン分泌を評価するためにわざわざインスリン注射を中断することは一般には行われません。
この場合も、血清CRPの測定によって内因性インスリン分泌を推定することができます。

以前ブタやウシのインスリンを使っていた例、インスリンアナログ製剤を使っている例、まれにはヒトインスリン製剤を使っている例でも、血中にインスリン抗体が産生される場合があります。
その場合IRI値が正確なインスリン値を反映しない場合があるので注意しなければなりません。また、血中CPRもプロインスリンとの関与があるため、インスリン抗体が存在すると抗体と結合したプロインスリンが血中に停滞し測定に用いるCペプチド抗体の特異性によってはCPR値が見かけ上高くなる場合があります。
そのほかIRIとCPRが異常値を示す疾患を表に示します。
インスリン分泌は、食事の量や質、肥満度、血糖コントロールの良否など膵β細胞機能の他にも多くの条件に影響されます。
IRIの評価・解釈にはこうした臨床所見や条件も考慮することが大切です。

出典 CLINICIAN ’09 NO. 581 18
http://www.e-clinician.net/vol56/no581/pdf/sp05_581.pdf(IRI、CPR が異常値を示す疾患・病態が表で説明されています)


<番外編>
腸内細菌、大腸のがん化促進 米グループがマウスで解明
下痢を起こす腸内細菌の一種が、大腸のがん化を促進することを、米ジョンズホプキンス大のグループがマウスの実験で明らかにした。
胃がんでは、胃の中にいるピロリ菌が原因の一つとされているが、この腸内細菌も、似たような役割を果たしている可能性を示している。
23日付米医学誌ネイチャー・メディシンに発表される。

バクテロイデス・フラギリスという、人の腸内に常在している腸内細菌の一種。
人によっては何の症状も示さないが、下痢を起こすことで知られている。
毒素を作るタイプと作らないタイプがあり、グループは大腸がんを自然発生しやすくしたマウスに、それぞれを感染させて観察した。

すると、毒素型を感染させたマウスは下痢になり、大腸に炎症と腫瘍(しゅよう)が1週間以内にでき、がん化が早まった。
非毒素型は下痢を起こさず、大腸の炎症も腫瘍も認められなかった。
菌の毒素が免疫細胞を活性化させて炎症を起こし、がん化を促進しているとみられる。

また、毒素型を感染させたマウスは、炎症反応の引き金となる信号を送るたんぱく質が増えていた。
このたんぱく質が増えると、特定の免疫細胞が活性化されてIL17という因子が作られることが、もともと知られている。
IL17を働かなくさせたマウスで同様の実験をすると、腫瘍ができにくくなったことから、こうした因子を抑えることなどで大腸がんの治療につながる可能性も明らかになった。

今回の成果について、吉村昭彦・慶応大医学部教授(微生物・免疫学)は「人の大腸がんとの関係は今後、疫学調査などがされないと、まだわからないが、人の腸内細菌の毒素ががん化を促進することを実験的に示したことは画期的だ」としている。

http://www.asahi.com/science/update/0824/TKY200908230205.html
出典 asahi.com 2009.8.24
版権 朝日新聞社




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by wellfrog3 | 2009-08-26 00:58 | 糖尿病

低GI食の食欲抑制作用とGLP-1

低GI食の食欲抑制作用にGLP-1産生亢進が関与
キングズカレッジ(ロンドン)のReza Norouzy博士らは,血糖上昇係数(GI)が低い食事を摂取すると,消化管ホルモンのグルカゴン様ペプチド(GLP)-1の産生が亢進し,それが食欲抑制と満腹感につながると,英国内分泌学会年次集会で報告した。

低GI食は消化時間が長い
GIは,炭水化物を含む食品を血糖値上昇作用の程度により順位付けする指数で,低GI食は高GI食より消化時間が長く,血糖値の上昇も緩やかである。
高GI食品は白パン,クロワッサン,コーンフレークなど,低GI食品は全粒粉パン,ミルク,大半の果物や野菜などである。
 
低GI食が食欲を抑制することは知られているが,その背景にある機序についてはまだわかっていない。
この課題に取り組むべく,Norouzy博士らは健康ボランティア12人を対象に,単回の低GI食と高GI食が消化管ホルモン値に及ぼす作用を検討した。
まず,各ボランティアに夕食として同じ中等度のGI食を与え,一晩絶食させた。
次に,朝食として低GI(46)食か高GI(66)食のいずれかを摂取させた後,30分ごとに血液サンプルを採取し(計150分間),消化管ホルモンであるGLP-1値とインスリン値を測定した。
GLP-1は下部消化管で産生されるホルモンで,食欲抑制と満腹感を引き起こすことが知られている。
 
解析の結果,血漿GLP-1値は高GI食群(曲線下面積3,865±1,630)に比べて低GI食群(同4,839±1,831)で20%高く,インスリン値は高GI食群(同1万6,245±7,600)に比べて低GI食群(同1万88±4,757)で38%低かった。
これらの結果から,低GI食の摂取はGLP-1の産生を亢進させることが初めて示され,低GI食が高GI食と比べて満腹感を得やすいことを説明する生理的機序が示唆された。

大規模コホートの調査必要
Norouzy博士らは「われわれの結果は,単回の低GI食が消化管ホルモン値にもたらす直接的な作用を初めて示したものである。GLP-1は最強の食欲抑制ホルモンの1つで,われわれは既にGLP-1と低GI食が独立して食欲抑制をもたらすことはわかっていた。今回の研究は,この知見に基づいて,低GI食が高GI食より強い満腹感をもたらすことを説明する生理学的機序を提示している。
つまり,今回の結果から,低GI食が血中GLP-1値上昇を介して満腹感をもたらすことが示唆された」とし,「有望な結果が得られたが,これは少人数を対象とした予備的研究から得られたものであり,今後より大規模なコホートで低GI食と高GI食の作用を調べる必要がある」と述べた。

出典 Medical Tribune 2009.7.9
版権 メディカル・トリビューン
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view?perpage=0&order=1&page=0&id=M42280064&year=2009


<番外編 その1>
#インスリン分泌促すたんぱく質、神戸大教授ら発見
糖尿病治療に有効なインスリンの分泌を促す、たんぱく質(Epac2)を神戸大の清野進教授らが見つけた。新たな糖尿病治療薬開発につながる成果で、31日の科学誌サイエンスに発表する。

これまで、膵臓(すいぞう)のβ細胞にあるEpac2が、インスリン分泌に関与することはわかっていたが、日本で最も多い、100万人以上が服用する治療薬「スルホニル尿素薬(SU薬)」が効くのは、Epac2とは関係ない仕組みと考えられていた。

清野教授らは、今回、このSU薬が、従来の仕組み以外にも、直接Epac2と結合することで、インスリン分泌が促されることを突き止めた。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/7/31/105170/
読売新聞 2009.7.31

<番外編 その2>
#オセルタミビルは慢性疾患を有する小児のインフルエンザ合併症を低減
早期にオセルタミビルを投与することにより、慢性内科疾患を有する小児および青年のインフルエンザによる合併症および入院が低減することが、Pediatrics誌7月号に掲載された報告から示されている。

「インフルエンザに感染した、慢性内科疾患を有する小児に対して抗ウイルス薬による早期インフルエンザ治療を実施すると、この高リスク群のインフルエンザによる合併症が有意に低減する」とBaylor College of Medicine(ヒューストン)のDr. Pedro A. Piedraはロイターヘルスに述べた。「医師は、早期抗ウイルス薬療法の実施を考慮する場合、インフルエンザ流行期に疾患のある患者を検査する上で、インフルエンザを考慮し、それを診断する必要がある」

Dr. PiedraらはMarketsSanデータベース(Thomson Reuters社、マサチューセッツ州ケンブリッジ)から得られた匿名のデータを用いてレトロスペクティブ研究を行い、慢性内科疾患を有する小児および青年において、インフルエンザによる合併症および入院に及ぼすオセルタミビル療法の影響を評価した。

オセルタミビルを処方した小児は1,634名で、抗ウイルス薬を投与しなかった小児は3,721名であった。それらの小児における慢性疾患として、慢性肺疾患、喘息、糖尿病、HIV感染、癌および移植などが挙げられた。

インフルエンザ診断から14日後に、オセルタミビルによる治療を受けた小児は、抗ウイルス薬による治療を受けなかった小児と比較して、(肺炎以外の)呼吸器疾患が26%、中耳炎とその合併症が31%低減した、と著者らは報告している。

2群とも肺炎やその他の呼吸器疾患による入院数が少なかったため、有意差はみられなかったが、オセルタミビルによる治療を受けた小児は、全原因による入院を要する可能性が、抗ウイルス薬による治療を受けなかった小児のわずか1/3であった。

この結果は、インフルエンザ診断から30日後も同様であったが、リスク低下は若干小さかった、と同研究者らは述べている。

「これらの結果は、インフルエンザ発症時に、臨床的に診断され、オセルタミビルが処方された場合、発症および慢性内科疾患によるインフルエンザ後の二次感染のリスクが高いと考えられる小児患者には、ベネフィットとなる可能性があるという最初のエビデンスを提供するものである」と同研究者らは結論付けている。

「最近生じた重大な問題は、オセルタミビルに対してインフルエンザA/H1N1亜型による耐性発現である」とDr. Piedraはロイターヘルスとの電子メールでのインタビューで述べた。「オセルタミビル単独投与の実施、またはその他の抗ウイルス薬との併用投与の実施のいずれが最善であるのかを知るには、良好なインフルエンザサーベイランスの情報を得ることが重要だろう」

「我々は、インフルエンザワクチンを接種したが、インフルエンザにブレイクスルー感染した高リスク小児におけるオセルタミビルのベネフィットの評価に関心を寄せている」とDr. Piedraは述べた。「このことは、不十分なワクチン接種をした小児に高頻度で起こり、さらに、ワクチン菌株と流行株が不一致であった年にも起こる」
Pediatrics 2009;124:170-178.
http://www.kanematsu-rmn.jp/news/daiichisankyo/news2.php?mode=jpview&num=200907250035186

出典 ロイターヘルス 2009.9.7
版権 ロイター社



<番外編>
「B型インスリン抵抗症」、ピロリ菌除去で完治:なくそう・減らそう糖尿病

なくそう・減らそう糖尿病:「B型インスリン抵抗症」、ピロリ菌除去で完治

◇東北大大学院チームが成功
胃潰瘍(かいよう)などを引き起こすピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)を除去することで、糖尿病の一種「B型インスリン抵抗症」を完治させることに、東北大大学院の片桐秀樹教授(代謝学)らのチームが成功した。
成功例はまだ1例だが、新たな治療法として普及すると期待される。

この病気では、免疫異常によって血糖値を下げるホルモン「インスリン」に対する抗体ができて、高血糖と低血糖を繰り返す。
患者は、急に血糖値が下がると冷や汗や震えの症状を訴える。
だが、通常の治療に使うインスリン注射などの効き目は悪く、治療法は確立されていない。
数千人から数万人に1人が発症すると推定されている。

チームは、B型インスリン抵抗症の80代男性が、止血の働きをする血小板が減る「特発性血小板減少症(ITP)」を併発していることに注目した。
ITP治療に有効なピロリ菌除去をすると、血糖値が正常に戻り抗体も完全になくなった。
男性は1年後も糖尿病を再発せず、完治したと判断された。

片桐教授は「B型インスリン抵抗症の原因に、ピロリ菌の感染がかかわっている可能性がある。
除菌が根治療法として効果的ではないか」と話す。

成果は18日付の英医学誌ランセットに掲載された。

出典 毎日新聞 2009.7.31
版権 毎日新聞社





<きょうの一曲>  ウイスキーが、お好きでしょ
Whisky-Carolyn Leonhart 1994.10.26
http://www.youtube.com/watch?v=HL83Q_dj5R4&hl=ja

ウイスキーが、お好きでしょ・・・石川さゆり
http://www.youtube.com/watch?v=YZCNgakf3-4&feature=related

http://www.youtube.com/watch?v=4F-nyhRUUnE&feature=related

ウイスキーがお好きでしょ 小雪&Sayuri
http://www.youtube.com/watch?v=S8l05sMcfRQ&feature=related

<ついでに>
【サントリー】 おいしいハイボールの作り方 小雪さん篇
http://www.youtube.com/watch?v=sqLAJC6qRIQ&feature=fvw

水といえばウイスキー水割りということで・・・




他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21? http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科関係の専門的な内容)

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by wellfrog3 | 2009-08-02 00:18 | 糖尿病

2型糖尿病発症の3〜6年前に血糖値の変化

Lancet誌に掲載された2型糖尿病発症に関する論文で勉強しました。


#2型糖尿病発症の3〜6年前に血糖値の変化が始まる
2型糖尿病を発症する人々は、発症前のどの時点から、空腹時血糖値、糖負荷後血糖値、インスリン感受性、インスリン分泌の変化が始まっているのだろうか。
この疑問を検証するため、前向きコホート研究のデータを分析した英国London大学のAdam G Tabak氏らは、発症の3〜6年前からそれらの値が急激に変化することを明らかにした。詳細は、Lancet誌2009年6月27日号に報告された。

2型糖尿病発症前のどの時期に糖代謝が変化し始めるのかについては、これまでほとんど分かっていなかった。
著者らは、より正確なリスク予測に役立つ情報を得たいと考えて、前向きコホート研究Whitehall IIのデータを分析した。

この研究は、ベースラインで糖尿病ではない35〜55歳の英国の公務員6538人(71%が男性、91%が白人)を、1985年8月から88年4月にかけて登録。
中央値9.7年の追跡期間中に505人が糖尿病(空腹時血糖値が7.0mmol/L以上、または75g糖負荷後2時間血糖値11.1mmol/L以上)と診断されていた。

著者らは、これらの人々について、発症前最高13年間の空腹時血糖、糖負荷後2時間血糖値、インスリン感受性指標のHOMA2-%S、β細胞機能を示すHOMA2-%Bの変化を後ろ向きに調べた(HOMAの計算には英国Oxford大学DTUのHOMA calculatorを使用:こちらから利用可能)。

比較の対象となる、糖尿病を発症しなかった人々6033人については、追跡期間終了までの間のこれらの値の変化を評価した。

糖尿病発症者と非糖尿病患者の平均年齢に差はなかった。
糖尿病患者には非白人が多く、BMI値は高かった。
また、糖尿病患者の方が、ベースラインの空腹時血糖値と負荷後血糖値、インスリン値、HOMA2-%Bは高く、HOMA2-%Sは低かった(すべてp<0.0001)。

非糖尿病患者6033人について測定されていた空腹時血糖値と、糖尿病患者505人の空腹時血糖値の変化の様子を比較した。
非患者群では、空腹時血糖値は追跡期間中わずかに上昇し、13年間で5.26mmol/Lから5.31mmol/Lになった。
1年当たりの上昇は平均0.004mmol/Lだった。
一方、患者群では、空腹時血糖値は診断の3年前まで直線的に徐々に上昇し、5.47mmol/Lが5.79mmol/Lになった。
1年当たりの上昇は0.028mmol/Lで、非患者群より大きかった。
その後、空腹時血糖値はさらに急激に上昇し、発症時点では7.40mmol/Lになっていた。

糖負荷後2時間血糖値は、非糖尿病患者では13年間に5.11mmol/Lから5.77mmol/Lに上昇。
1年当たりの上昇は0.051mmol/Lだった。
患者群でも診断の6年前までは同じ割合で上昇していたが、その後は三次曲線を描いて上昇。
診断の2年前から上昇は急激になった(7.60mmol/Lから11.90mmol/Lに上昇)。

HOMA2-%Sは、13年前から5年前までは、患者群も非患者群も同じレベルの低下を示した(1年当たり1.11%)。
その後、患者群において低下が加速し、非患者群との間の1年当たりの低下レベルの差は2.76%になり、診断時にはHOMA2-%Sの値は86.7%になっていた。

HOMA2-%Bは、診断4年前までは両群とも変化なしの状態を維持しており、ベースラインで両群に見られた差はそのまま保たれた。
診断4年前から3年前までの1年間になると、患者群のHOMA2-%Bは上昇(85.0%から92.6%へ)。
しかし、その後、診断までの3年間に急激な低下を示し、診断時には62.4%になっていた。

著者らは、空腹時血糖値、糖負荷後2時時間血糖値、HOMA2-%S、HOMA2-%Bの診断までの変化を現す多層モデルを構築、複数の感度解析を行って、このモデルが今回の対象集団にフィットしていることを確認した。

得られたデータは、血糖値、インスリン感受性、インスリン分泌が、糖尿病診断の3〜6年前に変化し始めていることを示した。
日常的な健康診断で測定される指標の中から、糖尿病発症に先駆けて変化するより確実なバイオマーカーを同定できれば、リスク予測の精度は向上すると期待される、と著者らは述べている。


Trajectories of glycaemia, insulin sensitivity, and insulin secretion before diagnosis of type 2 diabetes: an analysis from the Whitehall II study
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(09)60619-X/abstract


http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/lancet/200907/511371_2.html
NM online 2009.7.7


<番外編 その1>
#ヨード造影剤との併用「注意」→「禁忌」→やっぱり「注意」
#メトホルミンの添付文書改訂で迷走
メトホルミン塩酸塩(メルビン錠など)の添付文書が7月1日に改訂され、メトホルミン塩酸塩とヨード造影剤との併用が「禁忌」から「注意」となった。
5月20日に「注意」から「禁忌」に改訂されたばかりだったが、医師から個別に、あるいは学会を通じて「現場の実態にそぐわない」との指摘を受け、わずか3カ月足らずで「注意」に戻された。

2回の改定はいずれも大日本住友製薬などが、「医学薬学上公知である」として臨床試験を実施することなく添付文書の変更を申請し、承認を受けたものだ(いわゆる「自主改訂」)。

5月の改訂の主な内容は、海外での使用状況に合わせてメトホルミン塩酸塩を2型尿病患者の第一選択薬とできるようにするためのものだった。
改訂前までは、SU剤の効果が不十分な場合や副作用などで使用不適切な場合にのみ、メトホルミンの適応を考慮することになっていた。
日本臨床内科医会からの要望に製薬会社が応えた。

現場では「併用注意」だった変更前から、基本的に、造影剤を使用する際にはメトホルミン塩酸塩の投与を一時中止する対応は取られていた。
そのため、「併用禁忌」への変更による大きな影響はないと製薬会社や行政は考えたようだ。

ところが改訂直後から、現場の医師から「現場の実態にそぐわない」「これではメトホルミン塩酸塩は使えなくなる」といった意見がMRを通じて製薬会社に寄せられた。
また厚生労働省にも、日本医学放射線学会と日本IVR学会から再改訂を求める要望書が提出された。

現場の医師らが最も問題視したのは、意識を失って病院に搬入された患者が、メトホルミン塩酸塩を服用しているかどうかがわからない場合、ヨード造影剤を使った緊急検査が行えなくなるというものだ。

また、予約でヨード造影検査を実施する際の対応についても、「本剤(メトホルミン塩酸塩)の投与を一時的に中止」という記載があいまいで、具体的な対処がわからないとの指摘があった。

この点については、国内のガイドラインでは「ヨード造影剤使用前2日間は(メトホルミン塩酸塩を)用いるべきではない」とされているが、海外のガイドラインでは「造影剤投与時〜48時間後までメトホルミンの投与を中止する」と記載されていたという事情もある。

現場の声に対応して大日本住友製薬は、7月1日、メルビンとヨード造影剤との併用を禁忌から注意に再度、自主改定を申請し、厚生労働省もそれを承認した。改訂の主な内容は以下の通り。

変更前:併用禁忌として「ヨード造影剤:併用により乳酸アシドーシスを起こすことがある。ヨード造影剤を用いて検査を行う場合は、本剤の投与を一時的に中止すること」

変更後: 併用注意として「ヨード造影剤:併用により乳酸アシドーシスを起こすことがあるヨード造影剤を用いて検査を行う場合には、本剤の投与を一時的に中止すること。(重要な基本的注意の項参照)」

引用されている「重要な基本的注意の項」には、「ただし緊急に検査を行う必要がある場合を除く」との文言が加えられている。緊急検査に支障が出ないように配慮されたものだ。

さらに、メトホルミン塩酸塩の投与再開時の対応で混乱が生じないよう、「また、ヨード造影剤投与後48時間は本剤の投与を再開しないこと。
なお投与再開後には、患者の状態に注意すること」との文言も加えられた。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/200907/511528_2.html

その際に「使用上の注意」が同時改訂された。
「海外の使用状況に合わせての効能・効果、用法・用量の変更だったので、使用上の注意についても海外の状況に合わせようと考えた。海外ではヨード造影剤との併用が禁忌とされていた」と大日本住友製薬の担当者は事情を説明する。
厚労省医薬食品局安全対策課の担当者も「特にメトホルミン塩酸塩とヨード造影剤の併用の際の副作用報告が増えていたわけではない」と述べている。


変更前:併用注意として「ヨード造影剤:併用により乳酸アシドーシスを起こすことがある。併用する場合は本剤の投与を一時的に中止する等適切な処置を行う」

変更後:併用禁忌として「ヨード造影剤:併用により乳酸アシドーシスを起こすことがある。ヨード造影剤を用いて検査を行う場合は、本剤の投与を一時的に中止すること」

出典  DI online 2009.7.13
版権 日経BP社

<番外編 その2>
#来年度の医学部定員 「地域枠」を中心に最大369人増
7月17日、文部科学省は2010年度における大学の医学部入学定員を最大369人増員するとの通知を発表した。
この内容について文科省ならびに厚生労働省は、23日、都内で大学関係者、都道府県関係者を対象とする説明会を開催した。
冒頭の挨拶で、厚労省医政局・杉野剛医事課長は「県外枠の利用も含め、できれば約370人の定員枠を使い切るよう働きかけてほしい」と述べ、定員枠の積極的な活用を求めた。

今回の入学定員増は、
(1)地域の医師確保のための定員増、
(2)研究医養成のための定員増、
(3)歯学部入学定員の削減を行う大学の特例、
の3種類。
入学定員増は最大で(1) 329人、(2)10人、(3)30人まで認められる。
このすべてが増員された場合、2010年度の医学部入学者数は対前年度比で4%の増加となる。
増員の期間は2019年までの10年間で、それ以降の取り扱いは、その時点の医師養成数の将来見通しや定着状況を踏まえて判断される。

(1)は大学が都道府県と連携し、地域医療に従事する明確な意思を持った学生の選抜枠を設定するもので、各都道府県につき、
(a)当該都道府県内の大学5人以内、
(b) 当該都道府県外の大学2人以内(aと合わせて7人を超えない範囲で増加も可)の増加が認められる。
県外の大学についての規定が設けられたのは、大学が県域を超えて医師の育成、地域医療への参画を行っている実態を考慮したもの。
例えば、A県は県内にある大学の医学部入学定員を5人以内で増員するとともに、B県の大学へ、A県の持つ県外枠による入学定員増を要請することが可能となる。
逆に見ると、B県に所在する大学は、当該枠による学生を卒後A県で勤務させる条件で、B県の持つ県内増員枠を超えた人数の学生の受け入れが可能となる。

選抜枠の医学生に対しては、都道府県が地域医療再生計画に基づいて奨学金を支給するが、金額について文科省高等教育局医学教育課長補佐・樋口聰氏は「おおむね月額10万円以上で当該地域の実情に応じた額」、また卒後に義務付けられる当該地域での勤務期間は「9年間」(現行の「地域枠」奨学金における勤務期間が6年間であることから、その1.5倍)との基準を提示した。

(2)の研究医養成のための定員増は、大学が教育研究資源を活用して、複数の大学との連携によって研究医養成の拠点となるコンソーシアムを形成し、また研究医養成のために学部・大学院教育を一貫して見通した特別コース及び研究医定着のための奨学金を設ける場合について、各大学につき3人を上限(総数10人以内)に増加を認めるもの。
特別コースへの選抜は大学入試時に行う必要はなく、在学過程である程度の基礎医学教育を実施した後、3-4年目以降などに行って差し支えないが、研究医養成を目的とした定員増が形骸化することがないよう、大学に対し一定の履修者を確保すべくプログラムを魅力あるものにし、適切な進路指導を行うことが要望されている。
なお、特別コースを設ける場合、増員数の2倍以上の履修者の確保が必要となる。

(3)は、医・歯学部を併せ持つ大学について、歯学部入学定員を減員する場合に、当該減員数の範囲内で一定割合の医学部入学定員の増加(1大学につき10人以内)を認めるもの。
なお、現在医・歯学部を併せ持つ大学は、全国で14校。

もっとも、定員増実施へ向けた手続きのスケジュールは非常にタイトであり、来年度入学定員増を希望する大学は8月14日までに増員計画の検討状況を文科省へ報告しなければならない。
(1)地域の医師確保のための定員増は都道府県との協議、
(2)研究医養成についても他大学との連携のための協議が必要となるため、会場からは「半月強で大学内・大学間の調整・合意を行うのは不可能だ」とする意見が出たが、文科省高等教育局医学教育課長・新木一弘氏は「クリアできる大学で今回の増員を行う」として対応を求めた。
なお、樋口氏は参加者からの質問に対し、「2011年度からの実施とする届出も認める」と回答している。

8月 入学定員増員計画の検討状況の報告〔8月14日までに回答〕
増員希望大学の追加要求(国立大学のみ)

以下 略
http://www.m3.com/iryoIshin/article/104800/

<コメント>
あれれ、増員は国立大学のみ。
なんだか、きちんと読むのも馬鹿らしくなります。
要するに頭が痛くなってしまうのです。

地域医療充実のために各県1医大を目標に設置された国立単科医科大学。
きちんと機能しているかの検証が先ではないでしょうか。

何よりも医師不足なのか医師偏在なのか。
すべての科の勤務医が忙しくて開業医はすべて暇なのか。
マスコミ報道を鵜呑みにしてステレオタイプに物事を考える官僚。
医療現場をどれだけ見て、現場の意見をどこまで汲み取っているのか。

甚だ疑問です。



<きょうの一曲>
Righteous Brothers - Unchained Melody Traduzida (Ghost)
http://www.youtube.com/watch?v=sCcaNzI2fl4&feature=related

U2 - Unchained Melody
http://www.youtube.com/watch?v=qo5T0bs-JDY&feature=related

Elvis-Unchained Melody
http://www.youtube.com/watch?v=1Sm9jFaHbCM&feature=related
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by wellfrog3 | 2009-07-28 00:14 | 糖尿病