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カテゴリ:消化器科( 29 )

エンテカビル

#B型慢性肝炎治療薬「バラクルード錠0.5mg」
エンテカビル:抗ウイルス効果の高い第3の抗HBV薬
慈恵医大病院薬剤部 北村 正樹先生

2006年7月26日、B型慢性肝炎治療薬のエンテカビル水和物(商品名:バラクルード)が製造承認を取得した。
エンテカビルは、ヌクレオシド(核酸)系逆転写酵素阻害作用を有する抗ウイルス薬であり、B型肝炎ウイルス(HBV)の増殖を抑制する経口製剤である。
近く、薬価収載を経て発売される見込みである。

HBVの主たる感染経路は母子間感染であるが、その約9割は自然経過によりHBVが減少し、健康人キャリアとなる。
しかし残りの1割ほどでは、長期間炎症が持続するB型慢性肝炎が発症する。
慢性肝炎からは年率約2%で肝硬変へと進展し、肝硬変からは年率約3%で肝癌が発生することが知られており、B型慢性肝炎の治療においては、HBVを排除し肝炎を鎮静化させることが最終目標となる。
近年、ワクチンが広く使用されるようになったことで新規HBVキャリアの発生は大きく減少しているが、現時点でもわが国のHBVキャリアは100万人以上いると推定されている。

B型慢性肝炎の治療には、インターフェロン療法、ステロイド離脱療法などがあるが、近年では抗ウイルス療法が積極的に行われるようになっている。
この抗ウイルス療法に使用される薬剤(核酸アナログ製剤)としては、2000年11月に発売されたラミブジン(商品名:ゼフックス)と、2004年12月に発売されたアデホビルピボキシル(商品名:ヘプセラ)があり、今回承認されたエンテカビルはわが国では3番目の核酸アナログ製剤となる。
エンテカビルは、2005年4月から米国で発売されているほか、中国、EU(欧州連合)など、20カ国以上の国と地方で承認されている。

エンテカビルの最大の特徴は、その高い抗ウイルス効果である。
最近発表された第3相二重盲検試験結果(N Engl J Med 2006;354:1001-1010)によれば、エンテカビルは、ラミブジンに比べて有意に治療効果が高く、安全性は同等で、エンテカビル耐性のHBVの出現は認められなかったと報告されている。
エンテカビルは海外でも広く使用されるようになっており、今後、日本でも、ラミブジン、アデホビルとともに、B型慢性肝炎治療の中心的な薬剤として使用されていくものと考えられる。

ただしエンテカビルでは、類薬で乳酸アシドーシスや肝障害といった重大な副作用が報告されているほか、頭痛、倦怠感、上気道感染症、鼻咽頭炎、上腹部痛、下痢などの副作用も報告されているので、注意が必要である。
また、エンテカビルは小児における有効性と安全性は確立されていないため、16歳未満の小児患者には原則して使用しない。なお、投与予定患者には、エンテカビルの有効性を確実にするために、空腹時(食後2時間以降かつ次の食事の2時間以上前)に服用するように指導する必要がある。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/200608/501211.html
NM online 2006.8.24



<番外編>
#なぜ高齢者は新型インフルエンザにかかりにくい?
9月28日開催された国立感染症研究所感染症情報センター主催のメディア意見交換会で興味深い研究成果が公表されました。

これまでにも、新型インフルエンザをめぐっては、「高齢者の罹患率が低い」「高齢者は新型インフルエンザウイルスに対する中和抗体を持っている」などの指摘、報告がありました。
国内では、東京大学医科学研究所の河岡義裕教授らが今年7月に、「90歳以上の高齢者が高レベルの抗体を保有している」と発表しています(科学技術振興機構報第652号に掲載)。

今回報告された研究は、さらに大規模な母数で、新型インフルエンザの抗体保有状況を調べたものです。
本研究では、季節性インフルエンザと同様に、40 倍以上のHI 抗体価を有効防御免疫の指標としています。

◆方法
・国立感染症研究所国内血清銀行(過去約30年にわたる約15万人分の血清を保管)に保存されている血清検体のうち、各年代層から抽出した計931検体を使用。
・新型インフルエンザウイルス(A/California/07/2009pdm)と、2008/09シーズンと2009/10シーズンのワクチン株のインフルエンザウイルス(A/Brisbane/59/2007(H1N1))に対する抗体価をHI法(赤血球凝集抑制法)で測定。
・新型インフルエンザウイルス(A/California/07/2009pdm)については、中和法でも抗体価を測定。

◆主な結果
(1)ウイルス(A/Brisbane/59/2007(H1N1))に高い抗体価を保有していても、新型インフルエンザウイルス(A/California/07/2009pdm)に対する抗体価とは相関が認められない。
(2)新型インフルエンザウイルス(A/California/07/2009pdm)に対する抗体は、1917年以前に生まれた人では50%から60%が保有していたが、1920年代生まれの人については抗体陽性者は存在するものの、その割合は20%程度であり、1930年代以降に生まれた人においては、抗体陽性者はほとんどいなかった。
(3)HI法と中和法の測定結果の間には、大きな差は認められなかった(中和法は手法が複雑で、どの施設でも実施可能な検査方法ではない。
今後、一般的に抗体測定を行っていくにはHI法による測定が現実的であることが示唆された)。

スペイン風邪が流行したのは、1918年。それ以前に生まれた人の50 - 60%が、新型インフルエンザウイルスに関する抗体を持っているわけです。
そこで、幾つかの疑問がわいてきます。
例えば、「スペイン風邪のウイルスと、今回の新型インフルエンザの抗原性がほとんど同じなのはなぜか」「スペイン風邪以降、1920年代に流行したインフルエンザウイルスの抗原性は変わってしまったのか」「抗原性の類似性と、ヒトに対する病原性との間に関連性はないのか」等々。
科学者の好奇心をくすぐる関心でもありますが、現時点では明確な答えはないとのこと。

既にオーストラリアなど南半球では冬が終わりつつあり、新型インフルエンザの流行も下火になっています。こうした諸外国でのデータも含め、さらなる研究が待たれるところです。

http://mrkun.m3.com/mrq/message/ADM0000000/200909301433496433/view.htm?pageContext=mrq6.0-m3ComTopBanner&mkep=mx-dr1.0&wid=20090930230904726

<きょうの一曲>
Creedence Clearwater Revival - Have you ever seen the rain?
http://www.youtube.com/watch?v=TS9_ipu9GKw&feature=related


<自遊時間> Sister Mary Joseph結節
ある日、60代の女性がへそのすぐ上方(頭側)に小豆大のしこりに気づいたということで来院されました。
診察机においてあるパソコンで検索し上記病名にたどりつきました。

早速その旨を書いて外科に紹介しましたが返って来た返事は
「臍垢のかたまりのようでした。除去、洗浄しておきました」
という返事でした。

返事を見た時には恥ずかしくて一瞬顔が赤くなってしまいました。

へそのゴマ、臍石?、へその病気、お手入れ法
http://www.ogorimii-med.net/advice/kuroiwa2.htm
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by wellfrog3 | 2009-10-02 00:23 | 消化器科

エンテカビル

C型肝炎の影に隠れてB型肝炎は地味な領域となっています。
このC型肝炎も長い間非A非B肝炎と呼ばれて来ました。

循環器が専門の私には肝臓領域のup to dateはなかなか難しいのですが、総合内科医を目指す限りはエンテカビルも知っておかなければなりません。

ちょっと古い記事になりますが、きょうはエンテカビルの勉強をしました。


B型慢性肝炎治療薬「バラクルード錠0.5mg」
エンテカビル:抗ウイルス効果の高い第3の抗HBV薬

北村 正樹=慈恵医大病院薬剤部
■2006年7月26日、B型慢性肝炎治療薬のエンテカビル水和物(商品名:バラクルード)が製造承認を取得した。
エンテカビルは、ヌクレオシド(核酸)系逆転写酵素阻害作用を有する抗ウイルス薬であり、B型肝炎ウイルス(HBV)の増殖を抑制する経口製剤である。

■HBVの主たる感染経路は母子間感染であるが、その約9割は自然経過によりHBVが減少し、健康人キャリアとなる。
しかし残りの1割ほどでは、長期間炎症が持続するB型慢性肝炎が発症する。
慢性肝炎からは年率約2%で肝硬変へと進展し、肝硬変からは年率約3%で肝癌が発生することが知られており、B型慢性肝炎の治療においては、HBVを排除し肝炎を鎮静化させることが最終目標となる。
近年、ワクチンが広く使用されるようになったことで新規HBVキャリアの発生は大きく減少しているが、現時点でもわが国のHBVキャリアは100万人以上いると推定されている。

■B型慢性肝炎の治療には、インターフェロン療法、ステロイド離脱療法などがあるが、近年では抗ウイルス療法が積極的に行われるようになっている。
この抗ウイルス療法に使用される薬剤(核酸アナログ製剤)としては、2000年11月に発売されたラミブジン(商品名:ゼフックス)と、2004年12月に発売されたアデホビルピボキシル(商品名:ヘプセラ)があり、今回承認されたエンテカビルはわが国では3番目の核酸アナログ製剤となる。
エンテカビルは、2005年4月から米国で発売されているほか、中国、EU(欧州連合)など、20カ国以上の国と地方で承認されている。

■エンテカビルの最大の特徴は、その高い抗ウイルス効果である。
第3相二重盲検試験結果(N Engl J Med 2006;354:1001-1010)によれば、エンテカビルは、ラミブジンに比べて有意に治療効果が高く、安全性は同等で、エンテカビル耐性のHBVの出現は認められなかったと報告されている。
エンテカビルは海外でも広く使用されるようになっており、今後、日本でも、ラミブジン、アデホビルとともに、B型慢性肝炎治療の中心的な薬剤として使用されていくものと考えられる。

■ただしエンテカビルでは、類薬で乳酸アシドーシスや肝障害といった重大な副作用が報告されているほか、頭痛、倦怠感、上気道感染症、鼻咽頭炎、上腹部痛、下痢などの副作用も報告されているので、注意が必要である。
また、エンテカビルは小児における有効性と安全性は確立されていないため、16歳未満の小児患者には原則して使用しない。
なお、投与予定患者には、エンテカビルの有効性を確実にするために、空腹時(食後2時間以降かつ次の食事の2時間以上前)に服用するように指導する必要がある。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/series/drug/update/200608/501211.html
出典 Nikkei Medical 2006. 8. 24
版権 日経BP社

<エンテカビル 関連サイト>
エンテカビル:バラクルード
http://www.interq.or.jp/ox/dwm/se/se62/se6250029.html
■ウイルスのDNAポリメラーゼを強力かつ選択的に阻害します。
これにより、B型肝炎ウイルスのDNA(遺伝子)の複製が妨げられ、ウイルスの増殖が止まります。
約2年にわたる治療で、ウイルスがほぼ消滅(測定限界以下)した人の割合は、この薬で94%、ラミブジンで77%でした。



<番外編>
国内の新型インフルエンザ症例・ガイドライン集を厚労省が緊急にまとめ
厚生労働省(厚労省)は,新型インフルエンザ(A/H1N1pdm)の重症例に関する症例集を緊急にまとめ,医療従事者向けに公表した。
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/hourei/2009/09/dl/info0918-1d.pdf

気管支喘息,急性脳症,肺炎合併例などの詳細な経過を掲載
平成21年度厚生労働科学特別研究「秋以降の新型インフルエンザ流行における医療体制・抗インフルエンザウイルス薬の効果などに関する研究」(主任研究者:工藤宏一郎氏,分担研究者:川名明彦氏)は,国内で発生した新型インフルエンザの重症例における発症からの詳細な経過を画像所見や医師のコメントを付けてまとめた。

掲載されているのは気管支喘息重症発作や急性脳症を合併した小児症例のほか,肺炎を合併した中年,高齢者の症例など計6例。

症例報告に加え,参考資料として,自治体から報告された脳症,挿管,集中治療室(ICU)入室および死亡事例に関する情報や現在の知見から成るエビデンス集やガイドラインなどもあわせて見ることができる。

同ガイドライン作成にあたり,分担研究者の川名明彦氏(防衛医科大学校感染症・呼吸器内科)は,「新型インフルエンザは一定の割合が感染するまで流行がおさまらない可能性がある」とし,今後増加が見込まれる重症例に適切な医療を提供するために,国内で経験された重症例の十分な検証と医師の情報共有が必要,と述べている。

厚労省は今回の流行で不顕性感染例を含めると,日本国民の半数が感染すると試算している。川名氏は,今回の新型インフルエンザの病原性は季節性と変わりないとする見解もあるが,感染例の増加に比例して重症例の数も増えることが見込まれるため,症例集で報告されているような重症例が「全国の医療機関で少なからず経験される可能性がある」と注意喚起している。
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0909/090977.html
出典 MT pro 2009.9.25
版権 メディカル・トリビューン社


「神経幹細胞」が脳修復 国循センター、再生医療に道
国立循環器病センター研究所の柳本広二・脳血管障害研究室長らは脳卒中などで脳が傷つくと、脳を覆う膜で神経細胞に成長する「神経幹細胞」が働き出すことを突き止めた。
ラットを使った実験成果で、機能の損なわれた脳を修復するシステムと考えられる。
人間の脳にも同様の仕組みがあるとみられ、成果は将来の脳の再生医療につながる可能性がある。
 
研究チームは脳が損傷を受けると神経細胞の中でカルシウム濃度が上昇する現象(カルシウムウエーブ)が起きることに注目。脳卒中患者で数日~1週間後に起きることから、ラットでこの現象を再現した。
その結果、脳を覆う軟膜のすぐ下にある細胞が神経幹細胞の特徴を示した。その後、幹細胞から成長する神経細胞なども観察できた。
出典 日経新聞・朝刊 2009.925
版権 日経新聞社



<きょうの一曲>あの日にかえりたい/山本潤子(ソングフォーメモリーズ)
http://www.youtube.com/watch?v=uLJaYImLRlw&feature=fvw

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by wellfrog3 | 2009-09-26 00:59 | 消化器科

急性腹痛の画像検査

急性腹痛に対する画像検査
Imaging for Acute Abdominal Pain
2009 July 28

急性腹痛を有する患者における画像検査(例えば、超音波検査[ultrasonography:US]、コンピュータ断層撮影[computed tomography:CT])は、診断見逃しを減らすが費用がかかる。
さらに、CTによって患者は放射線に曝露される。
このドイツのプロスペクティブな多施設研究では、2時間~5日間の非外傷性腹痛を有する成人1,021人を対象とし、緊急性のある疾患(すなわち、24時間以内に治療が必要である疾患)を検出するための最適な画像検査ストラテジーを検討した。

すべての患者に身体診察、臨床検査、単純X線撮影を実施したのち、診断(緊急性または非緊急性)を記録した。
次に、CTおよびUSを実施し、診断を再記録した(各画像検査を読影した放射線科医には、当該患者の臨床データが与えられたが、他の画像検査の結果は与えられなかった)。
全体で11種類の診断ストラテジーが評価された。各患者に対するそれぞれのストラテジーから得た診断を、熟練した医師のグループが6ヵ月後に下した診断(既知のアウトカムに基づく)と比較した。

患者のうち緊急を要する疾患がレトロスペクティブに診断されたのは、661人(65%)であった。USまたはCT単独のストラテジーでは、臨床診断単独と比較して、緊急を要する疾患の偽陽性診断数が少なかった。
CTはUSと比較して、独立した画像検査法としてより感度が高かったが、すべての患者にUSを行い、USが陰性または決定的でない場合にCTを実施するストラテジーは、もっとも感度が高く(94%、すなわち、見逃した緊急性疾患は6%のみ)、CTによる放射線曝露を受ける患者は49%のみになると考えられた。
疼痛部位、年齢、または体格指数に基づくストラテジーは、US+条件付きCTのストラテジーよりも感度が低かった。

コメント:
これらの結果は、現場でよく認められることを確認するものである。
つまり、急性腹痛患者における緊急性疾患の同定にはCTのほうがUSよりも感度が高い。
しかし、すべての患者にUSを行ったあとUSが陰性または決定的でない場合のみCTを行うという条件付きストラテジーは、もっとも感度が高く、放射線に曝露される患者数がかなり減少するであろう。

— Paul S. Mueller, MD, MPH, FACP
Published in Journal Watch General Medicine July 28, 2009
Citation(s):

Laméris W et al. Imaging strategies for detection of urgent conditions in patients with acute abdominal pain: Diagnostic accuracy study. BMJ 2009 Jun 26; 338:b2431. (http://dx.doi.org/10.1136/bmj.b2431)

http://www.nankodo.co.jp/JWJ/archive/JW09-0728-02.html


<番外編>
#名古屋の死亡者 病院、はじめは感染疑わず
国内3例目の新型インフルエンザ感染による死者となった名古屋市の女性(81)が入院していた国立病院機構名古屋医療センター(同市中区)は19日、女性が高熱で13日に救急外来を受診した際、食べ物などが気道に入って起きる誤嚥(ごえん)性肺炎と診断し、新型インフルエンザ感染を疑わなかったことを明らかにした。
女性が簡易検査を受けたのは入院から4日後で、死因は新型インフルエンザによる重症肺炎だった。

女性は受診の際、誤嚥性肺炎を併発することがあるという多発性骨髄腫の診断も受けており、市役所で会見した内海真・副院長は「現場の医師の判断に大きな間違いはなかった」と話した。

センターによると、女性が13日に受診した際、発熱などのほか、嘔吐(おうと)もみられ、誤嚥性肺炎などと診断して4人部屋に入院させた。
女性は15日に個室に移ったが、女性を診断した研修医や看護師3人が16〜17日に、同室だった1人を含む同じ病棟の入院患者2人が17〜18日に、インフルエンザが疑われる症状を訴えた。
17日に女性の簡易検査を実施し、18日に遺伝子検査(PCR検査)で新型インフルエンザと確認した。

内海副院長は「抗生物質を投与して熱は37度台まで下がっていた。診断に問題はなかった」と説明。
一方で「早期に検査していれば違う対処もできたかもしれない」と話した。

センターは研修医ら6人が院内感染した可能性を認めているが、いずれも快方に向かっており、PCR検査をする予定はないという。

出典 毎日新聞 2009.8.20
版権 毎日新聞社

<コメント>
他の報道と異なり毎日新聞は辛口のタイトルをつけています。
私は外来で、高熱患者には白血球数と簡易な血液像を自動血球計算機で検査しています。
もちろん各種迅速試験も併用しています。
昨日も下腹部痛の20歳代の女性が来院し、虫垂炎としては非典型的と思ったのですが院内検査で白血球数18700。
病院へ「虫垂炎疑い」として紹介しました。
夜Faxで返事が届いて「虫垂炎として緊急腹腔鏡下虫垂切除術を行った」ということでした。
そのように自動血球計算機がなければ私の日常診療は「めくら同然」です。

CRPも重要でしょうが、私はまずはウイルス感染と細菌感染の鑑別からと思っています。


名古屋でのケースでの検査データの開示は是非していただきたいものです。
「現場の医師の判断に大きな間違いはなかった」という限りは検証が必要です。

私の勤務医の経験でも内科に関してはだんだんチーム医療という認識が薄れて来ています。
要するに若い医師はベテラン医師に相談しない、部長などのベテラン医師は研修医などにきちんと指導しないといったことです。

国立病院は給料も高くなくいまだに、ベテラン医師がネーベンをしているケースも多いのではないのでしょうか。
今回ニュースになった病院も以前、ネーベン問題で新聞記事になりなしたが現在はどうなんでしょうか。
私自身国立病院に勤務した経験がるのですが決して士気は高くありませんでした。

厚労省への注文としてはお膝元の国立病院での新型インフルエンザ対策の強化です。

つまり「隗より始めよ」ということです。
ジェネリック薬品もそんなにいいのなら、まずは国立病院での処方普及をさせるべきです。

時系列的に考えると入院時は誤嚥性肺炎で入院後に新型インフルエンザを併発した(入院4日で簡易検査が陽性になるのは少し変)ということも考えられるかも知れません。
いずれにしろ院内調査委員会を立ち上げるか、厚労省からの事情聴取を受けるかしてわれわれ医療機関にその結果を情報公開して欲しいものです。



<自遊時間>
衆議院選が近づいて来ています。
ちょっと興味深い記事が見つかりました。


衆議院議員選挙と医療政策
「医療界にとって政権交代が望ましい」が約6割◆Vol.3
医療政策決定プロセス改善の最善策は「実施結果に担当官僚が責任を負う」
http://www.m3.com/iryoIshin/article/105901/

Q.
医療政策決定プロセスを改善するために、最も効果的だと思われる方法は何ですか
A.
勤務医・開業医ともに、上位3位は「実施した政策の結果について担当官僚が責任を負う仕組みを導入する」、「厚労省の幹部クラスに、臨床現場の医師を任命する」、「重要な政策・制度の決定において医療従事者を含めた関係者の議決を取る仕組みを導入する」で、いずれも約半数の回答者がこれを挙げている。
4位は「厚労省の官僚が、一定期間救急などの医療現場を体験することを義務化する」、5位は勤務医が「地方分権を進める(都道府県が地域の現状に合わせた制度を実施できるよう、厚労省から権限を委譲)」、開業医は「主要審議会・検討会を同時中継するか、すべての(逐語)議事録を公開する」。
その他の意見としては、「政策に仮決定試行期間を設ける」、「過疎化が進む地方都市に厚労省付属病院を作り、官僚に病院経営をさせる。労働基準法を順守し、正しい保険診療を行って、黒字経営ができるか試させる。黒字になるまで診療報酬を上げさせる」などが上がった。

Q.
医師会・医師連盟などが、特定の政党や候補者を支持・推薦することについて、どのように考えますか
A.
「全国のすべての医師会・医師連盟が支持・推薦対象を統一すべき」との意見は勤務医で8.5%、開業医で12.6%と少数。
「全国で対象・方針を統一する必要はないが、各医師会・医師連盟による支持・推薦はすべき」との意見は勤務医・開業医ともに回答のうち最も割合が多く、それぞれ40%台。
「全国で統一」と合わせて、半数以上の医師が医師会・医師連盟などによる支持・推薦を行うべきだと考えている。
一方で、「医師会・医師連盟などによる支持・推薦はすべきではない」とする医師も勤務医で36.8%、開業医で34.3%と、3分の1強を占めた。
なお、日本医師会常任理事・中川俊男氏は、一部の都道府県や郡市区の医師会・医師連盟が自民党以外への支持・推薦を表明していることについて、共同記者会見において質問に答え、「以前にも都道府県レベルで自民党以外の候補者が推薦されることはあった。できれば全国で意思が統一されることが望ましいが、現在のような状況では仕方がない」との見解を示した。



勤務医、開業医ともに「政権交代期待」が約6割 2009年08月19日
http://mrkun.m3.com/mrq/community/message/view.htm?cmsgId=200908190903307799&msgId=200908190908178649&mrId=ADM0000000
「他の政党に政権交代をした方が良い」:勤務医55.1%、開業医60.9%
「自民党が政権を維持した方が良い」:勤務医16.2%、開業医14.3%
「どの政党が政権を取っても変わらない」:勤務医15.4%、開業医16.1%

既存政権の「不満」と、新しい政権への「期待と不安」。そんな思いが入り混じった選挙戦が展開されています。



span style="color:rgb(0,0,255);">他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21? http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科関係の専門的な内容)
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by wellfrog3 | 2009-08-20 00:11 | 消化器科

胆石性膵炎とERCP

胆石性膵炎に対するERCPの適応に関する詳論
Refining the Indications for ERCP in Biliary Pancreatitis
2009 July 30

American Gastroenterological Associationのガイドラインは、「急性胆管炎に急性胆石性膵炎が合併症した場合、[(中略)また]臨床的あるいは画像上の特徴から総胆管結石の存在が示唆された場合、内視鏡的逆行性胆管膵管造影(endoscopic retrograde cholangiopancreatography:ERCP)を緊急に実施すべき」だとしている。
また、こうした所見はみられないものの膵炎重症化することが予想される患者に対しては、早期のERCPについては議論があると述べている(Gastroenterology 2007; 132:2022:http://linkinghub.elsevier.com/retrieve/pii/S0016508507005914)。

オランダのプロスペクティブな観察研究において、この議論が検討された。

胆管炎の所見が認められないが重度の急性胆石性膵炎患者(APACHE-IIなどのスコアシステムにより評価)153人を研究に組み入れた。
胆汁うっ滞(血清ビリルビン値2.3mg/dL超、または総胆管の拡張、もしくはその両方)のある患者は約半数であった。
医師の選択に従い72時間以内にERCPを受けた患者は全体の53%、それ以降にERCPを受けた患者、あるいはERCPを受けなかった患者は47%であった。
ランダム化されなかったが、早期ERCP群と保存的治療群の人口統計学的特性および臨床的特性はほぼ同等であった。

胆汁うっ滞があり早期のERCPを受けた患者は、保存的治療を受けた患者に比べて全体的合併症率が有意に低く(25%対54%)、有意性は認められなかったものの死亡率が低かった(6%対15%)。
対照的に、胆汁うっ滞のない患者は早期のERCPから明らかな利益を得なかった。
これらの結果は、交絡変数で調整後の多変量解析によって裏付けられた。

コメント
これらの結果は、たとえ重度の急性胆石性膵炎があっても、胆汁うっ滞あるいは胆管炎の所見が認められない限り、ERCPを先送りできることを示唆している。
この研究の限界がランダム化の手法を用いなかったことである点は明らかである。

— Allan S. Brett, MD
Published in Journal Watch General Medicine July 30, 2009
http://www.nankodo.co.jp/JWJ/archive/JW09-0730-03.html


Citation(s):
van Santvoort HC et al. Early endoscopic retrograde cholangiopancreatography in predicted severe acute biliary pancreatitis: A prospective multicenter study. Ann Surg 2009 Jul; 250:68.




他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21? http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科関係の専門的な内容)

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by wellfrog3 | 2009-08-17 00:03 | 消化器科

自走式カプセル内視鏡

胃の中、自在にスーイスイ 自走式の内視鏡を開発
胃や腸の中を自在に動かして撮影することができる「自走式カプセル内視鏡」の開発に成功したと、龍谷大と大阪医科大の共同チームが2日、発表した。
市販のカプセル内視鏡にヒレと磁石をつけ、磁力を利用して遠隔操作しながら動かす。
犬の胃の中の撮影に成功、1年以内に臨床試験を始めたいとしている。

胃カメラなどのチューブ式の内視鏡は検査時の苦痛が大きく、その苦痛を軽くするため、飲み込んで排泄(はいせつ)するタイプの超小型カメラ内蔵のカプセル内視鏡が開発され、実用化されている。
しかし、カメラが医師の観察したい所に行かないこともあるという問題があった。

大塚尚武・龍谷大教授(機械システム工学)らは、小型磁石とヒレをつけた自走式カプセル内視鏡と磁場の発生装置を開発した。磁場に反応して磁石が動き、その動きがヒレに伝わって、魚が泳ぐように動く仕組みだ。画面を見ながらジョイスティックで動きをコントロールする。

犬の胃の中に止血用のクリップ4個をおき、この内視鏡で撮影した画面を見ながら探す試験をしたところ、うまく見つけることができた。

今回作った自走式カプセル内視鏡は長さ4.8センチ。磁場は弱く、人体への影響はないと考えられるという。「将来は胃や小腸、大腸などすべての消化管が検査できるようにしたい」とチームの樋口和秀・大阪医科大教授(内科)は話している。



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赤いヒレがついた自走式カプセル内視鏡=龍谷大提供


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手のひらにのる自走式カプセル内視鏡と動きを制御する装置



http://www.asahi.com/science/update/0703/OSK200907020145.html
出典 asahi.com 2009年7月3日21時39分
版権 朝日新聞社


<関連サイト>
外部から自在に動かせるカプセル内視鏡を開発,龍谷大と大阪医科大
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090706/172617/

内視鏡:胃腸の中をスイスイ 自走式カプセル型実用化へ
http://mainichi.jp/select/today/news/20090703k0000m040132000c.html
磁石の入ったひれで自由に動き回れる自走式内視鏡(右)。
デモンストレーションでは水槽内を動き回った=京都市上京区の龍谷大セミナーハウスで2009年7月2日午後4時5分、藤田文亮撮影
 
龍谷大の大塚尚武教授と大阪医科大の樋口和秀教授らの研究グループが、胃や腸の中で自由に動かせる自走式カプセル型内視鏡を開発し、2日、報道陣に公開した。
ケーブルでつながず遠隔操作できるため、両教授らは「患者の不快感や身体への負担を軽減できる」としており、3年以内の実用化を目指す。

既存のカプセル型内視鏡に磁石の「ひれ」を装着したもの。
直径14ミリ、ひれを含めた長さ48ミリで魚のような形をしている。
患者の体外に発生させた磁場を、ひれの磁石に作用させ、コントローラーでカプセルを前後左右に動かす。

胃の場合は口から飲み込むが、大腸の場合はこう門から直接入れることで、検査時間の短縮もできる。

これまでのカプセル型内視鏡は胃腸の動きに任せて進むだけで、方向転換や後退ができず、患部の検査が不十分になることが多かったという。

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磁石の入ったひれで自由に動き回れる自走式内視鏡(右)。
デモンストレーションでは水槽内を動き回った=京都市上京区の龍谷大セミナーハウスで2009年7月2日午後4時5分、藤田文亮撮影
2009年7月2日 22時54分 更新:7月3日 11時20分



<医学雑誌斜め読み>medicina vol.46 no.7 2009-7 P1151~1154
「カプセル内視鏡(CE)」
昭和大学横浜市北部病院消化器センター 大塚和朗先生
■大きさ11×26mmのCEは、照明に発光ダイオードを用い、毎秒2枚の写真を約8時間にわたり撮影する。
■画像信号はカプセルから体表に貼付けたアンテナに送られる。
■食道用や大腸用も実用化され、生検や治療ができるものも研究されている。

<番外編>
新型インフルエンザ全数把握を中止 集団監視に切り替え 厚労省
厚生労働省は22日、感染症法施行規則を改正し、5月の国内発生以来続けてきた新型インフルエンザ患者の全数把握を中止することを決めた。
大流行の恐れがある秋以降、新型か従来の季節性インフルエンザか確定する遺伝子検査の作業が追い付かなくなることが予想されるほか、どちらも治療法に大差がなく、確定診断そのものの必要性も低いため。
24日からは、学校などで集団感染が起きた場合の一部についてのみ報告を求める。

厚労省によると、22日午前11時現在、都道府県などから報告があった国内の新型インフルエンザ患者は4433人。
秋以降に大流行した場合、数千万人の感染の恐れがあるとされる。
既に米国など多くの発生国は患者の全数把握をしていない。

新たな方針は、集団感染の早期発見に力点を置き、学校や職場など10人以上の集団で1週間に2人以上の疑い例が出た場合に限り、医療機関から保健所への連絡を求める。
都道府県や政令市は原則的に最初の1例だけを遺伝子検査し、新型と確定すれば国に報告。それ以降は「疑い例」として届け出て、重症化したケースを除き遺伝子検査はしない。

一方、ウイルスの毒性変化を監視するため、国内約500カ所の定点医療機関に限り、症状のある全患者の検体を採取し、集団感染でなくても遺伝子検査に回す。

毎日新聞社 2009.7.23




<きょうの一曲> The Ventures "Walk Don't Run"
The Ventures "Walk Don't Run"
http://www.youtube.com/watch?v=lJ11y7pYl-8&feature=related

The Ventures "Walk Don't Run '64"
http://www.youtube.com/watch?v=ei9JqUvPDMA&feature=related

Chet Atkins "Walk Don't Run'
http://www.youtube.com/watch?v=vDTJTSAuois&feature=related

<番外編>
懐かしのオールディーズ Oldies But Goodies
http://ody.seesaa.net/category/4879612-1.html

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by wellfrog3 | 2009-07-25 00:11 | 消化器科

S状結腸鏡によるスクリーニング 

BMJ誌に発表された、「S状結腸鏡によるスクリーニングには限界がある」という論文で勉強しました。



#S状結腸鏡によるスクリーニングは大腸癌を減らさない
ノルウェーの大規模無作為化試験NORCCAPの中間結果

S状結腸鏡を用いたスクリーニングが大腸癌の罹病率と死亡率を低下させる可能性が示されているが、明確な利益を示した質の高い無作為化試験はなかった。
ノルウェー癌登録・大腸癌予防センターに所属するGeir Hoff氏らは、進行中の大規模無作為化試験NORCCAPトライアル1の中間解析を行い、1回のスクリーニング実施はその後7年間の大腸癌罹患率と大腸癌死亡率に有意な影響を及ぼさないことを示唆した。
詳細は、BMJ誌2009年6月6日号に報告された。

NORCCAPトライアル1は、軟性S状結腸鏡を用いたスクリーニングを1回行い、その後の大腸癌リスクと大腸癌死亡リスクを、検査を受けなかった人々と比較する無作為化試験で、ノルウェーのOslo(都市部)とTelemark(都市部と田園地帯が入り交じる地域)で行われている。

55〜64歳の男女5万5736人(平均年齢59歳、女性が50%)を登録。
これらの人々のうち、1万3823人を軟性S状結腸鏡を用いたスクリーニングに1回だけ招待する群(6908人には便潜血検査も勧めた)、4万1913人をスクリーニングなし群に無作為に割り付けた。

両都市の2カ所の医療機関で、1999年1月から2000年12月に集団ベースのスクリーニングを実施。スクリーニングにおける陽性判定は、直径10mm以上のポリープ、組織学的に腺腫と判定された腫瘍(大きさは問わない)、または癌腫が見付かった場合、もしくは便潜血陽性とし、陽性者には全大腸内視鏡検査を行って標本を採取した。
癌と診断された患者は治療を受け、それ以外の人々と同様に地域の医療機関で追跡された。

ノルウェーには、疫学研究用として、癌罹患と全死因死亡にかかわる情報を生涯にわたって登録するデータベースが存在する。
対照群については、該当者に接触することなしに、データベースに登録された情報に基づいて追跡期間中の大腸癌罹患と大腸癌死亡の有無を判断した。

主要アウトカム評価指標は、5年後、10年後、15年後の大腸癌の累積罹患率と死亡率に設定されているが、今回は初めての中間評価として、中央値7年の追跡における累積罹患率と6年の時点の死亡のハザード比を調べた。分析はintention-to-screening(割り付け群に基づく分析)で行った。

割り付けから試験開始(スクリーニング群の場合には、検査日を決めた日を試験開始とした)までの間に、大腸癌との診断を受けた、または死亡した人々(スクリーニング群149人、対照群604人)は分析から除いた。

スクリーニング群で実際にスクリーニングを受けたのは8846人(64.8%)だった。
うち21%が全大腸内視鏡検査を受けた。当初のS状結腸鏡検査とその後の全大腸内視鏡検査で発見された大腸癌をスクリーニングによる検出とした。

スクリーニングによる大腸癌検出は33人で、うち16人がS状結腸鏡のみ、17人が便潜血検査を併用した患者だった。

intention-to-screening解析では、スクリーニング群1万3653人と対照群4万1092人の間の累積罹患率に差はなかった。
大腸癌罹患者は、スクリーニング群123人、対照群は362人で、罹患率は10万人-年当たり134.5と131.9。

次に、実際にスクリーニングを受けた8846人を対象に、結腸鏡が届いた範囲(男性では平均48.9cm、女性では44.0cm)の直腸S状結腸癌の罹患率を比較した(per-protocol分析)。
スクリーニング受検者では35人、対照群では217人が罹患しており、罹患率は10万人-年当たり58と79になった(p=0.103)。

大腸癌死亡は、スクリーニング群1万3653人中24人、対照群4万1092人中99人。大腸癌死亡のハザード比は0.73(95%信頼区間0.47-1.13、p=0.16)だった。
直腸S状結腸においても、死亡のハザード比は0.63(0.34-1.18、p=0.15)で有意差なしとなった。

一方、per-protocol分析では、大腸癌死亡リスク(ハザード比0.41、0.21-0.82、p=0.011)、直腸S状結腸癌の死亡リスク(ハザード比0.24、0.08-0.76、p=0.016)は、共にスクリーニング受検者群で有意に低かった。

全死因死亡については両群間に差はなかった(ハザード比1.02、0.98-1.07、p=0.28)。

なお、発見された癌のステージ分布を比較したところ、集団に占める進行癌患者の割合は、スクリーニング検出グループで最も低く1.2%だった。
スクリーニング時には陰性だったがその後大腸癌が見つかった患者では3.3%、スクリーニング群に割り付けられたが検査を受けなかったグループでは7.9%、対照群は6.4%となった。

#S状結腸鏡検査に起因する重症の合併症はなかった。
今回の7年間の追跡では、S状結腸鏡を用いたスクリーニングによる大腸癌罹患率と死亡率の有意な低下は見られなかった。
だが、追跡期間が伸びれば、差が現れる可能性は残る。

また、実際に受検した者のみを分析対象にすると、死亡率は有意に低下していたが、スクリーニングを広範に実施した場合の利益を明らかにするためには、より精密な設計の無作為化試験を行う必要があるだろう、と著者らは述べている。

Risk of colorectal cancer seven years after flexible sigmoidoscopy screening: randomised controlled trial
BMJ 2009;338:b1846
http://www.bmj.com/cgi/content/full/338/may29_2/b1846


http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/bmj/200906/511242.html
出典 NM online 2009.6.22
版権 日経BP社


<番外編>
以下は、大腸ポリープと大腸癌の検出能力をカプセル型内視鏡と大腸内視鏡で比較した論文です。

原著
Capsule Endoscopy versus Colonoscopy for the Detection of Polyps and Cancer
Volume 361:264-270July 16, 2009Number 3
http://content.nejm.org/cgi/content/short/361/3/264

大腸ポリープと大腸癌の検出におけるカプセル型内視鏡と
大腸内視鏡の比較
Capsule Endoscopy versus Colonoscopy for the Detection of Polyps and Cancer
A. Van Gossum and others
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/361/361jul/xf361-03-0264.htm
■結 論
カプセル型内視鏡による大腸粘膜の観察は大多数の患者で可能であるが,その大腸病変検出の感度は大腸内視鏡よりも劣っている.


<医学雑誌斜め読み>
日本医事新報 No.4445 2009.7.4
プライマリケア医のためのIBS診療
辻賢太郎クリニック  辻賢太郎 院長
版権 日本医事新報社、アステラス製薬 

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by wellfrog3 | 2009-07-22 00:48 | 消化器科

ディスペプシア

米国消化器学会(第40回米国消化器病週間DDW2009 2009年5月30日〜6月4日 Chicago, U.S.A.)の記事で勉強しました。

禁煙、アスピリン/NSAIDの中止、H.pylori除菌でディスペプシアは3割減に
心窩部痛、早期飽満感など、上腹部症状を中心としたディスペプシアは、有病率は高いものの、原因はいまだ不明であり、危険因子にも諸説がある。カナダ・McMaster大学のAvantika Marwaha氏らは、2万報以上の論文のシステマティック・レビューとメタ解析を実施し、喫煙、アスピリン/NSAIDの使用、H.pylori感染、女性であることの4つが有力な危険因子として浮上したことを明らかにした。
研究成果は、米シカゴで開催中の米国消化器学会(第40回米国消化器病週間DDW2009)の一般口演で報告した。

同氏らはまず、MEDLINE、EMBASEの両データベースを利用し、2008年8月までに収録された全文献を検索、ディスペプシアの有病率について示した横断研究、ケースコントロール研究、コホート研究、無作為化比較試験に関する2万3457報の文献を抽出した。

次に、2人の査読者がこれらの論文を査読し、50人以上の成人を対象とした研究であること、地域や職場、健診機関、プライマリケア医などでなされた研究であることを条件として2次検索を行った。
さらに、第3の査読者がその適格性を判断することにより、241報の文献が同定された。
これらはすべて横断研究での報告であった。

続いてMarwaha氏らは、これらの文献から、性差、H.pylori感染、アスピリン/NSAID、社会経済的ステータス(SES)、喫煙、アルコール摂取に関するデータを抽出・集積してメタ解析を行い、それぞれの要素がディスペプシア有病率に及ぼす影響を検討した。

その結果、性差については64研究、12万9283例(うち女性52.2%)のデータが集積された。
女性がディスペプシアを呈するオッズ比(OR)は1.28(95%CI:1.17-1.39)であり、性差はディスペプシアの有意な危険因子であることが示された。

同様に、他の因子についても9〜32研究、2万4282〜3万6825例のデータを集積し、H.pylori感染(OR=1.21、1.08-1.36)、アスピリン/NSAIDの使用(OR=1.45、1.25-1.68)、喫煙(OR=1.47、1.35-1.60)の各要素が有意な危険因子として同定された。
一方、SESとアルコール摂取については、ディスペプシアとの間に有意な相関は認められなかった。

もし、今回同定された4つの危険因子がそれぞれ独立したディスペプシアの病因であるとすれば、変更不能な因子である性差を除く3つの要素(喫煙、アスピリン/NSAIDの使用、H.pylori感染)を是正することにより、ディスペプシアの有病率は29%も減少する計算になるという。

しかし、今回のメタ解析では、個々の試験間の不均一性の尺度であるI2値が46.1%(喫煙)〜88%(アルコール摂取)ときわめて高く、解析結果の妥当性に疑問が残った。そのためMarwaha氏らは、不均一性の原因として、
(1)試験ごとの診断基準の違い、
(2)西半球と東半球の違い、
(3)地域ベースの研究とその他のセッティングでなされた研究の違い、
の3つの可能性を考え、それぞれの影響を調べたが、明らかな原因は同定できなかったという。

また、H.pylori感染についても、もともとの感染率が高い日本と欧米諸国では異なる結果になることも予想され、ディスペプシアの病因の解明には、なお課題が残されている。

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カナダ・McMaster大学のAvantika Marwaha氏
(あまりにも奇麗なドクターなのでついアップしてしまいました)

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/aga2009/200906/511000.html
出典 NM online 2009.6.3
版権 日経BP社


<番外編>
アデノウイルス新型が流行、北大などが発表
感染すると流行性角結膜炎などを引き起こすアデノウイルスに2種類の新型が存在し、日本国内で流行していることを北海道大医学研究科、三菱化学メディエンス(東京都)の研究グループが突き止め、16日発表した。

アデノウイルスはこれまでに51種類確認されている。
このうち、人に感染すると目が充血したり、目ヤニが大量に出たりする流行性角結膜炎を発症するタイプが4種類あるとされてきた。
研究グループは、患者からウイルスを分離、増殖させて遺伝子の塩基配列を調べた結果、既存の4種類とは異なる型が2種類存在することを突き止め、今年4月にハンガリー・ブダペストで開催された国際学会で新型だと認定された。

さらに2000-08年の国内での院内感染など流行したケースの患者のウイルスの型を追跡調査したところ、50%強がこの新型2種だったことが分かった。

流行性角結膜炎は毎年6-8月を中心に流行し、日本国内では年間60-100万人の患者がいるという。

研究グループの大野重昭・同科特任教授は「治療薬やワクチンの開発につなげていきたい。夏場に備え、十分な消毒を心掛けてほしい」としている。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/7/17/104489/
読売新聞 2009.7.16

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by wellfrog3 | 2009-07-21 00:30 | 消化器科

マルチスライスCTを利用した大腸がん検診

国立がんセンター、マルチスライスCTを利用した大腸がん検診を今秋開始
国立がんセンターがん予防・検診研究センターは、今秋にもマルチスライスCTを利用した大腸がん検診を開始する計画だ。
同センター総合検診室長の飯沼元氏がこのほど明らかにした。
 
国立がんセンターが計画している大腸がん検診は、マルチスライスCTで得た画像データをコンピューターで三次元化し、病変部位を検出するというもの。
「内視鏡検査には腸に穴が開く(腸穿孔)リスクが伴い、また、検査精度は内視鏡検査を行う医師の技量に依存するが、CT検査の場合はそのようなリスクも無く、医師の技量に依存せずに病変部位を検出できる利点がある」と飯沼氏。
また、検査費用も、内視鏡検査に比べて2分の1以下と安くできるという。
CTを用いた検査は、仮想内視鏡、もしくは「CTコロノグラフィ」と呼ばれている。
 
CTコロノグラフィは、欧米で、既に中程度の大きさの大腸ポリープの検出においては、内視鏡と同等の精度があると評価されており、大腸がん検診への利用が期待されている技術だ。
 
飯沼氏らは、同センターの検診の受診者を対象に、内視鏡検査とCTコロノグラフィの精度の比較などを行ってきている。
これまでの検討の結果、5mm以上のポリープであれば十分に検出できることを確認しているという。
 
加えて、日本人に多いと考えられている平らな表面型腫瘍(表面平坦型、表面冠凹型)を検出するための研究も進めている。
表面型腫瘍の検出については、「今後、システムの改良により診断できる可能性が見えてきている」と飯沼氏は語っている。

http://cancernavi.nikkeibp.co.jp/news/ct.html
出典 がんナビ
版権 日経BP社

<関連サイト>
大腸がん検診で注目度高まる---CTコロノグラフィ体験記
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/it/report/200905/510859.html

CTコロノグラフィとは
http://medicsight.co.jp/ct_colonography/ctc/01_whats_ctc.html



<番外編>
FDAが警告レベルを引き上げ
禁煙補助薬バレニクリンに自殺行動などの黒枠警告
米食品医薬品局(FDA)は、2009年7月1日、禁煙補助薬として日本でも使用されているバレニクリンと、日本では未承認のブプロピオンについて、使用中の患者に自殺行動を含む重篤な精神神経症状が現れる危険性があることを、新たに黒枠警告として示すよう、製薬会社に求めたと発表した。
FDAは同時に、製薬会社に患者向けの医薬品ガイド(Medication Guides)を作成するよう要求。
処方情報の警告の部分にも、同様の情報が追加される見込みだ。 

バレニクリンの米国における商品名はチャンティックス、日本ではチャンピックス。
ブプロピオンは、米国では禁煙補助薬(商品名ザイバン)および抗うつ薬・季節性情動障害治療薬(商品名ウエルブトリン)として販売されており、ジェネリック薬も存在する。
FDAはこれらすべてに対して、黒枠警告の追加を要求。
抗うつ薬として市販されているブプロピオンには、既に自殺行動に関する黒枠警告は記載されているが、今後、さらに情報が追加される予定だ。

バレニクリンについては、既にFDAが2008年5月に、自殺念慮、自殺企図、自殺完遂、行動の変化、興奮、抑うつ気分に関する警告を、処方情報と患者向け医薬品ガイドに追加するよう求めていた。
今回の黒枠警告は、これらについての警告レベルの引き上げを図ったもの。

FDAは、黒枠警告の追加に先立ち、Adverse Event Reporting Systemに報告された市販後の有害事象調査の結果と、臨床試験データ、研究論文を分析。
この結果、有害事象のリスクは小さいが、リスクは現実に存在するため、投与開始に当たって禁煙によって得られる利益と有害事象リスクのバランスを十分に勘案する必要がある、としている。

想定される有害事象は、行動の変化、敵意、興奮、抑うつ、自殺念慮と自殺行動、自殺企図など。多くの場合、症状はこれらの薬剤の使用を開始してから短時間のうちに現れ、使用を中止すれば消失する。
しかし、一部の患者では、薬剤の使用を中止しても症状が残るほか、使用中止後に症状が発現する患者もいるので、使用中止後も十分な監視が必要だ、とFDAは述べている。

なお、禁煙を試みる患者には、これら薬剤の使用の有無にかかわらず、ニコチン離脱症状としての抑うつや興奮、落ち着きのなさ、不安、睡眠障害などが起こり得る。
したがって、医師は、患者にニコチン離脱症状について説明した上で、バレニクリンまたはブプロピオンを処方し、これら薬剤を使用しているすべての患者について、精神神経症状の発現を監視しなければならない、とFDAは注意を促している。

さらに、統合失調症、双極性障害、大うつ病などの重症精神神経疾患の患者は、バレニクリンやブプロピオンの使用によって症状が悪化する危険性がある。
こうした患者については、禁煙補助薬を処方する前に、症状悪化リスクについて説明する必要がある。

FDAは今回、製薬会社に対し、精神疾患患者も含む集団を対象として、様々な禁煙治療が重症の精神神経症状を引き起こす頻度を調べる臨床試験の実施も要求している。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200907/511518.html
出典 NM online 2009.7.10
版権 日経BP社



<インフルエンザ関連サイト>

<b> <新型インフル>タミフル耐性、山口で国内2例目
山口県は17日、県内で新型インフルエンザ感染が確認された患者から、抗インフル薬「タミフル」に耐性を持つウイルスが検出されたと発表した。
耐性ウイルスの確認は、2日の大阪府内の患者に次いで国内2例目。遺伝子の突然変異によるもので感染力は弱いといい、患者は既に回復したという。
国立感染症研究所で耐性が確認された。
http://www.excite.co.jp/News/society/20090717/20090718M40.054.html
2009年7月17日 20時13分

<コメント>
タミフルは新型を含めインフルエンザに対して投与すれば必ず有効というわけではないのですから、どのようなケースで耐性が疑われ、そして実際に耐性が証明されるのか。
正直言って、いまだもって私にはよく分かりません。


<自遊時間>
来春の医学部入学定員、過去最多8855人
文部科学省は17日、全国の国公私立大の医学部の来年度の入学定員について、過去最多だった今春からさらに最大369人増員し、8855人とする計画を発表した。

医師不足に対応するため今後10年間、増員を続ける方針。
卒業後も一定期間は地域にとどまる条件を課すなどして医師偏在の解消を目指す。

塩谷文科相が17日午前、地域医療に関する関係閣僚会議で明らかにした。
増員の内訳は、
〈1〉各都道府県7人以内の「地域医療枠」(最大329人)
〈2〉各大学3人を上限に、臨床現場には出ない研究医を養成する「研究枠」(同10人)
〈3〉併設の歯学部で定員を減らした場合に医学部の増員を認める「歯学代替枠」(同30人)
--の計369人。

地域医療枠は、勤務地を一定期間限定した入学枠を設ける大学などが対象。
従来は、都道府県が地元大学だけを対象に割り振り先や人数を決めていたが、今回は、ほかの地域にある大学から派遣された医師も地域医療を支えている実態を踏まえ、7人のうち2人までは別の都道府県にある大学にも割り振れるようにした。

研究枠は、臨床医不足の余波で再生医療など最先端の研究を担う研究医が不足していることに対応する初めての措置。

文科省は再来年度以降も今回の増員幅を維持した上で、必要に応じさらなる上乗せも検討する。

出典 読売新聞 2009.7.17
版権 読売新聞社


<コメント>
臨床現場には出ない研究医を養成する「研究枠」
「歯学代替枠」
別の都道府県にある大学にも割り振れるようにした
・・・
こういった事態に陥った原因(施策の間違い)を検討しないまま、こういったなりふり構わずの新しい案を打ち出すのは現政権と同じです。
どの案も茶番で、「泥縄的」であることに多くの医師はあきれています。

法曹界では司法試験の定員増で質の低下がみられ混乱しています。
医療報酬を削りながら医師を増やす。
今後質の低下が起こるのは明々白々です。

文科省の「ゆとり教育」も迷走しました。
しかし何の「総括」がありません。


施策を誤るのは仕方がないかも知れません。
しかし失敗の多くは現場の意見に耳を傾けないことに起因しています。
○○諮問委員会の構成員は有識者かも知れませんが、現場を知らない人たちです。

スーパーの客のことが一番わかるのは社長ではなくパートのレジのおばさんです。
この意見を汲み上げれないスーパーは発展しません。
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by wellfrog3 | 2009-07-18 00:15 | 消化器科

ファモチジンの予防的投与と低用量アスピリン潰瘍

ファモチジンの予防的投与で低用量アスピリン潰瘍のリスクが大幅減

消化管出血を恐れながら服用を続けるか、それとも服用を止めて心血管イベントのリスクに怯えるか?
心血管疾患発症後など、低用量アスピリンによる抗血栓療法が必要な患者がこうした究極の選択に悩むことはもうなくなるかもしれない。
英国Crosshouse病院のAli S Taha氏は、低用量アスピリン服用者に対するH2ブロッカー・ファモチジンの潰瘍予防効果を検証するプラセボ対照試験について報告。
同剤の予防的投与により、食道炎と胃・十二指腸潰瘍の発生は33%から5.9%に激減したことを明らかにした。
詳細は米シカゴで開催中の米国消化器学会(第40回米国消化器病週間DDW2009)で報告された。

心血管疾患(CVD)患者とその予備群の増加を背景に、低用量アスピリンの処方は急速に増加している。
これに伴い、低用量アスピリンによる潰瘍や消化管出血の報告も増えているが、潰瘍リスクの上昇を恐れて低用量アスピリンを中止するのは危険である。
効果と経済性を兼ね備えた点で、低用量アスピリンに代えうる薬はない。

対策として酸分泌抑制剤が有効だが、プロトンポンプ阻害薬はクロピドグレルなどとの相互作用が問題となっている。
そこでTaha氏らは、NSAID使用者での良好な忍容性と高い潰瘍予防効果が確認されているH2ブロッカーのファモチジンに着目。
低用量アスピリン服用者における予防効果を検討した。

対象は、CVD予防目的で低用量アスピリン(75〜325mg/日)を服用中の18歳以上の患者である。
基礎疾患の種類や低用量アスピリン以外の抗血小板薬使用の有無、ベースライン時の内視鏡検査における軽度な所見(びらん、瘢痕)、H.pylori感染の有無は不問としたが、直近3カ月以内の心筋梗塞・脳梗塞既往者と、高度な内視鏡的所見(食道炎、潰瘍、腫瘍)を認めた患者、ワルファリンまたはNSAIDsの使用者、他の潰瘍惹起性薬剤の使用者、H.pylori除菌療法を受けた患者は対象から除外した。

同氏らは、これらの基準に該当した404例の患者をファモチジン群(ファモチジン20mg×2回/日投与、n=204)とプラセボ群(n=200)に無作為割付して追跡し、12週間後の内視鏡的所見(食道炎、胃潰瘍、十二指腸潰瘍)の発現頻度を比較した。
対象患者の平均年齢は63歳、併用薬として、近年低用量アスピリンとの併用療法が増加しているクロピドグレルが、ファモチジン群で18.6%、プラセボ群で16.0%含まれていた。なお、発現頻度はITT(intention-to-treat)解析にて求めた。

その結果、プラセボ群では66例(33%)に上記の所見が認められたのに対し、ファモチジン群では12例(5.9%)にとどまった(P<0.0001)。
この傾向は、食道炎(19% vs 4.4%、P<0.0001)、胃潰瘍(15% vs 3.4%、P=0.00021)、十二指腸潰瘍(8.5% vs 0.5%、P=0.0045)とも同じであった。
また、粘膜障害がまったく認められないLanzaスコア0の患者の割合は、ファモチジン群で有意に多かった(胃・十二指腸ともP<0.0001)。

内視鏡所見の発生を従属変数としたロジスティック回帰分析で求められたH.pylori感染のオッズ比(OR)は1.08(95%信頼区間:0.58-1.98、P=0.35)で、有意な予測因子とは認められなかった。
他方、β遮断薬の使用(OR 2.57:1.43-4.62、P=0.0017)とベースライン時のびらん・瘢痕(OR 5.673:1.323-24.338、P=0.0195)の2つが有意な予測因子として得られた。

一方、有害事象の発生率はファモチジン群とプラセボ群で同程度であり、ファモチジン群では上部消化管出血をみた患者は皆無だった。
また、心血管イベントの発生も少なかったが、いずれもプラセボ群との間に統計的有意差を認めるには至らなかった。

以上より、低用量アスピリン服用者に対するファモチジンの予防的投与は、食道炎や胃・十二指腸潰瘍の発症予防に高い効果を有し、安全性・忍容性にも問題はないものと考えられた。
多くの合併症と危険因子を抱え、併用薬も多い“リアルワールド”の低用量アスピリン服用者にとって、ファモチジンの予防的投与は有力な選択肢となろう。
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/aga2009/200906/510968.html
出典 NM online 2009. 6. 2
版権 日経BP社




米国消化器学会(第40回米国消化器病週間DDW2009) 2009年5月30日〜6月4日 Chicago, U.S.A.に関する記事からです。

NSAID+低用量アスピリン併用時の潰瘍発症率はNSAID単剤使用時と同等だが出血マーカーは上昇
NSAIDと血小板凝集を抑えるアスピリンは消化性潰瘍(PU)の強力な危険因子である。
両者の併用には不安を覚える人が少なくないだろう。
関節リウマチ(RA)患者におけるNSAID・低用量アスピリン使用とPU発症の関連を検討した日本医科大学消化器内科の三宅一昌氏らは、両剤併用時のPU発症率がNSAID単剤使用時と変わりないこと、半面、潰瘍の「出血しやすさ」が上昇している可能性があることを確かめ、米シカゴで開催されている米国消化器学会(第40回米国消化器病週間DDW2009)のポスターセッションで報告した。

心血管疾患(CVD)予防薬としての低用量アスピリンの使用が急速に普及するなか、CVDハイリスク者が多いRA患者の間でも同剤への期待感が高まっている。
しかし、RA患者の多くが長期連用するNSAIDにはPUリスクの上昇という避け難い副産物がある。
そこで三宅氏らは、RA連続症例のレトロスペクティブな解析を行い、NSAIDと低用量アスピリンとの併用がPUの発症と出血傾向に及ぼす影響を検討した。

対象は、2003年2月〜2007年3月に日医大を受診したRA患者のうち、直近3カ月以内にプロトンポンプ阻害薬(PPI)とプロスタグランジン製剤(PG)の投与歴がなく、少なくとも3カ月以上処方内容に変更のなかった患者232例(男性25例、女性207例、平均61.7±0.6歳)とした。

このうち、NSAIDとアスピリンのいずれも服用していなかった患者は25例(C群)、NSAID単剤を服用していた患者は174例(N群)、NSAIDとアスピリンを併用していた患者は11例(N+A群)、2種類のNSAIDを服用していた患者は22例(N+N群)だった。

上記4群で内視鏡的にPUが確認された患者は、それぞれ0例(0%)、34例(19.5%)、2例(18.2%)、10例(45.5%)で、N群のPU有病率はC群より有意に高く(P<0.01)、N+N群はN群よりもさらに有病率が高かった(P<0.05)。
一方、N群とN+A群間には有意な差は認められなかった。

これらの結果から、NSAID長期連用RA患者におけるさらなるNSAIDの併用はPUリスクを倍増させるのに対し、低用量アスピリンの併用はリスクを高めないと考えられた。

しかし、N+A群でPUが認められた2例の患者では、ヘモグロビン値(Hb)が他群のPU有病者に比して有意に低値だった(対N群、対N+N群ともP=0.01)。
また、同じN+A群内のPU非有病者との比較でも、これらのマーカーには有意または有意に近い差が認められた(Hb:P=0.055、MCV:P=0.029)。
これに対し、N群やN+N群では、PUの有無にかかわらず出血マーカー値に差はみられなかった。

以上より、NSAIDとアスピリンの併用は、NSAIDとNSAIDの併用のようにPUリスクを高めることはないが、潰瘍の「出血しやすさ」は上昇している可能性が示された。
三宅氏らは、「NSAID+アスピリン併用患者では、たとえ無症候性のPUであっても潜在的な出血により貧血をもたらす可能性がある」として注意を促した。

低用量アスピリン服用患者は今後ますます増加すると予想される。
通常の出血性潰瘍に比べて止血が困難との報告もあるから、注意が必要だろう。

なお今回の検討で対象者が用いていたNSAIDは、ほとんどが非選択的阻害薬だった。
今後、COX-2選択的阻害薬の影響についても明らかになることを期待したい。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/aga2009/200906/510967.html
出典  NM online 2009. 6. 2
版権 日経BP社



<番外編>
変形性関節症ならメタボ・認知症注意 東大チーム疫学調査
関節が痛み介護が必要になることが多い変形性関節症の患者は、メタボリック症候群や認知症になるリスクが高いことが、東京大学医学部付属病院の吉村典子特任准教授らの研究チームの疫学調査でわかった。
40歳以上の男女を対象にした研究成果で、7月23日から大阪市で開催される日本骨代謝学会などで発表する。
 
研究チームは、2005年から07年まで和歌山県など3地域で、平均年齢70歳の男女計3040人を対象に聞き取り調査などをし、運動器の疾患と健康状態を調べた。
 
その結果、変形性膝関節症の人は関節症でない人に比べて、メタボリック症候群になる確率が約2.6倍高いうえ、認知症になる確率は約1.8倍高かった。
また腰が痛む変形性腰椎(ようつい)症の人は、腰椎症でない人と比べてメタボリック症候群になる確率は約3倍だった。

吉村特任准教授は「因果関係はわからないが、ひざが痛むため運動や活動をしなくなり認知症になりやすくなる可能性もある」と話す。

http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090630AT1G3003330062009.html
出典 日経新聞・朝刊 2009.7.1
版権 日経新聞社





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荒井美智代  サクレクールへの道 F10
http://www.ichimainoe.co.jp/index/arai_michiyo.html


<きょうの一曲>  Michael Jackson - Billie Jean
Michael Jackson - Billie Jean Live
http://www.pp2g.tv/vYXt-Ync_.aspx

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by wellfrog3 | 2009-07-02 00:47 | 消化器科

胃癌検診にピロリ抗体検査

胃癌検診にピロリ抗体検査
ペプシノゲン法との併用で効率的に胃癌を発見

血液検査でピロリ菌感染の有無と胃粘膜の萎縮度を調べ、ハイリスク者を絞り込む新しい胃癌検診が一部の自治体で始まった。
受診率や胃癌発見率の向上、コストダウンにつながることが期待されている。

日本胃がん予知・診断・治療研究機構の三木一正氏は、「ペプシノゲン法とピロリ菌の抗体検査による胃癌検診は、胃X線法による検診より有用」と話す。

東京都目黒区は2008年4月から、40〜74歳の区民のうち5歳ごとの年齢の人を対象に、血清ヘリコバクター・ピロリ(以下、ピロリ菌)抗体検査(以下、Hp法)と血清ペプシノゲン検査(以下、PG法)による胃癌検診を始めた。

これまで同区では、胃X線法による胃癌検診を行ってきた。
しかし、受診率が低いことや、検診費用の負担が重荷になっていた。
これらの問題を同時に解決する方法として目黒区が採用したのが、上記の検査だ。

この検診の導入にかかわった、伊藤労働衛生コンサルタント事務所(東京都江東区)所長の伊藤史子氏は、「新しい検診は、血液検査だけで済むので、住民からの評判がよく受診率の向上が期待できる」と話す。

#胃癌リスクを4つに分類
かつて胃癌検診は、老人保健法に基づいてX線法で行われていた。
しかし、その後、1998年度から老人保健法の規定から癌検診が外れ、国庫補助も地方交付税に含まれる形で一般財源化された。そのため、自治体は独自の方法で検診の効率化を図るようになった。

 そんな中で、一部の自治体が注目したのが、当時東邦大学第一内科教授だった三木一正氏(現、NPO法人日本胃がん予知・診断・治療研究機構理事長)らが開発したPG法だ。これは、血中に微量に流れ出る胃の消化酵素の前駆体ペプシノゲンの濃度を測定することによって、胃粘膜の萎縮の進行度が分かる血液検査法。PG法を検診に用いれば、採血だけで萎縮の進行した胃癌のハイリスク群を絞り込めるというわけだ。

 さらに近年、ピロリ菌と胃癌の関連について研究が進み、胃粘膜の萎縮はピロリ菌の感染により進行し、腸上皮化生や異型上皮を経て、胃癌を発症することが分かってきた。

 目黒区では、三木氏の指導の下、PG法とHp法の検査結果によって、受診者の胃癌リスクを4つに分類し、その後に行う保険診療による内視鏡検査の間隔に差を付けた(図1)。PG法とHp法が共に陰性のA群は、胃癌発生のリスクが極めて低いとして内視鏡検査は行わず、5年に1回の間隔で検診(血液検査)を受ける。

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この検診方法は、リスク分類や検診間隔の目安などに多少違いがあるものの、目黒区のほかにも、いくつかの自治体や職域検診、人間ドックなどで既に導入されている。

「PG法だけでは、胃粘膜の萎縮が完成していない段階でできる未分化癌が拾い上げにくかったが、Hp法を追加することで、ハイリスク者をより確実に拾い上げられるようになった」と三木氏。実際、全国に先駆けてPG法による検診を行ってきた群馬県高崎市では、2006年にHp法を追加したことで、胃癌の発見率が向上(表1)。
胃癌1例の発見にかかる費用についても、胃X線法よりも、PG法にHp法を追加した検診の方が、大幅に低かった。

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同市でこの検診システムの導入に尽力した、乾内科クリニック(高崎市)院長の乾純和氏は、「高崎市では40歳以上の人口の約半数がA群に分類される。
こういった胃癌リスクが極めて低い人にも一律にX線撮影を行い、被曝を強いることには問題がある」と話す。
今後、ピロリ菌の感染率がさらに減少し、A群に相当する人が増えていく中、この検診の重要性はさらに増すとみられる。

求められるエビデンスの蓄積
一方、この方法については未解決の問題も存在している。
よく指摘されるのが、胃癌リスクが最も低いとされるA群に胃癌や胃の肉腫などの患者が含まれてしまい、内視鏡検査によるフォローアップの対象から外れる可能性がある点だ。

東大病院光学医療診療部長・准教授の藤城光弘氏は、「ごくまれにではあるが、A群にピロリ菌が関与しない噴門部癌やリンパ腫、肉腫などが含まれる可能性がある」と指摘する。また、過去にピロリ菌に感染していて除菌を行った人は、A群に含まれてしまう。そのため、検診ではピロリ菌の感染歴を問診し、除菌歴がある人はA群とは別扱いにして、定期的に内視鏡検査を行うことが重要だという。

今後、この検診が全国の自治体に取り入れられるには、さらなるエビデンスの蓄積が不可欠だ。
広島大保健管理センター長の吉原正治氏は、「癌検診の有効性を評価するには死亡率減少効果を示す必要があるが、内視鏡検診をはじめ、PG法やHp法を使った検診のエビデンスはまだ限られている」と話す。

PG法単独による胃癌死亡率減少効果については、吉原氏らのグループが、3年未満の間隔でこの検診を受けた者で有意に死亡率が減少したことを報告している。
PG法にHp法を追加すれば、死亡率減少効果はさらに高まると考えられる。
今後、高崎市や目黒区などでのデータが蓄積され、有効性が明らかになることが期待される。

出典 NM online 2009.6.9
   日経メディカル2009年6月号「トレンドビュー」(転載)
版権 日経BP社
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/200906/511080.html

<番外編>
コーヒーの大腸がん予防効果を示すエビデンスはない

コーヒーの摂取が大腸がんのリスク低下に有効であることを示すエビデンスはないと,米ハーバード大学のグループがInternational Journal of Cancer の4月1日号に発表した。
 
同グループは,2008年6月までに報告されたコーヒー摂取と大腸(結腸・直腸)がんに関する前向きコホート研究12件(参加者計64万6,848例,うち大腸がん症例5,403例)のメタ解析を行った。
 
解析の結果,コーヒー低摂取群と比較した高摂取群の大腸がんの相対リスク(RR)は0.91で,有意なリスク低下は認められなかった。
有意ではなかったものの,コーヒー摂取と女性の結腸がんとの間に弱い負の相関が見られ(高摂取群のRR 0.79),特に日本人女性ではその傾向が強かった(RR 0.62)。
Je Y, et al. Int J Cancer 2009; 124: 1662-1668.
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/article/view/perpage/1/order/1/page/0/id/M42200357/year/2009
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by wellfrog3 | 2009-06-21 00:06 | 消化器科