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大腸内視鏡検査と大腸癌

大腸内視鏡検査と大腸癌による死亡との関連
■スクリーニングの大腸内鏡検査が,大腸癌(colorectal cancer : CRC)の死亡率へ及ぼす効果は,知られていない。
■著者らは,52歳から90歳までの,CRCの診断を受けその後に死亡した個々の症例に,CRCで死亡しなかった対照5例をマッチさせるために,カナダのオンタリオ州の診療報酬請求額管理データ(administrative claims data)を利用した。
■10,292患者症例のうち7%と,51,460対照例のうち9.8%は,部分的な大腸内視鏡検査か全大腸内視鏡検査を受けていた。
■大腸内視鏡検査は,左側CRCによる死亡数がきわめて少なくなることと強く関連していたが,右側CRCによる死亡数が少なくなることとは関連していなかった.
ttp://acpjc.naika.or.jp/journals/annals/annals_150_1/annals_150_1.html

何が問題であり,これまでにどのようなことが分かっていますか?
■大腸がんは,男女を問わず罹患する種々のがんのなかで,肺がんに次いで上位にランクされ,がんによる死亡のなかで最もありふれた原因のひとつです。
■がんは大腸のどこからでも発生します。
■大腸がんの大部分は,小さな,大腸の内面を茸のような形でゆっくりと発育するポリープとして始まります。
■細胞分裂を制御する遺伝子の変異によって,より急速に発育し,そしてついには大腸壁内へあるいは壁を超えての浸潤が起こります。
■大腸がんスクリーニングの目的は,浸潤播種する前に発見し切除することです。
■専門家はいくつかの有益なスクリーニング法を推奨しています。
ひとつは曲がりやすい管(大腸内視鏡)を通じて全大腸を観察することで,これが最も正確です。
■大腸内視鏡検査は最も高価で,不便で,リスクの大きい検査法なので,大腸内視鏡検査が大腸がんによる死亡率を減少させるかどうかを知ることは重要です.

この研究の目的は何ですか?
■大腸内視鏡検査を行った人々において大腸がんによる死亡率がより低いかどうかを見出すことです.

どのような人たちが試験の対象になっていますか?
■カナダ・オンタリオ州において1996年から2001年に診断された大腸がんの患者さんで,2003年までに大腸がんで亡くなった方々です(対象患者群)。
研究者たちは,各々の対象患者さん毎に,条件は類似しているけれども2003年までに大腸がんで亡くなってはいない5名の方々についても調査しました(比較群)。

どのような研究がおこなわれましたか?
■著者たちは対象患者さんと比較群が大腸内視鏡検査を受けた回数を数えました。
そして大腸内視鏡検査後における大腸がんによる死亡率と,大腸内視鏡検査が行われなかった場合の大腸がんによる死亡率を比較しました。
著者らは,左側および右側大腸に発生するがんをそれぞれ同じ方法で数えました。

この研究からどのような結論が出ましたか?
■大腸内視鏡検査を受けた人々において大腸がんによる死亡率はより低かったのですが,これは大腸がんが左側大腸に存在する場合のみでした。
右側大腸から発生する大腸がんによる死亡率は,大腸内視鏡検査を受けた人々と受けていない人々において同程度でした.

この研究にはどのような限界がありますか?
■最も大きな限界は,大腸内視鏡検査が大腸がんの症状がまったくない人々をスクリーニングするために行われたのか,それとも大腸がんによって生じうる症状を評価するために行われたのかについて,コンピュータの記録上に情報が欠けていることでした。
また人々は大腸内視鏡検査を受けるように無作為に割り当てられてはいませんでした。そのため,大腸内視鏡検査の結果大腸がんの死亡率が低くなるというのは不確かです.

この研究の意義はどのようなものでしょうか?
■この研究から,大腸内視鏡は大腸がんによる死亡を防ぐ完璧な検査ではないということが示されます。
この研究は,大腸がんをスクリーンするために大腸内視鏡検査実施を推奨することを支持するものですが,大腸内視鏡検査が右側大腸から発生するがんに対する有用性が少ないことも興味深い点です。

http://www.annals.org/cgi/content/full/150/1/1
http://www.annals.org/cgi/content/full/0000605-200901060-00306/DC1

Association of Colonoscopy and Death From Colorectal Cancer
Nancy N. Baxter, Meredith A. Goldwasser, Lawrence F. Paszat, Refik Saskin, David R. Urbach, and Linda Rabeneck
Annals of Internal Medicine 6 January 2009 P1-8
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by wellfrog3 | 2009-01-31 00:08 | 消化器科

超音波によるRAの早期診断

超音波でRAの早期診断を
X線検査にのみ頼るのは危険
■デュッセルドルフ大学病院(デュッセルドルフ)のBenedict Ostendorf講師は「関節リウマチ(RA)に対する標準的診断法は手や足のX線撮影だが,超音波検査やMRIも早期に実施すべきである」と第36回ドイツリウマチ学会で強調した。

骨髄浮腫は予後予測マーカー
現在,RA治療では"Find early-hit hard"が理想とされている。
診断が遅れた場合,その後の経過は明らかに不良である。
手や足の骨びらんをX線像で確認できるのは発症から6〜12か月後であり,それまで待っていたのでは貴重な時間が失われてしまう。
したがって,標準的診断法ではあっても,X線検査のみを早期診断法として施行するのは不十分と言わざるをえない。
 

■RA治療で重要視されている"限られた治療機会"を逃さないようにするには,超音波検査で関節を評価する必要がある。
超音波検査を用いれば,滑膜炎や初期の構造的変化も描出することができ,医師が患者に「ここに炎症がある」と直接説明することができる。
 

MRIも,RA診断で重要性が増している検査法である。
MRIではX線検査よりも明らかに早い段階で構造的変化を発見することができる。
MRIで小さな関節に骨髄浮腫が認められれば,疾患経過がきわめてaggressiveであることを示唆しており,予後予測に役立つ重要なマーカーである。


■治療中の定期的な経過観察に際してもMRIは重要である。 
一方,シンチグラフィーはRA診断法としての意義を失いつつある。
シンチグラフィー所見からは,罹患関節の数はわかるが非特異的であり,特殊な場合にのみ用いられる。

出典 Medical Tribune 2009.1.22
版権 メディカル・トリビューン社


<番外編>
糖尿病予防、週に7分の運動で効果=英研究
2009年1月28日、週に7分の運動で糖尿病予防に効果があるとの英研究が発表された。
たった数分間でも激しい運動をすれば、血糖値をコントロールし糖尿病を予防するのに役立つ可能性があるとの研究結果を、英国の専門家らが28日、ジャーナル「BioMed Central Endocrine Disorders」で発表した。

ヘリオット・ワット大のエクササイズ・バイオロジスト、ジェームス・ティモンズ氏の研究チームは、20代前半の男性ボランティア16人のグループを対象にした実験で、週当たりわずか7分間の運動がインスリンの管理に役立つことを確認した。

どちらかというと体調が良くない以外は健康という男性らに、エクササイズバイクで約30秒の全力疾走を含む運動をしてもらったところ、2週間後には体内の血糖値を下げるインスリンの働きが23%改善したという。
http://www.excite.co.jp/News/odd/E1233115325126.html
ロイター 2009年1月28日

<コメント>
何気ないような研究ですが、患者指導にはきわめて意義深い研究報告です。
何でも、何もしないより良いということでしょうか。
運動時間や強度とか長期効果との「比較も知りたくなってしまいますが、それは欲張りというものでしょうか。


<番外編>
インフル患者の高2男子転落死 治療薬リレンザ処方、服用は不明

厚労省は29日、インフルエンザにかかり、治療薬「リレンザ」を処方された長野県松本市の高校2年男子(17)が27日、自宅ベランダから転落して死亡したことを明らかにした。
処方されたリレンザを服用したかどうかは不明という。
同省は、今後リレンザが処方されることが増えるとみられるとして、服用開始から最低2日間は患者から目を離さないことなど事故防止の注意喚起を徹底するよう、製造販売元に指示した。
http://www.excite.co.jp/News/society/20090129/Kyodo_OT_CO2009012901000837.html2009.1.29

ジスロマックSRの製造販売承認を取得
http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=7291
ファイザー株式会社は21日、15員環マクロライド系抗生物質製剤であるジスロマック(一般名:アジスロマイシン)の新効能・新剤形・新用量として、経口懸濁液用の徐放性製剤「ジスロマックSR成人用ドライシロップ2g」の製造販売承認を取得したことを発表した。

ジスロマックSRは、水で溶かして服用する1回飲みきり型の経口抗菌薬。
咽頭・喉頭炎、扁桃炎、急性気管支炎、肺炎、副鼻腔炎などの急性呼吸器感染症、淋菌・クラミジアによる性感染症をはじめ、皮膚感染症や歯性感染症など成人の急性感染症に広く適応を有する。
同剤は、ジスロマックの現行製剤500mg(1日1回3日間投与)と比較して、投与後24時間のAUC(Area under the curve:薬物濃度-時間曲線下面積)は約3倍、最高血中濃度は約2倍と、投与初期により高い薬剤濃度が得られることにより、早い効果発現が期待できるという。

1回飲み切り型経口抗菌薬
「ジスロマックSR成人用ドライシロップ2g」
の製造販売承認を取得
http://www.pfizer.co.jp/pfizer/company/press/2009/2009_01_21_02.html
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by wellfrog3 | 2009-01-30 00:56 | リハビリテーション科

H.pylori 感染の新ガイドライン

H.pylori 感染の新ガイドライン発表
除菌対象者をH.pylori 陽性者すべてに拡大
■日本ヘリコバクター学会は平成21年1月23日,「H.pylori 感染症」という新たな疾病概念を打ち出し,すべてのH.pylori 陽性者に対し除菌を推奨する内容の新ガイドライン(「H.pylori 感染の診断と治療のガイドライン2009改訂版」)を発表した。
2000年の初回ガイドラインから2回の改訂を重ね第3版となる。


「H.pylori 感染症」を病名として打ち出す
■新ガイドラインの大きな目玉は,「H.pylori 感染症」を病名として明確に打ち出し,H.pylori 除菌が胃・十二指腸潰瘍の治癒だけでなく,胃がんをはじめとするH.pylori 関連疾患の治療や予防に役立つことを示した点だ。
そのうえで,H.pylori 除菌治療の適応となる疾患として胃・十二指腸潰瘍をはじめ,胃MALTリンパ腫,特発性血小板減少性紫斑病(ITP),早期胃がんに対する内視鏡的治療後胃,萎縮性胃炎,胃過形成性ポリープ,機能性ディスペプシア,逆流性食道炎などを挙げ,各疾患におけるエビデンスレベルを提示した(表)。
c0183739_0384659.jpg


■同学会理事長の浅香正博氏(北大)は,「保険適用になっていない疾患に対して,すべて除菌を勧めてよいのかということが議論になったが,標準治療の在り方を明確にするために1年半,非常に長い時間をかけてつくった。初回ガイドラインから8年経過し,大きな副作用も報告されていない。メリット,デメリットを天秤にかけたら,圧倒的にメリットのほうが大きい。今回のガイドラインはわれわれ日本人にとって,非常に優れたものに進化している」と語った。

■なお,これまでのガイドラインで除菌を推奨していたのは,既に保険適用とされている胃・十二指腸潰瘍と,2003年の前回改訂で追加された胃MALTリンパ腫であった。

PPIは全種類使用可能,二次除菌ではメトロニダゾールを使用
■診断についての変更はないが,治療面では除菌に使用するプロトポンプ阻害薬(PPI)は,従来のランソプラゾール,オメプラゾールに加えてラベプラゾールも含め,国内で発売されているすべてのPPIを使用可能とした。

出典 MT pro 2009.1.26
版権 メディカル・トリビューン社


<コメント>
一般的に除菌の結果として逆流性食道炎が悪化すると理解していました。
しかし逆流性食道炎自体が除菌の適応となっています。
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by wellfrog3 | 2009-01-28 00:37 | その他

血糖コントロールと血管合併症

N Engl J Med 2009; 360の記事で勉強しました。
長期糖尿病罹患患者(この論文では平均経過年数 11.5 年)積極的な介入は血管合併症を減らさないという結論です。

(有意差の有無ははっきりしないのですが)有害事象(主に低血糖)の発生率は、当然のことながら強化血糖コントロールの方が多い結果でした。

この論文からは、糖尿病が発見された時点で出来るだけ早期に介入する必要があるということがいえそうです。
ただし、対象が退役軍人という特殊性があり平均年齢 60.4 歳とやや高齢なのが問題かも知れません。


2 型糖尿病を有する退役軍人に対する血糖コントロールと血管合併症
Glucose Control and Vascular Complications in Veterans with Type 2 Diabetes
W. Duckworth and others


背 景
■2 型糖尿病を発症してからの期間が長い患者において,強化血糖コントロールが心血管イベントに及ぼす影響についてはまだ明らかにされていない。

方 法
■2 型糖尿病の治療に対する反応が不十分であった退役軍人 1,791 例(平均年齢 60.4 歳)を,強化血糖コントロールを受ける群と標準的な血糖コントロールを受ける群のいずれかに無作為に割り付けた。

■その他の心血管危険因子に対する治療は同様に行った。
糖尿病診断後の平均経過年数は 11.5 年であり,患者の 40%にはすでに心血管イベントの既往があった。

■強化療法群の糖化ヘモグロビン値の目標を,標準療法群よりも絶対値で 1.5 パーセントポイント低下することとした。

■主要転帰は,無作為化から最初の主要心血管イベント発生までの期間とした.主要心血管イベントは,心筋梗塞,脳卒中,心血管系の原因による死亡,うっ血性心不全,血管疾患の手術,手術不可能な冠動脈疾患,虚血性壊疽による切断の複合とした。

結果
■追跡期間の中央値は 5.6 年であった。
糖化ヘモグロビン値の中央値は,標準療法群で 8.4%,強化療法群で 6.9%であった。

■主要転帰は,標準療法群で 264 例,強化療法群で 235 例発生した(強化療法群のハザード比 0.88,95%信頼区間 [CI] 0.74~1.05,P=0.14).主要転帰の各評価項目と,あらゆる原因による死亡率(ハザード比 1.07,95% CI 0.81~1.42,P=0.62)に群間で有意差は認められなかった。

■細小血管合併症にも群間差は認められなかった。

■有害事象(主に低血糖)の発生率は,標準療法群で 17.6%,強化療法群で 24.1%であった.

結 論
コントロール不良の 2 型糖尿病患者に対し強化血糖コントロールを行っても,主要心血管イベント,死亡,細小血管合併症の発生率に有意な影響は認められなかった。

(N Engl J Med 2009; 360 : 129 - 39 : Original Article)
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/360/360jan/xf360-02-0129.htm

http://content.nejm.org/cgi/content/short/360/2/129


<追加 2009.1.28>
carenet.comでの自治医科大学 苅尾七臣教授のコメントです)
■本研究は、糖尿病患者において厳格な血糖コントロールが必ずしも、心血管イベントの抑制につながらないことを示した重要な研究である。
これまでにも、同様の成績がACCORDやADVANCEでも発表されている。
■これらの結果をうけて、ADA/ACCF/AHAが共同でScientific Statementを発表している(Circulation. 2009; 119: 351-357)。
それによると、糖尿病網膜症、腎症、神経症などの微小血管疾患に関してはHbA1cを7%未満を目指してより厳格に治療することがエビデンスレベルも最も高いClassIで推奨されている。
■大血管疾患である心血管イベントに関しては、糖尿病はそのリスクを2~4倍増加させることが知られているが、厳格な血糖コントロールと標準血糖コントロールを比較した臨床試験の成績は、両治療の心血管イベント抑制効果に有意差を認めていない。
■Diabetic Control and Complications Trial(DCCT)やUKPDSなどの長期に追跡した研究では、糖尿病と診断された初期に7%未満にHbA1cをコントロールした方が、長期の心血管イベントを有意に抑制している。
これらのことから、厳格な血糖コントロールをClassIIbの推奨としている。
■6%未満を目指したりする厳格な血糖コントロールではなく、現時点では、まず、糖尿病患者におけHbA1cは7%未満を目指す程度でいいのかも知れない。
■大血管系疾患の抑制には、血糖降下の質が大切かも知れない。
より厳格な血糖管理をチアゾリジン誘導体であるピオグリタゾンをベースに行うJDOIT3などの研究成績が待たれる。
http://www.carenet.com/news/cardiology/newsnow/det.php?nws_c=7223
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by wellfrog3 | 2009-01-27 00:54 | 糖尿病

ダチョウの卵で鳥インフルエンザ抗体

ダチョウの卵で鳥インフルエンザ抗体を大量生産
マスク用の抗体担持フィルターを製造販売へ

■科学技術振興機構(JST)は2008年7月2日、大学発ベンチャー創出推進研究開発の成果として、ベンチャー企業であるオーストリッチファーマ株式会社が設立されたと発表した。
ダチョウの卵で鳥インフルエンザ抗体を大量生産する方法を確立した京都府立大学教授の塚本康浩氏が出資したもので、医療機関用マスクなどに適応した抗体担持フィルターの製造販売を推進し、起業3年後までに年間売上額3億円を目指す。JST支援で設立されたベンチャー企業は、これで71社となった。

■塚本氏らは、3種のインフルエンザウイルスワクチン株(A/H1N1、A/H3N2、B/マレーシア)のHA抗原混合液や高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1由来のH5リコンビナント蛋白を用い、産卵ダチョウに免疫して卵黄からそれぞれの抗体(卵黄抗体、IgY)を大量精製する方法を確立した

■今回設立したオーストリッチファーマは当面、この大量生産法を駆使し、新型インフルエンザのパンデミックに備えた製品の開発に取り組む。すでに関連会社のCROSSEED社を通じてマスクを製品化。

■このほか、ノロウイルスや結核菌など、他の病原体などの感染予防用素材やダチョウ抗体を用いた腫瘍検査キットなどの商品開発も展開する予定。

■塚本氏らが開発したダチョウの卵黄による精製法を使うと、1羽のダチョウから年間400gの抗体が精製可能となる。
卵1個当たり2〜4g採取可能で、半年間で計算すると、ウサギの400〜800倍の量が採れることになる。生産コストも低く、ニワトリを使って精製した場合に比べ30分の1のコストで済むという。
また、1羽から大量に採取できるためロット間の差が少ないというメリットもある。

■パンデミックの特徴の一つは、短期間に想像以上の大量の患者が発生することにある。
このため対策面でも、「短期間に大量」がキーワードとなる。
ダチョウの卵で鳥インフルエンザ抗体を大量生産する技術は、「短期間に大量」を現実化するもので今後の展開が注目される。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/special/pandemic/topics/200807/507175.html
出典 日経メディカル別冊 2008. 7. 7
版権 日経BP社


<コメント>ダチョウの大きな卵に着目したところに興味を持ちました。

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~ http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科関係の専門的な内容)

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by wellfrog3 | 2009-01-26 00:25 | 感染症

糖尿病と死亡リスク

昨今、2人に1人はがんにかかり、3人に1人はがんで死亡するといわれます。
この両者の数字の差が何を意味しているのかよくわかりません。
恐らく、がんが医学的介入により治ってしまうか、がんに罹患中に他の病気で死亡してしまうということだと思います。

きょうは、「すでに糖尿病のある患者が、がんに罹患するとあらゆる原因による死亡率が健常者に比較して高い」という記事で勉強しました。

がんの診断以前から糖尿病があった患者は死亡リスクが高い 
■がんと診断される前から糖尿病があった患者は,糖尿病がなかったがん患者と比べてあらゆる原因による死亡率が高いと,米ジョンズホプキンス大学のグループがJAMAの12月23日号に発表した。
 
■糖尿病は一部のがんの危険因子である可能性があるが,新規に診断されたがん患者における以前からの糖尿病の存在が死亡に及ぼす影響は明らかではない。

■同グループは,2008年5月15日までの電子データベースからがん診断前の糖尿病の有無と全生存を検討した研究を検索,メタ解析を行った。
 
■その結果,23件の研究のランダム効果モデルの解析で,糖尿病があった群は正常血糖値群と比べてすべてのがんによる全死亡率が1.41倍高いことが示された。

■がんのタイプ別によるサブグループ解析では,糖尿病は子宮内膜(体)がん,乳がん,結腸・直腸がんのリスク上昇と関係し,ハザード比はそれぞれ1.76,1.61,1.32であった。


原著 Barone BB, et al. JAMA 2008; 300: 2754-2764.

出典 Medical Tribune 2009.1.1,8 2009年1月1,8日
版権 メディカル・トリビューン


<コメント>
■最初この記事を読んだ時、がんと診断がついた時点ですでに糖尿病だった患者と、診断確定後に糖尿病を発症した患者の比較と勘違いしました。
■「あらゆる原因による死亡率」「すべてのがんによる全死亡率」・・・少しわかりにくい表現です。
■当然、糖尿病関連死も「あらゆる原因による死亡」に組入れられるわけですから、何だか当たり前のような気もする結果です。
がんに罹患していない母集団で検討しても「あらゆる原因による死亡率」に有意差が出そうです。
■糖尿病患者はがんに罹患しやすいかどうかということの方が私は興味を持ちます。
先生方はいかがでしょうか。

<参考>
Barone氏らは「糖尿病に関連する死亡リスク増大は、癌および癌治療とはまったく無関係の可能性がある。癌患者ではない成人の心臓血管系死因による死亡に対し、糖尿病は十分に確立されたリスクファクターである。癌の状態にかかわらず、糖尿病による微小血管障害および大血管障害は、ある程度蓄積する可能性がある」と述べるとともに、「糖尿病関連死亡リスクが生じるまでのさまざまな経路に関しては、今後の研究によって、相対的な重要性が明らかになるであろう」と述べている。
http://www.dm-net.co.jp/healthdayjapan/2008/12/17.php



<糖尿病とがん 関連サイト>
糖尿病患者に癌が多い?
http://www4.ocn.ne.jp/~sasaki/2003.2.htm
■糖尿病と癌に関する研究は少なく、糖尿病患者の癌死亡率の全国集計は数年に一度で調査されている。
■糖尿病患者の約4割近くが癌で亡くなることとなり、この割合は一般の人よりやや多い(1.3倍)。
■糖尿病患者に膵癌が多いという説は以前からあった。
■全膵癌患者の52.3%が糖尿病をもっていたという報告もある。
■糖尿病があってさらに喫煙歴があると膵癌の危険度が2倍になるともいわれている。

糖尿病歴ある男性は発癌リスク3割増
肝癌2.24倍、膵癌1.85倍と特に高い、女性は胃癌などで高リスク
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/int/200610/501512.html
■糖尿病と癌発症の関係が疑われるようになって久しいが、明確なエビデンスを示した報告はなかった。
■厚生労働省研究班による多目的コホート研究の結果、糖尿病歴がある男性はそうでない男性に比べ、癌リスクが27%と有意に高く、肝臓癌に限定すると2.24倍になることが示された。
■糖尿病歴がある女性では、胃癌(1.61倍)、肝臓癌(1.94倍)などが有意に高かった。

肥満や糖尿病が癌(がん)に関連
http://health.yahoo.co.jp/news/detail/?idx0=w02071206
■"米ミネソタ大学(ミネアポリス)疫学部のAndrew Flood氏らの研究では、糖尿病の女性で結腸直腸癌発症のリスクが50%増加することが示された。
乳癌検出プログラムに8年以上登録していた4万5,000人以上の女性を追跡調査した結果、結腸直腸癌の発症率は交絡因子を考慮しても有意に増加していた。
同氏はリスク増加の原因として糖尿病に伴うインスリン値上昇の可能性を挙げている。"

■米エール大学(コネティカット州)の研究者らの研究は、糖尿病女性ではインスリン値が高いため乳癌による死亡リスクが3倍高いとしている。
乳癌の長期試験に参加した女性の血中Cペプチド濃度(インスリン分泌能のマーカー)を測定した結果、8年間でCペプチド濃度が上位3分の1の女性の乳癌による死亡リスクは、下位3分の1の女性の2倍であった。

■"米ジョンズホプキンス大学ブルームバーグ公衆衛生学部(ボルティモア)の研究者らによる研究では、浸潤性乳癌と診断された後の体重増加によって、癌による死亡リスクが有意に上昇した。
乳癌の女性4,000人以上をボディ・マス・インデックス(BMI:肥満指数として用いられる)で分類した結果、肥満女性の乳癌による死亡リスクは正常体重の女性の2.4倍で、年齢や閉経状態、喫煙を考慮しても変わらなかった。"

■同大学による別の研究では、前立腺癌の男性264例とそうでない男性264例の血中Cペプチド濃度を測定。試験開始時に濃度が高かった男性は低い男性に比べ、前立腺癌の発症率が3分の1低く、転移のない前立腺癌の発症リスクは半分であった。
同大学准教授のElizabeth Platz氏は、糖尿病男性の前立腺癌リスクが低いのは、インスリンが前立腺癌の成長を刺激するテストステロン(男性ホルモン)の活性を低下させるためだと説明している。

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~ http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科関係の専門的な内容)

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by wellfrog3 | 2009-01-25 00:29 | 呼吸器科

日本人2型糖尿病治療とSU薬

周知のごとく糖尿病は,近年,増加傾向にあります。
厚生労働省の国民健康・栄養調査によれば,糖尿病とその予備軍の合計患者数は1,870万人(2006年)と推定されています。
一方,糖尿病専門医の数は限られていることから,他の疾患を専門とする医師が糖尿病患者を診療する機会が増加しているといわれています。
これはCKDと腎臓病専門医にも似た関係にあります。
しかし、これは何も特別なことではありません。
糖尿病やCKDよりはるかに多い高血圧症患者は高血圧専門医に診察されている場合はきわめてわずかです。
循環器内科医は高血圧専門医のようなつもりでいますが、多くの場合は実際に高血圧関連を専門に研究したり、それで学位をとったわけでもありません。

話がそれました。

きょうは、2型糖尿病のドラッグナイーブ例に対する薬物療法のポイントなどSU薬の使用を中心に討論された記事で勉強しました。


日本人2型糖尿病治療におけるSU薬の可能性
司会:
川井 紘一 氏 川井クリニック 院長
コメンテーター:
山内 俊一 氏 帝京大学内科学 教授
出席者(発言順):
後藤 千秋 氏 ごとうクリニック 院長
則武 昌之 氏 則武内科クリニック 院長
飯泉 智弘 氏 飯泉内科クリニック 院長
高橋 秀夫 氏 みなみ赤塚クリニック 院長

糖尿病治療の最重要課題は血糖の正常化
山内 
糖尿病治療においては,血糖を低下させることが最も重要です。
糖尿病治療のおもな目的は,血管合併症の予防ですが,そのためには血糖コントロールが不可欠と言えます。
血糖全体を下げ,また血糖の変動,すなわち動揺性を抑えることも必要と考えられています。
 
DCCTのサブ解析では,強化療法と従来療法を行った両群において,平均HbA1C値は9%と同じ値であったにもかかわらず,血糖の動揺が少ないと考えられる強化療法群のほうで網膜症の進展度は低かったという成績が得られており,血糖の動揺性を抑制することの重要性を示唆する結果と考えます(図1)。
c0183739_054393.jpg

後藤 
糖尿病の血糖コントロールでは,HbA1C値を低下させることとともに,食後高血糖をコントロールし,血糖の動揺性を抑制することが重要になります。
血糖変動の抑制は,血管内皮細胞障害の抑制,大血管障害の抑制につながると考えられています。

山内 
HbA1C値はもちろん,食後血糖の指標である1,5-AGを管理することも重要です。


ドラッグナイーブの患者には肥満の有無を確認したうえで適切な薬剤を投与
則武 
「食べるな」という言い方では食事指導にはなりません。
何を食べればよいか,何に気をつけて食べればよいかを具体的に説明することが大切です。

飯泉 
最初からカロリーの話をしても患者さんには伝わりにくいので,特に脂に気をつける,間食はやめる,アルコールはインスリンの血糖降下作用を阻害したり,食欲増進につながるといったようなことを,わかりやすく指導するようにしています。

中略

山内 
ドラッグナイーブな初診例の診療では,肥満の有無が1つのポイントになると思います。

後藤 
インスリン分泌不全であるのか,インスリン抵抗性が増大しているのか,個々の患者さんの病態を把握して治療を考えています。イ
ンスリン分泌不全があれば,グリメピリドの少量投与を開始し,インスリン抵抗性の有無に応じてビグアナイド薬を併用します。

高橋 
口渇,倦怠感,体重減少など自覚症状が強いケースでは,HbA1Cの値にかかわらず,早急に血糖値を下げて糖毒性を解除することが必要です。
特にSU薬は,速やかに血糖値を下げ,代謝失調状態を短期間に改善できる印象があります。

則武 
私も高橋先生の意見とほぼ同じです。
血糖値やHbA1C値が高く糖毒性の解除を急ぐ場合などにSU薬(グリメピリド1mg/日程度)を少量使用することもあります。

川井 
HbA1C値7%未満の場合はいかがでしょうか。

飯泉 
肥満があり,運動もしておらず過食傾向がある例では,生活習慣指導で血糖値の改善が期待できます。
一方,非肥満例で,生活習慣も問題ない場合には,私はグリメピリドを1mg/日,症例によっては少量から使うこともあります。

 
グリメピリドの投与量・投与回数
山内 
1日2回に分けて投与されている先生もいらっしゃいますが,グリメピリドは,最高6mgの1日1回の投与でも,3mgずつ1日2回の投与と変わりなく,血糖を24時間にわたり平均して低下させることが報告されています(図2)。
c0183739_0552396.jpg



治療タイミングを逃さず次の戦略を
グリメピリドの増量や他剤併用
飯泉 
原則的には,グリメピリドを少量から投与し次の戦略を検討します。
肥満の場合はグリメピリドを2mg/日まで増量し,ビグアナイド薬かα-GIを追加投与します。
それでも血糖値が高い場合,グリメピリドを4mg/日,6mg/日と増量するか症例によりチアゾリジン薬を追加投与します。
その際は低血糖に注意し,用量を検討しています。
非肥満例の場合はグリメピリド単独で6mg/日まで増量することもあります。

後藤 
グリメピリド単剤で血糖コントロールが難しい場合,ビグアナイド薬に加え,α-GI,チアゾリジン薬のいずれかを加えたりして3剤まで併用を試す場合もあります。

高橋 
グリメピリドはSU薬のなかでも体重増加を来しにくいですから,ケースに応じて他剤併用しながら血糖コントロールの改善を目指すとよいですね。
また,他剤併用にあたっては,患者さんに薬剤の説明をすることも重要だと思います。
インスリンを増やす薬剤,インスリンの効き目をよくする薬剤など,作用をわかりやすく説明すると効果的です。
経口血糖降下薬だけでは血糖コントロールができない症例ではインスリングラルギンなど持効性インスリン製剤とグリメピリドの併用も有用ですね。

山内 
6か月〜1年をめやすに,確実に血糖の正常化を図ることが大切だと思います。
薬物治療を年単位で変更しておられる方もいらっしゃいますが,血糖コントロールが不良にもかかわらず漫然と同じ用量を投与し続けるのは避けるべきでしょう。

二次無効は高血糖の持続の結果
SU薬の安全性について
則武 
SU薬は低血糖を引き起こす懸念を除けば安心して使用できる薬剤と言えます。

山内 
SU薬の薬効には用量依存性があります。
低血糖を心配される場合には,少量から投与開始すれば,まず問題ないでしょう。
また,図2でわかりますように,夜間のインスリン分泌をあまり増やさないことから,夜間に低血糖を起こしにくいことも大きな利点と考えられます。

川井 
SU薬の投与により膵β細胞が疲弊し,二次無効を来すと懸念される先生もいらっしゃいます。
 
糖尿病データマネジメント研究会参加施設のデータを用いてSU薬初回投与後3年間の臨床経過を解析したところ,わが国ではSU薬の二次無効率は海外の報告に比べて低いことがわかりました。
私は薬剤投与時の生活指導などが重要で,きちんと血糖コントロールができればSU薬による二次無効は生じないと思いますが,いかがでしょうか。

山内 
Steno-2のフォローアップ試験においても,SU薬が約半数に使用された強化療法群で,13年経過後においてもHbA1C値の上昇傾向は見られず,SU薬による二次無効は認められませんでした(図3)。
c0183739_057319.jpg


β細胞の疲弊は,SU薬に特異的というより,むしろ高血糖の持続,すなわち糖毒性の結果であるとの認識が,近年一般的となっています。
 
二次無効には,過食,肥満が大きく関与している可能性が示唆されています。
薬物療法を開始しても,食事療法は継続する必要があり,私も生活指導など患者教育が重要なのだと思います。

出典 Meducal Tribune 2009.1,8
版権 メディカル・トリビューン社


<きょうのサイト>
米国内科学会American College of Physicians (ACP)のJapan Chapter (日本支部)
http://acpjc.naika.or.jp

他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21~ http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科関係の専門的な内容)

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by wellfrog3 | 2009-01-24 00:43 | 糖尿病

インフルエンザの診断と治療

インフルエンザ 診断と治療の注意点
■厚労省のインフルエンザ診断基準
インフルエンザが疑われ、
①突然の発症
②38℃以上の発熱
③上気道炎症状
④全身症状(筋肉痛や全身倦怠)
■迅速診断キットで確定診断が出来るようになり、上記のような典型的な症状を
示さない患者が意外と多いことが明らかになってきました。
特にB型や高齢者の感染者では、37.5℃以上に発熱しないことが多い。
■当然のことながら、インフルエンザウイルスが一定量以上増殖していない発症直後に検査すると、偽陰性になってしまうことに注意が必要です。
■スワブの挿入方法にもコツがある。

<引用文献>
Japan Medicine 2008.11.28


小児にインフルエンザ・クイックテストを
成人患者の主要感染源を断ち切る
■発熱と咳がある患者がインフルエンザに感染しているかどうかの診断は臨床所見に基づいて下されるケースが多い。
■ヘルボルツハイムの小児科開業医Klaus Deichmann氏は「クイックテストを用いれば,診断精度の向上と治療の効率化が期待できる」とRoche Pharma社の記者会見で報告した。
 
■激しい頭痛,高熱,関節痛,咳,喉の痛みが突然生じて,ひどく具合が悪くなるというのはインフルエンザに典型的な症状である。
しかし,小児では必ずしも特異的症状が見られるわけではなく,患児の40%ではまず消化管症状が発現する。
 
■インフルエンザの患児は,成人におけるインフルエンザの主要感染源である。そこで■同社は,ここ数年のインフルエンザ・シーズンに794人の小児科医を対象としてインフルエンザ診断に関するパイロット研究を実施し,クイックテストの結果を用いて臨床所見による診断の的中率を評価した。
 
■その結果,全体の 3 分の 2 では,医師によるインフルエンザ診断の正しさがクイックテストで確認された。
■その一方で,医師からインフルエンザではないと診断された 6 人に 1 人が,実際はインフルエンザに感染していたことも明らかになった。
 
■クイックテスト実施の有無により小児科医の処方行動に違いが見られ,クイックテスト陽性群に対するリン酸オセルタミビルの処方率は,臨床所見のみからインフルエンザと診断された対照群に対する処方率の2.5倍に達していた。
■患児の家族への曝露後予防薬(抗ウイルス薬)処方率は,クイックテスト陽性群では対照群の 2 倍に達していたのに対して,抗菌薬処方率は3.5分の 1 にとどまっていた。
 
出典 Medical Tribune 2008.3.20
版権 メディカル・トリビューン社
<コメント>
この分野では日本が一歩リードしているようです。


重度インフルエンザ
抗ウイルス薬で死亡率が大幅に低下
■マウントサイナイ病院(カナダ・トロント)のAllison McGeer博士らは,入院加療が必要な重度インフルエンザの成人患者に抗ウイルス療法を行うと死亡率が大幅に低下するとの知見をClinical Infectious Diseases(2007; 45: 1568-1575)に発表した。
発症後 3 , 4 日でも効果
■インフルエンザは毎年米国人の 5 〜20%が罹患する疾患であり,20万人以上が入院し,約 3 万6,000人が死亡する。
■今回の研究では比較的年齢が高い患者に,インフルエンザの症状出現後 3,4 日に抗ウイルス薬を投与しても効果が得られることが明らかになった。
 
■筆頭研究者のMcGeer博士は「インフルエンザが原因の入院患者数は,一般に考えられているより多いのが現状である。インフルエンザ入院患者は,診断後,適切に治療すれば救命可能である」と述べている。
 
■今回の研究で,抗ウイルス薬による治療は死亡リスクを約80%低下させた。
■症状発現から 3,4 日後に抗ウイルス薬を投与された患者の多くで効果があったことは注目に値する。
 
■患者のなかにはインフルエンザとは無関係の原因で免疫不全状態となっており,健康な人より長くウイルスが体内に残存する場合がある。
■入院を要する一部のインフルエンザ患者はウイルス制御に問題があることから,疾患が重症化,長期化する可能性がある。

肝心なのは予防
■抗ウイルス薬は非常に安全で,重大な薬剤相互作用がなく,比較的副作用も少ないが,必要がなければ使わないほうがよい。
■抗菌薬と同様に,薬剤耐性リスクがあることから,明らかな効果がある場合にのみ使用すべきである。
 
■ワクチンが,有効かつ費用効果が高いということを証明するデータは多数存在する。
■ワクチンの使用に伴い死亡と発症が著しく減少しているにもかかわらず,インフルエンザの死亡率と発症率は依然として高い。

出典 Medical Tribune 2008.1.17
版権 メディカル・トリビューン社
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by wellfrog3 | 2009-01-23 00:13 | 感染症

鳥インフルエンザ流行と予防接種

鳥インフルエンザ大流行に向けて2回の予防接種を

求められるワクチンの備蓄
■レスター大学病院感染症部門のコンサルタントであるIain Stephenson博士らは,次のインフルエンザ大流行の際にはワクチン接種が人々を守る最善の方法であり,接種は1人につき2回必要であろうとNew England Journal of Medicine(2008; 359: 1631-1633)に発表した。
また,ワクチンを製造するにはある程度の時間がかかるため,大流行が発生する前にワクチンを備蓄しておくことが重要としている。

供給力と時間が課題
■同大学の臨床上級講師でもあるStephenson博士は,同大学感染症部門のKarl G. Nicholson教授らと今回の研究を実施した。
同教授はレスター王立病院のコンサルタント医でもある。
 
■インフルエンザの大流行は,ヒトが免疫を持っていない新しいインフルエンザ株が出現したときや,突然変異を起こしウイルスとして世界中に拡散した場合に発生する。
実際に大流行の原因となるインフルエンザ株を予測することは不可能だが,世界中の保健当局は,H5N1型鳥インフルエンザウイルスがヒトにおける大流行の原因となりうる株と考えている。
 
■H5N1型ウイルスは現在,トリに蔓延しており,これまでにヒトでも世界中で380例以上に重度な疾患を引き起こし,死亡率は60%以上に達している。
 
■Stephenson博士は「次回,インフルエンザの大流行が発生した場合,ワクチン接種が人々を守る最善の方法であろう。製造能力に限界があるため,ワクチンの用量は可能な限り低く抑え,限られた抗原材料を適切に使用することが求められる」とコメントしている。
 
■また,「良好な反応を得るには通常,ワクチンの2回接種が必要とされる。大流行が発生した場合,2回接種で人々を守るワクチンを製造するためにはある程度の時間が必要だ。したがって,これらの困難に対処するため,ワクチンの備蓄が求められる。防御には2回のワクチン接種が必要なため,もし急速に大流行した場合,その供給は難題となるであろう」と述べている。
初回接種株が違っても有効

■今回の研究では,レスターで行われた試験に参加し,7年以上前にH5ワクチンの初回接種を受けた人に最新H5ワクチンを接種し,今回初めてワクチン接種を受ける人と比較した。
 S
■tephenson博士は「7年後に接種した低用量のブースターワクチンによる急速な反応が認められ,接種後1週間以内に被験者の80%が検討したすべてのH5ウイルスの型に良好な反応を示した。
一方,初めてワクチン接種を受ける抗原刺激を受けていない人は2回の接種を必要としたが,6週後には期待通り,予防可能なレベルの抗体が産生された」と述べている。
 
■今回の結果は,最初に抗原刺激を受けた株がどの鳥インフルエンザウイルス株であっても,ブースターワクチン投与後は,幅広い鳥インフルエンザウイルス株から守られることを示唆している。
たとえ最初に接種を受けたときとは異なる株であっても同じである。
これらの結果は,大流行前に備蓄ワクチンを前もって接種することで,大流行を防ぐとする論拠を提供するものとなっている。
 
■同博士は「今回の研究は,政策立案者が備蓄されたワクチンの使い道を決断するうえで役立つため,非常に重要である。抗原刺激を積極的に与え,長期間維持される記憶免疫応答を起こした人は,何年後にワクチン接種しても直ちに免疫応答が活性化される。そのため,インフルエンザの大流行が発生した場合に,感染するリスクの高い医療従事者などは,今後のワクチン戦略の候補として挙げられる」と述べている。
 
出典 Tribune 2009.1.1,8
版権 Medical Tribune社


<コメント>
現在のインフルエンザワクチンの有効性については懐疑的な面があります。
それだけに新型インフルエンザに対するワクチンが有効という話はどうしても理解できません。


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by wellfrog3 | 2009-01-22 00:06 | 感染症

抗ウイルス療法無効の慢性C型肝炎

「ペグインターフェロン(PEG-IFN)とリバビリンによる初回治療に反応しなかった慢性C型肝炎患者では,PEG-IFNの長期投与を行っても疾患の進行を止めることはできない」

米セントルイス大学などのグループがNew England Journal of Medicineの2008年12月4日号に発表した論文で勉強しました。

私自身、消化器科が専門ではないのでこの分野はよくわかりません。
専門でない立場からみると、何だか当たり前のような結論のような気もするのですが、専門家にはきっと意義深い論文なんでしょう。
NEJMに掲載された論文ですから、そのあたりは間違いないところです。


抗ウイルス療法無効の慢性C型肝炎例へのIFNの長期投与に進行抑制効果なし
抗ウイルス療法に反応しない慢性C型肝炎患者は,肝硬変,肝不全,肝細胞がん,死亡へと進行する可能性がある。
長期の抗ウイルス療法によりこうした患者の肝疾患の進行を防げるかは不明で,同グループは確認の多施設試験を行った。
 
対象は以前のPEG-IFN+リバビリン療法に反応しなかった,線維化が進行した1,050例。PEG-IFNα-2aの低用量(90μg/週)を3.5年間投与する517例と,無治療の533例にランダムに割り付けた。
線維化の程度で患者を層別化し(肝硬変合併428例,非合併622例),1.5年および3.5年後に肝生検を施行した。主要エンドポイントは,肝疾患の進行(死亡,肝細胞がん,肝代償不全,Ishak線維化スコアの2ポイント以上の上昇)とした。
 
その結果,PEG-IFN群では血清アミノトランスフェラーゼ値,血清C型肝炎ウイルスRNA量,組織学的な壊死・炎症スコアが有意に低下した(いずれもP<0.001)。
しかし,主要エンドポイントの発生率は治療群34.1%,無治療群33.8%と有意差は認められなかった。
また,肝硬変の有無でも有意差はなかった。

原著 Di Bisceglie AM, et al. N Engl J Med 2008; 359: 2429-2441.

出典 Medical Tribune 2009.1.1,8
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by wellfrog3 | 2009-01-21 00:29 | 消化器科