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糖尿病とうつ病

第43回糖尿病学の進歩

うつ病が糖尿病治療で重要な意味
糖尿病は近年,うつ病と密接に関連することがわかってきた。
信州大学精神医学の天野直二教授は,両疾患の関連を検討したおもな報告を紹介し,糖尿病治療においてうつ病が重要な意味を持つことを示唆した。

治療により血糖や予後を改善
うつ病は種々の身体疾患の発症や予後に少なからぬ影響を及ぼすようだ。
天野教授によると,糖尿病患者で8.5〜27.3%という高いうつ病合併率が報告されている。
非糖尿病患者と比較した研究を見ても,ほぼすべての報告で糖尿病群のうつ病合併率が高い。
 
血糖コントロール状況との関連については,コントロール不良群では良好群に比べて,劣等感が強い,活動性が低い,ストレス耐性が低いなどとする報告もある。
また,2型糖尿病発症リスクはうつ病があると1.3〜1.4倍高くなることが,約10件の報告のメタアナリシスから示された。
約2,800人を8年間追跡したわが国の検討では,うつ的徴候の強い群はそうでない群に比べ,糖尿病発症率が2.3倍高かった。
さらに,うつ病を積極的に治療することにより,糖尿病患者の血糖コントロール状況や生命予後を改善できるデータも報告されているとした。

出典 Medical Tribune 2009.4.16
版権 メディカル・トリビューン社

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by wellfrog3 | 2009-04-30 00:05 | 糖尿病

認知機能を考慮した血糖コントロール

「第43回糖尿病学の進歩」(世話人=信州大学医学教育センター・相澤徹センター長・松本市)でのレクチャー「診断と治療の新たな展開」と「2型糖尿病診療のupdate」における講演の記事で勉強しました。

認知機能など考慮した血糖コントロールを
高齢の糖尿病患者が急増しており,65歳以上の6人に1人が糖尿病とされている。
東京都老人医療センター内分泌科の荒木厚部長は,高齢者糖尿病の治療においては,認知機能の低下や生活機能障害などを考慮した個別の血糖コントロールが望まれるとした。

高齢糖尿病の2割で認知症疑い
荒木部長によると,高齢糖尿病患者は,
(1)口渇などの糖尿病症状が出にくい
(2)食後高血糖を起こしやすい
(3)無症候性を含めて動脈硬化性疾患の合併が高率
(4)低血糖症状が表面化しにくく,症状が出ても非典型的
―といった問題に加え,身体的,心理的,精神的あるいは社会経済的な問題を併せ持つ場合が多い。
 
例えば,認知機能の低下は,非糖尿病者の1.5〜4倍高率に認められ,「糖尿病の第7の合併症」とも言われる。認知症が疑われる患者〔Mini-Mental State Examination(MMSE)23点以下〕の頻度は,外来通院中の高齢糖尿病患者で19%(認知症境界領域24〜25点を含めると36%),75歳以上の入院患者では25%に及ぶ()。

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認知機能の低下は糖尿病治療の支障になることがある。
そのような場合の治療法として最近,介護者の負担を軽減する意味でも,インスリン注射の回数を減らして内服薬と併用する方法(持効性インスリン1日1回注射+経口薬など)が普及しつつある。
経口薬との併用は,インスリン注射の単位量を減少させ,低血糖のリスクを抑制できる。
ただし,高齢者は食事量が突然減ることがあり,その場合,作用時間の長いインスリンとスルホニル尿素(SU)薬を併用している患者では重症の低血糖を起こし,1〜2日間,遷延する可能性もある。
こうしたことから,同部長は「シックデイへの対処法,特に食事量が少なかったときの内服薬やインスリン量の調節の方法について,介護に携わる人にもあらかじめ教育しておく必要がある」と強調した。

45%が1つ以上の生活機能障害
高齢糖尿病患者では生活機能障害も多い。
8,000例以上の高齢糖尿病女性患者を12年間追跡した研究では,少なくとも1つ以上の生活機能障害を有するリスクは非糖尿病女性の2倍以上高いと報告されている。
また,荒木部長らが高齢糖尿病患者約1,000例に行った調査では,少なくとも1つの生活機能障害が45%に認められた。
 
高齢糖尿病患者は,さらに転倒や尿失禁も起こしやすい。
同部長によると,生活機能障害などを含め,こうした老年症候群は非糖尿病高齢者の2〜3倍多い。
生活機能障害や転倒は低血糖が誘因であることも少なくないため,低血糖を避けながら血糖をコントロールすることが重要となる。
高齢者の目標HbA1C値はガイドラインなどで7%未満または6.5%未満とされているが,高齢糖尿病患者のHbA1Cを6%以下にコントロールすると,転倒リスクが4倍高くなるというデータも報告されている。
また,生命予後や合併症,機能障害を考慮すると,高齢糖尿病患者で血糖を厳密にコントロールする意味はなくなるとする報告もある。
 
これらの知見を踏まえ,同部長は「高齢糖尿病患者の血糖コントロール目標値は,基本的には米国と同様に8%未満でよいと思われるが,それぞれの患者の併発疾患,機能障害,老年症候群,患者の希望などを考慮し,個別に設定していく必要がある」と述べた。


出典 Medical Tribune 2009.4.16
版権 メディカル・トリビューン社

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by wellfrog3 | 2009-04-29 00:19 | 糖尿病

BMI最適値

BMI最適値が判明、90万人の解析から
BMIは単独で死亡の強力な予測因子であり、死亡率は22.5~25.0kg/㎡で最も低く、この範囲以上でも以下でも死亡率が上昇することが、Prospective Studies Collaboration(PSC)の研究グループが実施した共同解析で明らかとなった。
BMIは肥満の優れた指標であり、虚血性心疾患、脳卒中、大腸癌、腎臓病、子宮内膜症、閉経後乳癌による死亡のリスク因子として確立されている。
Lancet誌2009年3月28日号(オンライン版2009年3月18日号)掲載の報告。なお、PSCは心血管リスク因子と死亡の関連をプロスペクティブに検討している61の試験のメタ解析を目的とした研究グループであり、対象は世界で100万人に及ぶという。
今回の研究を含めその成果はウェブサイト上に公開されている
(http://www.ctsu.ox.ac.uk/projects/psc)。

BMIデータを含む57試験のメタ解析
PSCの研究グループは、61の試験のうちBMIデータを含む57のプロスペクティブ試験に登録された894,576人を対象にベースライン時のBMIと死亡の関連について解析した。
登録時の平均年齢は46(SD 11)歳、登録年の中央値は1979年(IQR 1975~85年)、平均BMIは25(SD 4)kg/㎡であった。

因果関係の逆転を回避するためにフォローアップ期間の最初の5年間のデータは除外し、平均8(SD 6)年のフォローアップ期間中に死因が特定された66,552例(血管疾患:30,416例、糖尿病:2,070例、腎・肝疾患:22,592例、新生物:3,770例、その他:7,704例)について解析した。

BMI高値の場合の死亡には血管疾患が、低値では喫煙の影響が大きい
男女ともに、死亡率はBMI 22.5~25.0kg/m2で最も低かった。
この範囲を上回るといくつかの特定の死因と正相関を示したが、負の相関を示す因子は認めなかった。

BMIが5 kg/m2増加するごとに全死亡率が平均で約30%ずつ上昇した(5 kg/m2増加ごとのハザード比:1.29)。
原因別には、BMIが5 kg/m2増加すると、血管死が約40%、糖尿病死が約120%、腎臓病死が約60%、肝臓病死が約80%、新生物死が約10%、呼吸器病死が約20%、その他の疾患による死亡が約20%上昇した。

BMIが22.5~25.0kg/m2を下回る場合も全死亡が上昇しており、これはおもに呼吸器疾患や肺癌との関連が大きく影響していた。
喫煙者ごとのたばこ消費量は各BMI群でほとんど変わらないにもかかわらず、非喫煙者に比べ喫煙者は死亡率が高かった。

これらの結果をふまえ、著者は「ウエスト周囲長やウエスト/ヒップ比などの指標にBMIを加味したり、逆にBMIにこれらの因子を加えて判断することもできるが、BMIは単独で死亡の強力な予測因子であり、死亡率から見た生存の最適値は22.5~25.0kg/m2である」と結論している。

また、「BMIがこの範囲以上でも以下でも死亡率は上昇していた。上回る場合の主要な原因は血管疾患であり、生存期間中央値はBMI 30~35 kg/㎡(中等度肥満)で2~4年、40~45 kg/㎡(高度肥満)で8~10年(喫煙の影響に匹敵)短縮した。下回る場合の死亡率の増分には喫煙の関与が大きいものの、喫煙だけで十分に説明できるわけではない」としている。

http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=8106

文献
Prospective Studies Collaboration et al. Body-mass index and cause-specific mortality in 900 000 adults: collaborative analyses of 57 prospective studies. Lancet. 2009 Mar 28; 373(9669): 1083-96. Epub 2009 Mar 18.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19299006?ordinalpos=2&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DefaultReportPanel.Pubmed_RVDocSum

出典  Care Net 2009.4.9
版権 (株)ケアネット


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ピンクのアネモネのある花束
http://www.suiha.co.jp/cms/work.cgi?ano=1150961330&wno=1160385496
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by wellfrog3 | 2009-04-28 00:58 | その他

昼寝と高齢女性の死亡リスク

毎日の昼寝が高齢女性の死亡リスクを高める

毎日の昼寝(うたた寝、nap)によって高齢女性の死亡リスクが高まる可能性が、新しい研究によって示唆された。
過去の多くの研究で昼寝は健康に良いことが示されているが、米カリフォルニア太平洋医療センター研究所(サンフランシスコ)のKatie L. Stone氏らによる今回の研究では、毎日昼寝をする高齢白人女性の全原因による死亡率が44%、心臓障害による死亡率は58%、心血管系または癌(がん)に関連しない死亡率は約60%高いことが示された。

同氏らは、69歳以上の白人女性8,000人以上を対象とした7年間にわたる研究に基づくこの結果が、比較的健康な女性にもあてはまるという。
ただし、昼寝はわずかであれば問題にならないようで、昼寝時間が週3時間未満であった被験者の死亡率は増大していなかった。

また、1日9~10時間睡眠をとる高齢女性の死亡率は、8~9時間の高齢女性よりも高かった。
しかし、Stone氏らは「昼寝を健康不良と結びつけたり、高齢者に昼寝をしないよう勧めたりすべきではない」と述べ、根底にある睡眠障害や他の医学的症状が日中の眠気を引き起こす可能性を指摘している。

同氏は「過度の睡眠は、夜間の睡眠パターンが乱れていることを示唆しており、高齢女性における睡眠障害の治療や睡眠の質の改善などによって、死亡リスクは低減しうる」と述べている。
研究結果は、米国老年医学会(AGS)誌「Journal of the American Geriatrics Society」4月号に掲載された。

[2009年4月2日/HealthDayNews]

出典 Care Net 2009.4.14
版権 (株)ケアネット社
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by wellfrog3 | 2009-04-26 00:52 | その他

減圧椎弓切除術の費用効果

減圧椎弓切除術の費用効果は高い  脊椎固定術と比較検討
米国では8割を超える人に背部痛が認められ,その医療費は年間1,000億ドルを上回る。
しかし,手術費はその効果に値しているだろうか。
ラッシュ大学医療センター(シカゴ)整形外科名誉教授のGunnar Andersson博士らは,脊柱管狭窄症患者における椎弓切除術は,妥当な効果のあることが示唆されたが,脊椎すべり症を伴う脊柱管狭窄症患者における脊椎固定術の有益性は,医療費を差し引くと十分とは言えない可能性があるとAnnals of Internal Medicine(2008; 149: 845-853)に発表した。

2種類の治療法を比較検討
■Andersson博士らは今回,同センターも参加したSpine Patient Outcomes Research Trial(SPORT)の全米13施設の登録患者を追跡する前向きコホート研究を行った。
 
■同博士は「今回の研究は,患者の医療費と健康アウトカムを体系的に追跡した初めてのもので,きわめて重要だ。米国では年間65万件を超える手術が実施され,その医療費は200億ドルを超えている。この高額な出費に見合う効果が得られているか否かについては,ほとんどわかっていない」と述べている。
 
■今回の研究では,2つのケースが検討された。
1つは椎弓切除術を行った脊柱管狭窄症である。
同術では椎弓と軟組織と呼ばれる椎骨の一部を整形外科的に除去して,脊椎神経の圧迫を解放する処置が行われる。
もう1つは,変形性脊椎すべり症を伴う脊柱管狭窄症である。
この場合,脊椎固定術により治療されることが最も多い。
 
■SPORT試験で対象とした3,900例超のうち634例が脊柱管狭窄症で,うち320例に椎弓切除術,344例に脊椎固定術が行われた。
 
■同博士らは,術後2年間,手術処置の直接的および間接的な医療費を比較し,QALY(質を調整した生存年)尺度を用いて患者の有益性を評価した。
同博士らは,椎弓切除術を用いる狭窄症手術費を獲得QALY当たり7万7,000ドルと算出した。

■一方,脊椎すべり症を伴う脊柱管狭窄症の椎骨固定術の医療費は,獲得QALY当たり約11万5,000ドルであった。米国で費用効果があるとみなされる処置の閾値は10万ドルである。

最終評価には長期成績が必要
■今回の当初2年間の分析によると,脊柱管狭窄症に対して固定をしない減圧椎弓切除術には優れた価値があるが,変形性脊椎すべり症に対する固定手術は価値が低いことがわかった。
費用効果についての最終的な評価には長期アウトカムのデータが必要となるため,今回の研究を継続した結果が待たれる。
 
■Andersson博士は「米国では脊椎手術症例数が増えるにつれて医療費も増大していることから,最も多用されている手術の経済的価値を理解することはきわめて重要である。費用効果は患者に対する質の高い医療の提供に欠かせない要素だ」と指摘。
さらに「われわれは選択的整形外科手術に関する革新的な多施設共同試験であるSPORT試験を実施した。そのアウトカム分析を今後10年間継続すれば,背部痛患者に有益な長期成績が得られるであろう」と結論している。


出典 Medical Tribune 2009.4.16
版権 メディカル・トリビューン社

<コメント>
脊柱管狭窄症という医療用語を目にする度(たび)に困惑します。
自分自身「脊柱管狭窄症」の定義がよく理解できないのです。
たとえば、辷り症や分離辷り症も結果的に脊柱が狭窄を起こします。
脊柱管狭窄症に椎間板ヘルニアが合併している場合にはどちらが症状に関与しているか診断が困難な症例まあると思います。
後者が主体なら良好な経過のことも多いし、臨床経過や上体の前屈・後屈のどちらで症状が改善するかでみるのでしょうが。

以下、サイトから少し定義を拾ってみました。

①脊柱管狭窄症の治療(脊柱管狭さく症)
http://www.ces55.com/sekityukan-kyousakusyo.html
脊柱管狭窄症とは? 「脊柱管」が狭くなり、神経が圧迫される
脊柱(背骨)を構成している椎骨(ついこつ)は、円柱状の「椎体(ついたい)」と、後方に張り出した「椎弓(ついきゅう)」から成っています。
椎骨が積み重なることでできる、管状の空間を「脊柱管」といいます。
第一腰椎のあたりから下の脊柱管には、「馬尾(ばび)」と呼ばれる神経の束が通っています。
馬尾から分かれた神経は、脊柱管から出て脚のほうに伸びています。
「脊柱管狭窄症」はこの脊柱管が狭くなる病気で、高齢者に多く見られます。
老化に伴う椎間関節や椎間板の変形に加え、椎体が前方にずれる「脊椎すべり症」も
脊柱管狭窄症の原因になります。
(コメント:ここでは「脊椎すべり症」も脊柱管狭窄症に含んでいます)

②腰部脊柱管狭窄症について
http://www.kawara-ban.com/NO17.html
腰部脊柱管狭窄症とは
腰部脊柱管狭窄とは、腰部脊柱管が腫瘍、炎症などによらず腰椎周辺の変性(骨性あるいは軟部組織性)により狭小化を来たし、脊髄馬尾神経と神経根の障害を生じている状態です。
(コメント:この定義では「椎間板ヘルニア」も脊柱管狭窄症に含まれることになります)

③腰部脊柱管狭窄症
http://www.ogorimii-med.net/advice/miyazaki.htm
脊柱管が何らかの原因で細くなり、なかの神経を圧迫するようになると腰痛、下肢神経痛、下肢しびれ感が出現します。
多くは、腰椎の加齢変化(老化現象)に伴い、軟骨や骨が腰部脊柱管の内側にできて、神経の圧迫を起こす事が原因です。
なかには、若いときの腰椎椎間板ヘルニアや生まれつきの腰椎の変形が原因となることがあります。
(コメント:この定義では何でもありです)

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中西勝  ノートルダム
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by wellfrog3 | 2009-04-25 00:09 | リハビリテーション科

グリメピリドによる早期からのHbA1c管理

欧米における2型糖尿病に対する最新のコンセンサス・アルゴリズムでは,メトホルミンが第一選択薬とされ,効果不十分なときは,スルホニル尿素(SU)薬または基礎インスリンを追加併用することが「十分に検証された中心的な治療法」として明記されています。
一方,日本ではこのようなアルゴリズムはなく,日本人の2型糖尿病患者の特徴を考え薬物治療を選択しなければならなりません。
 
きょうは、循環器の専門医が、最近注目されている早期のHbA1c管理による合併症の発症抑制について討論した座談会の記事で勉強しました。


座談会 早期からのHbA1cの管理を可能とするグリメピリドの有用性

司会:
小田原 雅人 氏 東京医科大学内科学第三講座 教授
出席者(発言順):
代田 浩之 氏 順天堂大学医学部循環器内科学科 教授
百村 伸一 氏 自治医科大学附属さいたま医療センター循環器科 教授

インスリン分泌量が少ない日本人ではSU薬が第一選択薬に
小田原 
本日は,循環器を専門とする先生方にお集まりいただいたので,糖尿病に合併する心血管疾患の発症予防を中心にお話を伺っていきたいと思います。
 
2008年に改定された2型糖尿病治療に関する米国糖尿病学会と欧州糖尿病学会のコンセンサス・アルゴリズムでは,ライフスタイルへの介入とメトホルミンによる治療が不十分な場合は,SU薬か基礎インスリンを追加併用するというのが「十分に検証された中心的治療法」とされています(図1)。

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ところで,日本人は先進国のなかでHbA1cのコントロールが比較的良いといわれていますが,それでも経口血糖降下薬で治療されている2型糖尿病患者のうち約70%がHbA1c値6.5%以上であり,また,7%以上の患者は全体の半数という状況で,血糖コントールは決して十分ではありません(図2)。

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欧米での2型糖尿病に対するアルゴリズムを日本人に当てはめることは可能かコメントをお願いします。

代田  
欧米のようにメトホルミンを第一選択薬とすることが本当に日本人にあうのか,という点を議論しなけばならないと思います。

小田原 
100%日本人の遺伝子を持っている日系米国人2世は,インスリン分泌能が亢進していますが,それでも欧米人と比較するとかなり少ないと報告されています。
肥満していない日本人は,インスリン分泌が少ないので,メトホルミンよりもインスリン分泌促進作用を持つSU薬が第一選択薬で,次にメトホルミンを加えるという逆のパターンが向いていると思います。

代田 
循環器の専門家が接する糖尿病患者で一番多いのは,HbA1c値が7%を少し下回る患者であり,心血管イベントの発症を抑制するためにそういう糖尿病患者ではどういうアプローチをするべきか,そこが一番悩むところです。

小田原 

高齢の糖尿病患者のデータでは,HbA1c値8%以上ではHbA1c値6%と比較して主に心血管イベントによる死亡リスクが13倍も高くなることが示されていますので,やはりHbA1cが低いほうがイベント抑制につながると思います。
しかし,動脈硬化が進行した患者でHbA1cを急激に短期間で低下させると症状を悪化させる場合もありますが,少量のグリメピリド投与は低血糖を起こしにくく,HbA1c値が比較的低い糖尿病患者にも少量の投与が可能です。

グリメピリドにより低血糖を避けつつ早期からHbA1cを管理する
小田原 
ACCORD試験はHbA1c 6%未満を管理目標とした試験でしたが,強化療法群の死亡リスク上昇により試験が中止されました。
主要エンドポイントは強化療法群が良い傾向にありましたが,血糖の下げ方にも問題があった可能性があります。

百村 
ACCORD試験では,強化療法群で非致死性心筋梗塞の発症リスクは有意に低下しているという血糖コントロールのメリットも観察されていますね()。

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小田原 
この試験では血糖の下げ方に問題があったのだろうと思います。
ACCORD試験ではADVANCE試験と比べ,重篤な低血糖の発現が多く見られました。
過去の報告では,重篤な低血糖がある人のほうが,死亡率が高いことが示唆されていますので,低血糖はやはり避けたほうがよいのです。

百村 
ところで,われわれ,循環器の専門家は,心疾患のある患者が対象になりますが,心血管イベントの1次予防と2次予防ではHbA1cの管理の仕方を変えないといけないと思います。

小田原 
特に心血管イベントの既往がある患者での2次予防は,脂質,血圧などを改善しながら,また,長期になると,腎障害の予防効果も期待し,血糖を徐々に下げることが必要になると思います。

百村 
腎障害が予防できれば,その先にある心疾患も予防できますが,長期間の治療が必要になりますね。

代田 
心血管イベントの既往がある患者での血糖コントロールについては,今までの介入試験ではあまりよい結果は得られていませんでした。
いずれにしても,イベントが発症してからの血糖のコントロールは,かなり時間をかけて行わなければいけないですし,HbA1cが高値の患者ではコントロール自体が難しいと思います。

小田原 
そうですね。
その点が気をつけないといけないところです。

代田 
ですので,2型糖尿病はもっと早い段階で時間をかけながら治療することが,一番安全かつ効果のある戦略であると思います。
比較的軽度の糖尿病患者を,低血糖を避けつつ積極的に治療し血糖を改善するために,少量のグリメピリドが1つの選択肢になると思います。

グリメピリドは治療抵抗性の糖尿病でも優れた併用効果を示す
小田原 
薬物療法に抵抗性となった2型糖尿病患者での血糖コントロールについてお話いただきたいと思います。

百村 
SU薬やメトホルミンなどを使っていて血糖コントロールが悪い場合は,インスリン抵抗性改善薬を上乗せすることもありますね。

代田 
インスリン抵抗性の高い患者では,少量のインスリン抵抗性改善薬を投与するというアイデアもあると思います。

小田原 
個々の患者にあった薬剤を追加するのは良い方法だと思います。
インスリン抵抗性改善薬や一部のSU薬には,体重を増加させてしまう場合があります。
しかし,グリメピリドはSU薬のなかでもあまり体重を増加させない傾向があります。
さらに,コントロール不十分な2型糖尿病患者に対し,メトホルミンとインスリン抵抗性改善薬にグリメピリドを併用することにより血糖を改善すると報告されています(図3)。

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細小血管疾患の発症リスクを低下させるエビデンスがあるのは,SU薬とメトホルミンの2つだけですし,心血管イベントの抑制に関して最も成績がよいのはメトホルミン,そして次がSU薬です。
 
やはり合併症の発症リスクを減少させるには,低血糖が少なく早期からの血糖コントロールが良好なグリメピリドとメトホルミンの併用が良いのではないでしょうか。



出典 Medical Tribune 2009.4.16(一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社

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by wellfrog3 | 2009-04-24 00:56 | 糖尿病

アレルゲン食品の積極的経口摂取

第27回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会

〜食物アレルギーに対する急速特異的経口耐性誘導〜
アレルゲン食品を積極的に経口摂取

 従来,食物アレルギーに対する治療としてはアレルゲン食品を除去して耐性化を待つことと,誤食による急性症状の注意を与えることしかなかった。
しかし,経口摂取した抗原に対して全身的に免疫反応が抑制される経口免疫寛容を食物アレルギーの治療に応用する特異的経口耐性誘導(SOTI)が試みられている。
神奈川県立こども医療センターアレルギー科の栗原和幸部長らは,2007年から食物アレルギーに対して急速SOTI(rush SOTI)を試みており,積極的にアレルゲン食品を経口摂取することで食物アレルギーの予防あるいは治療の可能性を示した。

平均12日で加熱鶏卵60g摂取が可能に
栗原部長らは,これまでに花粉症や鼻炎に対して皮下注射による免疫療法を急速法で実施してきた経験から,食物アレルギーに対するSOTIにも急速法が応用できるのではないかと考え,院内の倫理委員会の審議を受けて2007年から食物アレルギーに対してrush SOTIを試みている。
 
当初,アナフィラキシー既往があり,自然寛解が期待できないとされる年長児(7〜12歳,中央値9歳6か月)の卵アレルギー患者6例を対象にrush SOTIを施行した。
事前に卵白乾燥粉末を用いた二重盲検プラセボ対照食物負荷試験で症状の誘発と,各症例の症状誘発閾値(中央値25mg,卵白換算0.2g)を確認。卵白乾燥粉末を閾値以下の量の経口摂取から開始し,1日5回,毎回増量していき,途中からは加熱鶏卵に変更して経口摂取を継続させた。
 
その結果,全例が平均12日で加熱鶏卵60g(中型鶏卵1個相当)の摂取が可能になった。
途中,鶏卵増量に伴い喘息や蕁麻疹などが誘発され,β刺激薬の吸入,ステロイド内服を必要とした症例がそれぞれ1例ずつ見られたが,それ以外は抗ヒスタミン薬の内服で改善した。
 
この6例についてはrush SOTI施行6か月後まで観察を行っており,同施行前後の卵白特異的IgE抗体価およびオボムコイド特異的IgE抗体価を調べた結果,有意な変化は認められなかった。
卵白特異的IgG4抗体価はrush SOTI施行後に上昇する傾向が認められたが,施行前と比べて有意差はなかった。ヒスタミン遊離試験もrush SOTI施行前後で有意差は認められなかった。
また,施行6か月後にTh1/Th2比とIL- 10値は有意に低下し,腫瘍増殖因子(TGF)-β1値は有意に上昇していた。以上の検査結果からは急速な耐性獲得の機序は明らかにできなかった。
 
これまでアレルギー疾患ではアレルゲンとの接触を避けることが大原則であり,食物アレルギーでは除去食を続けて耐性化を待つことが指導されてきた。
しかし,同部長はアナフィラキシー型の重症小麦アレルギー患者1例に対しても家庭でゆっくりSOTIを行い,8か月で耐性の獲得に成功している。
 
これらの結果から,同部長は「食物アレルギーに対してはアレルゲン食品を積極的に経口摂取することで治療または予防できる可能性がある」と述べた。ただし,「状況によっては非常に危険な場合もあるので,安易にSOTIを始めるべきではなく,専門医師の指導のもとに行わなければならない」と付け加えた。
出典 Medical Tribune 2009.4.16 (一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社




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須田剋太 カレエ二匹
http://www.oida-art.com/buy/detail/1610.html

<番外編>
理化学研究所、柔軟でヌードル状構造を持つインスリンアミロイド線維を発見
http://release.nikkei.co.jp/detail.cfm?relID=218456&lindID=4

針状とは異質なヌードル状の低毒性インスリンアミロイド線維を発見
アルツハイマー病などの一因とされるアミロイドの毒性の謎解明へ光明

ポイント
■インスリンの還元剤処理が「ヌードル状」インスリンアミロイド線維を生み出す
■さまざまな病因の「ニードル(針)状」インスリンアミロイド繊維とは内部構造も異なる
■ニードル状の毒性は高いが、ヌードル状の毒性は極めて低いことを発見


独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、さまざまな疾病の原因とされているアミロイド線維のうち、柔軟で「ヌードル状」構造を持つインスリンアミロイド線維を見つけ、毒性の高い「ニードル(針)状」アミロイド線維に比べ、細胞毒性が非常に低いことを世界で初めて発見しました。
これは、理研基幹研究所(玉尾皓平所長)前田バイオ工学研究室の座古保専任研究員、迫野昌文基礎特別科学研究員(現さきがけ専任研究員)と前田瑞夫主任研究員らによる成果です。

タンパク質が規則的に自己集合して生じるニードル状のアミロイド線維は、細胞毒性が高く、アルツハイマー病などさまざまな疾病の一因と考えられています。
この毒性の由来については、生化学的性質や物理化学的性質などの側面から研究がなされてきましたが、諸説紛紛としていました。アミロイド線維の研究においては、インスリンが古くから代表的なモデルタンパク質の一つとして使われてきました。
インスリンは、糖尿病治療で用いられる炭水化物代謝を制御するタンパク質ホルモンの一つで、A鎖とB鎖の2つのペプチドが2つのジスルフィド結合によってつながっています。
このインスリンが酸性・高温条件下にさらされると、ニードル状のアミロイド線維を作り、高い毒性を示すことが知られています。

研究グループは、ウシ由来のインスリンを、還元剤の一つであるTCEP(Tris (2-carboxyethyl) phosphine)を加えて酸性・高温条件の下で恒温静置すると、これまで知られていたニードル状のアミロイド線維とは異なり、柔軟な構造を持つヌードル状のアミロイド線維が生成することを発見しました。
新しく発見したヌードル状アミロイド線維は、内部のβシートの積層構造がニードル状アミロイド繊維とは異なり、さらに細胞毒性がほとんどないことが分かりました。
つまり、同じアミノ酸配列を持つタンパク質が自己集合した結果、構造の異なる2つのアミロイド線維が生成し、細胞毒性が異なることを世界で初めて明らかにしました。
これまで謎であった毒性の由来を解く手がかりになると考えられます。

背景
タンパク質が、規則的に自己集合して生じるアミロイド線維は、細胞毒性が高く、さまざまな疾病の一因と考えられています。例えば、β-アミロイドタンパク質やβ2ミクログロブリンは、体内での濃度が上昇するなどの理由で自己集合し、アミロイド線維として脳内や全身に沈着すると、それぞれアルツハイマー病、透析アミロイドーシスなどの疾病の原因になると考えられています。ほかにも、さまざまなタンパク質がニードル(針)状のアミロイド線維をつくり、いずれにも共通して、βシートが線維の長軸に垂直方向に積層した「クロスβ構造」を有することが知られています。
これらのアミロイド線維は、細胞死を引き起こす細胞毒性が高いことから、これまで多くの研究がなされてきましたが、なぜ毒性を有するかについては諸説紛紛でした。
 
インスリンは、糖尿病治療で用いられる炭水化物代謝を制御するタンパク質ホルモンの一つで、A鎖とB鎖2つのペプチドが、2つのジスルフィド結合によってつながっています。
これまでにインスリンは、酸性や高温という構造を不安定化させる環境条件下で、ニードル状のアミロイド線維を作ることが知られており、アミロイド線維研究の代表的モデルタンパク質の一つとされてきました。

研究手法と成果
研究グループは、ウシ由来のインスリンを、還元剤の一つであるTCEP(Tris (2-carboxyethyl) phosphine)を加えて酸性・高温条件下でインキュベートすると、これまで知られていたニードル状のアミロイド線維とはまったく異なり、柔軟な構造を持つヌードル状のアミロイド線維が生成することを発見しました。
ニードル状とヌードル状という外見の異なる2つのアミロイド線維について、内部構造や細胞毒性などを詳細に調べて比較しました。

(1)内部構造を蛍光観察 
これまで知られているアミロイド線維は、共通して、βシートが積層したクロスβ構造を形成することが知られています。
そこで、積層βシートに結合すると強い蛍光シグナルを出す色素「チオフラビンT(ThT)」との結合を調べました。
その結果、ニードル状のインスリンアミロイド線維がThTと結合して強いシグナルを出すのに対し、ヌードル状のインスリンアミロイド線維はThTとの結合が弱く、シグナルも弱いことが分かりました。
つまり、ニードル状とヌードル状では内部構造に差異があることが示唆されました。

(2)内部構造を分光観察 
アミロイド線維内の2次構造をCDスペクトルとFTIRの2つの分光学的手法により調べました。
その結果、ニードル状とヌードル状のインスリンアミロイドは、両方ともβシートを多く含有することが分かりました。
このため、(1)の結果と考え合わせると、2種のインスリンアミロイドは、βシートの積層の様式の異なることが推測できます。
また、FTIRでは、ヌードル状のインスリンアミロイドだけで波数1,700cm-1付近にピークを観察しました。
このピークは、逆平行βシートが存在することを意味しており、ここでもβシートの積層様式の異なることが示されました。

(3)細胞毒性の評価 
2種のインスリンアミロイドの細胞毒性をMTT法によって評価しました。
ニードル状のインスリンアミロイドは、投与濃度を上げるほど生存率が下がるので、細胞毒性を有することが分かるのに対し、ヌードル状のインスリンアミロイドは、投与濃度を上げても細胞の生存率は下がらず、細胞毒性の極めて低いことが分かりました。

今後の期待
今回の成果は、同じアミノ酸配列を持つタンパク質が自己集合した結果、構造の異なる2つのアミロイド線維が生成し、それらの細胞毒性が異なることを世界で初めて明らかにしたものです。
これまで謎だった、細胞毒性の由来を解く手がかりになると考えられます。
すなわち、これら2種のアミロイドの細胞毒性の差の理由を明らかにすることで、アミロイド線維の毒性の謎に迫ることができると期待できます。


針状とは異質なヌードル状の低毒性インスリンアミロイド線維を発見
-アルツハイマー病などの一因とされるアミロイドの毒性の謎解明へ光明-
target="_blank">http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2009/090421/



<きょうの一曲>The Boxer  Simon And Garfunkel
Simon And Garfunkel - The Boxer (Live)
http://www.youtube.com/watch?v=-hqdZ4AWSaI&feature=related
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by wellfrog3 | 2009-04-23 00:51 | アレルギー科

循環器疾患の危険因子としての耐糖能異常

女性でより影響大,随時血糖も利用可能
国立循環器病センター予防検診部の岡村智教部長は,循環器疾患の危険因子としての耐糖能異常について疫学データを用いて解析。
影響力は男性に比べて女性でより強いこと,随時血糖高値も危険因子になりうることなどを報告した。

血圧や脂質は男性で影響大
■岡村部長はまず,わが国のコホート研究のデータを用いて,循環器疾患の危険因子としての耐糖能異常の影響について男女別に検討した結果を明らかにした。
同センターが大阪府吹田市の住民約5,300人を対象に行っている吹田研究では,2005年までの12年間の追跡により,糖尿病型(空腹時血糖126mg/dL以上または糖尿病治療歴あり)を示した群は正常型(100mg/dL未満)群に比べて脳卒中・心筋梗塞発症リスクが有意に高かったが,男女別に見ると,女性でより顕著な差が認められた。
ちなみに,血圧の影響は男性のほうが強かった。
 
■脂質に関しては,全国の約9,200 人を1980年から19年間追跡したNIPPON DATA 80から,総コレステロール値が高いほど男性の心筋梗塞死亡リスクは上昇したが,女性では最も高値(260mg/dL以上)の群だけで上昇することが示された。
循環器疾患の危険因子として,耐糖能異常の影響が女性でより強いことは,久山町研究,J-LIT研究や欧米のメタアナリシスでも認められている。

随時血糖高値でハザード比が3倍
■住民健診などで測定されるのは空腹時血糖ではなく随時血糖であるが,食事によって左右される随時血糖高値も循環器疾患の危険因子となりうるのか―。
岡村部長らは,NIPPON DATA 80のデータを用いて,随時血糖採血までの食後経過時間と循環器疾患リスクとの関係を検討した。

■その結果,境界群(140〜200mg/dL)および高値群(200mg/dL以上)の冠動脈疾患死亡ハザード比は食後経過時間(2〜5時間)にかかわらず,正常群(140mg/dL未満)の3倍前後高かった。
また,随時血糖が高い群ほど,冠動脈疾患死亡,全心疾患死亡,循環器疾患死亡のハザード比が上昇した。さらに,高値群の総死亡ハザード比も正常群の3倍以上に上昇した。
 
■これらの結果から,同部長は,随時血糖でも循環器疾患の危険因子となりうることを指摘。
随時血糖の高値群と境界群(140〜200mg/dL)は循環器疾患死亡の約5%を説明できると述べた。
■同部長はさらに,危険因子の集積が循環器疾患に及ぼす影響について言及した。
全国の約8,300人を1990年から10年間追跡したNIPPON DATA 90のデータを解析した結果,心血管疾患のハザード比は危険因子数が多い群ほど高くなったが,耐糖能異常がある場合は危険因子数にかかわらず著明な上昇が認められた()。

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■そのほか,受動喫煙が糖尿病の発症リスクを高めることも明らかになった。
健康増進キャンペーンや環境整備を目的とした介入を,個人でなく事業所単位で行ったHIPOP-OHP研究(約6,500人を3〜4年間)追跡から,糖尿病発症率は受動喫煙により,本人の現在の喫煙と同様,約2倍に上昇することがわかったという。

出典 Medical Tribune 2009.4.16 (一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社


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吉井淳二  薔薇
http://www.oida-art.com/buy/detail/8057.html

<きょうの一曲> モーツアルト アイネ・クライネ・ナハトムジーク
アイネ・クライネ・ナハトムジーク~第1楽章 - アカデミー室内管弦楽団
http://slx.heteml.jp/songtube/watch?artist=アカデミー室内管弦楽団&title=アイネ・クライネ・ナハトムジーク~第1楽章&asin=B00005GY2L

http://slx.heteml.jp/songtube/watch?artist=アカデミー室内管弦楽団&title=アイネ・クライネ・ナハトムジーク~第1楽章&asin=B00005GY2L

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<b><追加>2009.4.14
アルツハイマー病に2つの最新知見
http://wellfrog3.exblog.jp/11207509/
に追加しました。



<自遊時間>
新着のmedicina 2009.4号を手にとってパラパラ見ていました。
特集「苦手感染症の克服」です。

「一般内科医とワクチンの基礎」というテーマで書かれた記事で「接種部位」(645ページ)を読んでいました。
筋注という内容に違和感を持って読んでいましたが、「皮下注射は腕伸側が選択される」という記載にはびっくりしました。

早速医学書院に電話しました。
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by wellfrog3 | 2009-04-22 00:10 | 糖尿病

DIAMOND試験

#胃腸障害に対する効果的な薬剤投与順とは?:DIAMOND試験
プライマリ・ケアにおける胃腸障害の管理では、制酸薬→H2受容体拮抗薬(H2RA)→プロトンポンプ阻害薬(PPI)の順に投与する治療戦略がその逆順で投与する戦略よりも費用効果に優れることが、オランダで実施されたDIAMOND試験によって明らかとなった。
プライマリ・ケアでは、胃腸障害治療は医師の作業負担が大きく、医療コストもかさむことがわかっている。
コンセンサスやガイドラインはあるものの、最も費用効果に優れる初期管理の戦略は依然として経験に基づくものだという。
Radboud大学ナイメーヘン医療センターのCorine J van Marrewijk氏が、Lancet誌2009年1月17日号で報告した。

#制酸薬→H2RA→PPIと、PPI→H2RA→制酸薬を比較
研究グループは、プライマリ・ケアにおける新規発症胃腸障害の初期管理の治療戦略として、ステップアップ戦略(制酸薬→H2RA→PPIの順で投与)とステップダウン戦略(PPI→H2RA→制酸薬の順で投与)の比較を行う二重盲検無作為化対照比較試験を実施した。

対象は、新規発症の胃腸障害でかかりつけ医を受診した18歳以上の症例とした。
2003年10月~2006年1月までに664例が登録され、ステップアップ群に341例が、ステップダウン群には323例が無作為に割り付けられた。

各ステップの治療期間は4週とし、症状が持続するか4週以内に再発した場合に次のステップへ進むこととした。
主要評価項目は6ヵ月後における症状軽減および費用効果であった。

#費用効果はステップアップ群で優れるが、最初にPPIを投与したほうが効果発現は早い
評価可能なエンドポイントに到達した症例は、ステップアップ群が332例、ステップダウン群が313例であった。脱落のおもな理由はフォローアップの非完遂であった。

6ヵ月後の治療成功例はステップアップ群が238例(72%)、ステップダウン群は219例(70%)であり、有意な差は認めなかった(オッズ比:0.92、95%信頼区間:0.7~1.3)。
医療コストの平均値は、ステップダウン群の245ユーロに対しステップアップ群は228ユーロと費用効果が有意に優れた(p=0.0008)。この差はおもに薬剤費によるものであった。

少なくとも1つ以上の有害事象が報告された症例は、ステップアップ群が94例(28%)、ステップダウン群は93例(29%)と同等であった。
全例に主症状以外の胃腸症状、下痢、便秘、味覚障害などの軽度の有害事象が見られた。

著者は、「プライマリ・ケアにおける新規発症胃腸障害の初期治療では、ステップアップ戦略とステップダウン戦略の治療成功率は同等であったが、前者のほうが費用効果が優れた」と結論する一方で、「プライマリ・ケアでは重要な情報」として、「PPIを最初に投与する経験的な戦略のほうが効果が早く現れ、とくに胃食道逆流症状の見られる症例でその傾向が顕著であった。ジェネリック医薬品の制酸薬を用いた場合は、費用効果の差は小さくなった」と指摘している。

van Marrewijk CJ et al. Effect and cost-effectiveness of step-up versus step-down treatment with antacids, H2-receptor antagonists, and proton pump inhibitors in patients with new onset dyspepsia (DIAMOND study): a primary-care-based randomised controlled trial. Lancet. 2009 Jan 17; 373(9659): 215-25.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19150702?ordinalpos=6&itool=EntrezSystem2.PEntrez.Pubmed.Pubmed_ResultsPanel.Pubmed_DefaultReportPanel.Pubmed_RVDocSum

出典 Care Net 2009.1.29
版権 (株)ケアネット
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by wellfrog3 | 2009-04-21 00:05 | 消化器科

高齢者の日中の眠気と脳卒中リスク

高齢者の日中の眠気は脳卒中リスクと関連
コロンビア大学(ニューヨーク)神経内科のBernadette Boden-Albala助教授が,高齢者の日中における日常的なうたた寝は,脳卒中リスクの有意な上昇を示唆するものであると国際脳卒中会議2008で報告した。
中等度のうたた寝をする人の脳卒中リスクは2〜4倍高く,日中のうたた寝は脳卒中の新たな危険因子として重要な可能性があるという。
今回の試験でのうたた寝(dozing)とは,意図的でなく眠ってしまうことを指す。

睡眠時無呼吸が眠気を誘発
今回の試験では2,153例を前向きに検討し,平均2.3年のフォローアップを行った。
その結果,「少しはうたた寝する」群の脳卒中リスクは「うたた寝しない」群の2.6倍高く,「かなりうたた寝する」群のリスク上昇は4.5倍であった。
 
Boden-Albala助教授は「この数値は重大だ。短期間の追跡であるにもかかわらず,うたた寝の影響の大きさに驚いている」と述べた。
 
これまでに,睡眠時無呼吸がある人では脳卒中リスクが高いことが報告されていた。
日中の眠気は,夜間の睡眠時無呼吸により熟睡できないことから発生すると示唆されている。
 
今回,同助教授らは1990年に開始され,40歳以上の男女が参加している長期研究のNorthern Manhattan Study(NOMAS)の一部である住民コホートを検討した。
同じ地域に住む白人,アフリカ系米国人,ヒスパニック系の脳卒中危険因子を調べた初の試みである。
 
被験者には脳卒中既往歴を有する者はいなかった。試験参加時の平均年齢は73歳で,64%が女性であった。
人種の構成割合は白人が18%,アフリカ系米国人が20%,ヒスパニック系が60%であった。

心筋梗塞と脳卒中死が多い
Boden-Albala助教授らは,2004年からEpworth Sleepiness Scale(昼間の眠気指数)を用いて,日中のうたた寝データを収集し始めた。
Epworth Sleepiness Scaleはテレビを見ているとき,座って人と話をしているとき,アルコール抜きのランチ後に静かに座っているとき,運転中に路上で一時停止しているとき―といった具体的な状況におけるうたた寝の頻度について尋ねる質問票である。
 
Epworth Sleepiness Scaleの結果に基づき,同助教授らは参加者を「うたた寝しない」(44%),「少しはうたた寝する」(47%),「かなりうたた寝する」(9%)の3群に分類した。2年間のフォローアップ期間中,参加者の脳卒中イベントと血管イベントの発生数を調べた。血管イベントは血管性疾患による心発作あるいは脳卒中死と定義した。
 
その結果,脳卒中40例,血管イベント127例が同定された。脳卒中の複数の危険因子(年齢,民族-人種,性,教育,血圧,糖尿病,肥満,身体活動)を補正した結果,「少しはうたた寝する」群と「かなりうたた寝する」群の脳卒中リスクは,「うたた寝しない」群より予想以上に高いことが判明した。
 
心発作あるいは血管死リスクは「少しはうたた寝する」群で1.6%,「かなりうたた寝する」群で2.6%高かった。この結果は,民族や性に関係なく同等であった。
 
同助教授は「患者の睡眠問題を評価する価値はある。初回の評価はEpworth Sleepiness Scaleのような簡単なものでよい。
患者が『少しはうたた寝する』,あるいは『かなりうたた寝する』と判明した場合,精査のため患者を専門医に紹介することも考える必要がある」と述べた。
 
今後いくつかの追試で確認されれば,今回の知見は公衆衛生上も重要な意味を持つ。
同助教授は「過去の研究は,われわれが十分な睡眠を取っていないことや疲れていることを明らかにしてきたが,本当の問題とは,われわれが自分の身体にどのようなことをしているのかである。
眠気は明らかにわれわれを脳卒中リスクにさらしている」と述べた。

出典 Medical Tribune 2009.4.24 
版権 メディカル・トリビューン社

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by wellfrog3 | 2009-04-20 00:38 | 循環器科