<   2009年 05月 ( 29 )   > この月の画像一覧

厳格な血糖管理と合併症リスクの低下

第52回日本糖尿病学会(2009年5月21日〜24日 大阪)の関連記事で勉強しました。

#厳格な血糖管理による合併症リスクの低下は試験終了後も10年持続
#大規模試験UKPDSの追跡研究から明らかに
UKPDS(United Kingdom Prospective Diabetes Study)は2型糖尿病に対する厳格な血糖管理と高血圧治療の有用性を証明した大規模臨床試験として知られる。
本試験は1977〜97年の20年間にわたり英国で実施されたが、試験終了後も追跡調査が行われている。
第52回日本糖尿病学会年次学術集会ではUKPDSを主導したRury R. Holman氏(英Diabetes Trials Unit Oxford Center for Diabetes)が特別講演を行い、最近まとめられた追跡調査の結果を報告。厳格な血糖管理の合併症予防効果は試験終了後も長期間持続することを明らかにした。


UKPDSの対象は4209例の2型糖尿病患者である。被験者を食事療法による通常の血糖管理または基礎インスリン製剤、SU薬、メトホルミンのいずれかを用いる厳格な血糖管理に無作為割付し、合併症に及ぼす治療の影響を観察した。
メトホルミンに関しては、高度な肥満が認められた患者を対象に食事療法との比較が行われた。
また、対象患者のうち1148例は高血圧を合併していたが、これを2群に分け、150/85mmHg未満への降圧をめざす厳格な治療と180/105mmHg未満を目標とする通常の治療の効果が比較された。

食事療法群の観察期間中のHbA1cは7.9%であったが、薬物を使用した強化治療群では7.0%と低かった。
強化治療によって、糖尿病関連イベント、細小血管障害、網膜症、アルブミン尿のリスクはそれぞれ12%、25%、21%、33%、有意に低下した。
心筋梗塞発症リスクも強化治療により16%低下したが、有意ではなかった。
なおメトホルミン投与群に限ってみると、心筋梗塞のリスクは39%、全原因死亡のリスクは36%低下し、ともに有意であった。

高血圧に対する強化治療の有用性も示された。
観察期間における強化治療群の血圧は通常治療群に比べ10/5mmHg低く、それに伴って糖尿病関連イベント、脳卒中、細小血管障害、網膜症増悪、視力低下のリスクが有意に低下した。

本試験の結果は以上のとおりだが、UKPDSでは試験終了後も生存患者3277例を対象に1998〜2007年の10年間、予後の追跡調査が行われた。
強化治療の有用性が明らかになったため、試験終了後は食事療法群の被験者に対しても薬物による厳格な血糖管理が勧告された。
その結果、強化治療群と食事療法群のHbA1cの差は追跡期間中に消失した。
にもかかわらず、両群の合併症リスクには明らかな差が認められた。

インスリン/SU薬投与群と食事療法群を比較した結果をみると、8.5年の追跡期間における糖尿病関連イベント、細小血管障害、心筋梗塞、全原因死亡のリスクはそれぞれ9%、24%、15%、13%、いずれもインスリン/SU薬投与群で有意に低かった。
またメトホルミン投与群における糖尿病関連イベント、心筋梗塞、全原因死亡のリスクはそれぞれ21%、33%、27%、食事療法群に比べ有意に低下した。

UKPDSの被験者はすべて新規に2型糖尿病と診断された患者である。
これは罹病期間の短い患者が多かったことを示唆するが、Holman氏は「追跡研究の結果は2型糖尿病に対する早期からの治療が20年以上の予後に強い影響を及ぼす可能性が大きい」と述べた。

UKPDSの後も、厳格な血糖管理の有用性を検証する大規模試験がいくつか行われているが、それらの成績をみると、細小血管障害のリスクは低下させるものの、冠動脈疾患や脳卒中などの大血管障害に対する抑制効果は必ずしも著明とはいえない。
Holman氏は最後にこの点についても言及し、2型糖尿病に合併する高血圧、脂質異常なども視野に入れた包括的なリスク管理の重要性を強調するとともに、「どのような糖尿病治療薬が心血管系に対する保護効果を示すのか、今後詳細に検討する必要がある」と述べた。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jds2009/200905/510869.html
出典 NM online 2009. 5. 27
版権 日経BP社


<新型インフルエンザ関連>
新型インフル感染、冬迎えた南半球の豪州・チリで急増
オーストラリア保健省は29日、国内の新型インフルエンザ感染者数が209人になったと発表した。
25日時点の20人から、4日間で一気に増えた。

南米チリでは28日、感染者が南米最多の199人になった。同国で最初の感染例が出たのは17日で、10日余で著しく増加した。冬季を迎えている南半球の両国での急増ぶりが際立つ。

チリ保健省によると、通常の季節性インフルエンザ感染者は例年と比べて極端に少なく、「新型」感染者がインフルエンザ感染者全体の9割に当たる。新型ウイルスが季節性ウイルスを押しのけている可能性があるという。
http://www.yomiuri.co.jp/feature/20090425-436828/news/20090529-OYT1T00837.htm
出典 読売新聞 2009年5月29日20時40分
版権 読売新聞社


新型インフルエンザ緊急対談(小松氏・木村氏)
厚労官僚は検疫強行で憲法違反の可能性大◆Vol.1
科学的根拠なき検疫は「人権の尊重」をうたう13条に抵触
http://www.m3.com/iryoIshin/article/100221/index.html?Mg=f70a91c2eeb1e92302a41652117f9bcb&Eml=31ef79e7aaf65fca34f0f116a57fd65d&F=h&portalId=mailmag
■検疫を見ていると、医師の行動ではなく、警察の行動のように思えて仕方ありません。
■検疫には、科学的な観点だけでなく、法律的にも重大な問題があります。
憲法第99条では「公務員は憲法を尊重し、擁護する義務を負う」、また憲法第13条では「公共の福祉に反しない限り、個人の自由を尊重しなければならない」とそれぞれ規定しています。
■当初から専門家は、「封じ込めは不可能であり、検疫は有用ではない」と何度も指摘していました。
あえて人権制限を行うべき合理的理由はなかったと解釈すべきです。
しかし、実際には検疫により人権が制限された。検疫を指揮している厚生官僚は、憲法違反を問われるべきではないでしょうか。
■厚労省内部でも、法令担当には「検疫法を振りかざすのは非常に危険」と言っている人がいますが、医系技官が耳を貸そうとしません。
■厚労省、特に医系技官は、人権制限に対する感覚が恐ろしく甘いのではないでしょか。
■問題なのは、実質的指揮者(恐らく厚労省の局長レベル)が「科学的根拠に基づいた行動ができる能力を持つ」かどうかです。
新型インフルエンザ対策を指揮するポストに就いていることと、その人がそうした能力を持つことは別問題です。
科学は能力を重視し、法はポストを重視します。
[PR]
by wellfrog3 | 2009-05-31 00:25 | 糖尿病

A/H5N1インフルエンザウイルス感染

A/H5N1インフルエンザウイルス感染 抗ウイルス薬と抗炎症薬併用に有用性
動物実験で示される
香港大学(香港)微生物学のBo-Jian Zheng博士らによる動物実験で,ノイラミニダーゼ阻害薬のザナミビルと抗炎症薬のセレコキシブ,メサラジンの3剤併用が,A/H5N1インフルエンザの治療に効果的である可能性が示された。詳細はProceedings of the National Academy of Sciences, USA(2008; 105: 8091-8096)に発表された。

#ヒトへの応用が課題
Zheng博士らは今回,BALB/cマウスに高病原性のA/H5N1インフルエンザウイルスを感染させ,ザナミビル単独療法とザナミビル,セレコキシブ,メサラジンの3剤併用療法での生存率,体重,病理組織像,炎症マーカー,ウイルス負荷,Tリンパ球数,中和抗体反応を調べた。 その結果,3剤併用療法群ではCD4+,CD8+Tリンパ球数が有意に多く,肺の炎症が少なかった。
 
オックスフォード大学(英オックスフォード)臨床研究ユニットのCameron Simmons,Jeremy Farrarの両博士は,Zheng博士らの研究結果の重要性をNew England Journal of Medicine(2008; 359: 1621-1623)で説明している。
 
Simmons博士らは「Zheng博士らの研究結果から,抗炎症薬(メサラジンとセレコキシブ)と腹腔内抗ウイルス薬(ザナミビル)の併用は,抗ウイルス薬単独投与と比べ,H5N1ウイルス感染マウスの生存率を有意に上昇させることが示された」と述べている。
 
3剤併用療法群では肺の特徴的病変が少なく,肺洗浄液中の炎症性サイトカインレベルが低下,T細胞数減少が軽減した。
 
この研究結果は,生存率は免疫調節によって上昇するという事実と一致する。  
H5N1ウイルスに感染したヒトでは,サイトカインやケモカインの反応の程度はウイルス負荷と比例する。
また,ウイルス負荷はアウトカムと関連する。
 
炎症細胞が肺組織に浸潤すると,ウイルスに直接媒介される細胞変性効果と相まって,気道のうっ血と急性呼吸窮迫症候群(ARDS)が誘発され,ガス交換が阻害される。
 
新しい治療法の臨床応用には課題も残る。シクロオキシゲナーゼ(COX)-2阻害薬による補助療法により,肺組織からH5N1ウイルスが除去されなかったマウスもあったため,病原除去と有害な病的免疫性炎症とのバランスを図る必要がある。
 
また,このマウスの実験結果をヒトに適用することには別の問題もある。
 
先行研究において,過度の炎症をコントロールするような用量のステロイドでは生存率は上昇せず,重度の副作用が発現した。
このことから,治療法を改善するためのすべての試みが有効であるとは限らないことが示された。さらに,治療中に抗インフルエンザ薬オセルタミビルの薬剤耐性が治療中に出現し,ウイルス負荷が増加し,アウトカムが不良であることもよい徴候ではない。

#治療開始が遅れることも問題
Zheng博士らは「マウスと比べてヒトではオセルタミビルの効果が劣るが,これは治療開始の遅れが原因だ」と指摘している。
実地臨床では,患者は症状が発現してから2〜4日後に受診することが多く,気道分泌物内のウイルス負荷は既に大幅に上昇している。
今回の実験では,こうした実情に合わせるため,ウイルス感染48時間後に薬剤を投与した。
 
同博士らは多くの患者に深刻な影響を与えたH5N1ウイルスについて,ウイルス活性とともにサイトカイン・ストームとの関連を指摘している。
 
ウイルス感染がいったんサイトカイン・ストームを誘発すると,たとえ抗ウイルス療法によりウイルスの複製を抑制しても,炎症性サイトカインやケモカインは免疫病理学的過程を促進し続けることになる。
 
抗ウイルス薬の使用は,自然感染によるウイルス複製(サイトカインの機能障害を促進する)を抑制するためだけでなく,COX-2阻害後のウイルス負荷の増加を防ぐためにも重要であることは言うまでもないが,抗ウイルス薬のみでは不十分である。
 
どのように抗ウイルス薬と薬剤を併用するか,どの段階でそれぞれの薬剤を投与するか,どのような用量が最適か,将来的なパンデミックの可能性に備え,ほかにどのような臨床的要因を特定すべきかなどについて明らかにするには,さらなる研究が必要である。

出典 Medical Tribune 2009.5.21(一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社
[PR]
by wellfrog3 | 2009-05-30 00:31 | 感染症

糖尿病前症と早期の積極的な生活習慣変更

糖尿病前症における早期の積極的な生活習慣変更は心血管疾患リスクプロファイルを改善

耐糖能異常から糖尿病への進行は、心血管疾患(CVD)のリスク因子のわずかな悪化に関連している、とDiabetes Prevention Programの所見が示唆している。「重要なことに」、特に生活習慣介入強化による耐糖能改善は、より好ましいCVDリスクプロファイルと関連している、と研究チームはDiabetes Care誌4月号に報告している。

血糖測定値の改善は「糖尿病発症の早期段階におけるCVD予防の標的になる」と同研究者らは結論付けている。

Diabetes Prevention Programでは、耐糖能異常患者を対象に、メトホルミン850mgを1日2回投与する群(1,073名)、プラセボを1日2回投与する群(1,082名)または積極的に生活習慣を改善する群(1,079名)に無作為に割り付け、糖尿病発症について研究した。生活習慣改善群では、体重減少が少なくとも7%に達し、これを維持すること、および週150分以上の適度な身体活動を行うことを目的とした。

共著者であるGeorge Washington University(メリーランド州ロックビル)のDr. David Priceらは、平均3.2年間の追跡調査中に年1回繰り返し行われた75g経口ブドウ糖負荷テストにおいて、2時間血糖値が7.8mmol/L~11.1mmol/Lの場合を耐糖能異常と定義した。糖尿病の診断歴のある患者(平均年齢51歳)は認められなかった。

糖尿病を発症した患者は、糖尿病前症患者と比較して血圧およびトリグリセリド値が高く、HDLコレステロール値が低い傾向にあった、と報告は示唆している。

「生活習慣改善強化群では、耐糖能異常から耐糖能正常への移行において、最も大きな変化がみられ」、この場合、収縮期血圧およびトリグリセリド値が約25%低下し、HDLコレステロール値は約8%上昇した。メトホルミン群およびプラセボ群では、ほとんど変化しなかった。

しかし、耐糖能が低下した場合、リスク因子の状態は悪化した。

Dr. Priceらによると、「リスク因子値が連続変数として表わされる血糖測定値と関連していたことから、糖尿病への転換の特異的な影響は認められないが、むしろ血糖測定値とリスク因子レベルに直線的な関連が認められることが示された」
Diabetes Care 2009;32:726-732.
ロイターヘルス 2009.4.10

http://www.kanematsu-rmn.jp/news/daiichisankyo/news2.php?mode=jpview&num=200904110031855



アイズピリ「フルーツ」
http://page13.auctions.yahoo.co.jp/jp/auction/r55111249
c0183739_1202165.jpg



<番外編>
インフルエンザウイルス:増殖酵素の構造解明 全型効く薬へ道--横浜市立大・筑波大
インフルエンザウイルスが、自分の遺伝子を増やすのに使う酵素「RNAポリメラーゼ」の構造を、横浜市立大と筑波大の研究チームが解明した。
この構造に基づいて、ウイルス増殖を抑える2種類の化学物質の候補を見つけた。
酵素の構造は人や鳥のさまざまなウイルスに共通する。
ウイルスの変異に関係なく効果のある薬剤開発に役立つ可能性があるという。

(2009年5月)21日付の独科学誌「欧州分子生物学機構誌」電子版に発表した。

研究チームは、酵素を構成する約2200個のアミノ酸のうち、他と結合する部分を特定。
結合部分のアミノ酸だけを変異させると、ウイルスがほとんど増殖できなくなることを実験で確認した。

この結果に基づき、既存の化学物質480万種類からどの物質が結合を妨げるか推定。
効果が見込める百数十種類を選び、ウイルスを育てる培地に混ぜて試すと、2物質がウイルスの増殖を抑えた。

現在のインフルエンザ治療薬「タミフル」などは、変異して効きにくくなったウイルスが出現している。
永田恭介・筑波大教授(ウイルス学)は「この成果を応用すると、すべてのインフルエンザウイルスの型に効き、変異しても効果を失いにくい薬になるのではないか」と話す。
http://mainichi.jp/select/science/news/20090522ddm002040053000c.html
毎日新聞 2009年5月22日 東京朝刊

■グループは薬剤の理想的な構造を計算で割り出す「分子設計」を用いた。
タミフルやリレンザと同じ手法だが、今回はどのウイルスにも共通するたんぱく質が標的のため、将来どのようなタイプの高病原性インフルが登場しても効果が期待できるという。
グループは今後、さらに有望な化合物を見つけ、その化合物の大量合成法を開発する計画だ。

RNAポリメラーゼの働きを阻害するインフルエンザ治療薬は、富山化学工業の「T—705」があり、患者を対象にした臨床試験に入っている。

c0183739_7223741.jpg


http://www.asahi.com/science/update/0522/TKY200905210389.html
asahi.com 2009年5月22日5時29分


<きょうの一曲>  オリビアを聴きながら
(娘が是非アップしろっていっていますので)
杏里 「オリビアを聴きながら」
http://www.youtube.com/watch?v=jq6cWEqcyTQ&feature=related

杏里 ANRI - オリビアを聴きながら(2007 Studio Live)
http://www.youtube.com/watch?v=62ZmaAaFD4I&feature=related

尾崎亜美 オリビアを聴きながら
http://www.youtube.com/watch?v=D_vhVz6QDTs&feature=related

本田美奈子 - "オリビアを聴きながら"
http://www.youtube.com/watch?v=8LQAuENEhZw&feature=related

[PR]
by wellfrog3 | 2009-05-29 00:38 | 糖尿病

糖尿病診断基準改訂

糖尿病診断基準改訂  焦点はHbA1C,国際動向を踏まえ速やかな改訂目指す 
日本糖尿病学会は,HbA1Cに焦点を置いた糖尿病診断基準の改訂作業に着手している。
平成21年5月21日,第52回日本糖尿病学会年次学術集会の総会において,学会員に対して国際動向を踏まえた改訂の背景と方向性が紹介された。
同学会診断基準検討委員会委員長の清野裕氏(関西電力病院院長)は「細小血管障害を防止し,日常臨床で簡便に使用できる」ことを念頭に,速やかに改訂作業を進めていきたいとしている。

ADAはHbA1C単独,WHOはHbA1C・血糖値併用の基準を年内発表へ 
現在の世界保健機関(WHO)や米国糖尿病学会(ADA)の診断基準は,空腹時血糖値と75g糖負荷試験(OGTT)の値を組み合わせたものとなっている。
日本も同様であるが,補助的な診断基準値としてHbA1Cを採用している。

血糖値による診断基準では,糖尿病のもともとの概念である「慢性の持続性高血糖状態」を正確に把握できず,臨床現場においても空腹時採血や負荷試験が必要なため実施しにくいなどの問題があった。
その点,HbA1Cは持続性高血糖の指標として再現性も高く,臨床現場でも使用しやすいなどの利点がある。測定精度の向上や標準化も近年進んでいる。

同学会理事長の門脇孝氏(東京大学大学院糖尿病・代謝内科教授)によると,このような背景のもと,ADAでは診断基準改訂の第一次原稿を今年3月に作成ずみで,来月(6月)に開催される年次集会で「HbA1C 6.5%を糖尿病診断基準」と発表する見込みだという。
ADAが採用した基準値については,13のメタ解析から糖尿病網膜症の発症リスクのカットオフ値と確認されている。

一方,WHOの診断基準は,各国の事情にも配慮して血糖値とHbA1Cを併用する形で10月の国際糖尿病連合(IDF)の会議で公表される見込みだ。

門脇氏は日本での改訂について「最近10年間で得られているエビデンスに基づいて最適化する時期に来ている」と述べ,現行診断基準の基本的なコンセプトは堅持しつつ,国際的な統一にも配慮しながら検討作業を進める意向を示した。


国内の疫学的エビデンスに基づき診断基準値を検証
現行の日本の糖尿病診断基準では,空腹時血糖値126mg/dL以上,OGTT2時間値200mg/dL以上,随時血糖値200mg/dLのいずれかが,別の日に行った検査で2回以上確認されれば糖尿病と診断される。

1回の血糖値測定で糖尿病と診断されるのは,血糖値が上記のレベルにあるのに加え,
(1)多尿などの糖尿病の典型的な症状が確認される,
(2)HbA1C 6.5% 以上,
(3)確実な糖尿病網膜症が存在する
―場合で,確実な糖尿病に限った設定だと言える。

日本では,補助的ではあるものの世界に先駆けてHbA1Cを診断基準のなかに位置付けてきた。
清野氏は「慢性の持続性高血糖がより簡易に測定できる方法を取り入れるのは自然な流れ」と説明。
国際的な動きにも配慮しながら,日本でも臨床現場でHbA1Cが使用しやすい診断基準に改訂していく見込みであるとしている。

なお,日本と米国のHbA1C測定値を比較すると,米国に比べ日本のほうが0.4ポイント程度低く表示される。ADAが診断基準値とする見込みのHbA1C 6.5%は日本では6.1%に相当すると考えられるが,これは現在「国民健康・栄養調査」で用いられている基準値に当たる。

検討委員会は先月(4月)に第1回が開催された。
今後の検討事項として,清野氏は
(1)国内の疫学的エデンスからの血糖HbA1C値の診断基準値の再検証,
(2)HbA1Cの国内的・国際的標準化の検証,
(3)国際的診断基準との整合性,
(4)現行の診断基準からの円滑な移行
を挙げている。

清野氏は今後の改訂作業について「早期に進めていく」と述べた。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0905/090543.html?ap

MT pro 2009.5.21


<番外編>
脱毛の原因遺伝子発見 キューティクルに異常発生
男性ホルモンが関与せず、性別に関係なく起きる脱毛や薄毛の原因遺伝子を、国立遺伝学研究所の相賀裕美子(さが・ゆみこ)教授(発生遺伝学)らのチームがマウスの実験で突き止め、26日、米科学アカデミー紀要電子版に発表した。

この遺伝子が正しく働かないと毛髪表面にあるうろこ状の組織「キューティクル」に異常が生じ、頭皮から抜けてしまうらしい。
相賀教授らは人でもこの遺伝子が働いていることを確認。
同教授は「キューティクルの維持が、脱毛を食い止める治療につながる可能性がある」と話している。

チームは「Sox21」という遺伝子を持たないマウスを作成して観察。
すると、誕生後に全身にいったん生えそろった毛が、生後11日目からまず頭部で抜け始め、約1週間で全身から完全に抜け落ちた。
その後、再び新しい毛が生えるものの20日前後で脱毛。
発毛と脱毛を繰り返した。

チームは、発毛は正常だが脱毛の周期が異常に早まったと判断。
通常のマウスでは、キューティクルのうろこ状の構造が毛と頭皮の組織とをかみ合わせる"かぎ"の役割を果たしているが、Sox21のないマウスではうろこ状の構造がなく、毛がある程度伸びると抜け落ちてしまうことを突き止めた。

うろこ状構造を作るのはタンパク質「ケラチン」。Sox21はケラチンを作り出す遺伝子の働きを制御しているという。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/5/26/100324/?pageFrom=m3.com
出典 共同通信社 2009.5.26


<きょうの一曲>
平井堅 - キャンバス
http://www.dailymotion.com/video/x4j80s__music
[PR]
by wellfrog3 | 2009-05-28 00:14 | 糖尿病

運動と結腸がん予防

あらゆる運動に結腸がん予防効果

外科学のKathleen Y. Wolin博士らは,運動量が多いと結腸がんに罹患しにくいとするこれまでの知見を支持するメタアナリシスの結果をBritish Journal of Cancer(2009; 100: 611-616)に発表した。

どのような身体活動にも効果
運動が結腸がんリスクに及ぼす影響を調べた数十年のデータを活用した今回のメタアナリシスで,運動量が最も多い人の結腸がん発症リスクは,運動量が最も少ない人に比べて24%低いことが明らかになった。
 
今回の解析は,バーンズ―ユダヤ病院サイトマンがんセンター(セントルイス)のがん予防・管理専門家でもあるWolin博士が,ハーバード大学(ボストン)の研究者らとともに実施したもの。
同博士らはまず,運動が直腸がんに影響を及ぼすことはこれまで証明されていないことから,結腸がんと直腸がんを同時に対象としている研究を除外した。
最終的に1984年までさかのぼり52件の研究を解析した。今回の研究は,現時点までに行われた最も包括的な研究である。
 
また,運動の種類は重要でないことも明らかになった。
ジョギング,サイクリング,水泳などのスポーツによる身体活動や,歩行,荷揚げ作業,採掘作業などの仕事中に行われる身体活動といったどのような種類でも,それがもたらす好ましい効果は同等であった。
また,この効果には男女差は認められなかった。
 
同博士は「結腸がんは米国で3番目に多いがんであることから,これらの知見は重要だ」と指摘。米国では毎年,約10万人が結腸がんと診断されるが,今回の研究では,米国人が身体的により活動的になれば,結腸がん患者数は年間2万4,000人減少すると推算している。

出典 Medical Tribune 2009.5.14(一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社



<番外編>
医療の世界の崩壊がとどめをさされようとしています。
あるニュースで国立大学医学部の内部から定員増員の要請があがっているといっていました。
びっくりです。
医療全体のことを考えているとは思えません。
大学病院の医師が確保できなくなった。
研修医に魅力のある体性を学内に構築するのが先ではありませんか。
将来の医師という職業に魅力を持てなくなって医学部志望者も減ることが予想されます。
需要が供給に優れば待遇も悪くなり、数が増えた分だけ医師のレベルが低下する。
このことはまさに必定です。

地域ごとに専門医定数  
医師不足や地域、診療科による偏在を解消するための抜本対策として、医師の計画配置がクロ-ズアップされている。

多くの先進国が何らかの計画的な医師配置策を取っているなか、厚生労働省研究班(班長=土屋了介・国立がんセンタ-中央病院院長)もこのほど、日本でも第三者機関が診療科ごとの専門医数などを定める計画的な医師養成を行うべきだとの提言を打ち出し、さらに論議が高まりそうだ。

厚労省研究班は、舛添厚労相の諮問機関である「安心と希望の医療確保ビジョン」具体化検討会が2008年9月、医学部定員の1・5倍増などの提言を打ち出したのを受け、発足。質の高い専門医を養成するための制度改革などについて検討を重ねた。

報告書では、
〈1〉専門医の質の向上を図る
〈2〉患者を幅広く診ることができる家庭医・総合医を養成する
--ことなどを掲げたが、その具体策として打ち出したのが、専門医の定数を定め、計画的に養成するための第三者機関の設立だ。

現在の専門医制度は、各診療科の学会が独自に認定。
選考基準もまちまちで、定数も決まっていない。
これが、産科や小児科、外科など激務の診療科で医師が不足する原因にもなっている。

研究班は、専門病院や学会、医学部、開業医、自治体らで組織する「卒後医学教育認定機構(仮称)」の設立を提言。
地域ごとに、患者数に応じた適正な数の専門医が養成されるよう、研修病院に対し定員枠の策定を求める。

先進諸国の多くは、診療科や地域ごとに専門医の数を決めるなど、医師を計画的に配置する何らかの仕組みを設けている。
フランスなどでは国による専門医数の規制が行われているほか、米国では医師らで作る第三者機関が専門医の養成数を定めている。

医師に診療科や地域ごとの定数を設けることについては、「職業選択の自由を奪うのではないか」、「居住地の自由もないのか」など、医師の自由意思を無視した強制的な配置ではないかとの誤解に基づく、反発の声も一部に聞かれる。

研究班では、医師が診療科や勤務場所を自由に選べる日本のように「市場に委ねる方法では、医師の配置は最適化されない」としたうえで、「強制的に 行われるものではなく、患者数などに基づいて必要な専門医を養成することで、適正な医師配置に結びつけようとするもの」(土屋班長)と説明する。

国は今年度の医学部入学定員を昨春より693人増やし、過去最高の8486人に増員。また初期研修について、来年度から都道府県ごとの募集定員の 上限を設けるなど、「医師不足対策」を講じているが、いずれも診療科別の定数などを規制するものではなく、医師不足・偏在解消の抜本策とはならない。

厚労省は、「今回の研究班提言を踏まえながら専門医のあり方を検討していきたい」(医政局総務課)としている。

http://community.m3.com/doctor/showNewsArticleDetail.do?boardId=3&boardTopicId=116167&messageListBoardTopicId=116167&newsArticleId=1160537&pageFrom=m3comTop
出典 読売新聞 2009.5.25
版権 読売新聞

<コメント>
「関連メッセージ」が異様に盛り上がっています。
[PR]
by wellfrog3 | 2009-05-27 00:26 | 消化器科

新型インフルエンザ対策 “社会的隔離”は必須

大流行を見据え,全医療機関が新型インフルエンザ対策を
日本感染症学会が緊急提言
日本感染症学会の新型インフルエンザ対策ワーキンググループは昨日(5月21日),「一般医療機関における新型インフルエンザへの対応について」と題する緊急提言(http://www.kansensho.or.jp/news/090521soiv_teigen.pdf)をホームページに掲載した。新型インフルエンザ(A/H1N1)について,今秋以降に大流行が起こる可能性を指摘し,すべての医療機関が対策を行うべきだと提言している。

今秋か今冬,香港風邪以来の大流行の可能性高い
ワーキンググループが行った緊急提言は,以下の8項目(原文のまま)。

(1)過去の我が国における新型インフルエンザ流行の実態から学んでください
(2)新型インフルエンザは,いずれ数年後に季節性インフルエンザとなって誰でも罹患しうる病気です
(3)新型が流行すると青壮年層の被害が甚大となるのには理由があります
(4)流行初期から一般医療機関への受診者が激増します
(5)重症例にはウイルス性肺炎よりも細菌性肺炎例や呼吸不全例が多く見られます
(6)一般予防策ではうがい,手洗い,マスクが効果的です
(7)医療従事者の感染予防にはサージカルマスク,手洗い等が効果的です
(8)全ての医療機関が新型インフルエンザ対策を行うべきです

これらの提言を通じてワーキンググループは,20世紀の新型インフルエンザウイルスの流行はすべて2回の流行を起こしていることを踏まえると,今回の新型インフルエンザ(A/H1N1)は,今年の冬か秋に1968年の香港風邪以来の大きな流行になる可能性が高いとの見方を提示した。

また,感染の流行拡大期においては発熱外来を持つ少数の医療機関では対応しきれなくなり,すべての医療機関で新型インフルエンザ患者を受け入れざるを得なくなることを説明。
診療を忌避することは不可能で,全医療機関が新型インフルエンザ対策を行うべきだと主張した。

激増する患者の受け入れ方法としては,発熱の有無で診療時間を分ける,医師会を中心として近隣の医療機関が時間を分けて分担する,などの方策が効果的ではないかとしている。

ガイドラインに基づいた細菌性肺炎対策の重要性を強調
治療については,インフルエンザの迅速診断と抗インフルエンザウイルス薬(オセルタミビル,ザナミビル)の治療において日本は世界を圧倒的にリードしており,これらを生かすことができれば被害を大幅に制御することも可能だと指摘した。

重症化対策としては,ウイルス性肺炎よりもむしろ細菌性肺炎に注意すべきだが,今回の新型インフルエンザ(A/H1N1)はこれまで大多数の患者が軽症であり,肺炎を併発しても在宅での治療が可能になると展望。
その際の診療指針として,日本呼吸器学会発行の「成人市中肺炎診療ガイドラインhttp://www.jrs.or.jp/home/modules/glsm/index.php?content_id=16」を挙げた。
なお,細菌性肺炎のなかで頻度が高く重症化しやすい肺炎球菌肺炎については,ハイリスク者に対する肺炎球菌ワクチンの接種も積極的に考慮すべきだとしている。

痰の吸引などでは,N95マスクやゴーグルの使用も考慮すべき
さらに,医療従事者の感染予防には,サージカルマスクと手洗いで臨むべきだが,重症肺炎を併発した新型インフルエンザ患者に痰の吸引などの医療措置を行う場合は,N95マスクやゴーグルなどの使用も考慮すべきだと指摘。
必要に応じて抗ウイルス薬の予防内服も検討すべきだとしている。

出典 MT pro 2009.5.22
版権 メディカル・トリビューン社



1957年以前生まれは新型インフルエンザへの免疫あり? CDCが見解発表
米疾病管理センター(CDC)は5月20日(日本時間21日)の記者会見で,新型インフルエンザ(A/H1N1)ウイルスに対する免疫を,1957年以前生まれの中高年層がすでに獲得している可能性があることを明かした。
また,21日に開かれた会見では,米国内の感染者で65歳以上の占める割合が全体の1%だったことから,「特に60歳以上,もしくは65歳以上の高齢者は,過去にH1N1ウイルスに感染してある程度の免疫を獲得している可能性がある」との見方も示している。

スペイン風邪への曝露が関与か
新型インフルエンザ(A/H1N1)ウイルスは依然として感染者が拡大しており,世界保健機関(WHO)の5月21日付発表によると,感染確定例は世界41か国1万1,034例(うち死者85例)となっている。
わが国でも21日までに294例の確定例が発生しているが,各国の研究者や保険機関が首をかしげているのが,高齢者の感染者が少ない点だ。
これについて,WHOは5月19日付で,高齢者が新型インフルエンザ(A/H1N1)に対する免疫を獲得しており,血清中に中和抗体を形成していることが示されたと報告した。

この報告に関する質問で,CDCのDaniel Jernigan博士は,20日の会見で「現時点では,1957年以前に新型インフルエンザ(A/H1N1)と同様のウイルスに曝露されていたことが言える」とコメント。
1957年以前,世界では新型インフルエンザと同じH1N1型のスペイン風邪が流行していたことと関連があるという。

また,高齢者が獲得しているとされる抗体が持つ“防御力”については,「断定するまで至っておらず,よりいっそうの研究が必要」としながらも,「現時点での検査結果から判断する限り,一定レベルの予防効果はあると言える」と回答した。

新型インフルエンザへの予防効果は「明らかでない
一方,21日の会見では,米国内の新型インフルエンザ(A/H1N1)ウイルス感染者のうち,5〜24歳が64%だったのに対し,65歳以上が1%だったことを発表。
これについて会見に当たったAnne Schuchat博士は,60歳以上または65歳以上の高齢者がH1N1型のウイルスの免疫を獲得している可能性を示唆し,スペイン風邪の流行時にワクチン接種を受けたことも要因の1つではないかと予想した。

しかし,その免疫が実際に新型インフルエンザ(A/H1N1)を予防するかどうかについては,「明らかでない」とコメントしている。

出典 MT pro 2009.5.22
版権 メディカル・トリビューン社


<関連サイト>
新型インフルエンザ診療マニュアル
第2版 平成21年5月 8日
大阪府健康医療部
大阪府医師会
http://www.pref.osaka.jp/chiiki/ikyokikanhenotuuti/manyuaru0508.pdf

「一般医療機関における新型インフルエンザへの対応について」
~㈳日本感染症学会・新型インフルエンザ対策ワーキンググループからの提言~
http://www.kansensho.or.jp/news/090521soiv_teigen.pdf



<医学雑誌斜め読み>
■日本医事新報 No.4439 2009.5.23
(防衛医大 早川正道校長)
○今年のゴールデンウイーク前、新型インフルエンザウイルスの本邦への流入を危惧した厚生労働省の要請に基づき、2週間の検疫業務に従事するため、防衛医科大学校卒の医官が急遽、成田空港に派遣された。
それぞれ家庭の事情や業務予定があったにもかかわらず、国の安全のため、直ちに派遣を命じた。

中略

○いかなる状況でも、今回のように直ちに出向できる医師・看護師集団を抱える公的施設の存在を示せたのでは、と考えている。

(「防衛医科大学校卒の医官」であれば当然とも思えるのですが・・・)

このエッセイの後半は、バイオテロに対する日本人の意識改革が喫緊の課題と述べています。

「科学のDual Use(二重用途)」という言葉(概念)を知りました。


■日本医事新報 No.4439 2009.5.23
(福島県立医大 渡辺 毅教授)
○研究は普遍的な真理を追究するおもしろさ、臨床はパズルを解くような個々の解決法を探るおもしろさがある。
○患者さんによって抱えている状況も病態も違うので、特定の臓器に特化するのではなく、全身を診て個々の錯綜した病態のパズルを解く内科はおもしろい。



<きょうの一曲>    Dave Brubeck - Take Five
Dave Brubeck - Take Five
http://www.youtube.com/watch?v=vmDDOFXSgAs&feature=related
Dave Brubeck - Take Five (1972)
http://www.youtube.com/watch?v=8V9VSxn2F9M&feature=related
[PR]
by wellfrog3 | 2009-05-26 00:20 | 感染症

大脳皮質基底核変性症

第43回日本神経学会の記事で勉しました。

〜大脳皮質基底核変性症〜 推定患者数は約2,100人
従来,大脳皮質基底核変性症(CBD)は,固有の臨床病理所見を示す疾患と考えられてきた。
しかし,その臨床病型には多くのバリエーションがあることが知られるようになり,最近ではCBD症候群をいくつかの亜型に分類している。
昨年,厚生労働省の特定疾患対策研究事業「神経変性疾患に関する研究班」では,暫定臨床診断基準を設けて過去のCBD症例数を調査した。
山口大学脳神経病態学の森松光紀教授は,この結果から日本国内でのCBDの推定有病率は1.7人/10万人であり,全国に2,100人程度のCBD患者がいると推定されると,札幌市で開かれた第43回日本神経学会(会長=北海道大学神経内科・田代邦雄教授)のシンポジウム「大脳皮質基底核変性症と進行性核上性麻痺をめぐって」で述べた。

#PSPの2.6分の1
今回の調査に用いられた暫定臨床診断基準では,Probable CBDとして
(1)古典型は緩徐進行性で一側優位の肢節運動失行と無動・筋強剛があり,痴呆は遅れて出現するものとし
(2)古典型に似るが,肢節運動失行または無動・筋強剛がなく他の皮質徴候・運動徴候が一側優位性に出現するものを準古典型
(3)失語や痴呆,注意障害,行動異常などが早期に出現し,やがて一側優位性の肢節運動失行,無動・筋強剛が顕著に出現するものを非古典型とした。
さらに,病理学的に証明された症例については臨床型を問わずDefinite CBDとした。
 
調査の結果,全国29施設におけるCBDの総数は164例,1 施設平均5.7例,病型別では,古典型が最も多く121例,準古典型17例,非古典型13例,病理的証明例13例であった。病理的に証明された13例のうち,生前の臨床診断ではCBD 8 例(62%),進行性核上性麻痺(PSP) 3 例(23%)であった。
 
一方,PSPについては国際的なNINDS(National Institute at the Neurological Disorders and a Stroke)-SPSP基準があり,今回,同時に調査されたPSP症例数との比較の結果,CBD症例数は臨床例ではPSP症例数の1/2.6,剖検例ではPSP症例数の1/2.5であった。
 
これらの結果と1998年の旧厚生省研究班によるPSPの症例数2,300例から推定されるCBD症例数(98年)は約2,300/2.6=880例と考えられた。
また99年の鳥取県米子市での疫学調査(中島ら)によるPSP有病率4.36(人口10万人対)から推定されるCBD有病率(99年)は4.36/2.6=1.7(人口10万人対)で,99年度のわが国の総人口を 1 億2,600万人とした場合,CBD患者はおよそ2,100人と推定された,と森松教授は述べた。



#〜日本人の多発性硬化症〜 障害進行速度は欧米人と同程度
日本では多数例の多発性硬化症(MS)についての長期臨床経過に関する報告がいまだなされていない。
国立療養所宇多野病院神経内科のQi Hao氏は,MS症例の長期臨床経過の特徴について検討。
「従来,日本人MS症例の障害進行速度が欧米人に比べて速いとされていたが,同程度の進行速度と考えられた」と述べた。

#一本杖歩行まで平均16年
氏らが,同院におけるMS症例232例を対象に解析を行った結果,進行モード分類での頻度は寛解再発(RR)型が85.3%,初期寛解再発以降 1 年以上の連続的進行を示す二次進行(SP)型が8.6%,発症時から慢性進行を示す一次進行(PP)型が6.0%であった。
また,病巣部位分類での頻度は,視神経脊髄(OS)型が19.3%,新たに提唱した視神経脳幹脊髄(OBS)型が13.9%,古典型が66.8%であった。
OBS型でのSP型症例は6.5%であったが,OS型でのSP型症例は 1 例もなかった。
予後別の頻度は,発症から15年以上の経過で総合障害度(EDSS) 3 以下の良性症例が4.7%,発症 5 年以内に寝たきり状態(EDSS 8.5)となる悪性症例が4.7%,MSによる死亡例が6.5%であった。
 
障害度の進行速度では,全症例の50%がEDSS 3 に達するまでの平均年数が 9 年,EDSS 6 (一本杖歩行)に達するまでは16年であった。
進行モード分類で比較すると,初期にはPPMS型が他の型に比べ有意に速いが,その後は進行モードによる差は認められなかった。
また,病巣部位分類で比較すると,OBS型の進行が初期から最も速く,次いで古典型で,OS型は比較的遅かった。
さらに,発症年齢別の障害進行速度では,高齢発症例で有意に速い進行が認められた。
 
同氏は「日本人MS症例ではSPMS型とPPMS型の比率が,欧米の 8 分の 1 〜 3 分の 1 と少ないことが,大きな特徴である」と指摘した。


#〜MCI/AACD〜 正常群と痴呆群の中間的特徴有する
物忘れを背景とし,診断上からもなんらかの問題を有しているものの,痴呆とはみなされていない高齢者を軽度知的機能障害(MCI)と呼ぶが,その実態は明らかではない。
東京都老人総合研究所老化臨床神経科学研究グループの村山繁雄氏は,MCIおよび加齢関連認知低下(AACD)に相応する症例の病理学的特徴について検討を行った。

#脳血管障害が変性型を上回る
村山氏らは,開頭剖検例1,094例を対象として,そのなかから入院・外来病歴,看護記録,あるいは必要に応じ主治医や介護者から聴取してMCI/AACD相応例を抽出。
神経病理学的検討としては,脳の代表的部位をH.E.,K.B.メセナミン銀,Gallyas-Braak 鍍銀染色,抗τ,Aβ,α-synuclein,ubiquitin抗体免疫染色で評価,老化構造物の半定量化を行った。
また,腎臓からDNAを抽出し,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)増幅後に制限酵素で切断しアポリポ蛋白質(ApoE)の遺伝子型を決定した。
 
その結果,1,094例のうち,正常群は382例(34.9%),MCI/AACD相応例は159例(14.5%),痴呆群は428例(39.1%),不明が125例であった。MCI/AACD相応例の平均脳重量は正常群と痴呆群の中間に位置していた。
 
痴呆群では,変性型が206例(48.1%)と最も多く,その内訳はアルツハイマー104例,嗜銀顆粒性痴呆44例,Lewy小体型痴呆36例などが続き,血管性痴呆は144例(33.6%)であった。
 
一方,MCI/AACD相応例では,脳血管障害が42例(26.4%)と,変性型の38例(23.9%)よりも多かった。
また変性型では,いわゆる加齢に伴う側頭葉内側面を侵すtauopathyが19例と頻度が高く,次いでsynuclei-nopathyが10例,アルツハイマーが 7 例と続いた。
 
さらに,神経原線維変化,老人班といったアルツハイマー型老年変化,およびApoE遺伝子型では,いずれも正常群と痴呆群の中間的な特徴を有していた。

出典 Medical Tribune 2002.6.27(一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社

<関連サイト>
大脳皮質基底核変性症
http://www.tyojyu.or.jp/hp/page000003600/hpg000003552.htm


<きょうの一曲> Diana Krall - Love Letters : Live in Paris
http://www.youtube.com/watch?v=l6uios2-3HE&feature=related
[PR]
by wellfrog3 | 2009-05-25 00:01 | 神経内科

コーヒー・たばことパーキンソン病

コーヒーやたばこ好きはパーキンソン病リスクが低い
「喫煙やコーヒーを飲むことでパーキンソン病が予防される」という意外な可能性を示した米国での家族ベースの研究が、医学誌「Archives of Neurology」4月号に掲載された。

過去の研究でも、コーヒー摂取、喫煙、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の使用がパーキンソン病の予防になる可能性が報告されていたが、家族ベースでこの関連を調べた研究はほとんどなかった。

米デューク大学メディカルセンター(ノースカロライナ州)のDana B. Hancock氏が率いた今回の研究は、パーキンソン病患者356人(平均66歳)およびその家族317人(平均64歳)を対象に実施したもの。
パーキンソン病患者は、罹患していない血縁者と比較して、喫煙経験者の比率が44%低く、現喫煙者の比率は70%低かった。
また、コーヒーをよく飲むほどパーキンソン病になりにくく、総カフェイン摂取量とパーキンソン病発症に反比例の関係があることがわかった。
しかし、NSAIDとパーキンソン病との間には関連がみられなかったという。

喫煙やカフェイン摂取がパーキンソン病の発症リスクを減らすメカニズムは明らかになっていない。
このような環境因子が単独で作用しているとは考えにくく、遺伝子と環境の相互作用が重要であると考えられるという。
パーキンソン病に関わる候補遺伝子について研究する上で、喫煙やカフェインを作用修飾因子として考慮する必要があるとHancock氏らは述べている。

HealthDay News  2007.4.9

http://www.healthday.com/Article.asp?AID=603475
Copyright © 2007 ScoutNews, LLC. All rights reserved.

http://www.healthdayjapan.com/index.php?option=com_content&task=view&id=163


<番外編>
#高用量ビタミンD補充は高齢者の非椎体骨折の予防に有効

 ビタミンDによる非椎体骨折の予防効果は用量依存的で,高用量の補充によって高齢者の非椎体骨折が少なくとも20%減少すると,スイスと米国の共同研究グループがArchives of Internal Medicine の3月23日号に発表した。
 最近の何件かの研究から,ビタミンDの骨折予防効果を疑問視する結果が示されている。同グループは,65歳以上の高齢者の骨折予防における経口ビタミンD補充の有効性を検証する目的でメタ解析を行った。
 解析には,ビタミンD補充〔単独またはカルシウム(Ca)併用〕とCaあるいはプラセボ補充の骨折予防効果を非椎体骨折について検討したランダム化比較試験(RCT)12件(4万2,279例)と,大腿骨近位部骨折について検討したRCT 8件(4万886例)が含まれた。
 ビタミンDの補充は骨折のリスク低下と関係し,RRは非椎体骨折で0.80,大腿骨近位部骨折で0.91であったが,結果には明らかな不均一性が見られた。しかし,対象としたRCTをすべて含む解析では,高用量のビタミンD補充と血中25-ヒドロキシビタミンD高値達成により骨折予防効果が有意に高まり,1日400IUを超える補充を行ったRCTでは不均一性は消失した。
 高用量ビタミンD補充による骨折のRRは非椎体骨折が0.80,大腿骨近位部骨折が0.82であった。高用量の補充による非椎体骨折の減少率は地域在住高齢者では29%,施設入所高齢者では15%で,その効果はCa補充の併用とは独立していた。
B
2009年4月16日(VOL.42 NO.16) p.39]
海外の主要医学誌から/Journal Scan

日本、長寿世界一を維持 WHOの世界保健統計
2009年5月22日 提供:共同通信社
この記事に対する現在のメッセージ数: 16件
 【ジュネーブ21日共同】世界保健機関(WHO)は21日、2009年版の「世界保健統計」を発表、07年の平均寿命が世界で1番長いのは日本の83歳で、前年までに続いて首位の座を維持した。

 男女別では、日本の女性の平均寿命が86歳で世界一。男性ではイタリア中部にある内陸国サンマリノの81歳が世界一で、日本はスウェーデンなどとともに、80歳のアイスランドに続き3位の79歳だった。

 世界全体の平均寿命は71歳で、最も平均寿命が短かったのは西アフリカ・シエラレオネの41歳。長寿国としてはスイスやイタリア、オーストラリアなどが82歳とされ、日本に続いた。

 同統計によると、世界全体で05年の妊産婦の死亡率は10万人当たり約400人で、年間約53万6000人が妊娠や出産に絡んで死亡。国連のミレニアム開発目標では、妊産婦の死亡率を15年までに1990年の水準の4分の1まで削減するとしているが、90年からあまり改善が見られなかった。

[
[PR]
by wellfrog3 | 2009-05-24 00:06 | 神経内科

高圧送電線とAD

当院の患者さんに電力会社OBの方がみえます。
先日来院された際に、「高圧線の下に家を建てて住んでも安全ですか」と聞いてみました。
危険である、という返事は、はなから期待はしていませんでした。
「社宅が高圧線の直下にあって住んでいたけど何ともなかったし、ごらんの通りピンピンしていますよ」という返事でした。

「高圧線が切れて垂れ下がってきて感電することはありませんか」と聞いたら、「切れた途端に電気は流れなくなりますよ」という返事が返ってきました。

「しかし、先生。ここだけの話ですが変電所の周囲は危ないですよ」とだけ言い残して帰られました。


高圧送電線がADに関与の可能性 スイスのコホート研究が示唆
ベルン大学社会予防医学研究所のAnke Huss博士は,スイス国民コホート(Swiss National Cohort)試験のデータを解析した結果,高圧送電線の近くの住民はアルツハイマー病(AD)によって死亡するリスクが高いことが示唆されたとAmerican Journal of Epidemiology(2009; 169: 167-175)で報告した。

居住年数と用量依存関係
Huss博士らは,スイス国民約470万人(30歳以上)の2000〜05年のデータに基づき,220または380kVの高圧送電線から居住地までの距離および居住期間と,神経変性疾患による死亡リスクとの関係をCox比例ハザードモデルにより解析した。
その結果,高圧送電線からの距離が600m以上の区域の住民との比較で,同50m以内の区域の住民における交絡因子調整後のADのハザード比(HR)は1.24〔95%信頼区間(CI)0.80〜1.92〕であった。
さらに,高圧送電線の近くでの居住年数とAD疾患による死亡との間には用量依存関係が認められ,50m未満の区域に5年以上居住していた場合の調整後HRは1.51(95%CI 0.91〜2.51)であったのに対し,10年以上の居住では1.78(95%CI 1.07〜2.96),15年以上では 2.00(95%CI 1.21〜3.33)であった。また,高圧送電線から50〜200mの区域の居住者では,ADによる死亡リスクの上昇は認められなかった。
 
老人性認知症についてもADの場合と同様の傾向が認められたが,多発性硬化症,パーキンソン病,筋萎縮性側索硬化症については高圧送電線による磁場との関連性は認められなかった。
 
磁場による神経変性疾患リスクの存在は,業務上,強い磁場に曝露される列車乗務員または電気工を対象とした複数の研究から示唆されているが,同博士は「今回のデータは大規模な住民ベースの調査としては最初のものにすぎず,性急な評価は戒めるべきである」と指摘。
共同研究者で同大学のMatthias Egger教授も「今回のデータから,高圧送電線ならびにその磁場と,近くの住民におけるADによる死亡リスクの高さとの因果関係を証明することはできない」とコメントしている。
 
加えて,磁場がADリスクを上昇させる機序に関しても明らかではない。
Huss博士は「現時点で存在するのは単なる推測であり,"磁場が神経細胞と他の細胞との接触部位を障害する","磁場の影響によりフリーラジカル産生量が増加してADをはじめとする神経変性疾患の原因となりうる"といった仮説が提唱されている段階にすぎない」と説明している。

出典 Medical Tribune 2009.5.14(一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社



<きょうの一曲> Diana Krall - Live in Paris (It's Wonderfull)
http://blog.m3.com/admin/blogs/693/entries/edit/66041
[PR]
by wellfrog3 | 2009-05-23 00:21 | 認知症

利尿薬と夜間頻尿

利尿薬の追加により不応性夜間頻尿の一部の症例が緩和される

韓国の研究者らによると、ヒドロクロロチアジドとα遮断薬テラゾシンの併用投与は、テラゾシン単独療法に反応を示さなかった夜間頻尿を有する一部の男性に有効である。

「ヒドロクロロチアジドは、夜間頻尿に効果があり、絶対的禁忌もほとんどない上に低コストであるため、夜間頻尿を併発する高血圧患者に適切な治療法であると考えられる」と主研究者のDr. Jae-Seung Paickはロイターヘルスに述べた。

Urology誌3月号において、Seoul National University College of MedicineのDr. Paickらは、4週間のテラゾシン療法後に夜間頻尿が25%未満減少した男性72名を対象とした今回の研究について、報告している。

同研究者らは、テラゾシン4mg/日およびヒドロクロロチアジド25mg/日の投与をさらに4週間行った。
患者に、就寝の8時間前にヒドロクロロチアジドを、就寝時にテラゾシンを服用するよう指導した」と同研究者らは述べている。

全体で、研究を完了した男性はわずか53名であった。
重篤な副作用は認められず、いずれの患者も用量減量が必要とならなかった、と同研究者らは報告している。

14名の患者は夜間頻尿スコアが25%以上低下し、31名は24%程度低下し、残りの患者はスコアが上昇した。

排尿記録を用いて、患者22名は25%以上減少したと報告し、31名は夜間頻尿が改善しなかったもしくは増加した、と報告した。

ベースライン時にこのような症状が認められた患者51名のうち、多尿が消失した患者は6名であった。

同研究者らは、今回の研究には血圧を追跡しなかったなど制限があったことを認めており、同研究者らが示唆していることとは、高齢患者への実施が特に重要であるということだろう。
併用療法を行う場合、これらのパラメーターおよびその他のパラメーターでモニタリングを行う必要がある。

しかし、「ヒドロクロロチアジドなどの利尿薬の使用は、このような患者、特に夜間多尿患者には適切な第二選択治療かもしれない、と今回の研究結果は示唆している」と同研究者らは結論付けている。
Urology 2009;73:549-553.


出典 ロイターヘルス   2009.4.21
版権 ロイター社


<コメント>
私も夜間頻尿の方に利尿剤を併用して日中の尿量を増やすように心がけることがあります。

国内でのこの夜間多尿に対して保険適応がないことはさておいて、何故ヒドロクロロチアジドか。
この薬剤は耐糖能異常や高尿酸血症が起こりうる降圧利尿剤です。

ループ利尿剤ではどうなのかといった疑問が残ります。
[PR]
by wellfrog3 | 2009-05-22 00:24 | 泌尿器科