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ACE阻害薬と認知症

ACE阻害薬に認知症リスクを下げるタイプ,上げるタイプ
他の降圧薬との比較,中枢神経作用型と非作用型で逆の結果
米ウェイクフォレスト大学のKaycee M. Sink氏らのグループは,ACE阻害薬のうち,血液脳関門を通過して中枢神経に作用するタイプが,他の降圧薬と比べて,認知症のリスクを下げるという研究結果を発表した(Arch Intern Med. 2009; 169: 1195-1202)。
アルツハイマー型認知症に関係する脳の炎症を抑える作用によると見られ,中枢神経に作用しないタイプのACE阻害薬では,逆にリスクを高める結果となっている。

中枢神経作用型のACE阻害薬でMMSEスコアの年あたりの低下が65%少ない
Sink氏らは,Cardiovascular Health StudyのCognition Substudyの参加者のなかから,高血圧治療中でうっ血性の心不全がない1,054人(平均年齢75歳)を追跡し(中央値6年間),認知症の発症,認知機能の低下,手段的日常生活動作(IADLs)障害について調べた。
認知機能の評価には,改変Mini-Mental State Examination(MMSE)を用いた。

追跡期間中,414人がACE阻害薬を服用しており(平均服用期間3.24年),640人は服用しておらず,認知症を発症したのは158人だった。
ACE阻害薬服用者をほかの降圧薬服用者と比較すると,ハザード比は1.01(95%CI 0.88~1.15),MMSEスコア差は-0.32ポイント/年(P=0.15),IADLs障害のオッズ比は1.06(95%CI 0.99~1.14)となり,差はなかった。補正後の結果もほぼ同様だった(以下は補正後の結果)。

ところが,中枢神経に作用するタイプのACE阻害薬のみ服用していた224人では,ほかの降圧薬を服用した場合(-0.45/年)と比べて,MMSEスコアの年あたりの低下が65%有意に減少していた(-0.16/年, P=0.01)。
認知症を発症するリスクは補正オッズ比0.88(95%CI 0.70~1.09/年,P=0.24),IADLs障害は補正オッズ比1.07(95%CI 0.97~1.18/年,P=0.16)だった。

逆に中枢神経に作用しないACE阻害薬のみ服用していた138人では,ほかの降圧薬を服用した場合と比べて,認知症を発症するリスクが高くなり(補正オッズ比1.20,95%CI 1.00~1.43/年,P=0.05),IADLs障害も補正オッズ比1.16(95%CI 1.03~1.30/年,P=0.01)と有意に増加した。MMSEスコアは,年あたり-0.53と減少したが,ほかの降圧薬を服用した場合との比較では P値は0.60で有意ではなかった。

同氏らは,中枢神経に作用するACE阻害薬に認知症を予防する効果があると見て,ランダム化臨床試験によって確認すべきと提案している。

なお,同氏らによると中枢神経作用型に分類されるACE阻害薬は,カプトプリル, fosinopril,リシノプリル,ペリンドプリル, ramipril,トランドプリルである。

http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/0907/090756.html?ap

出典 MT pro  2009.7.24
版権 メディカル・トリビューン社

<追加番>
中枢活性型ACE阻害薬が認知症予防の助けになる可能性がある
http://www.m3.com/news/SPECIALTY/2009/7/29/105090/?Mg=045f49ab8830a2bda50df333cded7b94&Eml=31ef79e7aaf65fca34f0f116a57fd65d&F=h&portalId=mailmag
■非中枢活性型のACE阻害薬としては、ベナゼプリル、エナラプリル、モエキシプリル、キナプリルなどがある。
■この試験はアンギオテンシン受容体遮断薬(ARB)を使用している患者数が十分ではないので、分析結果をARBにまで適用することはできない。
■こうした違いが出るのは、中枢活性型ACE阻害薬の降圧作用ではなく、脳にもともとあって記憶と認知に関与するレニン-アンギオテンシン系(RAS)に対する作用によるものと考えている。
レニン-アンギオテンシン系への刺激によって、神経変性の認知症との関与が言われている炎症性サイトカイン類の活性化も誘発される。
■今回の比較で見られた非中枢活性型のACE阻害薬に伴う認知症リスクの若干の亢進は、認知症とIADL機能障害の防御効果の面でその他の種類の降圧薬全体よりも単に劣っていることを示していると研究グループは考えている。
■介入によって高齢者の認知症リスクが半分以上も小さくなるという知見が公衆衛生で持つ意味はとても大きいので、今回の観察結果をランダム化臨床試験で確認する必要がある。
■患者は薬剤を切り替えるべきか?・・・
ある患者にある降圧薬が選択される際には理由が複数あることが少なくないので、血圧降下薬の切り換えの決定については患者と医療提供者との間で話しあう必要がある。
■患者がACE阻害薬に禁忌でないならば、中枢活性型ACE阻害薬に切り替えるのは合理的な選択の一つだ。
また今回の結果に基づけば、すでにACE阻害薬を使用している患者では、非中枢活性型よりも中枢活性型ACE阻害薬を用いることが支持される


<番外編 その1>
規則第3条の改正に伴う医師の届出対象の変更について
今後のクラスターサーベイランスについて
http://www.pref.aichi.jp/eiseiken/2f/090724taisyou.pdf


<番外編 その2>
医療関係団体
「財源が不明確で不安が大」、日医が民主党マニフェストへ見解
2200億円削減撤回、医療費引き上げ方針については評価
http://www.m3.com/iryoIshin/article/105104/index.html?Mg=f48b77c6f9d56147e4d78668b65e73b3&Eml=31ef79e7aaf65fca34f0f116a57fd65d&F=h&portalId=mailmag
■日本医師会は、7月29日の定例記者会見で、民主党から27日に発表された「民主党の政権政策マニフェスト2009」について見解を発表した。
■診療報酬については「診療報酬(入院)を増額する」との記載のみであることに対し、病院の入院だけでなく、地域医療全体を再生させるための全体的な底上げが必要だと指摘した。
■消費税税収相当分を全額年金の財源とするとある一方で、医療・介護への財源が明確でないことに対し「不安が大きい」とし、年金・医療・介護を公平に検討し、財源を具体化するよう求めた。
■民主党・岡田克也幹事長が、診療報酬の決定に国会が関与する考えを示したこと(編集部注:マニフェストには盛り込まれず)については、「現場の実情を理解している委員だからこそ核心をついた議論ができる。医療現場の実情をつぶさに把握せずに、国会で診療報酬を決定することは現実的ではない」と批判した。
■常任理事・中川俊男氏は、定例記者会見の初めに「日本医師会が今日見解として話すのは、日医の考えと各政党のマニフェストがどのように異なるのかを明らかにするため」と前置きし、民主党・自民党への支持・不支持や選挙活動とは無縁であると説明した。なお、今後、自民党マニフェストについても見解を発表する予定。
<コメント>
民主党のマニフェストに対する医師会の最初のコメントとして興味深く読みました。
財源の具体化を繰り返し求めている点は自民党の論調と同じです。
行間からは、軸足を自民党に置いているように読めました。


<きょうの一曲>
妹尾 美里

http://www.misatosenoo.com/


他にもブログがあります。
ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy
(一般の方または患者さん向き)
葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/
(循環器科関係の専門的な内容)
「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21? http://wellfrog2.exblog.jp/
井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/
(内科関係の専門的な内容)

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by wellfrog3 | 2009-07-31 00:24

新型インフルエンザ関連 2009.7.31

米でも新型インフルで脳症 10-17歳3人、既に回復
日本国内で2人の小学生が新型インフルエンザによる脳症を発症したと確認されたが、米国でも新型に感染した3人の子どもが脳症を併発していたことが、米疾病対策センター(CDC)の週報(電子版)で23日、明らかになった。

3人は後遺症なく回復したが、CDCは「インフルエンザの症状があり、意識障害や発作を伴う子どもには、抗ウイルス剤を速やかに投与するなどの対処が必要だ」と医師に注意喚起している。

週報によると、テキサス州ダラス郡で5月、7-17歳の男子4人が、発熱のほか、けいれんや錯乱など神経系の合併症を発症し入院。
いずれも新型インフルエンザの感染が確認され、そのうち7歳を除く10-17歳の3人が脳症と診断された。4人は治療薬タミフルなどの投与で回復した。

CDCによると、季節性インフルエンザでは小児を中心に脳症などの神経系の合併症が起こることが知られているが、新型インフルエンザによる脳症の確認は米国で初めてという。
新型は季節性よりも子どもの感染率が高いことから、脳症の報告が今後も相次ぐと予測している。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/7/24/104840/
2009年7月24日 提供:共同通信社


<番外編 その1>
(栃木)新型インフル女児が急性脳炎
早期の受診 県が呼びかけ
新型インフルエンザに感染した県東健康福祉センター管内(真岡市など1市4町)の小学生女児が急性脳炎(インフルエンザ脳症)を発症したことが23日、確認された。
県によると同日現在、38・5度の発熱とめまいなどの意識障害がある。
新型インフルエンザ患者の急性脳炎発症は国内2例目。

季節性インフルエンザにかかった未成年者が急性脳炎を発症すると、異常行動につながる場合があるが、県は「新型でも脳炎にかかることがあり、症状や様子に注意し、早めに受診してほしい」と呼びかけている。

女児は21日夕から発熱、せきの症状が出たため、22日に医療機関で受診。簡易検査で陽性となり、抗ウイルス薬(リレンザ)を処方されて自宅で療養していた。
同日夜、意識がもうろうとして、宇都宮市内の病院に救急車で搬送された。
40度の発熱があり、その後、同市内の感染症指定医療機関に入院した。
意識レベルは「大声を発したり、体を揺するなどで目を開ける」とされるレベル20だという。
県内で新型インフルエンザ患者は計98人となった。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/7/24/104829/
読売新聞 2009.7.24


<番外編 その2>
タミフル合成に新手法 岡山大、安価な原料で
岡山大の石川彰彦(いしかわ・てるひこ)准教授(有機化学)のチームは23日、安価な原料を使ってインフルエンザ治療薬タミフルの薬剤成分を合成する新手法を開発したと発表した。

すでに国内特許を出願。チームは「実用化にはまだ課題が多いが、将来の安定供給に役立つかもしれない」としている。

タミフルは現在、スイスのロシュ社が独自の方法で合成。2017年には特許が切れて、他社が安価な後発医薬品(ジェネリック医薬品)として販売できるようになるため、新たな合成法開発が競われている。

岡山大の手法は、ワインの醸造過程で出る酒石酸や、糖類のマンニトールが原料。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/7/24/104819/
共同通信社 2009.7.24


<番外編 その3>
1週間で10万人感染 英当局推定
英保健当局は23日、最近1週間で英イングランドで、新たに約10万人が新型インフルエンザに感染したと推定されると発表した。
感染者の多くは14歳以下の子どもという。
1週間前の16日の時点では、過去1週間の新たな感染者は約5万5千人と推定されており、感染拡大のペースが上がっている。

英BBC放送などによると、英国で新型インフルエンザに感染し、死亡した人は計31人という。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/7/24/104817/
共同通信社 2009.7.24


<番外編 その4>
米でも新型インフルで脳症 10-17歳3人、既に回復
日本国内で2人の小学生が新型インフルエンザによる脳症を発症したと確認されたが、米国でも新型に感染した3人の子どもが脳症を併発していたことが、米疾病対策センター(CDC)の週報(電子版)で23日、明らかになった。

3人は後遺症なく回復したが、CDCは「インフルエンザの症状があり、意識障害や発作を伴う子どもには、抗ウイルス剤を速やかに投与するなどの対処が必要だ」と医師に注意喚起している。

週報によると、テキサス州ダラス郡で5月、7-17歳の男子4人が、発熱のほか、けいれんや錯乱など神経系の合併症を発症し入院。
いずれも新型インフルエンザの感染が確認され、そのうち7歳を除く10-17歳の3人が脳症と診断された。4人は治療薬タミフルなどの投与で回復した。

CDCによると、季節性インフルエンザでは小児を中心に脳症などの神経系の合併症が起こることが知られているが、新型インフルエンザによる脳症の確認は米国で初めてという。
新型は季節性よりも子どもの感染率が高いことから、脳症の報告が今後も相次ぐと予測している。

http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/7/24/104840/
共同通信社 2009.7.24



<番外編 その5>
ネットの自己申告で処方 英、抗ウイルス剤
英保健当局は23日、新型インフルエンザ対策として、英イングランドで、感染が疑われる人が医師の診察を受けずに電話やネットによる自己申告を通じて抗ウイルス剤を手に入れることができるシステムを導入した。

イングランドでは最近1週間で、新たに約10万人が新型インフルエンザに感染したと推定されるなど感染が急拡大している。
感染者が自宅を出て感染を広げるのを防ぐことや、家庭医にかかる負担を減らすことが目的。同システムは秋までの暫定的な措置という。

名前などの個人情報や症状に関する質問に答えて手続きを進め、感染の可能性があると判断されれば、抗ウイルス剤を得るための引換番号が交付される。
抗ウイルス剤は、本人以外の友人などに取ってきてもらうよう指示される。

同システムでは症状がない人でもうそをつけば、抗ウイルス剤の入手が可能だが、保健当局は、公共医療サービスへの負担を減らすためには必要な措置としている。

感染者の多くは14歳以下の子どもという。
1週間前の16日の時点では、過去1週間の新たな感染者は約5万5千人と推定されており、感染拡大のペースが上がっている。

英BBC放送などによると、英国で新型インフルエンザに感染し、死亡した人は計31人という。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/7/24/104841/
共同通信社 2009.7.24


<番外編 その6>
世界の死者700人突破 新型インフルでWHO
世界保健機関(WHO)報道官は21日、新型インフルエンザによる世界の確認死者数が700人を突破したと明らかにした。
WHOが最後に世界の感染者数の集計結果を発表した6日時点の429人から、約2週間で300人前後増えたことになる。感染者数については従来同様「10万人超」としている。

WHOは日米などの主要感染国が、詳細(PCR)検査による感染者の全数把握を停止したのに伴い、7日以降、感染状況の世界集計の更新を停止している。

現在は加盟国に対し、詳細検査による確認感染者数の報告を求めていないが、確認死者数は引き続き報告を求め、感染者のいなかった新規の感染国には感染者数を含めた状況報告を要請している。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/07/22/104694/共同通信社 2009.7.22


<番外編 その7>
早期投与で発熱期間短縮 新型インフル治療薬
新型インフルエンザの治療で抗ウイルス薬のタミフルかリレンザを発症早期に投与すると、熱の高い期間が短縮され症状が軽かったとする研究結果を国立感染症研究所のチームがまとめ、24日までに欧州の感染症専門誌ユーロサーベイランスに発表した。

大阪府で5月末までに確認された新型インフルエンザの患者171人を調査。96%に当たる165人がタミフルかリレンザの投与を受けており、この中で治療中の情報が判明している90人について38度以上の熱があった期間を調べた。

発症して24時間以内に治療薬を投与した場合、熱があった期間の平均は1・9日間、発症1日後では同2・5日間、発症2-5日後では同3・4日間と、投与が早いほど発熱期間が短かった。

タミフルとリレンザの間では発熱の期間に違いは見られなかった。

調査に携わった感染研感染症情報センターの安井良則(やすい・よしのり)主任研究官は「新型インフルエンザの発症直後にタミフルやリレンザを服用すれば、2日以内に熱を下げることができ、重症化を防ぐことができるのではないか」と話している。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/07/27/104918/
共同通信社 2009.7.27


<きょうの一曲> 
Desafinado - Gal Costa
http://www.youtube.com/watch?v=JMbCeM0Ro1A&NR=1


省令改正に伴う医師の届出の変更についてのQ&A 平成21年7月22日
http://www.pref.aichi.jp/eiseiken/2f/090724QA.pdf

<自遊時間>
当地域では7月14日より発熱外来が廃止(されたようです)。
新聞で読んで知りましたが、地域の医師会からも今日に至るまで何の連絡もありません。
診療の最前線の一般医療機関には連絡や通達がなく、周知徹底(?)はどのようにされたのでしょうか。
発令がどのようにされ、医師会はどのように把握し、医師会員には連絡をしたのかどうか。
連絡がないので連絡をされていなのは間違いありません。
医師会に入っていても意味がないと思う瞬間は今までもよくありました。
今回もその1つです。
行政も行政です。
一般医療機関に伝達しなくてもいいことなのでしょうか。
少なくとも伝達されているかどうかを確認する必要がありますが、現場を見ないという点では行政も医師会も同じ「上から目線」です。
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by wellfrog3 | 2009-07-30 00:49 | 感染症

片頭痛と脳梗塞

JAMA誌の片頭痛に関する記事で勉強しました。

片頭痛がある中年女性は高齢期に梗塞病変が見られやすい
アイスランドの出生コホートの追跡結果

中年期に多い片頭痛は、長期的な問題を引き起こすのだろうか。
米国Uniformed Services大学のAnn I. Scher氏らは、アイスランドの出生コホートを高齢期まで追跡し、中年期の片頭痛と高齢期の脳の梗塞様病変の関係を調べた。
この結果、前兆のある片頭痛を経験していた女性では、頭痛がなかった女性に比べ、MRI検査により小脳に梗塞様病変が見られるリスクが有意に高いことが示された。
詳細は、JAMA誌2009年6月24日号に報告された。

片頭痛は男性より女性に多い。約3分の1の患者が片頭痛発作の前に、視覚性、感覚性、失語性、運動性の前兆を経験する。
近年、前兆のある片頭痛が、脳卒中や冠動脈疾患などのリスク上昇と関係している可能性が示されている。
またMRIによって検出される小脳の梗塞様病変と有意な関係があるという報告もあった。

そこで著者らは、中年期に片頭痛症状がある人々と、頭痛がない人々を追跡し、高齢期に脳のMRI検査において梗塞様病変が検出されるリスクを比較した。

対象となったのは、集団ベースのReykyavikスタディに参加した人々。
この試験では、アイスランドのReykyavikの1907〜1935年の出生コホートを1967年から追跡している。
著者らは今回、1972〜1986年に33〜65歳(平均年齢51歳)になっていた人々に対し、中年期の評価として片頭痛に関する質問を行い、心血管危険因子、人口統計学的特性について調べた。

月1回以上の頭痛があると述べた患者には、片頭痛症状(悪心または嘔吐、片側だけの頭痛、光恐怖、視覚障害、片麻痺)の有無を尋ね、前兆のない片頭痛、前兆のある片頭痛、片頭痛以外の頭痛に分類した。

Reykyavikスタディーはその後、2002年にAGES-Reykyavikスタディと名を変えて継続された。
著者らは、2002〜06年に、高齢期の評価としてMRIを用いた脳の評価と、心血管危険因子の測定を行い、心血管疾患歴などについても調べた。 

主要アウトカム評価指標は、梗塞様病変の存在(脳全体)と、皮質、皮質下、小脳の梗塞様病変に設定。

Reykyavikスタディからの参加者のうち、条件を満たした4689人(女性が2693人、男性が1996人)が分析対象になった。
中年期の調査時の平均年齢は50.9歳、高齢期の調査時には76.2歳だった。

片頭痛は、男性の5.7%、女性の17.0%、全体では12.2%に見られた。
前兆なしの片頭痛は男性の1.5%、女性の6.6%で、全体では4.5%。前兆ありはそれぞれ4.2%、10.3%、7.7%だった。

前兆ありグループのうち、視覚性前兆は男性の77.1%、女性の66.2%に見られた。感覚性前兆は14.5%と17.3%。それら両方を訴えたのは8.4%と16.5%だった。

高齢期にMRIによって梗塞様病変が検出されたのは、男性の39.3%、女性の24.6%だった。

未調整解析において、梗塞様病変の有病率は、中年期に頭痛がなかった女性に比べて、前兆のある片頭痛を訴えていた女性に多かった(25%と31%、p=0.04)。
しかし、男性にはそうした差は見られなかった(39%と41%)。

年齢、性別、追跡期間で調整後、中年期に頭痛なしの男女3243人と比べると、前兆のある片頭痛があった361人では、高齢期に梗塞様病変が認められるリスクは上昇していた。
調整オッズ比は1.4(95%信頼区間1.1-1.8)。

前兆のある片頭痛群では、主に小脳の病変の有病率が高かった(調整オッズ比は1.6、1.3-2.2)。皮質、皮質下の病変については、前兆あり片頭痛、前兆なし片頭痛、片頭痛以外の頭痛の患者のいずれにも有意なリスク上昇は見られなかった。

男女別に比較すると、男性では、前兆のある片頭痛群の梗塞様病変の有病率上昇は有意ではなく(1.3、0.8-1.8)、女性では有意な上昇が見られた(1.5、1.1-2.0)。
女性では特に小脳の梗塞様病変の有病率が、頭痛なし群で14.5%、前兆のある片頭痛群では23.0%となり、調整オッズ比は1.9(1.4-2.6)になった。
男性ではそれぞれ21.3%と19.3%で、オッズ比は1.0(0.6-1.8)だった(性別との相互作用のp<0.04)。

前兆のある片頭痛と小脳の梗塞様病変の関係は、高齢期の心血管リスクと冠疾患歴またはTIA/脳卒中歴で調整しても変化しなかった。

冠疾患歴あり群となし群、TIA/脳卒中歴あり群となし群に患者を層別化して分析しても、関係は変化しなかった。

女性における小脳の梗塞様病変の存在と、前兆のある片頭痛の関係を調べたところ、視覚性前兆と感覚性前兆が併存するグループ(女性全体の8.6%)で、視覚性前兆のみのグループ(1.7%)より強力だった。調整オッズ比は前者が2.2(1.5-3.1)、後者が1.3(0.6-2.8)。

中年期の前兆のある片頭痛は、高齢期にMRI検査により検出される小脳の梗塞様病変の有病率と有意に関係していた。関係は女性でのみ有意だった。
ただし今回は、症状の有無は問わずに、病変の存在のみについて片頭痛との関係を評価したため、リスク上昇の臨床的意義は明らかではない。著者らは、今後も研究の継続が必要だ、と述べている。

Migraine Headache in Middle Age and Late-Life Brain Infarcts
http://jama.ama-assn.org/cgi/content/short/301/24/2563

出典 NM online 2009.7.13
版権 日経BP社


<番外編 その1>
新型インフル、夏も衰えず 秋口の流行加速警戒 実態把握困難に
新型インフルエンザウイルスの発生が米保健当局などにより確認されてから約3カ月。
これまで確認されているだけで感染者は世界で15万人、死者は800人を超えた。
米国とメキシコに始まった感染は冬を迎えたオーストラリア、チリ、アルゼンチンなど南半球にも拡大する一方、北半球でも衰えをみせておらず、実際の感染者や死者は確認数の何倍にも達している可能性が高い。

米疾病対策センター(CDC)など各国保健当局は、行楽シーズンが終わった夏休み明けに再開する学校や職場を介した一段の流行加速があり得るとみて、警戒を強めている。

新型インフルエンザの拡大を象徴するのは、日米を含む主要な感染国が感染者の全数把握を停止、世界保健機関(WHO)による定時集計もストップした事実だ。

WHOなどは「数字の把握よりも、患者の症状の悪化具合や拡大防止策の検討が重要」としているが、感染者数が急増したため、詳細(PCR)検査による感染確認をすべての感染疑い者に実施するのが先進国ですら物理的に不可能になり、確認数に注目する意味がほとんどなくなったのが最大の理由だ。

23日時点で欧州疾病対策センター(ECDC)がまとめた世界の確認感染者数は15万1656人、死者は868人となった。しかし米CDCは既に全米の感染者は100万人を超えると推計、英保健当局もイングランド地方だけで過去1週間で10万人増えたとの見方を示している。

一方、夏にも供給が始まると期待された新型インフルエンザ用ワクチンの開発・製造は遅れ気味だ。ワクチン製造に必要なウイルス培養の速度が予想以上に遅いことや、開発後の安全性確認に時間がかかることが主な理由だ。

WHOのキーニー・ワクチン研究部長は「9-10月には供給が始まる」との見通しを示しているが、その後も供給不足が続くのは確実で、医療従事者や重症化のリスクが高い妊婦、既往歴のある人などの優先接種検討を各国に勧告している。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/07/27/104917/?Mg=5ee54b3fc669372b58b3d2ec4fe94a34&Eml=31ef79e7aaf65fca34f0f116a57fd65d&F=h&portalId=mailmag
共同通信社 2009.7.27


<番外編 その2>
新型インフル、1人から1・96人に…南半球
新型インフルエンザが急速に広がっている冬の南半球で、1人の新型インフルエンザ感染者から何人に感染させるかを意味する「再生産数」が、1・96と推定されることが、ユトレヒト大(オランダ)の西浦博研究員らの調査でわかった。
ニュージーランドの医学誌に掲載された。

季節性インフルエンザ(1・1-1・4)を上回る値で、日本でも秋以降に予想される流行で、多数の感染者が出る恐れがある。

調査では、6月初旬以降に、海外から持ち込まれた事例を除く、ニュージーランドの国内感染者数の推移を分析し、平均1・96と推定した。

この数字をもとに試算すると、感染防止策などがない場合、大流行が終息するまでに人口の78・6%が感染するとしている。

今回の結果は、流行初期にメキシコで報告された1・4-1・6よりも高い。

研究チームは、冬季に感染が広がりやすく、再生産数が大きくなった可能性もあるとしている。


<番外編 その3>
早期投与で発熱期間短縮 新型インフル治療薬
新型インフルエンザの治療で抗ウイルス薬のタミフルかリレンザを発症早期に投与すると、熱の高い期間が短縮され症状が軽かったとする研究結果を国立感染症研究所のチームがまとめ、24日までに欧州の感染症専門誌ユーロサーベイランスに発表した。

大阪府で5月末までに確認された新型インフルエンザの患者171人を調査。96%に当たる165人がタミフルかリレンザの投与を受けており、この中で治療中の情報が判明している90人について38度以上の熱があった期間を調べた。

発症して24時間以内に治療薬を投与した場合、熱があった期間の平均は1・9日間、発症1日後では同2・5日間、発症2-5日後では同3・4日間と、投与が早いほど発熱期間が短かった。

タミフルとリレンザの間では発熱の期間に違いは見られなかった。

調査に携わった感染研感染症情報センターの安井良則(やすい・よしのり)主任研究官は「新型インフルエンザの発症直後にタミフルやリレンザを服用すれば、2日以内に熱を下げることができ、重症化を防ぐことができるのではないか」と話している。
2009年7月27日 提供:共同通信社

<番外編 その4>
メタボリックシドローム、仕組みを解明 免疫細胞が炎症誘発 東大、マウス実験で
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の原因となる内臓脂肪の炎症が起きる仕組みを、永井良三・東京大大学院医学系研究科教授らが、マウス実験で突き止めた。
免疫細胞の一つ、Tリンパ球が炎症の引き金になっていた。
メタボリックシンドロームの治療薬開発につながる成果という。26日付の米専門誌「ネイチャーメディスン」(電子版)に掲載される。

内臓脂肪が蓄積し、脂肪細胞が大きくなると、白血球の仲間のマクロファージなど免疫細胞が集まって慢性的な炎症が起きる。
炎症によりインスリンの効きが悪くなることなどがマウス実験で分かっており、動脈硬化や糖尿病などにつながる。しかし、炎症の起きる仕組みはなぞだった。

永井教授らは、高脂肪食を与えた肥満マウスと通常の食事を与えたマウスを比較。その結果、肥満マウスは病原菌を撃退する「CD8陽性Tリンパ球」が、マクロファージより先に増えていた。

そこで、このリンパ球を減らしたり、存在しないマウスを作製して調べると、高脂肪食を与えても内臓脂肪組織に炎症が起きないことが判明した。
さらに、一度炎症が起きたマウスから、このリンパ球を取り除くと、内臓脂肪の炎症が抑えられ、インスリンの効きが改善されることなども分かった。

真鍋一郎・東京大大学院医学系研究科特任准教授(循環器内科)は「このTリンパ球は免疫機能にとって重要で、すべてを除去するのは難しい。脂肪組織の肥満化によって、Tリンパ球を活性化させる物質を見つけられれば、それを制御することで、メタボリックシンドロームの治療薬開発につながる可能性がある」と話す。
http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/7/27/104956/毎日新聞 2009.7.27

<番外編 その5>
先週、「診療報酬は、中央社会保険医療協議会ではなく、国会で議論して決定」との報道がありましたが、直嶋正行・政調会長は「中医協については、構成メンバーも含めて見直す必要があるという問題意識は持っている。しかし、国会で診療報酬を決定するというのは、岡田(克也)氏の個人的見解。中医協のあり方については今後、議論していく」と述べ、現時点では党の方針として決定したわけではないとしています。
http://mrkun.m3.com/mrq/community/message/view.htm?cmsgId=200907281057523883&msgId=200907281059504170&mrId=ADM0000000


<きょうの一曲>  波
Gal Costa - Wave
http://www.youtube.com/watch?v=rduKvPcMg9c&feature=related
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by WELLFROG3 | 2009-07-29 00:24 | 脳血管

2型糖尿病発症の3〜6年前に血糖値の変化

Lancet誌に掲載された2型糖尿病発症に関する論文で勉強しました。


#2型糖尿病発症の3〜6年前に血糖値の変化が始まる
2型糖尿病を発症する人々は、発症前のどの時点から、空腹時血糖値、糖負荷後血糖値、インスリン感受性、インスリン分泌の変化が始まっているのだろうか。
この疑問を検証するため、前向きコホート研究のデータを分析した英国London大学のAdam G Tabak氏らは、発症の3〜6年前からそれらの値が急激に変化することを明らかにした。詳細は、Lancet誌2009年6月27日号に報告された。

2型糖尿病発症前のどの時期に糖代謝が変化し始めるのかについては、これまでほとんど分かっていなかった。
著者らは、より正確なリスク予測に役立つ情報を得たいと考えて、前向きコホート研究Whitehall IIのデータを分析した。

この研究は、ベースラインで糖尿病ではない35〜55歳の英国の公務員6538人(71%が男性、91%が白人)を、1985年8月から88年4月にかけて登録。
中央値9.7年の追跡期間中に505人が糖尿病(空腹時血糖値が7.0mmol/L以上、または75g糖負荷後2時間血糖値11.1mmol/L以上)と診断されていた。

著者らは、これらの人々について、発症前最高13年間の空腹時血糖、糖負荷後2時間血糖値、インスリン感受性指標のHOMA2-%S、β細胞機能を示すHOMA2-%Bの変化を後ろ向きに調べた(HOMAの計算には英国Oxford大学DTUのHOMA calculatorを使用:こちらから利用可能)。

比較の対象となる、糖尿病を発症しなかった人々6033人については、追跡期間終了までの間のこれらの値の変化を評価した。

糖尿病発症者と非糖尿病患者の平均年齢に差はなかった。
糖尿病患者には非白人が多く、BMI値は高かった。
また、糖尿病患者の方が、ベースラインの空腹時血糖値と負荷後血糖値、インスリン値、HOMA2-%Bは高く、HOMA2-%Sは低かった(すべてp<0.0001)。

非糖尿病患者6033人について測定されていた空腹時血糖値と、糖尿病患者505人の空腹時血糖値の変化の様子を比較した。
非患者群では、空腹時血糖値は追跡期間中わずかに上昇し、13年間で5.26mmol/Lから5.31mmol/Lになった。
1年当たりの上昇は平均0.004mmol/Lだった。
一方、患者群では、空腹時血糖値は診断の3年前まで直線的に徐々に上昇し、5.47mmol/Lが5.79mmol/Lになった。
1年当たりの上昇は0.028mmol/Lで、非患者群より大きかった。
その後、空腹時血糖値はさらに急激に上昇し、発症時点では7.40mmol/Lになっていた。

糖負荷後2時間血糖値は、非糖尿病患者では13年間に5.11mmol/Lから5.77mmol/Lに上昇。
1年当たりの上昇は0.051mmol/Lだった。
患者群でも診断の6年前までは同じ割合で上昇していたが、その後は三次曲線を描いて上昇。
診断の2年前から上昇は急激になった(7.60mmol/Lから11.90mmol/Lに上昇)。

HOMA2-%Sは、13年前から5年前までは、患者群も非患者群も同じレベルの低下を示した(1年当たり1.11%)。
その後、患者群において低下が加速し、非患者群との間の1年当たりの低下レベルの差は2.76%になり、診断時にはHOMA2-%Sの値は86.7%になっていた。

HOMA2-%Bは、診断4年前までは両群とも変化なしの状態を維持しており、ベースラインで両群に見られた差はそのまま保たれた。
診断4年前から3年前までの1年間になると、患者群のHOMA2-%Bは上昇(85.0%から92.6%へ)。
しかし、その後、診断までの3年間に急激な低下を示し、診断時には62.4%になっていた。

著者らは、空腹時血糖値、糖負荷後2時時間血糖値、HOMA2-%S、HOMA2-%Bの診断までの変化を現す多層モデルを構築、複数の感度解析を行って、このモデルが今回の対象集団にフィットしていることを確認した。

得られたデータは、血糖値、インスリン感受性、インスリン分泌が、糖尿病診断の3〜6年前に変化し始めていることを示した。
日常的な健康診断で測定される指標の中から、糖尿病発症に先駆けて変化するより確実なバイオマーカーを同定できれば、リスク予測の精度は向上すると期待される、と著者らは述べている。


Trajectories of glycaemia, insulin sensitivity, and insulin secretion before diagnosis of type 2 diabetes: an analysis from the Whitehall II study
http://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(09)60619-X/abstract


http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/lancet/200907/511371_2.html
NM online 2009.7.7


<番外編 その1>
#ヨード造影剤との併用「注意」→「禁忌」→やっぱり「注意」
#メトホルミンの添付文書改訂で迷走
メトホルミン塩酸塩(メルビン錠など)の添付文書が7月1日に改訂され、メトホルミン塩酸塩とヨード造影剤との併用が「禁忌」から「注意」となった。
5月20日に「注意」から「禁忌」に改訂されたばかりだったが、医師から個別に、あるいは学会を通じて「現場の実態にそぐわない」との指摘を受け、わずか3カ月足らずで「注意」に戻された。

2回の改定はいずれも大日本住友製薬などが、「医学薬学上公知である」として臨床試験を実施することなく添付文書の変更を申請し、承認を受けたものだ(いわゆる「自主改訂」)。

5月の改訂の主な内容は、海外での使用状況に合わせてメトホルミン塩酸塩を2型尿病患者の第一選択薬とできるようにするためのものだった。
改訂前までは、SU剤の効果が不十分な場合や副作用などで使用不適切な場合にのみ、メトホルミンの適応を考慮することになっていた。
日本臨床内科医会からの要望に製薬会社が応えた。

現場では「併用注意」だった変更前から、基本的に、造影剤を使用する際にはメトホルミン塩酸塩の投与を一時中止する対応は取られていた。
そのため、「併用禁忌」への変更による大きな影響はないと製薬会社や行政は考えたようだ。

ところが改訂直後から、現場の医師から「現場の実態にそぐわない」「これではメトホルミン塩酸塩は使えなくなる」といった意見がMRを通じて製薬会社に寄せられた。
また厚生労働省にも、日本医学放射線学会と日本IVR学会から再改訂を求める要望書が提出された。

現場の医師らが最も問題視したのは、意識を失って病院に搬入された患者が、メトホルミン塩酸塩を服用しているかどうかがわからない場合、ヨード造影剤を使った緊急検査が行えなくなるというものだ。

また、予約でヨード造影検査を実施する際の対応についても、「本剤(メトホルミン塩酸塩)の投与を一時的に中止」という記載があいまいで、具体的な対処がわからないとの指摘があった。

この点については、国内のガイドラインでは「ヨード造影剤使用前2日間は(メトホルミン塩酸塩を)用いるべきではない」とされているが、海外のガイドラインでは「造影剤投与時〜48時間後までメトホルミンの投与を中止する」と記載されていたという事情もある。

現場の声に対応して大日本住友製薬は、7月1日、メルビンとヨード造影剤との併用を禁忌から注意に再度、自主改定を申請し、厚生労働省もそれを承認した。改訂の主な内容は以下の通り。

変更前:併用禁忌として「ヨード造影剤:併用により乳酸アシドーシスを起こすことがある。ヨード造影剤を用いて検査を行う場合は、本剤の投与を一時的に中止すること」

変更後: 併用注意として「ヨード造影剤:併用により乳酸アシドーシスを起こすことがあるヨード造影剤を用いて検査を行う場合には、本剤の投与を一時的に中止すること。(重要な基本的注意の項参照)」

引用されている「重要な基本的注意の項」には、「ただし緊急に検査を行う必要がある場合を除く」との文言が加えられている。緊急検査に支障が出ないように配慮されたものだ。

さらに、メトホルミン塩酸塩の投与再開時の対応で混乱が生じないよう、「また、ヨード造影剤投与後48時間は本剤の投与を再開しないこと。
なお投与再開後には、患者の状態に注意すること」との文言も加えられた。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/di/trend/200907/511528_2.html

その際に「使用上の注意」が同時改訂された。
「海外の使用状況に合わせての効能・効果、用法・用量の変更だったので、使用上の注意についても海外の状況に合わせようと考えた。海外ではヨード造影剤との併用が禁忌とされていた」と大日本住友製薬の担当者は事情を説明する。
厚労省医薬食品局安全対策課の担当者も「特にメトホルミン塩酸塩とヨード造影剤の併用の際の副作用報告が増えていたわけではない」と述べている。


変更前:併用注意として「ヨード造影剤:併用により乳酸アシドーシスを起こすことがある。併用する場合は本剤の投与を一時的に中止する等適切な処置を行う」

変更後:併用禁忌として「ヨード造影剤:併用により乳酸アシドーシスを起こすことがある。ヨード造影剤を用いて検査を行う場合は、本剤の投与を一時的に中止すること」

出典  DI online 2009.7.13
版権 日経BP社

<番外編 その2>
#来年度の医学部定員 「地域枠」を中心に最大369人増
7月17日、文部科学省は2010年度における大学の医学部入学定員を最大369人増員するとの通知を発表した。
この内容について文科省ならびに厚生労働省は、23日、都内で大学関係者、都道府県関係者を対象とする説明会を開催した。
冒頭の挨拶で、厚労省医政局・杉野剛医事課長は「県外枠の利用も含め、できれば約370人の定員枠を使い切るよう働きかけてほしい」と述べ、定員枠の積極的な活用を求めた。

今回の入学定員増は、
(1)地域の医師確保のための定員増、
(2)研究医養成のための定員増、
(3)歯学部入学定員の削減を行う大学の特例、
の3種類。
入学定員増は最大で(1) 329人、(2)10人、(3)30人まで認められる。
このすべてが増員された場合、2010年度の医学部入学者数は対前年度比で4%の増加となる。
増員の期間は2019年までの10年間で、それ以降の取り扱いは、その時点の医師養成数の将来見通しや定着状況を踏まえて判断される。

(1)は大学が都道府県と連携し、地域医療に従事する明確な意思を持った学生の選抜枠を設定するもので、各都道府県につき、
(a)当該都道府県内の大学5人以内、
(b) 当該都道府県外の大学2人以内(aと合わせて7人を超えない範囲で増加も可)の増加が認められる。
県外の大学についての規定が設けられたのは、大学が県域を超えて医師の育成、地域医療への参画を行っている実態を考慮したもの。
例えば、A県は県内にある大学の医学部入学定員を5人以内で増員するとともに、B県の大学へ、A県の持つ県外枠による入学定員増を要請することが可能となる。
逆に見ると、B県に所在する大学は、当該枠による学生を卒後A県で勤務させる条件で、B県の持つ県内増員枠を超えた人数の学生の受け入れが可能となる。

選抜枠の医学生に対しては、都道府県が地域医療再生計画に基づいて奨学金を支給するが、金額について文科省高等教育局医学教育課長補佐・樋口聰氏は「おおむね月額10万円以上で当該地域の実情に応じた額」、また卒後に義務付けられる当該地域での勤務期間は「9年間」(現行の「地域枠」奨学金における勤務期間が6年間であることから、その1.5倍)との基準を提示した。

(2)の研究医養成のための定員増は、大学が教育研究資源を活用して、複数の大学との連携によって研究医養成の拠点となるコンソーシアムを形成し、また研究医養成のために学部・大学院教育を一貫して見通した特別コース及び研究医定着のための奨学金を設ける場合について、各大学につき3人を上限(総数10人以内)に増加を認めるもの。
特別コースへの選抜は大学入試時に行う必要はなく、在学過程である程度の基礎医学教育を実施した後、3-4年目以降などに行って差し支えないが、研究医養成を目的とした定員増が形骸化することがないよう、大学に対し一定の履修者を確保すべくプログラムを魅力あるものにし、適切な進路指導を行うことが要望されている。
なお、特別コースを設ける場合、増員数の2倍以上の履修者の確保が必要となる。

(3)は、医・歯学部を併せ持つ大学について、歯学部入学定員を減員する場合に、当該減員数の範囲内で一定割合の医学部入学定員の増加(1大学につき10人以内)を認めるもの。
なお、現在医・歯学部を併せ持つ大学は、全国で14校。

もっとも、定員増実施へ向けた手続きのスケジュールは非常にタイトであり、来年度入学定員増を希望する大学は8月14日までに増員計画の検討状況を文科省へ報告しなければならない。
(1)地域の医師確保のための定員増は都道府県との協議、
(2)研究医養成についても他大学との連携のための協議が必要となるため、会場からは「半月強で大学内・大学間の調整・合意を行うのは不可能だ」とする意見が出たが、文科省高等教育局医学教育課長・新木一弘氏は「クリアできる大学で今回の増員を行う」として対応を求めた。
なお、樋口氏は参加者からの質問に対し、「2011年度からの実施とする届出も認める」と回答している。

8月 入学定員増員計画の検討状況の報告〔8月14日までに回答〕
増員希望大学の追加要求(国立大学のみ)

以下 略
http://www.m3.com/iryoIshin/article/104800/

<コメント>
あれれ、増員は国立大学のみ。
なんだか、きちんと読むのも馬鹿らしくなります。
要するに頭が痛くなってしまうのです。

地域医療充実のために各県1医大を目標に設置された国立単科医科大学。
きちんと機能しているかの検証が先ではないでしょうか。

何よりも医師不足なのか医師偏在なのか。
すべての科の勤務医が忙しくて開業医はすべて暇なのか。
マスコミ報道を鵜呑みにしてステレオタイプに物事を考える官僚。
医療現場をどれだけ見て、現場の意見をどこまで汲み取っているのか。

甚だ疑問です。



<きょうの一曲>
Righteous Brothers - Unchained Melody Traduzida (Ghost)
http://www.youtube.com/watch?v=sCcaNzI2fl4&feature=related

U2 - Unchained Melody
http://www.youtube.com/watch?v=qo5T0bs-JDY&feature=related

Elvis-Unchained Melody
http://www.youtube.com/watch?v=1Sm9jFaHbCM&feature=related
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by wellfrog3 | 2009-07-28 00:14 | 糖尿病

重度低血糖症が認知症リスク

高齢2型糖尿病患者 重度低血糖症が認知症リスクと関連
カイザーパーマネンテ(カリフォルニア州オークランド)のRachel A. Whitmer博士らは,入院を必要とするほどの重度低血糖発作が高齢2型糖尿病患者の認知症リスクの上昇と関連していることがわかった,とJAMA の糖尿病特集号(2009; 301: 1565-1572)に発表した。

発作3回以上でリスクは2倍
低血糖発作には,めまいや失見当識,意識障害,痙攣などの症状があり,ほとんどの場合は軽度で自己管理が可能だが,重症例では入院が必要な場合もある。
これまでにも,小児と若齢成人の1型糖尿病患者で低血糖症発生と認知機能障害の関連を報告した研究はあったが,1型糖尿病よりも2型糖尿病を発症しやすい高齢者では,低血糖症が認知症発症の危険因子となるのか否か,なるとすればどの程度なのかを検討した研究はなかった。 

Whitmer博士は「2型糖尿病の有病率は世界的に上昇しているため,糖尿病患者における低血糖症と認知症も増加している可能性がある。したがって,両者の関連について検討が必要とされている」と述べている。
 
今回の研究では,入院や緊急治療を必要とする低血糖発作が,その後の認知症リスクと関連するか否かを検討するために,2型糖尿病患者1万6,667例(平均年齢65歳)について,低血糖発作に関しては1980〜2002年の22年間,認知症診断に関しては2003年以降の4年余り追跡した。
 
その結果,計1,822例(11%)が認知症と診断され,1,465例(8.8%)が1回以上の低血糖発作を経験していた。
認知症と1回以上の低血糖発作の双方に該当したのは250例であった。
年齢調整後の認知症発症率は,1回以上の低血糖発作経験群(発作回数で階層化)で低血糖発作無経験群と比べて有意に高かった。
 
同博士は「1回以上の低血糖発作経験群では,年間の認知症発症の絶対リスクが低血糖発作無経験群と比べて2.39%上昇している。
この1年当たりの差はそれほどではないが,累積的な影響はかなり大きなものとなる」と述べている。
 
単回または複数回の低血糖発作経験群の認知症発症リスクは段階的に上昇し,発作1回,2回,3回以上では低血糖症無経験群と比べて,それぞれ26%,80%,94%リスクが増加した。
 
同博士は「今回の知見は,入院または救急外来での治療を要するほどの重度低血糖発作は認知症リスクの上昇と関連することを示しており,特に,複数回の低血糖症歴のある患者で関連が強かった。糖尿病患者で認知症リスクが高いことは数多くのエビデンスで既に示唆されているが,その正確な機序は明らかではない。
今回の試験は,それがおそらく修正可能な機序であることを示唆している。既に認知症リスクの高い高齢患者では,薬理学的に誘発される重度低血糖症が,神経学的転帰と関連するものと思われる」と述べ,「高齢2型糖尿病患者で低血糖症と認知機能を検討し,後遺症を脳画像技術で評価する研究を今後さらに行う必要がある」と付け加えている。


出典 Medical Tribune 2009.7.9
版権 メディカル・トリビューン社


<番外編>
#東京大学、肥満でCD8陽性Tリンパ球が起こす内臓脂肪の炎症が耐糖能障害やインスリン抵抗性につながることを発見
東京大学大学院医学系研究科の永井良三教授、真鍋一郎特任准教授、西村智特任助教らは、肥満の際にある種のT細胞が内臓脂肪に引き起こす炎症反応が、全身の代謝機能を低下させるという現象を発見した。
Nature Medicine誌オンライン版に2009年7月26日に発表した。
同日号のNature Medicine誌は肥満や糖尿病に対する免疫系の関与を主題としている論文を4本掲載。
うち1本が東大からの発表だ。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2009072466520
2009-07-27 07:42:45

#Harvard大学など、腹部脂肪に存在する制御性T細胞が炎症とインスリン抵抗性の抑制に関与を示す
肥満患者の脂肪組織には慢性的な軽度炎症が認められ、これがインスリン抵抗性と2型糖尿病の発症に関与することが示唆されている。
米Harvard大学のDiane Mathis博士らは、腹部脂肪に存在する特徴的な制御性T細胞と炎症およびインスリン抵抗性の関係を発見、Nature Medicine誌電子版に2009年7月26日に報告した。
http://biotech.nikkeibp.co.jp/bionewsn/detail.jsp?newsid=SPC2009072666527
2009-07-27 07:43:01
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by wellfrog3 | 2009-07-27 00:16 | 糖尿病

骨代謝マーカー  

骨代謝マーカーには、骨形成能を示す骨形成マーカーと骨吸収能を示す骨吸収マーカーとがあります。
○骨形成マーカーには以下のようなマーカーが知られています。
血清骨型アルカリフォスファターゼ(BAP)、オステオカルシン(OC)、Ⅰ型プロコラーゲンC末端ペプチド(PICP)、Ⅰ型プロコラーゲンN末端ペプチド(PINP)
○骨吸収マーカーには以下のようなマーカーが知られています。
血清酒石酸抵抗性酸性フォスファターゼ(TRAP)、Ⅰ型コラーゲンC末端架橋テロペプチド(ICTP)
そのほかに、尿中のピリジノリン(PYD)、デオキシピリジノリン(DPD)など。


骨粗しょう症において、骨量測定による治療薬の効果判定には1年以上かかるといわれ、骨量測定にかわって骨代謝マーカーを定量することで、早期に治療薬の効果判定が可能となるといわれ、治療薬の変更についての参考にもなります。
また、骨代謝回転が亢進している場合は骨代謝マーカーを利用して骨代謝回転の亢進程度を知ることで骨塩量の減少程度を早期に予測することが可能と考えられています。
骨折の危険性については低骨密度と骨量喪失のスピードによって決定されるといえ、骨代謝マーカーのなかでも骨吸収マーカーが高値の場合は骨吸収が亢進しているため、骨量喪失が進み、骨折の危険度は増しているといえます。


<参考サイト>
骨粗鬆症における 骨代謝マーカー測定の意義
http://www.dspbio.co.jp/topics/image/kotsusosyousyou2007_01.pdf

[PDF] 骨粗鬆症診療における骨代謝マーカーの 適正使用ガイドライン( 2004 年度版)
http://www.josteo.com/data/marker/1_1.pdf

[PDF] 骨代謝マーカーの種類と利用法について
http://www.city.fukuoka.med.or.jp/kensa/ensinbunri/enshin_34_x.pdf


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エーザイ パンフ(2007.8 作成) より 


<番外編>
健保メタボ健診、初年度受診率30%割る
メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を見つけるため、昨年4月に始まった特定健診(メタボ健診)について、市区町村が運営する国民健康保険加入者の初年度受診率は28・3%だったことが、明らかになった。

国民健康保険中央会が22日、厚労省の検討会で報告した。
受診率の目標(2012年度までに65%)を大きく下回った。

国保には、自営業者ら約3600万人が加入しており、メタボ健診は40-74歳の約2390万人が対象となる。
しかし、今年3月末までに受診した人は約677万人にとどまった。

都道府県によって受診率は大きく異なった。最高は宮城で43・7%。続いて富山39・6%、東京38・8%の順。最下位は広島の16・1%、和歌山16・3%、北海道19・6%と、3自治体で2割を切った。

国は健康保険ごとに受診率の目標を定めており、達成率が低いと、保険運営者に対し、後期高齢者医療制度への負担増などの罰則を科すことにしている。

読売新聞 2009.7.22


<自遊時間>2009.7.20の夜9時からのNHKニュースで「家庭医」をとりあげていました。
厚労省は4〜6割を家庭医に仕立てたいようです。
医師もいよいよ偏差値パフォーマンスの悪い職業になって来ました。
僻地医療などの医師偏在(医師不足と安易に決めつけられては困る)対策としての種々の画策。
何だか戦時中の学徒動員を思い浮かべてしまいます。
新しく医師として羽ばたく彼らに未来はあるのでしょうか。

<家庭医 関連サイト><「家庭医研修」に手応え>
http://www.keiju.co.jp/news/2008.8.25yomi.html

三重大学総合診療科~家庭医とは~
http://www.medic.mie-u.ac.jp/soshin/for-st/what-fp2.htm

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by wellfrog3 | 2009-07-26 00:08 | 骨粗鬆症

自走式カプセル内視鏡

胃の中、自在にスーイスイ 自走式の内視鏡を開発
胃や腸の中を自在に動かして撮影することができる「自走式カプセル内視鏡」の開発に成功したと、龍谷大と大阪医科大の共同チームが2日、発表した。
市販のカプセル内視鏡にヒレと磁石をつけ、磁力を利用して遠隔操作しながら動かす。
犬の胃の中の撮影に成功、1年以内に臨床試験を始めたいとしている。

胃カメラなどのチューブ式の内視鏡は検査時の苦痛が大きく、その苦痛を軽くするため、飲み込んで排泄(はいせつ)するタイプの超小型カメラ内蔵のカプセル内視鏡が開発され、実用化されている。
しかし、カメラが医師の観察したい所に行かないこともあるという問題があった。

大塚尚武・龍谷大教授(機械システム工学)らは、小型磁石とヒレをつけた自走式カプセル内視鏡と磁場の発生装置を開発した。磁場に反応して磁石が動き、その動きがヒレに伝わって、魚が泳ぐように動く仕組みだ。画面を見ながらジョイスティックで動きをコントロールする。

犬の胃の中に止血用のクリップ4個をおき、この内視鏡で撮影した画面を見ながら探す試験をしたところ、うまく見つけることができた。

今回作った自走式カプセル内視鏡は長さ4.8センチ。磁場は弱く、人体への影響はないと考えられるという。「将来は胃や小腸、大腸などすべての消化管が検査できるようにしたい」とチームの樋口和秀・大阪医科大教授(内科)は話している。



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赤いヒレがついた自走式カプセル内視鏡=龍谷大提供


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手のひらにのる自走式カプセル内視鏡と動きを制御する装置



http://www.asahi.com/science/update/0703/OSK200907020145.html
出典 asahi.com 2009年7月3日21時39分
版権 朝日新聞社


<関連サイト>
外部から自在に動かせるカプセル内視鏡を開発,龍谷大と大阪医科大
http://techon.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20090706/172617/

内視鏡:胃腸の中をスイスイ 自走式カプセル型実用化へ
http://mainichi.jp/select/today/news/20090703k0000m040132000c.html
磁石の入ったひれで自由に動き回れる自走式内視鏡(右)。
デモンストレーションでは水槽内を動き回った=京都市上京区の龍谷大セミナーハウスで2009年7月2日午後4時5分、藤田文亮撮影
 
龍谷大の大塚尚武教授と大阪医科大の樋口和秀教授らの研究グループが、胃や腸の中で自由に動かせる自走式カプセル型内視鏡を開発し、2日、報道陣に公開した。
ケーブルでつながず遠隔操作できるため、両教授らは「患者の不快感や身体への負担を軽減できる」としており、3年以内の実用化を目指す。

既存のカプセル型内視鏡に磁石の「ひれ」を装着したもの。
直径14ミリ、ひれを含めた長さ48ミリで魚のような形をしている。
患者の体外に発生させた磁場を、ひれの磁石に作用させ、コントローラーでカプセルを前後左右に動かす。

胃の場合は口から飲み込むが、大腸の場合はこう門から直接入れることで、検査時間の短縮もできる。

これまでのカプセル型内視鏡は胃腸の動きに任せて進むだけで、方向転換や後退ができず、患部の検査が不十分になることが多かったという。

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磁石の入ったひれで自由に動き回れる自走式内視鏡(右)。
デモンストレーションでは水槽内を動き回った=京都市上京区の龍谷大セミナーハウスで2009年7月2日午後4時5分、藤田文亮撮影
2009年7月2日 22時54分 更新:7月3日 11時20分



<医学雑誌斜め読み>medicina vol.46 no.7 2009-7 P1151~1154
「カプセル内視鏡(CE)」
昭和大学横浜市北部病院消化器センター 大塚和朗先生
■大きさ11×26mmのCEは、照明に発光ダイオードを用い、毎秒2枚の写真を約8時間にわたり撮影する。
■画像信号はカプセルから体表に貼付けたアンテナに送られる。
■食道用や大腸用も実用化され、生検や治療ができるものも研究されている。

<番外編>
新型インフルエンザ全数把握を中止 集団監視に切り替え 厚労省
厚生労働省は22日、感染症法施行規則を改正し、5月の国内発生以来続けてきた新型インフルエンザ患者の全数把握を中止することを決めた。
大流行の恐れがある秋以降、新型か従来の季節性インフルエンザか確定する遺伝子検査の作業が追い付かなくなることが予想されるほか、どちらも治療法に大差がなく、確定診断そのものの必要性も低いため。
24日からは、学校などで集団感染が起きた場合の一部についてのみ報告を求める。

厚労省によると、22日午前11時現在、都道府県などから報告があった国内の新型インフルエンザ患者は4433人。
秋以降に大流行した場合、数千万人の感染の恐れがあるとされる。
既に米国など多くの発生国は患者の全数把握をしていない。

新たな方針は、集団感染の早期発見に力点を置き、学校や職場など10人以上の集団で1週間に2人以上の疑い例が出た場合に限り、医療機関から保健所への連絡を求める。
都道府県や政令市は原則的に最初の1例だけを遺伝子検査し、新型と確定すれば国に報告。それ以降は「疑い例」として届け出て、重症化したケースを除き遺伝子検査はしない。

一方、ウイルスの毒性変化を監視するため、国内約500カ所の定点医療機関に限り、症状のある全患者の検体を採取し、集団感染でなくても遺伝子検査に回す。

毎日新聞社 2009.7.23




<きょうの一曲> The Ventures "Walk Don't Run"
The Ventures "Walk Don't Run"
http://www.youtube.com/watch?v=lJ11y7pYl-8&feature=related

The Ventures "Walk Don't Run '64"
http://www.youtube.com/watch?v=ei9JqUvPDMA&feature=related

Chet Atkins "Walk Don't Run'
http://www.youtube.com/watch?v=vDTJTSAuois&feature=related

<番外編>
懐かしのオールディーズ Oldies But Goodies
http://ody.seesaa.net/category/4879612-1.html

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by wellfrog3 | 2009-07-25 00:11 | 消化器科

インスリンとグリメピリドの併用

第52回日本糖尿病学会(2009年5月21日〜24日 大阪)の記事で勉強しました。


2型糖尿病のインスリン治療、グリメピリド併用でインスリン投与量を減量可能
2型糖尿病のインスリン治療にSU薬であるグリメピリドを併用すると、内因性のインスリン分泌が促進され、インスリン投与量を大きく減らすことができることが分かった。
糖尿病学会認定教育施設である正名会池田病院(兵庫県尼崎市)が数年前から続けている前向き研究「Ikeda Study」の最新解析結果から明らかになったもので、同院の井田健一氏が5月22日、第52回日本糖尿病学会年次学術集会の一般口演において報告した。

インスリン治療を行っても、良好な血糖コントロールが得られない2型糖尿病患者は少なくない。
2型糖尿病に対するインスリン治療では一般に、混合型インスリンの1日2回注射法が選択されるが、それが奏効しない場合には頻回注射法が考慮される。
しかし、頻回注射法は患者の負担が大きく、実際には続けられないことが多い。
このような場合の次の一手となり得るのがSU薬との併用だ。

同院では、2型糖尿病に対するインスリン単独療法とインスリン+グリメピリド併用療法の有用性などを比較検討する前向き研究を行ってきた。
初回入院時にインスリン治療を開始した未治療の2型糖尿病患者を無作為に2群に分け、一方にはインスリン単独療法(混合型インスリン朝夕2回投与、投与量は適宜増減)を続け、他方にはインスリン+グリメピリド(1日2mg朝夕分2投与)併用療法を行い、退院前、退院後3カ月、1年後の血糖日内変動、尿中CPRなどの変化を比較した。
対象は、同院に入院し初めてインスリン治療を開始した未治療の2型糖尿病患者で、2007年12月までに64例が登録、各群32例に無作為に割り付けられた。

これまでの報告では、
(1)グリメピリド併用療法によって医療費が高くなることはない、
(2)患者満足度は、グリメピリド併用療法群の方が高い(インスリン投与量が有意に減少しているため)、
などが示されている。

今回は、併用療法群32例のうち、インスリン単独療法施行時とグリメピリド併用療法への変更後の血糖日内変動検査の際に、全時刻において内因性インスリンを反映する血中CPR、IRI値の検査を行った10例を対象に、併用療法への変更前後の血中インスリン動態などの変化について検討した。
10例の背景は平均で、年齢63.1歳、体重66.4kg、BMI 24.5kg/m2、罹病期間2.5年、初診時HbA1c 10.3%、尿中CPR 125.7μg/日。インスリン単独治療時の投与量は、平均24.3単位/日である。

グリメピリド併用療法への変更前後で、平均血糖値は130.8mg/dLから110.6mg/dLへと有意に低下、インスリン投与量も有意に減少した。
血中CPRは、グリメピリドの投与により有意に上昇し、血中インスリン濃度の総和は有意に低下した。
さらに、食後の平均血糖、平均血中インスリン濃度の有意な低下も認められ、グリメピリドの併用は食後高血糖や高インスリン血症に対する改善効果も期待できる可能性が示唆された。

井田氏は、「インスリンとグリメピリドの併用による食後高血糖や高インスリン血症の是正が、動脈硬化の進展予防につながるのか、今後検討したい」と講演を結んだ。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jds2009/200905/510837.html
出典 NM online 2009.5.23
版権 日経BP社


<番外編 その1>
血清クレアチニン低値は2型糖尿病の発症リスクだった
インスリンの標的臓器である骨格筋と2型糖尿病発症との関係を明らかにするため、その筋肉量を反映すると考えられている血清クレアチニン値と2型糖尿病発症との関連性を前向きコホート研究(The Kansai Healthcare Study)で検討したところ、「血清クレアチニン低値は2型糖尿病の発症リスクである」ことが明らかになった。
大阪市立大大学院医学研究科産業医学の針田伸子氏らが5月22日、第52回日本糖尿病学会年次集会の口演セッション「2型糖尿病」で発表した。
演者らは、2000年度に定期健診を受けた40〜55歳の男性で、登録時に糖尿病がなく、血清クレアチニン値が2.0mg/dL未満だった人で、4年間追跡できた8570人を対象にコホート研究を行った。
解析は多重ロジスティック回帰分析で行った。

4年間の追跡の結果、2型糖尿病を発症した人は877人だった。
追跡できた8570人の発症率は10.2%だった。

登録時の血清クレアチニン値が0.71-0.80mg/dLを示した群と0.40-0.60mg/dLを示した群を比較したところ、多変量解析後のオッズ比は1.91(95%信頼区間、1.44-2.54)だった。
この関係は、年齢やBMI、空腹時血糖値や飲酒量、さらには喫煙習慣、通勤時歩行時間、運動習慣、糖尿病家族歴とも独立していた。

これらの結果から演者らは、「血清クレアチニン低値は2型糖尿病の新たな発症リスクであることが明らかになった」と結論した。
なお、この成果については、Diabetes Care誌(March 2009 32:424-426、Lower Serum Creatinine Is a New Risk Factor of Type 2 Diabetes)で発表している。

Lower Serum Creatinine Is a New Risk Factor of Type 2 Diabetes
The Kansai Healthcare Study
http://care.diabetesjournals.org/content/32/3/424.abstract

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jds2009/200905/510832.html
出典 NM online 2009.5.23 日経メディカル別冊
版権 日経BP社


<番外編 その2>
診療報酬、国会で決定 民主「中医協を改革」 公約原案 衆院選
民主党の衆院選マニフェスト原案となる「09年政策集」に、現在厚生労働相の諮問を受けて診療報酬の改定を答申している中央社会保険医療協議会(中医協)の構成・運営の改革が明記されていることが22日明らかになった。
これに関連して岡田克也幹事長は同日、「最終的には国会で議論して決める」と表明。
政権交代が実現した場合には、国会が診療報酬改定に関与する制度に改める考えを示した。
同党が掲げる「政治主導の政策決定」の柱の一つとなりそうだ。

中医協改革は「地域医療を守る医療機関を維持」するのが目的。
政策集では「累次の診療報酬マイナス改定が地域医療崩壊に拍車を掛けた」と指摘し、「総医療費の対国内総生産(GDP)比を経済協力開発機構(OECD)加盟国平均まで引き上げる」との目標を掲げた。
その上で「地域医療を守る医療機関の入院」について「診療報酬を増額。その際患者の自己負担が増えないようにする」としている。

岡田氏は22日、東京都内での講演で、中医協のあり方に関して「ほとんどは税金と保険料という公的なお金なのに、国会が関与できていないのは不思議だ」と指摘した。

中医協の委員は労使ら「支払い側」、医師ら「診療側」の両利益代表と学識経験者ら中立の「公益委員」で構成される。
岡田氏は「診療側」代表の日本医師会について「医師会は開業医中心だ。利害関係者が自分たちの取り分を決める政府の制度は他にない」と指摘した。

党幹部は中医協改革の意義について「医師会などから抵抗が予想されるが、政権交代するからできる」と強調した。中医協のあり方を巡っては05年衆院選マニフェストでも「すべての関連会合を原則公開」との文言が盛り込まれていたが、07年参院選マニフェストでは消えていた。
毎日新聞社 2009.7.23

<コメント>
医師連盟も自民党同様に漂流しつつあります。
医師連盟の非民主的運営(入会、脱会がないことや議事録がない)や、献金の内訳が非公開(献金先が不明)な点が気になります。
医師連盟は今後、民主党とどのような関係を持つのでしょうか。
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by wellfrog3 | 2009-07-24 00:26 | 糖尿病

空腹時血糖正常高値と糖尿病発症

##空腹時血糖正常高値の人は健常者よりも糖尿病が約6倍も発症しやすい
血糖値と2型糖尿病発症との関連をみたところ、空腹時血糖値が100〜109mg/dLの正常高値の場合、糖尿病の発症リスクが正常値の6.42倍になることが分かった。
札幌医科大学内科学第二講座の大西浩文氏が5月22日、第52回日本糖尿病学会年次学術集会の「糖尿病と心血管障害〜疫学調査結果をいかに予防に生かすか」と題したシンポジウムの中で発表した。

これは北海道で30年以上継続されている端野・壮瞥町研究の一部で、1991、1992年の健診受診者のうち糖尿病患者を除いた1830人を最大16年間追跡した結果、明らかになった。
空腹時血糖値が90mg/dL未満の正常値に比べ、90〜99mg/dLでは2.20倍、100〜109mg/dLでは6.42倍、110〜125mg/dLでは14.78倍、それぞれ糖尿病の発症リスクが高まった(いずれもp<0.0001)。

追跡期間を5年、10年、15年と区切ってみても、100〜109mg/dLの正常高値では、5年で6.76倍、10年で6.96倍と、早期から糖尿病の発症リスクが高かった。
「10年、15年追跡した結果をみると、空腹時血糖値90〜99mg/dLでも糖尿病発症リスクが高まってくる。血糖値が低ければ低いほど糖尿病のリスクは低下するという結論が得られた」と大西氏は話した。

また、腹部肥満と2型糖尿病発症の関連をみたところ、健診初年度に腹部肥満があると、なかった場合に比べ2.59倍、糖尿病を発症しやすいことも明らかになった(p<0.001)。
メタボリックシンドロームとの関連についても、初年度にメタボリックシンドロームだった場合には、糖尿病発症リスクが4.89倍も高まった。
これは、血糖値との関連を差し引いても同様の結果が得られたという。

「血圧高値や脂質異常に基づくメタボリックシンドロームへの介入も、糖尿病予防という観点から重要と考える。なお、腹部肥満がなくても、高血圧や血糖高値、コレステロール値などの異常が複数ある場合には、2型糖尿病発症リスクが高まるという結果も出ている。現在の特定健診では、糖尿病予備軍を完全には拾いきれていない可能性を念頭に置いておいてほしい」と大西氏はまとめた。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/jds2009/200905/510830.html
出典 NM online 2009.5.23
版権 日経BP社


<医学雑誌斜め読み> 
「糖尿病の診断基準はどう変わるかー米国糖尿病学会の動きから」 
日本医事新報 No.4445 2009.7.4  P16~19

■2003年の追加報告書では、米国グリコヘモグロビン標準化計画(NGSP)によって、米国ではHbA1c(A1c)検査の標準化が成功。
■A1c6.5%以上を糖尿病とし、6.0〜6.5%未満を糖尿病のハイリスクとする。
(ただし、糖尿病のリスクは連続的なものであることを強調)

IFG   FPG    100〜125mg/dl
IGT   2HPG  140〜199mg/dl
については、徐々に使用されなくなるだろうとコメント。


<関連サイト>
HbA1C 6.5%以上を糖尿病に
http://wellfrog3.exblog.jp/11760469/


<自遊時間>
#最先端研究:支援プログラム運用方針決定 テーマを公募
09年度補正予算で創設された総額2700億円の基金で実施する「最先端研究開発支援プログラム」について政府は29日、1件当たりの助成額を3~5年間で30億~150億円程度とすることなど運用方針を決めた。
世界をリードできる研究課題約30件を公募で選ぶ。

関係閣僚と有識者で構成する最先端研究開発支援会議(座長、麻生太郎首相)がこの日の初会合で決めた。
近く研究課題を公募し、産官学の関係機関からの意見聴取などを経て、8月中に同会議が助成先を決定する。

国の研究助成は原則として単年度で使い切らなければならないが、この基金は研究者が柔軟に使えるよう年度をまたぐことができる。
また、研究者が支援機関を指定し、研究に専念できる態勢を整えることができる。

毎日新聞 2009年6月29日 12時52分
http://mainichi.jp/select/seiji/news/20090629k0000e010054000c.html
<関連記事>
朝日新聞・夕刊 2009.7.18「窓」(論説委員室から)に以下の記事が出ていました。
■研究資金の集中投資に異論も多いが、来週末の公募締め切りを前に、事務局には問い合わせが殺到しているそうだ。
■選考期間は、8月末までの1カ月と聞いて驚いた。
お盆休みは返上なのだろうが、ちょっと急ぎすぎではないか。
広く知恵を募り、日本の将来のために生きるテーマをじっくり選んでほしいと思う。
■政府の総合科学技術会議を中心に、外部有識者らが先行に当たる。
その議長を務める麻生首相は「私の責任で決める」と述べている。
今の内閣が、駆け込みで政治決断すべき話ではないだろう。
<関連サイト>
最先端研究開発支援プログラム
http://www8.cao.go.jp/cstp/sentan/index.html
最先端研究開発支援プログラムの公募
http://blog.goo.ne.jp/ted21century/e/e986833262ab60d292bc7cd6aee8bdc6
スーパースター研究者を生み出す2700億円
http://jbpress.ismedia.jp/articles/print/1271
【 2009年6月30日 2,700億円研究開発支援プログラムの公募、選定方針確定 】
http://scienceportal.jp/news/daily/0906/0906302.html


<自遊時間>
NHK、皆既日食映像をYouTubeで公開
NHKは、7月22日午前に放送した皆既日食の生中継番組の一部を、放送終了直後に番組サイトとYouTubeで公開した。
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0907/22/news048.html
2009年07月22日 14時12分 更新

空で日食体験 成層圏近辺が闇の底に…黄金に染まる雲
http://www.asahi.com/video/news/TKY200907220208.html

月面を3次元探索「グーグル・ムーン」、かぐやも貢献
http://www.asahi.com/science/update/0722/TKY200907220093.html

月着陸40周年記念 Google Earthで月面探査
http://www.secondtimes.net/news/world/20090721_googleearth_moon.html


【皆既日食】宇宙から見ると…地球に映る月の影 「ひまわり」画像
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http://sankei.jp.msn.com/science/science/090722/scn0907222132021-n1.htm
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by wellfrog3 | 2009-07-23 00:20 | 糖尿病

S状結腸鏡によるスクリーニング 

BMJ誌に発表された、「S状結腸鏡によるスクリーニングには限界がある」という論文で勉強しました。



#S状結腸鏡によるスクリーニングは大腸癌を減らさない
ノルウェーの大規模無作為化試験NORCCAPの中間結果

S状結腸鏡を用いたスクリーニングが大腸癌の罹病率と死亡率を低下させる可能性が示されているが、明確な利益を示した質の高い無作為化試験はなかった。
ノルウェー癌登録・大腸癌予防センターに所属するGeir Hoff氏らは、進行中の大規模無作為化試験NORCCAPトライアル1の中間解析を行い、1回のスクリーニング実施はその後7年間の大腸癌罹患率と大腸癌死亡率に有意な影響を及ぼさないことを示唆した。
詳細は、BMJ誌2009年6月6日号に報告された。

NORCCAPトライアル1は、軟性S状結腸鏡を用いたスクリーニングを1回行い、その後の大腸癌リスクと大腸癌死亡リスクを、検査を受けなかった人々と比較する無作為化試験で、ノルウェーのOslo(都市部)とTelemark(都市部と田園地帯が入り交じる地域)で行われている。

55〜64歳の男女5万5736人(平均年齢59歳、女性が50%)を登録。
これらの人々のうち、1万3823人を軟性S状結腸鏡を用いたスクリーニングに1回だけ招待する群(6908人には便潜血検査も勧めた)、4万1913人をスクリーニングなし群に無作為に割り付けた。

両都市の2カ所の医療機関で、1999年1月から2000年12月に集団ベースのスクリーニングを実施。スクリーニングにおける陽性判定は、直径10mm以上のポリープ、組織学的に腺腫と判定された腫瘍(大きさは問わない)、または癌腫が見付かった場合、もしくは便潜血陽性とし、陽性者には全大腸内視鏡検査を行って標本を採取した。
癌と診断された患者は治療を受け、それ以外の人々と同様に地域の医療機関で追跡された。

ノルウェーには、疫学研究用として、癌罹患と全死因死亡にかかわる情報を生涯にわたって登録するデータベースが存在する。
対照群については、該当者に接触することなしに、データベースに登録された情報に基づいて追跡期間中の大腸癌罹患と大腸癌死亡の有無を判断した。

主要アウトカム評価指標は、5年後、10年後、15年後の大腸癌の累積罹患率と死亡率に設定されているが、今回は初めての中間評価として、中央値7年の追跡における累積罹患率と6年の時点の死亡のハザード比を調べた。分析はintention-to-screening(割り付け群に基づく分析)で行った。

割り付けから試験開始(スクリーニング群の場合には、検査日を決めた日を試験開始とした)までの間に、大腸癌との診断を受けた、または死亡した人々(スクリーニング群149人、対照群604人)は分析から除いた。

スクリーニング群で実際にスクリーニングを受けたのは8846人(64.8%)だった。
うち21%が全大腸内視鏡検査を受けた。当初のS状結腸鏡検査とその後の全大腸内視鏡検査で発見された大腸癌をスクリーニングによる検出とした。

スクリーニングによる大腸癌検出は33人で、うち16人がS状結腸鏡のみ、17人が便潜血検査を併用した患者だった。

intention-to-screening解析では、スクリーニング群1万3653人と対照群4万1092人の間の累積罹患率に差はなかった。
大腸癌罹患者は、スクリーニング群123人、対照群は362人で、罹患率は10万人-年当たり134.5と131.9。

次に、実際にスクリーニングを受けた8846人を対象に、結腸鏡が届いた範囲(男性では平均48.9cm、女性では44.0cm)の直腸S状結腸癌の罹患率を比較した(per-protocol分析)。
スクリーニング受検者では35人、対照群では217人が罹患しており、罹患率は10万人-年当たり58と79になった(p=0.103)。

大腸癌死亡は、スクリーニング群1万3653人中24人、対照群4万1092人中99人。大腸癌死亡のハザード比は0.73(95%信頼区間0.47-1.13、p=0.16)だった。
直腸S状結腸においても、死亡のハザード比は0.63(0.34-1.18、p=0.15)で有意差なしとなった。

一方、per-protocol分析では、大腸癌死亡リスク(ハザード比0.41、0.21-0.82、p=0.011)、直腸S状結腸癌の死亡リスク(ハザード比0.24、0.08-0.76、p=0.016)は、共にスクリーニング受検者群で有意に低かった。

全死因死亡については両群間に差はなかった(ハザード比1.02、0.98-1.07、p=0.28)。

なお、発見された癌のステージ分布を比較したところ、集団に占める進行癌患者の割合は、スクリーニング検出グループで最も低く1.2%だった。
スクリーニング時には陰性だったがその後大腸癌が見つかった患者では3.3%、スクリーニング群に割り付けられたが検査を受けなかったグループでは7.9%、対照群は6.4%となった。

#S状結腸鏡検査に起因する重症の合併症はなかった。
今回の7年間の追跡では、S状結腸鏡を用いたスクリーニングによる大腸癌罹患率と死亡率の有意な低下は見られなかった。
だが、追跡期間が伸びれば、差が現れる可能性は残る。

また、実際に受検した者のみを分析対象にすると、死亡率は有意に低下していたが、スクリーニングを広範に実施した場合の利益を明らかにするためには、より精密な設計の無作為化試験を行う必要があるだろう、と著者らは述べている。

Risk of colorectal cancer seven years after flexible sigmoidoscopy screening: randomised controlled trial
BMJ 2009;338:b1846
http://www.bmj.com/cgi/content/full/338/may29_2/b1846


http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/bmj/200906/511242.html
出典 NM online 2009.6.22
版権 日経BP社


<番外編>
以下は、大腸ポリープと大腸癌の検出能力をカプセル型内視鏡と大腸内視鏡で比較した論文です。

原著
Capsule Endoscopy versus Colonoscopy for the Detection of Polyps and Cancer
Volume 361:264-270July 16, 2009Number 3
http://content.nejm.org/cgi/content/short/361/3/264

大腸ポリープと大腸癌の検出におけるカプセル型内視鏡と
大腸内視鏡の比較
Capsule Endoscopy versus Colonoscopy for the Detection of Polyps and Cancer
A. Van Gossum and others
http://www.nankodo.co.jp/yosyo/xforeign/nejm/361/361jul/xf361-03-0264.htm
■結 論
カプセル型内視鏡による大腸粘膜の観察は大多数の患者で可能であるが,その大腸病変検出の感度は大腸内視鏡よりも劣っている.


<医学雑誌斜め読み>
日本医事新報 No.4445 2009.7.4
プライマリケア医のためのIBS診療
辻賢太郎クリニック  辻賢太郎 院長
版権 日本医事新報社、アステラス製薬 

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by wellfrog3 | 2009-07-22 00:48 | 消化器科