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第2世代抗うつ薬の診療ガイドライン

うつ病治療に用いられる第2世代抗うつ薬の診療ガイドライン
Second-Generation Antidepressants to Treat Depression: Clinical Practice Guideline


米国内科学会(American College of Physicians:ACP)は、うつ病性障害を有する患者の治療に第2世代抗うつ薬を使用する場合の診療ガイドライン(http://www.annals.org/cgi/content/full/149/10/725)を作成した。
ACPの推奨は、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(selective serotonin reuptake inhibitor:SSRI)、セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬(serotonin norepinephrine reuptake inhibitor:SNRI)、選択的セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬を含む12種類の抗うつ薬に関する203件の研究の系統的レビューに基づいている。

大うつ病治療における抗うつ薬の有効性に差異はみられなかったが、特定の有害事象の発生率に差異がみられた。
たとえば、悪心および嘔吐はSNRIであるvenlafaxineでSSRIよりも多くみられた。
他の有害事象はさまざまな薬物に関連していた。
sertralineでは下痢、mirtazapineでは体重増加、trazodoneでは眠気、paroxetineとvenlafaxineでは断薬症候群(discontinuation syndrome)、paroxetineとbupropionでは性機能障害がみられた(paroxetineで多く、bupropionで少なかった)。
SSRIは(プラセボと比べて)自殺企図に関連している。
気分変調性障害または大うつ病の基準以下のうつ病性障害(subsyndromal disorder)を有する患者の治療を比較するのに十分なデータは得られなかった。

ACPの推奨は以下のとおりである。
■有害作用プロフィール、費用、および患者の選好を踏まえた上で、急性大うつ病に対して第2世代抗うつ薬を選択すること。
■反応および有害作用の定期的評価を、治療開始後1~2週目から開始すること。
6~8週の時点で反応が不十分である場合は、治療を修正すること。
■良好な反応を得てから4~9ヵ月間は治療を継続すること(大うつ病エピソードが2回以上みられる患者では、それより長期とする)。

コメント:
これらの薬物療法にはそれぞれに異なる副作用があり、同程度の効力を有することがエビデンスによって示された。
このガイドライン(およびその根拠とされるエビデンス)は、最初の薬物選択を容易にするものではないが、治療に対する反応を評価すること、および適切な用量と治療期間を守ることに重点を置いているのは適切である。

— Richard Saitz, MD, MPH, FACP, FASAM
Published in Journal Watch General Medicine December 4, 2008

Citation(s):
Qaseem A et al. Using second-generation antidepressants to treat depressive disorders: A clinical practice guideline from the American College of Physicians. Ann Intern Med 2008 Nov 18; 149:725.

Gartlehner G et al. Comparative benefits and harms of second-generation antidepressants: Background paper for the American College of Physicians. Ann Intern Med 2008 Nov 18; 149:734.

2008 December 04

第2世代抗うつ薬の診療ガイドライン_c0183739_753458.jpg

by wellfrog3 | 2008-12-27 00:18 | 精神科
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