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抗ウイルス療法無効の慢性C型肝炎

「ペグインターフェロン(PEG-IFN)とリバビリンによる初回治療に反応しなかった慢性C型肝炎患者では,PEG-IFNの長期投与を行っても疾患の進行を止めることはできない」

米セントルイス大学などのグループがNew England Journal of Medicineの2008年12月4日号に発表した論文で勉強しました。

私自身、消化器科が専門ではないのでこの分野はよくわかりません。
専門でない立場からみると、何だか当たり前のような結論のような気もするのですが、専門家にはきっと意義深い論文なんでしょう。
NEJMに掲載された論文ですから、そのあたりは間違いないところです。


抗ウイルス療法無効の慢性C型肝炎例へのIFNの長期投与に進行抑制効果なし
抗ウイルス療法に反応しない慢性C型肝炎患者は,肝硬変,肝不全,肝細胞がん,死亡へと進行する可能性がある。
長期の抗ウイルス療法によりこうした患者の肝疾患の進行を防げるかは不明で,同グループは確認の多施設試験を行った。
 
対象は以前のPEG-IFN+リバビリン療法に反応しなかった,線維化が進行した1,050例。PEG-IFNα-2aの低用量(90μg/週)を3.5年間投与する517例と,無治療の533例にランダムに割り付けた。
線維化の程度で患者を層別化し(肝硬変合併428例,非合併622例),1.5年および3.5年後に肝生検を施行した。主要エンドポイントは,肝疾患の進行(死亡,肝細胞がん,肝代償不全,Ishak線維化スコアの2ポイント以上の上昇)とした。
 
その結果,PEG-IFN群では血清アミノトランスフェラーゼ値,血清C型肝炎ウイルスRNA量,組織学的な壊死・炎症スコアが有意に低下した(いずれもP<0.001)。
しかし,主要エンドポイントの発生率は治療群34.1%,無治療群33.8%と有意差は認められなかった。
また,肝硬変の有無でも有意差はなかった。

原著 Di Bisceglie AM, et al. N Engl J Med 2008; 359: 2429-2441.

出典 Medical Tribune 2009.1.1,8
版権 メディカル・トリビューン社



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by wellfrog3 | 2009-01-21 00:29 | 消化器科
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