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RAの超音波画像評価

第23回日本臨床リウマチ学会
変形性関節症の新しい評価法と関節リウマチの予後に関する報告

関節疾患の予後と進行の予測は治療計画を立てるうえで重要であり,テーラーメード医療の観点からは抗リウマチ薬の反応性や手術適応を見極めることが求められる。
横浜市で開かれた第23回日本臨床リウマチ学会(会長=富山大学整形外科・木村友厚教授)のシンポジウム「関節疾患の予後と治療効果予測」〔座長=藤田保健衛生大学整形外科・山田冶基主任教授,富山大学第一内科・杉山英二准教授(現・広島大学病院リウマチ膠原病科教授)〕では,変形性関節症(OA)の新しい評価法および関節リウマチ(RA)の予後についての議論が行われた。

超音波画像評価のばらつき少ない
■横浜市立大学市民総合医療センターリウマチ膠原病センターの大野滋・准教授らリウマチ画像診断研究会(代表世話人・石ヶ坪良明教授)は,RAの画像診断の普及と発展を目標に発足した。
同研究会が実施したアンケートでは,一般のリウマチ専門医間では関節超音波画像(US)検査がMRI検査よりも認識されておらず,有用性の評価も低い傾向にあることが明らかになった。
一方,両者の画像評価の検討ではUSのばらつきは少なく,ともに有用な評価法であることが示された。

長所と短所を理解し適切な使い分けを
■アンケートは,関節超音波検査の実施状況を把握するため,同研究会参加者およびその他の一般リウマチ専門医それぞれ100人を対象に郵送法で実施され,回収率は74%,65%であった。
 
■その結果,一般リウマチ専門医では,USの認識や有用性の評価は,MRIに比べて低かった。
実施率は10%のみで,その理由として技術を学べないことが最も多く挙げられた。
全実施者のほとんどは独学や他の医師から指導を受けて学習しており,70%は講習会への参加を希望,83%は評価法の標準化が必要であると回答した。
 
■USには術者への依存や観察方法が標準化されていないなど,MRIには高い読影技術が必要であることや高感度ゆえの問題点などがある。
同研究会ワーキンググループは,画像診断の評価の標準化を目的に,まずUSおよびMRI評価のばらつきを検討した。
 
■同日の午前と午後に評価を行い,超音波同一静止画像評価での検者内と検者間,同一患者評価での検者間のばらつきはGray-scale法よりもドラプ法で小さかった。
海外の報告と比べてもおおむね良好であり,USは一般に考えられている以上にばらつきはなく,経験と学習で臨床応用できる可能性が高いと考えられた。
 
■MRI画像の同様の検討では,検者内は滑膜炎評価,検者間は滑膜炎,手根骨のびらんの評価のばらつきが大きかった。
手根骨は解剖学的に複雑であるため靭帯の付着部がびらんと評価される恐れがある。
また,MRI上びらんの定義は2平面で観察され,少なくとも1平面で骨皮質の断裂があることとされる。
読影にはこれらに注意する必要があるという。
 
■大野准教授は「USおよびMRIはともにRAの診療に有用な画像診断法であり,それぞれの長所と短所を理解し,適切に使い分けることが重要である」と述べた。


出典 Medical Tribune 2009.2.19
版権 メディカル・トリビューン社



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