第23回日本臨床リウマチ学会
変形性関節症の新しい評価法と関節リウマチの予後に関する報告 関節疾患の予後と進行の予測は治療計画を立てるうえで重要であり,テーラーメード医療の観点からは抗リウマチ薬の反応性や手術適応を見極めることが求められる。 横浜市で開かれた第23回日本臨床リウマチ学会(会長=富山大学整形外科・木村友厚教授)のシンポジウム「関節疾患の予後と治療効果予測」〔座長=藤田保健衛生大学整形外科・山田冶基主任教授,富山大学第一内科・杉山英二准教授(現・広島大学病院リウマチ膠原病科教授)〕では,変形性関節症(OA)の新しい評価法および関節リウマチ(RA)の予後についての議論が行われた。 RA活動性コントロールにより生命予後改善の可能性 Institute of Rheumatology Rheumatoid Arthritis(IORRA)は,2000年から東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センターで開始されたRAの大規模コホート調査である。 同センターの中島亜矢子講師は同調査から,「わが国のRAの生命予後は欧米人RAと同等に悪く,疾患活動性のコントロールにより生命予後が改善されることが示唆された」と述べた。 間質性肺炎,ニューモシスティス肺炎に関する検討が必要 IORRAの対象約8,000例の標準化死亡比(対象集団の観察死亡数/対象集団の期待死亡数)からは,RAはわが国の一般集団より予後が悪く,欧米で報告されている数値とほぼ同等であることが明らかになった。 死因は悪性新生物と呼吸器疾患が同率で最も多く,それぞれ4分の1を占めた。次いで心血管系障害が多かった。 一般集団の死因との比較では,悪性新生物および心血管系障害の割合に大きな差はなかったが,RA患者の死因のうち呼吸器系障害の占める割合は大きく,間質性肺炎が約半数を占めたことが特徴的であった。 死亡に関与する因子として,(1)男性(2)高齢(3)Japanese Health Assessment Qustionnaire身体機能障害度指数高値(4)血液沈降速度高値(5)リウマトイド因子陽性(6)登録時ステロイド薬の使用―が抽出され,これらは欧米の報告と共通していた。また,ステロイド薬の使用量が多いほど死亡リスクも上昇した。 中島講師は「近年開発された強力な免疫抑制薬や生物学的製剤を適切に使用することによりステロイド薬使用量を減量または疾患活動性を低下させ,身体機能障害度の悪化は抑制,生命予後が改善される可能性がある」と述べた。 生物学的製剤の生命予後への影響に関しては,虚血性心疾患の発症および死亡リスクの減少が期待できること,皮膚がんの発症リスクは増加,その他悪性新生物の発症リスクは増加しないことなどが欧米で報告されている。 同講師は「わが国で頻度の低い皮膚がん,欧米で少ない間質性肺炎,ニューモシスティス肺炎について今後は検討が必要である」とした。 出典 Medical Tribune 2009.2.19(一部改変) 版権 メディカル・トリビューン社 トレンツ・リャド ジヴェルニーの薔薇 http://www.ddart.co.jp/giverninobara.html <きょうの一曲>小野リサ & 渡辺貞夫 - So Danco Samba (2007) http://www.youtube.com/watch?v=BtqIq1SnJSw&feature=related
by wellfrog3
| 2009-03-13 00:25
| リハビリテーション科
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