低濃度のビタミンDと高い死亡率に相関
アルバートアインシュタイン医科大学(ニューヨーク)のMichal L. Melamed博士らは,一般人口における25-ヒドロキシビタミンD〔25(OH)D〕濃度と死亡リスクとの関係を探索する横断的多変量解析を実施した結果,「25(OH)D濃度の最低四分位(17.8ng/mL未満)と全死亡率との間に独立した相関が認められた」とArchives of Internal Medicine(2008; 168: 1629-1637)に発表した。 CVD非罹患者で影響が大きい ■Melamed博士らは,全米調査から得られた20歳以上の米国成人1万3,331例のデータをもとに25(OH)D濃度と全死因死亡,がん死亡,心血管疾患(CVD)死亡との関連性を検討した。 ■25(OH)D濃度は1988〜94年に測定されたデータを用い,死亡の有無を調べるために2000年までフォローした。 解析には,多変量モデル(試験開始前の人口動態,季節と通常のCVD危険因子と新たなCVD危険因子により調整)を用いて,25(OH)D濃度の最低四分位と最高四分位を比較した。 ■中央値8.7年間のフォローアップ期間中,777例のCVD死を含む1,806例の死亡が確認された。 ■解析の結果,最低四分位では,全死因死亡率が26%上昇しており,人口寄与リスクは3.1%であった。 女性では,25(OH)D低濃度(20ng/mL未満)だけでなく,高濃度(50ng/mL超)も高い全死因死亡率と関連していた。 ■一方,CVD死亡とがん死亡に関しては,最低四分位で死亡リスクが上昇することが明らかにされたが,この上昇は統計学的に有意ではなかった。 ■25(OH)D低濃度が死亡率に及ぼす影響力の強さは,さまざまな因子によって左右され,CVD罹患者と比べて非罹患者ではより強い関連性と有意差が認められた。 また,有意差は認められないものの,非高血圧者(P=0.09),非糖尿病者(P=0.09),男性よりも女性(P=0.06)で,より強い関連性が認められた。 ■25(OH)D濃度の最低四分位に含まれる者をビタミンD欠乏とした場合,ビタミンD欠乏は加齢〔10歳年をとるごとにオッズ比(OR)が1.10上昇〕,女性(OR 2.26),非ヒスパニック系,アフリカ系米国人(OR 10.17),現喫煙者(OR 1.59),高BMI(1U増加ごとにORが1.04上昇)である傾向が認められた。 ビタミンDサプリメントは要検討 ■また,ビタミンDサプリメント(OR 0.45),測定時期が夏(OR 0.31),高度の身体活動(OR 0.44)は,ビタミンD欠乏の低リスクと関連していた。 ■Melamed博士らは「最近の複数の研究から,25(OH)D欠乏症はCVD,うっ血性心不全,がん,糖尿病の発現と死亡率に寄与することが示唆されているが,今回の研究でも25(OH)D低濃度が全死因死亡率の上昇と関連していることが明らかにされた。 ■この関連性の機序を解明するためには今後さらなる研究が必要である。 また,ビタミンDサプリメントの高用量摂取によって25(OH)D欠乏者の死亡リスクが低減しうるかどうかについても,今後の臨床試験で確認しなければならない」と結論している。 出典 Medical Tribune 2009.2.26(一部改変) 版権 メディカル・トリビューン社
by wellfrog3
| 2009-03-12 00:03
| 循環器科
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