腰痛と画像検査

##重度の基礎疾患がない腰痛には画像検査は不要

#臨床アウトカムは改善せず
オレゴン保健科学大学(米オレゴン州ポートランド)のRoger Chou博士らが「重度の基礎疾患がない腰痛の患者にX線撮影,MRI,またはCT検査をルーチンで実施しても臨床アウトカムは改善しない。
したがって,重度の基礎疾患の特徴が認められない限り,ルーチンでこれらの検査を即座に実施するのはやめるべき」との研究結果をLancet(2009; 373: 463-472)に報告した。

#プライマリケアに当てはまる
Chou博士らは,上記3種類の画像検査のうち1種類を用いて腰椎撮影を即座に実施した場合と,撮影を実施しない通常の臨床管理とを比較したランダム化比較試験(R CT)のメタアナリシスを実施した。
対象は総患者数が1,800例を超える6件の試験で,疼痛と機能,QOL,精神的健康,患者の自己申告による全体的な改善度,患者満足度などのさまざまなアウトカムについて報告している。分析の結果,即時撮影と通常の臨床管理との間に有意差は認められなかった。
 
同博士らは「この結果はプライマリケア医によって評価される急性または亜急性の腰痛に最もよく当てはまる」とし,「重度の基礎疾患がない腰痛に対して腰椎撮影を実施しても臨床アウトカムは改善しない。
したがって,重度の基礎疾患の存在を示す特徴がない急性または亜急性の腰痛患者には,ルーチンの腰椎撮影を即座に実施すべきではない」と述べている。

#撮影が必須と信じる患者も多い
さらに,Chou博士らは「腰椎MRIの施行率は上昇しているが,腰痛に関する画像診断ガイドラインの実践には問題が残されている。
しかし,腰椎撮影に関するガイドラインの推奨内容は質の高い複数のRCTから得られたエビデンスで支持されており,臨床医が遵守する可能性は高くなると思われる。
また,撮影に対する患者の要望にも対処すべきだ。
ある試験では腰痛患者の80%が,ルーチン撮影には利点がないにもかかわらず,選択肢があればX線撮影を受けるとしている。
ルーチン撮影を受けるべきだと信じる腰痛患者の割合を減らすには,教育が有効かもしれない。
不要な撮影を避けながら,患者の期待に応えて満足度を向上させる腰痛の評価と教育方針を決定する必要がある」と結論している。

出典 Medical Tribune 2009.5.14(一部改変)
版権 メディカル・トリビューン社
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by wellfrog3 | 2009-05-16 19:09
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