新型インフル、ワクチン1回で効果
豪製薬大手が発表 豪製薬大手「CSL」は11日、自社製の新型インフルエンザのワクチンについて、1回の接種で9割以上の人に免疫を高める効果があったと発表した。 新型インフルエンザは、ほとんどの人に免疫がないため、ワクチンを2回接種する必要があると考えられていた。 同社のワクチンは、日本のワクチンと同じ製法で、免疫を高める添加剤も使用していない。 国産ワクチンについても、国立病院機構が臨床試験(治験)を計画しており、同じ効果が確認されれば、今年度内に1800万人という現在の見込みを超えて、3000万人以上に国産ワクチンを接種できる可能性がある。 同社は、豪州で18歳から64歳の健康な成人240人を対象に、新型ワクチンの治験を実施。通常の季節性用と同じ量を1回接種するだけで、3週間後に、97%が有効な免疫を獲得できた。重篤な副反応は報告されなかった。 国産のワクチンは、10月下旬から接種が予定されている。 国立病院機構の治験結果は10月中旬までにまとまる見込みで、同様な効果が確認されれば、2回接種を1回に変更できる可能性がある。輸入ワクチンの議論にも影響を与えそうだ。 http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/09/11/107529/?Mg=772ad19a9f7926d866fddc4cad6341cf&Eml=31ef79e7aaf65fca34f0f116a57fd65d&F=h&portalId=mailmag出典 読売新聞 2009.9.11 版権 読売新聞社 米の新型インフル抑制、人口7割に接種必要 米国での新型インフルエンザの流行を、例年の季節性インフルエンザ並みに抑えるには、人口の70%に予防接種をする必要があるとする試算を米ワシントン大学の研究チームがまとめ、11日付の米科学誌サイエンスに発表する。 研究チームは、今春の感染データなどをもとに新型インフルエンザが家庭や学校を通じて拡大する様子を予想。感染のピークが来る前の9月中旬から子供優先で接種を始め、最終的に人口の70%に接種できれば、流行は季節性並みで落ち着くと結論づけた。 http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/09/11/107503/?Mg=772ad19a9f7926d866fddc4cad6341cf&Eml=31ef79e7aaf65fca34f0f116a57fd65d&F=h&portalId=mailmag出典 読売新聞 2009.9.11 版権 読売新聞社 <番外編> タミフル耐性「新型」、米で人から人へ感染か インフルエンザ治療薬「タミフル」に対する耐性を獲得した新型インフルエンザのウイルスが、米国で、人から人へ感染した可能性が高いことが分かった。 米疾病対策センター(CDC)が10日、週報で発表した。 タミフルを製造しているスイスの製薬大手ロシュによると、耐性ウイルスは日米などで7日までに13件が報告されているが、いずれのケースも1人の患者から検出されただけで、周囲への感染は確認されていなかった。 CDCは、健康な成人にタミフルを事前に飲ませる「予防的投与」など、耐性ウイルスの出現をまねく過剰使用を控えるよう呼びかけた。 CDCの報告によると、米ノースカロライナ州でキャンプに参加していた10代の少女が7月8日、インフルエンザの症状を訴えた。 同じ小屋に泊まっていた別の少女も11日に発熱、2人からタミフルに耐性を持つ新型ウイルスが検出された。 キャンプ場では、6月から新型インフルが流行、発症していない子供や職員計600人以上が、感染予防のため10日間、タミフルやリレンザを服用した。 2人は、タミフル服用中にもかかわらず発症したため、医師が耐性ウイルスを疑い検査した。 キャンプ場では、ほかにも6人がタミフル服用中に発症。最初の少女からもう1人へ感染したか、別の患者から2人に感染したものとみられる。 http://www.m3.com/news/GENERAL/2009/09/11/107502/?Mg=772ad19a9f7926d866fddc4cad6341cf&Eml=31ef79e7aaf65fca34f0f116a57fd65d&F=h&portalId=mailmag 2009年9月11日 提供:読売新聞 「オンライン請求はインセンティブで」民主党・鈴木議員 9月9日、レセプトオンライン請求義務化撤回訴訟の第1回口頭弁論が横浜地裁で開かれました。その内容は医療維新「原告らは保険医療機関なのか、立証を求めたい」をお読みいただきたいのですが、この日の口頭弁論で一番問題視すべきは、行政・司法当局の姿勢です。 まず行政当局。記事でも紹介しましたが、国が事前に提出した答弁書には、「原告ら全員が保険医療機関の指定を受けていることについて主張立証を求められたい」と記載されています。オンライン請求が義務化される対象は、「保険医療機関」。原告の名前として、住所や氏名等は記載していても、「保険医療機関の指定を受けている」ことを証明する資料は提出していません。 しかし、国民皆保険の日本の場合、大半の医師が保険診療を行っています。 そうではない医師が、今回の訴訟に加わることが想定されるのでしょうか。原告の弁護団団長の田辺幸雄氏は「裁判の引き延ばし」などと、国の姿勢を批判しています。 また9日の口頭弁論は、原告団側からの意見陳述だったのですが、代理人弁護士の小賀坂徹氏が訴状を引用してオンライン請求義務化の問題点を指摘しようとすると、「それは訴状に書いてある」と国側の代理人がさえぎろうとする場面も。当然ながら、小賀坂氏はそれに屈せず、弁論を続けました。その最後に、小賀坂氏は、「医療は診察室で行われている。会議室で行われているのではない」と結び、医療の現場にもたらす混乱を想像することなく、「霞が関」の会議室内での議論でオンライン請求義務化を決定した国を問題視しました。 次に裁判官。 地裁の法廷には3人の裁判官がいます。 しかし、裁判長と右陪席裁判官(傍聴席側からではなく、裁判長の側から見て右側に座っている裁判官)が、時々目を閉じていたのです。意識を集中していた、とは受け取れず、うたた寝しているのかとも思える状況でした。 今回、原告の医師が提訴した相手は国、つまり厚労省。行政による規制・管理が強い医療界。「厚労省を相手に訴訟することには様々な苦労、不安が伴う。それを乗り越えて提訴した意味を考えてほしい」(小賀坂氏)。 民主党は今回の衆議院議員選挙のマニフェストで、オンライン請求の「完全義務化」から「原則化」への変更を明記しています。 政権交代がまさに実現する今、オンライン請求の是非をめぐる議論の場は法廷でなく、政治に移ったという思いが、行政・司法当局にあったのかもしれませんが、真剣に原告の訴えに耳を傾ける姿勢がうかがえなかったことは批判されてしかるべきでしょう。 なお、民主党の参議院議員、鈴木寛氏に9月10日、この件について取材したところ、「義務ではなく、例えば、オンライン請求した医療機関には支払い期間を短縮するなど、インセンティブをつけて誘導する形にする」とコメントしました。 オンライン請求に対してインセンティブを設け、オンライン請求するか否かは各医療機関の選択に任せるというイメージです。 http://mrkun.m3.com/mrq/community/message/view.htm?cmsgId=200909101831146144&msgId=200909101832366331&mrId=ADM0000000 衆議院議員総選挙2009 「日医は選挙結果を真摯に受け止め、反省すべき」 民主党を支持した諫早医師会長・高原晶氏に聞く http://www.m3.com/iryoIshin/article/107445/index.html?Mg=772ad19a9f7926d866fddc4cad6341cf&Eml=31ef79e7aaf65fca34f0f116a57fd65d&F=h&portalId=mailmag■今回の選挙結果を受け、「日本医師会は、政権与党を支持すると言っていたが、政権交代後はどうするのか」と疑問を投げかける。 今こそ、医師会・医師連盟はそのあり方を再考すべきである。 ■今、日本医師会をはじめ、各医師会がすべきことは、今回の選挙結果を真摯に受け止め、反省することではないでしょうか。医師会は風が読めなかった。一般国民・世論と、医師会がここまで離れてしまったのですから、「患者さんの立場を考えて」という自民党支持理由は使えなくなったわけです。 ■来年7月には参議院議員選挙が予定されていますが、既に日医は自民党参議院議員の西島英利氏の支持を打ち出しています。今年4月に日医の幹部が、長崎にも説明に来ました。その際、「政権与党が変わったら、どうするのか」と問いかけたのですが、「難しい問題」との返答のみでした。 ■都道府県医師会は本来、郡市医師会の声を日医に伝えるのが役割です。しかし、実際には日医の方しか向いていないケースが多い。 ■これまで自民党を応援してきて、何がいいことがあったのでしょうか。税制などでは優遇されていた面もあるのかもしれませんが、医療費抑制策が続き、結局、自分たちの首を絞めている政党を支援していたことになります。 ■今は医師会も、医師連盟も区別はありません。しかし、医師会と医師連盟は本来、線引きすべきだと思います。今回の選挙は両者の役割を見直すいい機会になったのではないしょうか。 <きょうの一曲> Norwegian Wood The Beatles - Norwegian Wood (very rare) http://www.youtube.com/watch?v=KkcRZSdc8us&hl=ja Norwegian Wood (This Bird has Flown) http://www.youtube.com/watch?v=KkcRZSdc8us&hl=ja he Beatles - Norwegian Wood http://www.youtube.com/watch?v=lY5i4-rWh44&hl=ja Norwegian Wood 歌詞 http://beatlesbeatles.blog39.fc2.com/blog-entry-72.html ノルウェーの森 http://ja.wikipedia.org/wiki/ノルウェーの森 ■原題の“Norwegian Wood”が何を意味するか歌詞中に明確にかかれていないため、英語圏の人も一般的に『ノルウェーの森』のこと『ノルウェー製の家具』のことと聞き手のイメージによって二つに分かれているが、このwoodは『森』のことでも『家具』のことでもない。 (以下は余り紹介できない内容ですので、サイトでご覧ください) <村上春 『ノルウェイの森』> 村上春樹『ノルウェイの森』 http://www005.upp.so-net.ne.jp/Kaede02/sakuhin2/norway.html 村上春樹『ノルウェイの森』の薄気味の悪さ(Ⅰ) http://elder.tea-nifty.com/blog/2006/05/post_0e40.html 村上春樹氏「ノルウェイの森」初の映画化 http://sankei.jp.msn.com/culture/books/080731/bks0807310749000-n1.htm #
by wellfrog3
| 2009-09-12 00:07
| 感染症
医学ジャーナリストの大西 淳子氏がNM onlineの「海外論文ピックアップ」コーナーに書かれた興味深い記事が目にとまりました。
Lancet誌に掲載された 「H1N1 pneumonitis treated with intravenous zanamivir という原題の記事の紹介です。 新型インフルエンザ重症例がリレンザの静注で回復 未承認の静注用ザナミビル(商品名リレンザ)が、オセルタミビル、ザナミビル吸入に反応しなかったハイリスク女性患者を重症肺炎から救ったと考えられる症例報告が、英London大学病院のI Michael Kidd氏らによりLancet誌電子版に2009年9月4日に報告された。 22歳の女性患者は、ホジキン病で、化学療法による好中球減少症を呈していた。 呼吸困難が進行し、両肺の浸潤影が見られたため、2009年7月8日にICUに入院。 パンデミックインフルエンザ(2009 H1N1)感染確定例で、オセルタミビル75mgの1日2回投与と広域スペクトルの抗菌薬の投与を行ったものの、反応しなかった。血液と気道から他の病原体は検出されなかった。 ICU入院3日目には侵襲的な換気が必要になり、肺保護的人工呼吸と酸素吸入を行った。 ヒドロコルチゾン50mg(1日4回)を3日目から13日目まで投与。用量は7日目から漸減した。 オセルタミビル75mg(1日2回)は、当初6日間、経鼻胃管を使って投与したが、10日目の時点でも、気管支肺胞洗浄液には高レベルのH1N1 RNAが認められた。 胃の吸引物が多かったことがオセルタミビルの作用を妨げた可能性を考慮して、6日目にザナミビルの吸入(15mgを1日2回)に切り替えた。15日目からは1日用量を増やした(15mgを1日4回)。 しかし、改善が見られず、16日目の時点でもウイルスRNAが引き続き高レベルに認められたことから、病院処方委員会の許可を得て、GlaxoSmithKline社から提供された静注用ザナミビル(未承認、600mgを1日2回)の投与を開始。 同時にメチルプレドニゾロンの投与も開始した。 48時間以内に改善が見られた。21日目には気管支肺胞洗浄液中のウイルス量が減少、同日中に抜管が可能になり、24日目には一般病棟に移ることができた。 抗ウイルス薬とステロイドの投与は、それぞれ26日目と28日目に中止した。 オセルタミビルは腸管から適切に吸収される必要があるのに、この患者は胃からの吸引物が多い状態にあった。炎症が強く無気肺の患者においては、吸入ザナミビルの効率良い吸収は期待できない。 高用量のザナミビル静注の安全性と、静注投与により気道上皮における濃度が効果が期待できるレベルに達することは、既に示されていた。今回の患者も有害事象なしに回復した。 1例ではあるが、重症例に対するザナミビル静注(単独または高用量メチルプレドニゾロン併用)の有効性と安全性を調べる研究を迅速に行う必要があるだろう、と著者らは述べている。 http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/lancet/200909/512188.html NM online 2009.9.8 <番外編> インフルエンザ簡易検査キットが早くも足りない 和田眞紀夫(わだ内科クリニック院長) http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/opinion/mric/200909/512192.html NM online 2009. 9. 9 ■早い時期ではインフルエンザであってもキットで陽性にでにくい状況を踏まえて、アセトアミノフェンを処方して明日高熱が続いていたら検査しに来るように指示して帰宅させる。 ■確実に1回」と考えて検査のタイミングを見計らっているのだが、検査を1日遅らせれば、抗インフルエンザ薬投与のタイミングも1日遅れている。 後で脳炎にでもなるようなことがあれば、あと1日早く診断して薬を始めていれば・・・などと後悔するようなことにもなりかねない。 ■少なくとも現時点で検査キットがどのくらい生産・流通されているかの調査を行って、せめて医療関係者にはその情報を明らかにすべきではなかろうか。 必要があれば早急に増産を指示することも可能なはずだが、残念ながら現在始まっている第2波の新型インフルエンザ流行にはもう間に合いそうもない。 <コメント> 当院は十分な簡易検査キットを確保しています。 他の医療機関で数回にわたって同一患者に簡易検査を行っている場合があります。 はたしてコメントなどをつければ基金で過剰検査で削られることはないでしょうか。 以前、溶連菌の迅速検査を診断時と治癒判定時の2回行っていましたが、最近はバッサリ査定を受けます。 当院は、この記事と同じくインフルエンザに関してタイミングを見計らっての1回きりの検査としています。 記事では触れられていませんが、PCR法による新型インフルエンザ診断が一般医療機関に解放されていないことが不思議でなりません。 というのは、季節型インフルエンザが流行する時期になれば両者の鑑別が出来ずに大混乱が起きることは確実です。 検査するお役人の時間外手当稼ぎになっているという噂も聞かれます。 既得権益ということなら許されないことです。 <番外編> 高齢者の免疫機能低下、抗体作る細胞変質で 京大教授ら解明 高齢になると免疫機能が弱まる原因について、京都大の湊長博教授らがメカニズムを解明した。 免疫の中心的役割を果たすT細胞の多くが別タイプに変化し、病原体への対応能力を失うという。この変化を抑えられれば高齢者の感染症予防に役立つ。 成果は8日付米科学アカデミー紀要(電子版)に掲載される。 高齢者はインフルエンザなどのワクチンを注射しても効果が表れにくかったり、炎症を起こすとなかなか治らなかったりする。 免疫反応を起こす力が低下するためだ。 http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20090908AT1G0702607092009.html 出典 NIKKEI NET 2009.9.8 版権 日経新聞社 免疫老化原因リンパ球、京大チーム発見…除去で若返りも 年をとったり、白血病にかかったりした時に免疫力が低下する原因とみられる特定のリンパ球集団を、京都大医学研究科の湊長博教授(免疫学)らのチームが発見した。 免疫の老化はこれまで全体的な機能低下だろうと考えられていたが、このリンパ球を取り除くことで免疫機能が若返る可能性があり、高齢者の感染症予防やがん治療に新たな展望が期待できそうだという。 7日の米科学アカデミー紀要電子版に掲載された。 湊教授らは、免疫反応の司令塔の役割を果たすTリンパ球のうち、「PD1」というセンサー物質を表面に持つものが、老齢のマウスで非常に多いことを見つけた。 若いマウスではほとんどないが、加齢とともに増え、ヒトの60~70歳にあたるマウスでは約7割を占めていた。 このリンパ球は正常な免疫反応を全く示さず、がんの増殖や転移を促進する作用も持つ強力な炎症物質を大量に作っていた。 白血病の若いマウスでも、このTリンパ球が急増し、免疫力が低下していた。 http://osaka.yomiuri.co.jp/university/research/20090908-OYO8T00266.htm 出典 YOMIURI ONLINE 2009.9.8 版権 読売新聞社 悪玉リンパ球:免疫力低下させる 若返りも可能に? 京大院、マウス実験で発見 京都大大学院医学研究科の湊長博教授(免疫学)らの研究グループがマウスを使った実験で、年齢とともに増加し免疫力を低下させる特殊な「悪玉リンパ球」を見つけ、7日付の米科学アカデミー紀要(電子版)に発表した。 悪玉リンパ球の除去がヒトで可能になれば、がんの免疫療法の効率化や高齢者の感染症予防、「若返り」にもつながるとして注目される。 外部から病原体が侵入すると、胸腺で生まれる「Tリンパ球」が働き、体を守る。 研究グループはマウスのTリンパ球から、免疫反応をしない上、がん悪化の原因物質を作るPD-1陽性Tリンパ球(悪玉リンパ球)が生まれることを発見した。 http://mainichi.jp/select/science/news/20090908ddm012040114000c.html出典 毎日jp 2009.9.8 版権 毎日新聞社 細胞「悪玉」化で免疫老化 京大が変化解明 http://www.chunichi.co.jp/article/national/news/CK2009090802000144.html 出典 CHUNICHI Web 2009.9.8 版権 中日新聞社 ■免疫機能の老化は、若い間だけ機能する胸腺から供給され、病原体への抗体を作る「Tリンパ球」(T細胞)の劣化などが原因とされてきたが、よく分かっていなかった。 ■Tリンパ球は病原体に反応するごとに、その情報を長い間とどめる「記憶T細胞」に変化していく。 ■湊教授らは、マウスで年齢ごとに状況を追跡。人間では中年以降にあたる生後12カ月前後から、記憶T細胞の2、3割に、何らかの原因で特殊な遺伝子が働き、免疫面の機能を失う一方、「オステオポンチン」という炎症物質を大量に出す未知の悪玉細胞に変化することを発見した。 老齢期の生後20カ月になると6割に達し、免疫機能の低下につながった。 <コメント> 同じ発表ををさまざまな報道で読み比べてみました。 普通、似たりよったりの内容ですが、この発表に対しては各紙の科学担当者が苦心して解説しているのが分かります。 各紙の力量比べが出来そうです。 <MR面談録 2009.9.10> どうやら製薬メーカーは10月1日付の人事異動があるようです。 聞いたところでは新人教育が一段落したところがこの時期ということもあるようです。 今回の面接でも顔見知りのMRのお別れの挨拶と新顔の巡り逢いがありました。 いわゆる「引き継ぎ」です。 当院は面接は月1回です。 しかし10社に対して予約をとってもらった上でじっくり話しを聞きます。 そして忘年会を含めて年4回MRさんを交えて食事会をしています。 そんなわけでMRさんとは結構和気藹々です。 ①ノバルティス ■ESC2009(バルセロナ)でのKYOTO HEART Studyの紹介。 ■直接型レニン阻害剤 ラジレス錠150mg 発売準備中。 ②アステラス ■ジェニナック錠 添付文書の副作用の欄に 9)幻覚、せん妄等の精神症状 10)痙攣 が追加された。 ■インフルエンザ Q&A 2009年版 (有用情報あり) ■パンフ配布 「インフルエンザHAワクチンができるまで」 「インフルエンザワクチンの有効性と適応」 「高齢者のワクチンによるインフルエンザ予防の留意点」 「インフルエンザパンデミックの歴史に学ぶ」 ③万有 ■インクレチンの紹介 ■会員制医療情報サイト univadisの紹介。 ■肺炎球菌ワクチン「ニューモバックスNP」品薄のお知らせ(お詫び?)。 現在供給ストップ。 次回供給は10月中旬。 ④シオノギ製薬 文献紹介 ■特集 ARBの選び方・使い方 「心臓障害を伴う高血圧患者に対して」 ■総説 イルベサルタンの腎保護作用を多面的に考える ⑤大正富山 ■クラリスロマイシンの粘膜免疫増強作用とインフルエンザウイルスの感染抑制効果 ■インフルエンザ感染における炎症制御 ⑥グラクソ ■Medical Tribune 2009.8.6 特別企画 新型インフルエンザ〜今後の予測と対策、治療 (松本慶蔵先生) 喘息患者にとってハイリスクなインフルエンザの流行に備え、喘息の自己管理を見直す (石原享介先生) ⑦大塚製薬 ⑧アストラゼネカ ⑨帝人 ⑩武田 #
by wellfrog3
| 2009-09-11 00:11
| 感染症
RECORD試験 〜2型糖尿病に対するrosiglitazoneの併用〜
心血管疾患リスクは従来治療薬と同等 ニューカッスル大学(ニューカッスル・アポン・タイン)のPhilip D. Home教授らは,2型糖尿病患者に対するrosiglitazoneと標準の経口血糖降下薬であるビグアナイド薬のメトホルミンまたはスルホニル尿素(SU)薬の併用投与は,心不全や骨折のリスクを増加させるが,心血管疾患(CVD)やCVD死のリスクは増大させないと,第69回米国糖尿病学会(ADA)年次集会で発表した。 今回の発表はRECORD*試験の平均5.5年間の追跡結果。詳細はLancet(2009; 373: 2125-2135)にも掲載された。 統計学的有意差認めず Rosiglitazoneはチアゾリジン誘導体の一種で,血糖管理における有効性が多くの研究で確認されている。 しかし,同時に心筋梗塞リスクを増大させることを示唆する研究も複数見られるなど有害事象への懸念から使用が敬遠されてきた。 RECORD試験では,メトホルミンかSU薬のいずれかを服用し,平均HbA1C値が7.9%の2型糖尿病患者4,447例を, (1)rosiglitazone併用群(2,220例) (2)メトホルミン+SU薬併用群(対照群,2,227例) −にランダム化割り付けし,CVDによる入院または死亡を1次エンドポイントとして検討を行った。 その結果,1次エンドポイントの発生は,rosiglitazone併用群の321例,対照群の323例で見られ,両群で統計学的有意差は認められなかった。 一方,心不全による入院または死亡は対照群の29例に対し,rosiglitazone併用群では61例と,対照群の2倍強であった。 さらに,rosiglitazone併用群では腕と下腿の骨折リスクが57%増大し,特に男性と比べ女性で著明にリスクが増大した(23%対82%)。 リスク踏まえた慎重投与を提案 Home教授は「rosiglitazoneの心血管イベントに対する影響が,他の血糖降下薬と同等であるという強いエビデンスが得られたことは有益である。 また,長期的な血糖管理がrosiglitazone併用群で有意に優れるという結果も注目に値する。 チアゾリジン系薬による骨折や心不全への影響は既に知られていたが,今回の研究は,rosiglitazoneの処方が安全でない糖尿病患者を見極めるのに有用なデータを提供するものだ」と述べている。 さらに,同教授は臨床におけるrosiglitazoneの使用法について「心不全の既往や心筋機能障害を起こす可能性のある患者には推奨できない。 また,骨折リスクの高い女性には慎重に投与すべきである」と指摘し,「今回の研究では,他の血糖降下薬と比べてrosiglitazoneが心筋梗塞リスクを若干増大させる可能性は完全に払拭できなかったものの,同薬投与で全体的な心血管疾患リスクと死亡リスクは増大しないことがわかった」と結論している。 マウントサイナイ病院とトロント大学(ともにカナダ・トロント)のRavi Retnakaran博士らは,同誌の付随論評(2009; 373: 2088-2090)で「rosiglitazoneは半量を用いれば,副作用は抑えつつ,有効性は半減するまでに至らないことが知られている。そのため,同薬(または同系薬のピオグリタゾン)を最大用量の半量用いた併用療法がよさそうだ」としている。 *RECORD Rosiglitazone Evaluated for Cardiovascular Outcome and Regulation of Glycaemia in Diabetes 出典 Medical Tribune 2009.9.3 版権 メディカル・トリビューン社 <きょうの一曲> The Beatles - And I Love Her http://www.youtube.com/watch?v=96YQdiMV-Jc&feature=related 他にもブログがあります。 ふくろう医者の診察室 http://blogs.yahoo.co.jp/ewsnoopy (一般の方または患者さん向き) 葦の髄から循環器の世界をのぞく http://blog.m3.com/reed/ (循環器科関係の専門的な内容) 「井蛙内科/開業医診療録(2)」2008.5.21? http://wellfrog2.exblog.jp/ 井蛙内科開業医/診療録 http://wellfrog.exblog.jp/ (内科関係の専門的な内容) #
by wellfrog3
| 2009-09-10 00:04
| 糖尿病
##最近罹患例のほぼ全例が新型インフルエンザ
#今シーズンのインフルエンザウイルス分離・検出速報 国立感染症研究所(感染研)は9月3日付の速報でインフルエンザウイルスの分離状況の結果を公表した。 それによると,今年(2009年)5~8月に各都道府県市の地方衛生研究所から報告された新型インフルエンザ(AH1pdm)検出例は44都道府県で5,376件を記録,今シーズン(2009/10年)の分離・検出例全体の89%を占めることがわかった。 最初に新型インフルエンザウイルス検出例が報告された2009年第19週(5月4日~10日)以降,その数は増加を続け,週あたりの報告数が増加し始めた6月末から7月以降は,検出例の多くが新型インフルエンザとなっていることから,感染研は最近のインフルエンザ患者のほぼ全例が新型に罹患しているものと見ている。 また,本日(9月4日)同研究所ホームページで更新されたインフルエンザ流行レベルマップによると,第35週(8月24日~30日)の定点あたり報告数は,沖縄で大きく減少したものの,依然警報レベルにあり,青森,栃木,和歌山を除く44都道府県で定点当たり報告数が1.00を超えているという。 出典 MT pro 2009.9.4 版権 メディカル・トリビューン社 <番外編> 医療関係団体 「医師が元気に働くための七か条」を提言 勤務医の健康の現状と支援のあり方調査結果を受け、日医委員会 http://www.m3.com/iryoIshin/article/106946/ ◆ 医師が元気に働くための七か条 1. 睡眠時間を充分確保しよう 2. 週に1日は休日をとろう 3. 頑張りすぎないようにしよう 4. 「うつ」は他人事ではありません 5. 体調が悪ければためらわず受診しよう 6. ストレスを健康的に発散しよう 7.自分、そして家族やパートナーを大切にしよう ◆ 勤務医の健康を守る病院七か条 略 <コメント> 新着の「日経メディカル2009.9」に「患者をどう断る 救急医療再生のヒント」という特集が載っていました。 P55に大垣市民病院の小児科の夜間救急室の取り組みが出ていました。 内容は、市医師会に所属する小児科開業医に小児夜間救急室で診療してもらうよう協力を求めたというものです。 小児科標榜医の有志25人が週3回、18〜21時まで、交代で診察するというものです。 一見美談ではありますが、開業医はそんなに暇なんでしょうか。 小児科や産婦人科医の不足は理解できるのですが、勤務医は忙しい、開業医は暇という図式があるとすれば疑問です。 私は小児科医ではありませんが、もしこの地域の小児科医であるならば当番は固辞するつもりです。 この病院の取り組みは、病院へのコンビニ受診を容認するだけで病院への患者集中に拍車をかけます。 今回のこの記事とは関係ありませんが、勤務医でも暇な医師、開業医でも忙しい医師がいるということをマスコミはとりあげてくれません。 医師不足についても、「不足」ではなく「偏在」が本質的なことですから、安易に「医師不足」という言葉が使われることに抵抗があります。 <新型インフルエンザ 関連サイト> #ワクチン接種施設、来月公表=新型インフル、1カ月半に2回−厚労省 新型インフルエンザ用ワクチンについて、厚生労働省は8日、10月中旬に接種を実施する医療機関名を公表することを明らかにした。 妊婦や基礎疾患(持病)がある約5400万人の対象者に、1カ月半の間に2回接種する方針も示された。 同省は同日、都内のホテルに自治体担当者を集めた会議で、10月下旬の接種開始に向けたスケジュールを説明。 市町村などを通じ、ワクチン接種を担当する医療機関の選定を急ぐよう求めた。 同省の説明では、希望するすべての医療機関でワクチン接種を認め、国と予防接種の委託契約を結ばせる。 9月末までに都道府県に医療機関を取りまとめさせた上で、10月中旬にホームページなどで全医療機関を公表する。施設数は季節性インフルエンザを上回り、全国で数千カ所に上る見通しだ。 接種は国の委託を受けた医療機関で行うのが原則だが、市町村への届け出を条件に、学校や保健所などでの集団接種も認めた。 その上で、同省は「集団接種は強制とならないように」と配慮を呼び掛けた。 http://www.jiji.com/jc/c?g=soc_30&k=2009090800873 出典 時事ドットコム 2009.9.8 #ワクチン接種は実費負担=医療機関、予約制で実施−6千〜8千円か・新型インフル 新型インフルエンザ用ワクチンの接種費用について、厚生労働省は8日、接種を受けた患者や保護者から実費相当額を徴収することを決めた。 接種回数は2回で、負担額は計6000〜8000円になる見通しという。 同省は東京都内のホテルで同日、自治体の担当課長ら約220人を集めた会議を開催。 ワクチン接種方針案などの説明を行った。 同省が示した接種案によると、接種は国と委託契約を結んだ医療機関で実施。 医療機関側は母子健康手帳や健康保険証などで優先接種の対象者かどうかを確認した上で、ワクチンを接種する。 接種は国が委託した医療機関で、予約制で行うのを原則とした。かかりつけの病院で行うのが基本だが、主治医が発行した「優先接種対象者説明書」があれば、別の施設でも可能とした。 http://www.jiji.com/jc/zc?k=200909/2009090800400&rel=j&g=soc 出典 時事ドットコム 2009.9.8 #3月までに1200万人分=タミフルの供給計画−中外製薬 新型インフルエンザに有効な治療薬タミフルを国内販売する中外製薬は7日、来年3月までに1200万人分のタミフルを供給する計画を発表した。 同社によると、国や自治体の備蓄分や流通済みの在庫とは別に、来年3月までに1200万人分を新たに供給する。 昨シーズンの医療機関向け出荷量の3倍に相当するという。 厚生労働省によると、国と都道府県のタミフル備蓄量は、8月末現在で計約4095万人分。 http://www.jiji.com/jc/zc?k=200909/2009090700313&rel=j&g=soc 出典 時事ドットコム 2009.9.7 #新型インフル疑い患者が死亡=呼吸器疾患の90代男性−宮城県 宮城県は7日、新型インフルエンザに感染した疑いのある90代の男性が6日、入院先の病院で死亡したと発表した。 男性は呼吸器疾患の非結核性抗酸菌症の持病があり、死因は同症の悪化。感染ルートは不明という。 新型インフルエンザに感染したか感染の疑いのある人の死亡は国内で11人目。 県によると、男性は2007年12月、非結核性抗酸菌症と診断された。今年7月に入院し、8月30日に発熱、今月3日に簡易検査でA型陽性となり、6日夜に死亡した。 県は7日、新型かどうか確認するPCR検査を実施したが、反応が出なかったため、8日にも手法を変え再検査する。 http://www.jiji.com/jc/zc?k=200909/2009090700749&rel=j&g=soc 出典 時事ドットコム 2009.9.7 #厚労省が新型用ワクチン接種案 医療機関指定し予約制 厚生労働省は8日、新型インフルエンザ用ワクチンの接種について、国と委託契約を結んだ医療機関で、原則として予約制で行うなどとする方針をまとめた。 優先接種の対象者は、母子健康手帳や健康保険証などで確認する。 ワクチンの供給量が限られ、優先対象者に確実に接種する必要があることから、国が直接関与することにした。 都道府県や政令指定都市の担当者を集めて同日、都内で開催した全国会議で説明した。 席上、厚労省は接種料金について全国一律としたい考えも示した。 方針によると、地域の医師会が接種実施を希望する医療機関のリストを作成、機関数が不十分な場合は市町村が追加選定する。 国はこれらの医療機関と委託契約を結び、10月中旬をめどにリストを公表する。 接種は個人が医療機関に予約して受ける方式が原則だが、地域の実情により、医療機関以外での集団的な接種もあり得るとした。 ワクチンは、生産量に応じて国が都道府県ごとの配分量を決定。都道府県は接種対象者の人数を把握し、医療機関ごとの配分を決める。 優先対象者のうち妊婦や1歳未満の乳児の両親は母子健康手帳で、それ以外は健康保険証などで本人確認をする。 基礎疾患(持病)のある人が、かかりつけ以外の医療機関で接種を受ける場合には、主治医が発行する「優先接種対象者証明書」を持参する。 接種費用は実費相当額を徴収するが、低所得者については公費による負担軽減措置を検討する。 http://www.47news.jp/CN/200909/CN2009090801000700.html 出典 共同通信 2009.9.8 <コメント> 新型インフルエンザは国民の大半に基礎免疫がないため2回の接種が必要で、3~4週間の間隔を空けると効果が高いとされています。 <きょうの一曲> Goodbye (audio) Chris Connor - Goodbye (1954) http://www.youtube.com/watch?v=1uFCf_05OaE&feature=related http://lastfizz.blog19.fc2.com/blog-category-5.html #
by wellfrog3
| 2009-09-09 00:41
| 感染症
今回流行中の新型インフルエンザについてはまだ十分に把握されたわけではなく、今後どのように流行していくのか不明な点が数多くあります。
「新型」のために当然といえば当然です。 「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」というのはビスマルクが言った言葉ということになっています。 「アジアかぜ」について検証すれば学ぶことも多いはずです。 抗菌薬時代に広まったアジアかぜ 1957年春に感染拡大が始まったアジアかぜは,罹患者数も死亡者数もスペインかぜに比べれば,けたが小さかった。 しかし,既に抗菌薬が存在した時代としては甚大な被害と言える。 現代より脆弱な医療体制であったとはいえ,アジアかぜと戦った人類の記録から見えるものとは。当時を肌で知る長崎大学の松本慶蔵名誉教授が実体験を交えて考証し,新型インフルエンザ(A/H1N1)への備えを説いた。 目立った黄色ブドウ球菌の感染 中国南部から香港を経て,世界的大流行へと拡大したアジアかぜのわが国でのピークは,1957年5〜8月の第1波と,季節性インフルエンザの流行と重なる同年10月〜58年2月の第2波がある(図)。 ほとんどの人に免疫がないことから"処女感染"との見方もあったが,70歳代の一部に抗体が見られたため,20世紀初頭に類似したインフルエンザの流行があったと推測される。 記録されている数字では国内で延べ約300万人が罹患,死亡者は5,700人程度。 年齢別の死亡者数は,季節性インフルエンザと同様に体力のない小児と高齢者が多かった。 死亡者数が80歳を過ぎると急激に下がるのは,抗体保有者がいたことに加え,当時の人口構成比率によるものと見られる。 死亡者を詳しく調べたところ,肺炎中黄色ブドウ球菌の2次感染に注目が集まった。 なぜなら,当時は耐性を獲得し,"王者の菌"と呼ばれた黄色ブドウ球菌が,最も多い市中肺炎としてばっこしていたからだ。 死亡などの被害は僧帽弁膜症をはじめとした弁膜症患者や肥満者,高齢者,妊婦に多く見られた。 わずか6種類程度の抗菌薬に大きな効果 瞬く間に広まったというよりも,重症者が多かったという印象が強かったと感じる。 もし,単純にスペインかぜの時代に流行していたと考えれば,ひょっとしたら同規模の大きな被害が生じていたかもしれない。 しかし,そうはならなかった。 なぜならば,流行時の抗菌薬はペニシリンやテトラサイクリン,クロラムフェニコールなど6種類程度しか使えなかったものの,抗菌薬が存在していたことが大きかった。 世界保健機関(WHO)によると,アジアかぜの死亡率は6,000〜7,000人に1人とスペインかぜよりもきわめて低かったという。 ウイルスよりも恐怖感が広がる よく3大パンデミックで亡くなった感染者の数値をクローズアップする報道があるが,多くの抗菌薬と抗ウイルス薬がある現代医療であれば,慌てる必要は全くないことがわかる。 今春は新型インフルエンザそのものよりも,こうした情報の氾濫で恐怖感が拡大したことが混乱を招き,拍車をかけたと見るべきだろう。 先月には国内初となる院内感染の事例がニュースとなったが,病院も診療所も過度に心配することはないと言いたい。 抗ウイルス薬の備蓄も世界トップレベルであり,治療も予防も可能ということを前提に考えたほうがよい。 私自身,かつてアジアかぜにかかって3日間,39℃の高熱で寝込んだ経験がある。 おそらく感染者を診察している最中にかかったのだと思う。 しかし,治療をすればすぐにおさまった。院内感染に関しては,高齢者や老人ホームの入所者には優先的に新型インフルエンザのワクチンや肺炎球菌ワクチンの接種などを講じておけば,季節性と変わらない対応ですむ。 感染拡大は「長くても1か月」 3大パンデミックにしても,季節性インフルエンザの流行にしても,同じ地域での流行は1か月もたてば収束しているという事実もある。 メキシコに端を発した新型インフルエンザの感染拡大も,同国ではほぼ1か月で爆発的な拡大はおさまった。 インフルエンザの猛威は1か月で終わるし,感染しても治療を受け,回復すればすぐに社会復帰できる。 今後,どのような形で新手のインフルエンザウイルスが出ようとも,現時点では3大パンデミックのような被害にはならないだろう。 ただし,医療者に過去から未来を学ぶ姿勢がないと,今秋に新型インフルエンザが大流行すれば,たちまち春の二の舞になってしまう。 医療者,そして行政,マスコミが力を合わせて正しい情報を共有することが,何よりのパンデミック対策と考える。 社会的混乱大きく「補償要求」も 戦後最初のインフルエンザパンデミックとなったアジアかぜでは,世界で200万人の死者が出たとされる。 スペインかぜに比べれば"10分の1程度"と見る向きもあるが,社会的な混乱は決して小さくはなかった。 <20日で都道府県の半数超で感染> 中略 <休校措置に異論も> 一方,研究者の間ではワクチンが十分に行き渡る見込みがなく,スペインかぜでは第2波の被害が大きかったことから,秋の流行に備え「早いうちにかかっておいたほうが免疫を獲得できて安全」とする見方もあった。 これらを踏まえ,ある医大学長らはインフルエンザの感染による休校措置に異を唱える声明を出した。 職場にも欠勤者が続出し,都内の警察署では警察官が足りなくなり,犯罪捜査に支障が生じたという。 東北地方の裁判所では,殺人事件などの弁護士や判事が寝込んだため,公判が延期となった。 パンデミックへの備えを万全にする余り,逆に被害を被った例も。 医薬品メーカーが厚生省の指示でインフルエンザワクチンを大量に製造したものの,第2波の被害が想定よりも小さかったため,大量の在庫を抱える羽目になったという。 ワクチンの有効期間は1年程度で,在庫を抱えるメーカーも資金繰りに窮することから,国に補償を求める騒ぎにまで発展し,当時の新聞には「とんだ置き土産」の文字が躍った。 あれから半世紀を経たが,ブタ由来の新型インフルエンザに関する情報の錯綜や"診療拒否"問題などを省みると,現代でも同じ騒動が繰り返されないとは限らない。 だからこそ,医療者には正しい知識を備えた対応が求められる。 出典 Medical Tribune 2009.8.27 版権 メディカル・トリビューン社 <番外編> 肝がん細胞:大半を正常化 ハーバード大チーム、マウスで成功 マウスの体内の肝がん細胞の大半を、正常な細胞に変化させる新しい手法を、森口尚史・米ハーバード大研究員らのチームが開発した。肝がんの悪性度などに関与する遺伝子などを使い実現した。 2日、米ボストンで開かれる「分子生命科学会議・幹細胞シンポジウム」で発表する。 チームは、まずがん細胞を作る「もと」になるヒトの肝がん幹細胞をマウスに移植し、肝がんマウスを作成した。 この幹細胞に風邪の原因ウイルスと同種のアデノウイルスを使って、肝臓で働きが低下するとがんの悪性度を高める遺伝子「HNF4α」を組み込むことに成功。 さらに、がん細胞が正常な細胞になる能力を高める働きがあり、海外では抗がん剤としても使われる2種類の化学物質を患部に投与した。 その結果、投与から60日後には体内の肝がん細胞の85~90%が、見た目や機能が正常な肝細胞に戻り、染色体もがん細胞特有の異常が消えることが分かった。 一方、治療したマウス8匹は実験から8週間後まですべて生存していたのに対し、何もしなかった同数のマウスはすべて死んだという。 森口研究員は「今後、安全性を確認し、人での治療を目指したい。完全にがんは消えないが、残りはがんの部位に電極を入れて焼くラジオ波を使えば、手術に比べ体に負担の少ない治療が可能になる」と話している。 http://mainichi.jp/select/science/news/20090902ddm003040080000c.html 出典 毎日新聞・東京朝刊 2009.9.2 版権 毎日新聞社 滑脳症:知能障害、てんかん伴う病気 酵素の働き抑える薬で、治療に光明 遺伝子が欠けていることで起きる先天性の病気「滑脳症(かつのうしょう)」について、大阪市立大の広常真治教授(分子生物学)と山田雅己講師らが、関係する酵素を発見し、この酵素の働きを抑える薬で症状を緩和できることをマウスの実験で確認した。 治療法につながる成果という。 米科学誌「ネイチャーメディシン」に7日、論文が掲載される。 滑脳症は「LIS1」という遺伝子が欠けていることによって起き、発症は新生児1万5000人に1人程度。 この遺伝子が作り出すたんぱく質が不足することで脳の神経細胞がうまく発達できず、通常6層の脳構造が4層になり、表面のしわができない。 知能障害やてんかん、まひを伴い、治療法はない。 広常教授らは、「カルパイン」と呼ばれる酵素が、この遺伝子が作るたんぱく質を分解することを確認。遺伝子操作で滑脳症にしたマウスの胎児に、母親の腹腔(ふくくう)を通してカルパインの働きを抑える薬剤を注射で投与。 すると胎児の脳構造が回復し、運動能力も通常のマウス並みになった。 http://mainichi.jp/select/science/news/20090907ddm012040146000c.html 出典 毎日新聞・東京朝刊 2009 版権 毎日新聞社 <きょうの一曲> ドビュッシー/月の光 Debussy, Clair de lune (Twilight soundtrack? piano music) http://www.youtube.com/watch?v=LlvUepMa31o&feature=fvw David Oistrakh, Debussy - Clair de lune http://www.youtube.com/watch?v=SKd0VII-l3A&feature=related John Williams & Julian Bream: C.Debussy-Clair de Lune http://www.youtube.com/watch?v=T1i_2HYmJkA&feature=related 横浜夜景~ドビュッシー/月の光 http://www.youtube.com/watch?v=yV7lwpw1ZIs&hl=ja ドビュッシー/月の光 ジャズmix Debussy/Clair de Lune jazz mix (record) http://www.youtube.com/watch?v=BbgatlKO1IU&feature=related clair de lune http://www002.upp.so-net.ne.jp/hidk/mft/clair_de_lune.html 月の光、ドビュッシー~名曲スケッチ http://www.geocities.jp/mani359/meitukinohikarido.html 【朗読】「月の光」/ポール・ヴェルレーヌ http://koebu.com/topic/【朗読】「月の光」%20_CLAIR%20DE%20LUNE_#25c3f78eaac8e07a0bbaa3dfb97295a401e2dbf8 月の光 http://web.t-online.hu/yuitobt/clairdelune.html http://d.hatena.ne.jp/asin/B000VI6KVY #
by wellfrog3
| 2009-09-08 00:23
| 感染症
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